BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はVSセンチュリオン・ヘカトンケイル(人間態)。楽しんでいただけたら幸いです。
「我、た・ん・じょ・う!声帯があるって素晴らしいことね。……?我の言ってること、わかるよね?あれー、おかしいな…これで伝わる筈なんだけど」
右腕の巨大ムカデの足を指で顎を撫でながらそう首をかしげる、脱皮する際にくっ付いたままだったムカデの甲殻を薄着の様に身に付けた、両腕がムカデになっている裸足で金髪のリサの様な姿をした5メートルほどの巨人…
「お、お前そいつの中にいたのか?」
「んんー、中にいたって言うか…これも私なんだけど。ずっと人間になりたいって思ってたのよね」
フリーズから最初に回復したビリーの問いかけに、ポリポリと頬をムカデの脚で掻きながら視線を動かすヘカトンケイル。ビリー、レベッカ、そして私と視線が次々と向けられ、扇情的にほほ笑んで両腕をバッと広げてウェルカムの体勢を取る。
「そんなことよりさ、さっきのすっごくよかったの……身動きが取れない状態で弱い所を容赦なく攻撃してくる……愛を、感じた」
「は?」
「え?」
「なんて?」
「知らないの?痛みって愛なのよ!我からの愛も受け取って!」
そしてムカデの腕で自身を巻き付かせて恍惚な表情を浮かべてくねくね動くと、ブンッ!と両腕を振り回し、自主的に動いて縦横無尽に動き回る鞭として攻撃してくるヘカトンケイル。至近距離にいたビリーは膝を折り曲げてイナバウアーで回避、天井にくっ付いていた私は逆さまのまま宙返りで回避、レベッカは距離を取って間合いから離れ、それぞれ攻撃するが甲殻で弾丸が弾かれる。
「なんだ、どういう意味だ!?エヴリン!」
『私もドン引きしてる。えっと…資料を読んでみたら、ヘカトンケイルはセルケトみたいにネメシスを使うんじゃなくて原始的に調教で言うことを聞く様に育てられたらしいよ。アンブレラの幹部候補に調教されたからアンブレラの人間の言うことに従順みたい?』
「その結果が痛みを愛として学んだモンスターか!最悪だな!」
粘液を纏った腕でムカデの甲殻に生えた棘を弾きながら、プール内に着地。背後から襲いかかってきたムカデ腕の先端を、咄嗟に粘液で固めた右足を高く振り上げて勢いよくストンプ。棘の上から踏みつけて身動きを止め、棘の間に向けてゴクとマゴクを連射。ぶち抜いて黄色い血飛沫が上がる。
「ああ!痛い!我を愛してくれるのね!でもごめんね、侵入者は排除しないといけないの!」
「っ!?」
すると踏みつけているムカデが伸びてグルグルグルと私の身体に巻き付いて来て、ギリギリと締め上げてきた。痛い、苦しい。ムカデの脚が肌を突き破って食い込んできて肉を抉ってくる。よく見れば無理やり伸ばした弊害か、甲殻の間の肉が露出している。傷付いているのにさらに自分から傷ついて命令を遂行しようとするとは……だいぶ調教されたらしいな。
「ぐああっ……レベッカ!」
「そこが弱点ね!」
「アァアァアアアッ!?」
私が捕まっている時に甲殻の間から肉が露出しているところにレベッカの放った硫酸弾が炸裂。硫酸が肉を焼き、絶叫が上がる。さすがに硫酸は浴びたことが無かったらしい。効いている、私の拘束をほどいて腕を元に戻して顔を覆うヘカトンケイル。
「痛い、痛い……嫌よ、痛いのは嫌……痛みは愛、愛はお返ししないと…!」
そう自分に言い聞かせるように言って、両腕のムカデを振り上げ勢いよく床に叩きつけるとムカデはコンクリートを叩き割って地面に潜る。全身のヒルが感じ取る、掘削音。来る…!?
