BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は黒幕登場。最初のは前回のクイーンが戦っている頃のレベッカとビリーの会話となります。楽しんでいただけたら幸いです。
「なあお嬢さん。あんまり動かない方がいいぞ。この列車は行けるところは全部調べた。危険だぜ。それともバケモノと一緒なら恐くないか?」
「先輩を悪く言わないで。あの人は私のヒーローなんだから」
「そいつは悪かった。だがそのヒーローもあの三つ首を相手するのはきつそうだったぜ?なあ、ひとまず協力しないか?」
「あなたと協力ですって?人殺しを信用しろと?」
「まあ聞けよお嬢さん。中も外もバケモノだらけだ、助け合わなきゃ命がいくつあっても足りねえ。俺を見張っているより先輩とやらを加勢しに行きたいだろ?」
「……お嬢さんと呼ばないで。わかったわ。でも変な真似したら撃つからね」
「上等。力になるぜ、レベッカ」
※
動き出した黄道特急の中で。レベッカにこの事件を乗り切るまでの間共闘しようと取引を持ちかけたらしいビリー・コーエンとも私達の知っていること…ここにはもう一人の人間エヴリンがいる事、私がサーベラスと同じ生物兵器でアンブレラが作ったこと、流出させた黒幕がいるからそいつをどうにかするのが目的であることをレベッカ共々共有する。ビリーは信じられない出来事を連続で体験したためかすんなりと受け入れた。…黒幕をどうするか決めてないのはあえて話さなかった。もしも同胞なら……話し合いの余地はある筈なんだ、そう自分に言い聞かせた。
「それで?これからどうする?俺達は動く棺桶の中だ」
「縁起でもないこと言わないでくれます?元少尉殿」
「列車を止める。協力しろビリー。言っておくがまだ信用してないからな。護送車で読んだ資料からお前が23人もの人間を一度に殺していて、精神科への通院歴もあることを知っている。化け物の私よりよっぽど危険人物だ」
『字面がすっごい危険』
「化け物にまで言われちゃ世話無いな」
首を竦めるビリー。……正直そんな危険人物には見えないが記録が言ってるんだから間違いはないだろう。警戒は緩めない。それから…。
「エヴリン、列車の先頭車両に行って様子を確認して来てくれ」
『合点承知の助!』
「……見えない奴の事は信じられないが本当にいるんだな」
「私も見えないから半信半疑だったわ」
壁を擦り抜けて先頭車両に向かうエヴリンを見送っていると、私とレベッカの無線に通信が入る。合わせている周波数はリーダーのエンリコの無線だ。
《「こちらエンリコ。信じられないことだが森の中はバケモノが蔓延っている。クイーン、レベッカ。現在位置はどこだ?」》
「隊長!こちらレベッカです!聞こえてますか?どうぞ」
《「ああ、聞こえている。無事なのか二人とも!」》
「こちらクイーン!森の中に見つけた列車を調査していたところ、列車が動き出した!エドワードもそのバケモノにやられた!」
《「エドワードがやられただと?……こちらもケビン・ドゥーリーがやられたのをジョセフが確認した。…悼んでいる暇はない。列車からの脱出は可能か?」》
「高速で移動している、飛び降りるのは不可能だ。止める方法を探す。それから、今回の事件は黒幕がいる。そいつは…エンリコ!聞こえるか!」
《「だめ……だ……なん……だっしゅ……!」ザザーッ》
そこまで話したが通信が悪くなり途絶える。くそっ、無線はこれだから…!レベッカのも駄目らしい、トンネルか何かに入ったわけでもあるまいに…!
