BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回は閑話、セルケトの話となります。グロ注意。今作でトップクラスにグロいです。苦手な人は読まない方がいいです。読まなくても一応話自体は繋がります。タイラントってこれぐらい無情だと思うんだ。ではどうぞ。


file0:13.5【プロトタイラントVSプロトネメシス】

 ラクーンシティ地下「NEST」の一室、兵器性能テストルーム。バキン!バキン!と、鎖が次々と砕け散る音が聞こえる。それは、次々と滑り落ちる様に滑車に設置されているサンドバッグが、次々と粉砕され繋がった鎖が衝撃に耐えきれず砕け散る音。中に入っているのは砂鉄であり、通常入れられている砂よりも比重が重く、滑り落ちる勢いも合わせてそう簡単に吹き飛ばせるものじゃない。それを容易く貫き、殴り、斬り裂き、蹴り飛ばすのは、リサとよく似ているなれど蠍の特徴を持つ異形の右半身を持つ女。プロトネメシス、セルケトだ。

 

 

《「特性サンドバッグを間髪入れず容易く破壊か。レントゲンを通してみる限り生身の腕や足を使った一撃も筋繊維や血管こそ千切れ、骨も複雑骨折しているが即時に再生している。やはり以前よりも進化しているな。体内で培養しているG-ウイルスの効果だろう。興味深い、やはりお前を回収してよかったよセルケト」》

 

「バーキン博士。もう十分よ。タイラントと戦わせて」

 

《「いいだろう。コードNo『T-001型』プロトタイラントをあの部屋に用意しろ」》

 

 

 自然体で構えるセルケトの前に、皮膚が腐敗し発達した鋭い爪が特徴の右手、右側に存在する剥き出しの心臓が目立つスキンヘッドの大男が現れる。名を、プロトタイラント。投与したT-ウイルスが極度に作用した結果知能が劣化、更に皮膚の腐敗が目立つなど肉体の保存状態にも問題があったため、アンブレラ社の求める基準を達する性能には至らず、完成を目前にして廃棄処分が決定したものをバーキンが引き取った物である。

 

 

「こいつを倒して証明してみせる。私が今でも傑作なのだと」

 

 

 この部屋を一望できる高所に配置されている硬質窓ガラスで遮られた部屋から見下ろす己が父の一人にそう宣言するセルケト。最近、タイラントやG-ウイルスの研究を優先するバーキンの興味から己が外れかけているのは理解していた。己はG-ウイルスの温床に過ぎず、既に必要量を確保している時点で用済みで、「傑作」であった事実は過去になり、戦闘能力すら疑問視されては残す意味もない。

 

 三年前、リサとクイーンを急襲したセルケト。しかし反撃に遭って負傷しさらに思考を制御していた寄生生物ネメシスプロトタイプγを無理やり奪われたことで記憶に欠如が発生、自分が誰を調べていたのかも忘れる始末。異形の身を隠すコートも破壊されて下水道に潜伏するしかなく、彷徨っていたところをバーキンの要請を受けたアンブレラの“掃除屋”に回収されて以降、アンブレラに従うことに疑問を抱いていた人格とどこの誰ともわからない人間に撃退された性能を疑問視され三年もの間、調整を余儀なくされた。

 

 新たなネメシスプロトタイプγを結合させて人格を再度制御、アンブレラの命令に忠実になり、無駄な思考の隙間なく命令を遂行できるようになったものの、自分が傑作B.O.W.であるという自負は忘れずタイラントよりも有能であると証明せんがためにセルケトの要望で、失敗作とはいえ戦闘能力は折り紙つきのプロトタイラントと戦闘し性能テストを行うことになったのだ。負けたら失敗作として破棄されることを条件に。

 

 

「プロトタイラント、やれ」

 

「グオアァアアアアアアッ!」

 

 

 命令系統には問題なく、指示に頷いたプロトタイラントが身構え、突撃。振るわれた爪を、セルケトは尻尾を巻き付かせて右腕を拘束することで受け止める。そのまま引っ張って体勢を崩し、鋭角な装甲となっている右の膝を振り上げて顔面に膝蹴り。怯んだところに鳩尾に鋭角な装甲の付いた右の肘打ちが突き刺さり、ほどいた尻尾を一回転させて先端で心臓部を斬り裂くセルケト。

 

 

「知能が無い奴はやっぱり駄目ね」

 

 