「我の愛を受け取って!」
「二人とも、避けろ!」
ズゴゴゴゴッ!と轟音を立てて私とビリーの足元の床をぶち抜いてムカデが飛び出し、まっすぐ伸びると天井を食い破ってさらに移動。甲殻の間から肉が露出した状態でさらに伸ばし、今度は天井から飛び出して、ビリーとレベッカの上から襲いかかってきた。
「危ない、レベッカ!」
咄嗟にレベッカに糸を伸ばして引っ張り回避、ビリーもさすがの身のこなしで避けて露出している肉に返しのショットガンを叩き込んでいる。痛みに悶える様にしてムカデを戻して引き抜きその巨体がふら付くヘカトンケイル。
「なんで、なんで!我の愛を受け取ってくれないの!」
癇癪を起こしたかのように突進、その巨体のままストンプを叩き込んでくるヘカトンケイル。右手から放出した粘液を壁にしてストンプの足を受け止めるも、横からムカデが伸びてきてまともに受けて吹き飛ばされる。体が溶ける毒を受けるも粘液で毒の行き場を塞いで毒を受けた部位を切り放すことで防ぐ。また同胞が…これ以上させてたまるか!
「悪いがその愛はお断りだ!」
「あぐっ!?」
私が相手をしている間にビリーの構えたショットガンが胴体に放たれるも間に挟まれたムカデの甲殻の間の人の肌に炸裂する。黄色い血を噴き出して、即座に再生していくヘカトンケイルに、グレネードランチャーの弾が尽きたのかレベッカのハンドガンが眉間を撃ち抜く。それでも即座に再生、笑うヘカトンケイルは倒れない。
「ああ、この痛みもまた愛なのね…!」
「これでも死なないなんて…がっ!?」
「弱点は必ずある筈だ…ぐっ!?」
「…いい加減にしろ!」
恍惚とした表情を浮かべてムカデの両腕を伸ばしてレベッカとビリーを拘束して持ち上げるヘカトンケイルのがら空きの胴体に、自分でも信じられないぐらいに激昂しながらゴクとマゴクを叩き込む。……蝶よ花よと父に愛でられてきた私とは違う、調教される中で痛みを愛と思いこむことで生きてきたこいつを見てられなくなった。すると、レベッカとビリーを手放したヘカトンケイルの様子がおかしいことに気付く。…効いている?
「ぎっ、ぎっ……痛い、痛い…これも愛……?」
「そうか、思えば奴は胴体の攻撃だけは腕を使って防いでいた……奴は巨大ムカデの中であの肉体を作ってきた、生まれたばかりでそこまで再生能力が行き届いてないのか!」
「じゃあ胴体を狙えば…!」
「あのムカデ腕が邪魔だな…クイーン!」
「エヴリン、来い!手を貸せ!」
『おまたせ!いっくぞー!』
「もっと、もっとちょうだい!」
ムカデの腕を振り回し、私達を遠ざけるヘカトンケイルの横の壁を擦り抜けてエヴリンが出てくる。それを見てエヴリンに向けてムカデの腕を振り回すヘカトンケイル。エヴリンはまるで自分にも当たりますよと言わんばかりにギリギリでうまく飛んで回避、壁に叩きつけたところに私は粘液の糸を噴きつけてムカデの腕を壁に拘束、それを両手分繰り返す。そう簡単に抜け出せないぞ。
「っ!?なに、我の身体になにしたの!?」
「お前は教育が足りないな!」
『クイーンだけは人のこと言えないよね』
「うるさいぞエヴリン。レベッカ、ビリー!」
「一斉射撃よ!」
「わかっている!」
じたばたと足をばたつかせて暴れるヘカトンケイルから届かない位置から、それぞれハンドガンを構えて、私のゴクとマゴクと一緒に弾丸をありったけ叩き込むレベッカとビリー。黄色い血が次々と噴き出し、壁に磔にされたままぐったりと崩れ落ちるヘカトンケイル。やったか…?
『見た感じ、死んだみたい?あっけないね』
「…勝った?やった、先輩のおかげで勝てました!無事で本当によかった!」
「まったくだ。死んだと思ってひやひやしたよ」
「事実死んでたらしいからな私は。…それで、なんで奴と戦ってたんだ?」
「そうだ、確かこの辺に…あった、火のカギ!」
「……相変わらずここは良く分からない仕掛けがあるんだな」
私のいた頃から変わってない趣味の悪い仕掛けに思わず笑い、私達は3F飼育プールを後にする。……ムカデと言うのが存外にしぶといのを、私達は知らなかった。
「……い、たい………これは、あい……?」
ヘカトちゃん一話で撃沈。ムカデのしつこさは実家によく出るので滅茶苦茶知っている故の不死性です。黒いアイツより怖いまである。
エヴリンはこれまで何度も囮として活躍してきただけあってこういう戦いだと強力。見えてて当たらないデコイは強いよね。クイーンの十八番になってきた粘液糸の拘束も合わさったコンボが凶悪。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。