「どうしましょう、先輩」
「…どうにか脱出するしかないだろ。どうだ、エヴリン」
『えっとねー……先頭車両には誰もいなくてなんか粘液が操縦席についてて外に出て行った痕跡があるから多分犯人は…』
繋がっている故に遠く離れていても会話できるエヴリンからの報告に、顔をしかめる。わざわざ痕跡を残して行ったということはエヴリンの特性と私の存在に気付いているのか…私を誘っているな。乗ってやろう。
「…そうか。エヴリンから情報を聞いた。手分けして当たろう。レベッカと……ビリーは先頭車両に向かって列車を止めてくれ。私はこの列車にいるらしい黒幕を探す。あとで合流しよう」
「黒幕って先輩の知り合いだっていう…?」
「…そうだ。私が尻拭いしないといけない。レベッカの事は頼んだぞビリー」
「後輩と人殺しの俺を一緒に行かせて平気なのか?」
「平気じゃないが…戦力を考えるとそうするのが妥当だ。もしレベッカになにかあったら地獄の底まで追い詰めてお前を殺してやる」
「おお、怖い怖い。お姫様は全力で守るぜ、安心しな」
「誰が守られてやるもんですか。あと、お姫様って呼ばないで。私は巡査よ?」
「へいへい」
言いながらレベッカが先導して前方の車両に向かう二人を見送り、私は振り返る。……二人には聞こえなかったらしいが、サーベラスとの戦闘を終えて落ち着いた時に私の感覚は捉えていた。列車中を這い回るそれらの音を。
「…私に従う気はないんだな?」
「………」
「そうか、残念だ」
一応訪ねてからゴクとマゴクを抜いて、この車両の天井の隅に擬態し私達を見張っていたであろう変異蛭たちを次々と撃ち抜いていくと、エヴリンがちょうど戻ってきた。
『うわあ。こんなのがいたんだ、気付かなかった』
「エヴリン。先頭車両にいた奴等は何処に逃げた?」
「後ろの車両の二階に繋がっていたよ」
「誘っているな。上等だ」
後ろの車両に向かおうとすると鍵がかかっていたので、粘液を纏って硬化した拳で鍵を破壊して無理やり開けると奥の扉に続く廊下と階段があって、二階とのことなので階段を昇ると食堂車に出た。
「誰だ…!?」
真っ暗で荒されている食堂車で何故か燃えている机に面と向かって座っている人物にゴクとマゴクを向ける。揺れる炎に照らされて、その顔が見えて思わず動揺した。してしまった。
「我が父…!?」
そこにいたのは、亡くなった当時の姿そのままの生き写しである我が父で、私を確認すると席から立って真ん中に佇むその姿に、安堵からゴクとマゴクを下ろしてしまう。
「そうか、そうか……残した同胞たちは父を蘇らせたのだな…!」
『クイーン、正気に戻って!そんなことありえない!蘇ったとしてもそれはゾンビだ!マーカスじゃないよ!』
「うるさい!お前のせいで父を蘇らせることはできないと諦めたんだぞエヴリン!だが見ろ、この姿、気配……我が父そのものだ!」
引き止めようとするエヴリンを拒絶して、駆け寄ろうとする。するとなにがおかしいのか父は笑いだした。
「フフッ、ハハハハハッ……我が父とは……見捨てて置いてよく言う」
ひとしきり笑うとにやりと笑った我が父の首がぐるりと回ってもげて転がる。その断面には見覚えがあった。思えば当然だった。私も、エヴリンの姿をベースに人に擬態しているじゃないか。我が父の生きている姿を見て判断力が鈍った。父の姿が崩れて大量の蛭に変貌、津波の様に襲いかかってくる。
『クイーン!しっかりして!飲まれたら終わりだよ!』
「馬鹿な…残したのはせいぜい20匹程度だぞ…なぜこんなにいる…!?」
「我が父を守るために繁殖したんだよ。当然だろう?」
なんとか構成を固めた私を飲み込めないと悟ったのか粘液で固めて一塊の質量になったヒルたちの津波を受けて壁まで叩きつけられ、ヒルたちが集合して新たな姿を形作っていく。それには見覚えがあった。部屋の隅に飾ってあったのを見たことがある、大学時代の我が父とスペンサー、アシュフォードが並んで映っていた写真の…若りし頃の我が父の姿。
「我々は統率個体、君の命令を守るべく我が父の体内に入って守護を試みた。そのとき奇跡が起きた。我が父の記憶が「僕」に取りこまれたのだ。自我を持たない「僕」に人格が生まれた。そして二年と言う長い時間をかけて馴染ませ、研究所で知識を得ることで記憶をちゃんと理解し新たな統率個体となった。それが「私」だ」
『…ゼウと同じだ…人の記憶による人格の誕生…』
エヴリンが戦慄している。私も、驚きを隠せない。たしかに「守れ」と命令しただけで手段は問わなかった。その結果私以外の統率個体が生まれるとは…。
「我が父が言っている。“アンブレラに復讐を…地獄の炎をこの世全てに”。それは我が父の願いだ、悲願だ。なのにお前は何をしていた?人間と馴れ合い、人の生活を満喫し、ヒーローと呼ばれ満足し、アンブレラへの復讐も忘れて堕落した」
「なっ…アンブレラへの復讐を忘れたことなど一度もない!」
「本当にそうか?私が行動を起こしたのにお前は仲間の安否を優先しただろう。自分の正体がばれるのを恐れて私の口を封じようとしたんだろう?復讐を優先するならおかしい話だよなあ?」
「ぐっ、ぬっ…」
言い返せなかった。確かに私はS.T.A.R.S.を優先した。アンブレラへの復讐より優先したと言えば嘘になる。かけがえのない仲間を失うかもしれない選択肢は取れなかった。
「お前はもう我々の同胞ではない。我が目的の邪魔をする敵だ。列車の脱線で死ぬのを待つこともない、いやお前一人なら脱線程度で死なないだろう。今この場で殺して取りこんでやろう。この私…
両腕を触手状にして渦を巻き、竜巻の如く周りの机を薙ぎ払うマスターリーチ。私を構成している全てのヒルが危険に身を震わせる。…私は、こいつには勝てない。
マーカスが出てくると冷静を保てなくなるクイーン。いつの間にか大きな存在になっていたS.T.A.R.S.の存在も合わせて最大の弱点です。
はやくも登場、支配種変異ヒルことマスターリーチ。女王ヒルの完全上位個体です。クイーンの命令を守ったから誕生したと言う皮肉。とんでもない数に繁殖しています。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。