 そのまま柔らかい肢体を利用して、左足を背中側に振り上げて頭上から蹴りを叩き込んでタイラントの後頭部を蹴りつけて床に転倒させ、そのまま縦に一回転。踵落としが背中に叩き込まれてクレーターが刻まれ、プロトタイラントは海老反りに折れてクレーターの中に崩れ落ちた。どう見てもオーバーキルであった。

 

 

「…ふう。どうかしら、バーキン博士」

 

《「ああ、及第点だよセルケト。だが甘いな。T-ウイルスは感染した生物の代謝を異常促進させ、死んだ細胞も強引に活動するほどの強大な生命力、急所に銃弾を何発も受けても死なない耐久性を与える。G-ウイルスがしぶとさならT-ウイルスは頑強だ。この意味が分かるか?」》

 

「っ…!」

 

 

 瞬間、プロトタイラントが起き上って爪を振り上げる。咄嗟に尻尾を間に割り込ませて盾にするセルケトだったがしかし、信じられない剛力で尻尾は引き裂かされてかろうじて繋がった状態となり、衝撃を殺しきれず吹き飛び背中から壁にぶつかるセルケト。そこにプロトタイラントは突撃、本能のまま爪を突き出して突進し、咄嗟に横に避けたセルケトのいた場所に深々と突き刺さったかと思えばコンクリートの壁を抉って引き抜いて振り回す。右腕の蠍の甲殻で受け止めるも、一撃でひしゃげてひっかけられて天井に叩きつけられ、落ちてきたところに左拳が腹部にめり込んで殴り飛ばされる。

 

 

「がはっ…!?」

 

《「不意を突いた時に確実にとどめを刺しておくべきだったな。心がある故の甘さ、それがお前の弱点だセルケト」》

 

「まだ、まだよ…まだ終わってないわ…!」

 

《「それに比べて…心が無い故の無慈悲なパワー、瀕死の重傷からも復活する耐久力…失敗作でこれか、素晴らしいぞタイラント。T-ウイルスの完成形として申し分ない。完成が楽しみだ」》

 

「そん、な…」

 

 

 なんとか立ち上がって奮起しようとするセルケトだったが、敬愛する父親の興味が自分から目の前の醜悪な怪物に向けられていると察してしまい、戦闘中にも関わらず絶望からか立ち尽くしてしまう。それは正しく、心を持つが故の弱点で。そんなセルケトに、プロトタイラントは容赦しない。その尋常ならざる膂力を持って一瞬でセルケトの目の前に移動すると、アッパーの要領で右腕の鋭い爪を腹部の下から突き刺し、喉元まで貫通させ串刺しにすると頭上に持ち上げる。

 

 

「ぐうっ…はあっ!?」

 

《「…戦闘テストは終わりだ。期待外れだ、高い金をかけて調整してやったのに無駄になった。お前は廃棄処分だ、セルケト」》

 

「…うう、あああ…」

 

 

 ゴボッと気泡を立てて吐血しながら力なく、この部屋を一望できるガラス張りの部屋から己を冷めた目で見下ろすバーキンに手を伸ばすも、容赦なく右腕を振るわれ投げ捨てられて壁に叩きつけられ、崩れ落ちる。

 

 

(私は、我が父二人の期待に応えたくて……)

 

 

 横に崩れ落ちている己の肢体を眺める。再生が遅い。性能を見せつけるために(おこな)ったサンドバッグのテストでこまめに再生したせいだろうか、それとも単純に想定を超えた大ダメージを受けたためか、再生能力が限界を迎えているようだと察する。全ては「心」が敗因だ。生物兵器に心は不要。それをプロトタイラントは証明して見せた。ならば、何故だとセルケトは心の中で問いかける。

 

 

(何故、心なんかを私に持たせたの…?こんなに、痛いもの、いらなかった)

 

 

 たまらず涙がこぼれ、困惑するセルケト。プロトタイラントに負けたことに対する悔しさか、心を持たせたことに対する怒りか、それとも生みの親に見捨てられた悲しみか。

 

 

《「涙を流す兵器に用はない。とどめだ、プロトタイラント」》

 

 

 涙を流すセルケトを一瞥して興味も無さそうに立ち去りながら、バーキンの指示が飛ぶ。そして、歩み寄ったプロトタイラントが右腕の鋭い爪を振り上げ、無情にも振り下ろして鮮血が飛び散った。




廃棄処分になったセルケト。鬼畜バーキン。地味に廃棄処分から免れてるプロトタイラントくん。廃棄処分と言えば…?

次回はレベッカ視点。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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