BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はクイーン全力全開。楽しんでいただけたら幸いです。
逃げたマスターリーチを構成していた変異ヒルたちを警戒しながらこちらに駆け寄るレベッカとビリー。私は空気を吸い込み、息を整える。…やっと一息つけた。
「大丈夫か?クイーン」
「あ、ああ…助かった。礼を言う」
「なんなんですか、アイツらは。以前見たクイーン先輩の分離した姿にそっくりだった様な…」
「…さっきは言えなかったが……恐らく今回の黒幕は、私の同胞だ。黙っていてすまない…」
そう言うと驚くレベッカ、分かっていたのか鼻を鳴らすビリー。…先に調査したと言うビリーは知っていたのだろう、ヒルの存在を。粘液から私とのつながりに気付いていた感じか。
「じゃあさっきのはクイーン先輩の仲間…?」
「ああ。アンブレラだけじゃなく世界にまで復讐しようとしている危険なやつだ。絶対に止めないと…それより先頭車両は…?」
「電子ロックされていたから戻ってきた。専用のカードがいるみたいだがそれを探すよりもアンタの粘液ならどうにかなると思ってな?」
「わかった。尽力させてもらう」
ついでにこの列車にいる同胞たちも探して無理やり取りこめないか試してみよう。数は力だ、奴との力の差を少しでも埋めなければ。
「ウゥゥ…アァアアアッ!」
「ヴォオアアアアッ!」
「ヴェアァアアアッ!」
先頭車両を目指す道筋に、立ちはだかるゾンビたち。だが様子がおかしい、彷徨っているだけだったのが明確に私達目掛けて突撃してくるのを、それぞれ手にしたハンドガンで撃ち抜いて行く。見れば、頭頂部に変異ヒルが取りついて溶け込んでいた。まさか脳に侵食して直接操っているのか…!?
「こいつら、異様に硬い…!?」
「今までだったら死ぬようなダメージでも動いてやがる…」
「変異ヒルが取りついてるせいだ。だが、露出しているなら…!」
『取りこんじゃえクイーン!』
ゾンビの噛み付きや掴みかかりを避けながら、頭部に手をやってヒルを握りしめ同時に取りこんでいく。…よし、奴の配下であろう変異ヒルたちは単独なら自我もないようだ、取りこめる。つまり奴はリモコンで、配下はアンテナということだろう。ビリーとレベッカの援護射撃を受けながら次々と立ちはだかるゾンビから変異ヒルを奪い取って行く。
「…エドワード」
「先輩…」
そんな中で立ちはだかるのは、いたるところが腐敗してゾンビ化し変異ヒルに上半身を覆われマスターリーチの戦闘体とよく似た姿に変貌してしまった同僚の姿。サーベラスの噛み付きで感染していたか。私の知っているものよりも強力の様だ。
「ウアァアアアアッ!」
『リーチゾンビってところかな!?』
「危ないレベッカ!」
私達に向けて、四本に枝分かれした両腕の触手が襲いかかり、私は右手をかざして受け止め取りこむことを試みるが、全ては受け止めきれず後ろまで伸びたそれを、どこで調達したのかビリーが手にしたアイスピックを触手に突き刺して壁に縫いとめることで防ぎ、レベッカの放った弾丸がエドワードの顔を残した顔面に炸裂して爆ぜる。それでも変異ヒルが集まってエドワードを模した頭部を形作って再生。
「いくら同胞たちと言えど、私の仲間の死をこれ以上貶めるな…!」
その愚行にブチギレる。エドワードを真似るとは言語道断。死体を利用するとは万死に値する。あいつはあいつだけだ…!アイスピックで触手を刺されて身動きが取れないところに突進し、足払いを叩きこんで転倒させたところに顔に手を押し付け、変異ヒルを吸収する。…この列車にいた過半数が集まっていたのか、かなりの数を取りこめた。
「見ていて気持ちのいいものじゃないな」
「悪かったな。レベッカ…その、気持ち悪くないか?」
『気にしないでいいのに』
「大丈夫、そんなに軟じゃないですよ」
「頼もしいな」
そんな会話をしながら、件の電子キーの扉に辿り着き粘液を流し込んでショートさせようとした時だった。
ギャリギャリギャリ!
