BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
それは、ラクーンフォレストに生息していたただのムカデだった。しかし8年前、停車した黄道特急にたまたま乗り込んでいたことでスティンガーのリサたち襲撃に巻き込まれてしまった。その時、浴びたのだ。傷付いたリサから噴き出た血液、その原液を。
リサの探索でラクーンフォレストを探索していたアンブレラの面々は驚愕した。たった一日たらずで破壊と再生を繰り返して全ての脚が人間の腕の様な…正確にはリサの腕を模した形状に変容し5メートル程に巨大化したムカデが森の中を蠢いていたのだ。即捕獲されたそれは、バーキンの助手を務めていた現アークレイ研究所主任研究員の手でB.O.W.として研究されることとなった。サーベラスの生みの親である彼だ。
リサの血に宿る進化ウイルス…G-ウイルスともまた違うため「RT-ウイルス」と名義されたものはムカデの細胞に溶け込み回収は不可能だったが、T-ウイルスをさらに組み込むことで強化。体長は10メートル長にまで伸びて、生存本能故か甲殻にトゲが生え揃い、鉄をも溶かす猛毒を有する。あとは人間に従うように調教できれば強力なB.O.W.の完成だ。まだこの頃にはネメシスが完成していなかったため原始的な調教と言う手段が選ばれた。
名前はセンチュリオン・ヘカトンケイル。ラテン語で百卒長の意味を持つ
アンブレラ幹部養成所3F飼育プール。散々二人を探し回って仕掛けを解いた形跡を辿ってついたそこでは、全身に鋭い棘が生え揃った甲殻と人間の…見間違いかもしれないがリサの物とよく似た白い女性の腕の様な形状の脚を有する巨大な…10メートル大のムカデが、脚の一部でレベッカを拘束し人質にしながら、ショットガンを構えるビリーと戦っている光景が広がっていた。
『でっかーい!説明不要!』
「いくらなんでもでかすぎるだろう!?スティンガーの比じゃないぞ!」
言いながら水が抜けてるプールの縁まで走ると、跳躍。天井に左手から糸を伸ばしてくっつけながら、右手から伸ばした糸をレベッカの胸にくっ付けて引っ張り回収する。
「っ!?クイーン先輩!?生きてたんですか!?」
「心配かけたなレベッカ。エヴリン、奴が攻撃して来たら教えろ!」
『来るよ!後ろ!』
結構広いプール内だからできることだが、レベッカを抱えながら糸でスイングする私がエヴリンの声に振り返ると、長い体を腕の様な脚で踏ん張ることでその巨体を起き上がらせて噛み付かんと迫る巨大ムカデ。そこに柔らかいのだろう腹部に散弾が炸裂。巨大ムカデは怯んで忌々しそうに振り返る。ビリーだ。
「レベッカを連れて逃げろクイーン!生きてて嬉しいぜ!コイツは俺が!」
「お前だけに戦わせないぞ!ビリー!」
レベッカをプールサイドに下ろし、もう一度糸を引っ張って上昇。ビリーに向けられた注意を引こうと右手で糸を握りながら、左腕を肘から二本の腕に分裂させてゴクとマゴクを握り乱射。甲殻に弾かれ、棘に当たった弾丸に至っては融解するも煩わしく感じたのかこちらを向いてギョッとする巨大ムカデ。知能はあるらしいな。
『見れば見る程気持ち悪いなこいつ』
「エヴリン、この建物内を探してこいつの情報を見つけろ!」
エヴリンが頷いて飛んで行くのを余所に、長い長い身体を起こして複数の腕で私を捕まえようと倒れ込むように身を捩る巨大ムカデ。足を限界まで開いて跳び箱でもするような感じで回避するも背中の棘が雪崩れ込むように襲いかかって来て、咄嗟にゴクとマゴクをしまって左腕を一本に戻して糸を射出。両腕で引っ張ることでローリング、ギリギリで回避して天井にくっ付く。危なかった…あのトゲの毒はやばいぞ。滴り落ちた雫でコンクリートの床が溶けている。
「硫酸弾でも喰らいなさい!」
するとどこで調達したのか手にしたグレネードランチャーから硫酸弾を発射。巨大ムカデは甲殻で受け止めて表面が溶ける程度、怒ったのかグルングルンと長い身体を円形にしてタイヤの様に縦に回転、天井と床を棘で引き裂きながら私とビリーとレベッカを纏めて排除せんと襲いかかってきた。
「ヤバいぞ!レベッカあまり刺激するな!」
「じゃあどうしろっていうのよ!?」
「喧嘩をしている暇はないぞ!」
粘液で脚を天井にくっ付け逆さまに引っくり返った状態で合掌。粘度を上げた粘液の糸を一気に放出して糸の壁を作り回転する巨大ムカデを絡ませていき、完全に動きが止まる。粘液の糸はそう簡単にほどけんぞ。
「今だ!火力を叩き込め!」
「了解!いくわよ、ビリー!」
「とっておきだ!コイツは効くだろ!」
私は天井に逆さまに立ちながらゴクとマゴクを乱射、レベッカはプールサイドから弾を再装填したグレネードランチャーを発射。ビリーは近づいてライターを取り出して火をつけた火炎瓶を投擲し、次々と柔らかい腹部に炸裂。巨大ムカデは苦しみ悶えるも糸に巻かれて身動きが取れず、なすがままだ。体がデカいのが徒となったな。腕の様な脚を滅茶苦茶に動かして人間が蜘蛛の巣を払うように糸を外そうと試みているがその前に殺す。誰の差し金だか知らんがレベッカに手を出した以上許す気はないぞ。
「ギ、ギ、ギ、ギ………!?」
糸がほどけると同時にその巨体がバタン、と音を立てて崩れ落ちる。するとそこで、こいつに対しての情報を見つけたのかエヴリンの悲鳴が上がった。
『クイーン、倒しちゃダメ!そいつの名前は
「なんだと!?」
「なんだ、どうした?」
「先輩?」
私の驚いた声にビリーとレベッカが振り向いたその後ろ。巨大なムカデ……エヴリンの言うところの
「………あー、あーあー……痛みって、愛よね」
それは、一見リサとよく似た金髪の女性の姿をしていた。しかしさっきまでの巨体が一回り小さくなった程度の5メートルはある巨体でヘカトンケイルの名にも納得の巨人で、その両腕は異形。肩口から一回り小さくなったものの棘を生やした巨大なムカデの胴体そのものの形状で、ムカデの足の部位を指の様にして喉を撫でて確かめるなりの第一声に、目が点となる。ビリーとレベッカも理解が追い付いてないのかポカーンとしている。
「わたし、ぼく、おれ、あたい、わし……われ、うん!」
「な、なんだこいつ…」
まるで服の様にムカデの甲殻を身に纏ったそいつは、ムカデの足指で顎を撫でながら一考すると、にんまり笑って私達に振り返ると無邪気な笑みを浮かべる。
「我、た・ん・じょ・う!」
私を構成している変異ヒル全員全員が身を震わせて警告、同時に私の直感が告げる。こいつ、やばい。
セルケトに続く、通称リサシリーズ二体目。名前はそのままセンチュリオン・ヘカトンケイルです。通称ヘカトちゃん。
地味に登場ワード「RT-ウイルス」文字通りリサの遺伝子の影響が色濃く出るT-ウイルスの強化版です。性質はガンサバ4のt+Gウイルスに近いです。T-レディみたいなものだと思っていただければ。特徴は超再生能力とそれを利用した変異。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。