『揺れてる!揺れてるよ!』
「っ…!?クイーン先輩、時間が無いです!」
「早く止めないとおっ
「わかっている!」
鉄と鉄が擦れる音と共に車体の揺れが大きくなり始める。脱線しかけているのだろう。電子キーをショートさせ、雨風に打たれっぱなしの外通路を通る。露出している機関部は粘液がまとわりついて破壊されている。修理している時間もないし恐らく不可能だ。…もしこれで緊急ブレーキも駄目なら止める方法は一つだけか。先頭車両の中に入る、やはり回路が破壊されている。
『私が見た後に破壊したみたい!これじゃ普通には止められないよ!』
「このままじゃ脱線しなくてもいずれ衝突だ!どうする!?」
「後部デッキにブレーキ制御装置があるみたい!そこにいけば…」
「いいや、時間が無いし危険だ!…私がスピードを緩める、その間に二人でブレーキを作動させろ!」
「先輩!?」
「なにをするつもりだ!?」
ワイパーが動いている窓ガラスを、粘液硬化した拳で破壊して外に這い出て車両の前方のちょっとした足場に飛び乗り、粘液で足場を固める。足を踏み外せば列車に轢き潰されてミンチだな。
『なにするつもり!?クイーン!無茶だよ!』
「同胞を集めて力を強めた今なら、できる!いや、やる!やってみせる!これ以上…失ってたまるか!」
マスターリーチの言う通り、回復さえすれば私は全身を粘液で固めることで脱線しても無事で済むだろう。だがレベッカとビリーはそう言う訳にもいかない。間違いなく、死ぬ。そんなことさせてたまるか。エドワードの死だけでも心が折れそうになったのに、これ以上こんな感情学びたくない!
「うおおおおおおっ!」
両手を構え、横切って行く木々を狙って次々と粘液の糸を射出すして付着。左右に六本ぐらいずつくっつけたそれらを握って、全身の変異ヒルの連結を強めて並外れた怪力を最大限に発揮。木々にくっ付いた糸を引っ張って、列車に身体を押し付けながらも無理やりスピードを緩めようと試みる。両腕がちぎれそうだが、このまま行ける…!
『やばい、木が何本かすっぽ抜けた!』
「なにっ!?っ…!?」
「先輩!?」
しかし後方を見ていたエヴリンの報告の直後、何本か木が抜けた反動で前に倒れそうになり、レベッカの悲鳴を聞いてなんとか車両の壁に直立して元の位置に戻る。あ、危ない…死ぬところだった。
「それなら……!」
目をつぶって集中し、合掌。両手の間の粘液の粘度を上げて引き伸ばし、粘度の高い太い糸を形成。両脇の木の根っこ部位を狙って次々と連続で射出し、地面と根っこを繋げる様にしていくつもくっつけて引っ張ると、粘液の糸がゴムの様な役割を果たして少しずつ列車のスピードが落ちて行く。
「今なら!ビリー!私が行くから合図を送ったらブレーキをお願い!」
「しくじるなよレベッカ!クイーンの頑張りを無駄にするな!」
「言われなくてもそのつもりよ!」
そんな会話が聞こえてくる。ブチブチと、神経の代わりをしている菌根が千切れる音が聞こえる。ああ、不味い……私の構成が崩れて行く足音が聞こえる。糸を握っている両腕が限界を迎えて千切れかけている。途轍もない激痛だ。ただの変異ヒルを集合させた体ならこんな痛みは感じなかったんだろうな。それでも支える。少しでもスピードを緩めて脱線を妨げる。レベッカとビリーだけでも救って見せる。
『そんなこと許さないよ。クイーンも生きないと意味がないんだから』
明らかに怒っている様子のエヴリンが入ってくるのを感じたのを最後に、あまりの激痛に私の意識は途絶えた。
レベッカを救出したシーンとか今回の2の名シーンを彷彿させる場面とか、クイーンは某蜘蛛男をだいぶ意識してます。蜘蛛じゃなくて蛭なのだけども。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。