BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はビリーの過去。楽しんでいただけたら幸いです。
ピーピーピー!
エリミネート・スクナを退けてなんとか一息を吐いていた私達の間から鳴り響く機械音。レベッカの無線だ。私のは…どこだ?
『ああ、身体を預かってた時に、列車を止めた際に壊れちゃってたから捨てたよ』
「お前、そういうことは早く言え?」
「こちらレベッカ。クイーン先輩も無事です!聞こえますか!?」
《「レベッカ。クイーンも無事か、よかった。こちらエンリコ。どうやら列車から脱出できたようだな。ビリー・コーエンは見つかったか?」》
エンリコからのそんな問いかけに、ビリーに視線を向けて押し黙るレベッカ。当の本人は両手を掲げて首を竦めていた。
《「レベッカ?応答せよ!」》
「……クイーン先輩」
「お前のしたいようにすればいいさ」
不安げな顔で私を見てくるレベッカに、私はなんでもないことの様に応える。なんせ私の無線は壊れてしまったからな。報告義務はなくなった。
「…あの、隊長。ビリー・コーエンはまだ発見できていません。捜索を続けます。以上」
「レベッカ、お前…」
「極悪人のビリー・コーエンなんてお前と同姓同名の人間なんて見てないからな?嘘は言ってない」
『ははっ、屁理屈だあ』
そう言って通信を切ったレベッカに、驚くビリーに屁理屈を述べる。エヴリン五月蠅いぞ。
「…初めての命令違反ね。経歴に傷が付いちゃった」
「経歴なんて気にする柄だったか?」
「ふふっ、ヒーローにそんなものいりませんね、先輩」
からかってやると笑うレベッカ。経歴を気にしてるならラクーンシティの警官になんかならなかっただろうからな。
「……ビリー。私はお前が極悪人だとはどうしても思えない。レベッカも同じだろう」
『私も同じだよ!』
「…と、エヴリンも言ってる」
ふんすっと見えもしないのに鼻息鳴らして踏ん反り返るエヴリン。しょうがないので二人に伝えてやるとおかしかったのかビリーとレベッカは笑った。
「先輩とエヴリンさんの言う通り。私たち、知りたいの。どうか真実を教えてほしい」
「本当に23人も殺したのか?そうは思えない。頼む、本当のことを話してくれ」
「……わかった、わかったよ。言っとくが、つまらない話だぞ?」
誤魔化す様に部屋内の動物の剥製…というか今気付いたが石像を調べながら、ビリーは口を開いた。私とレベッカ、エヴリンは黙って続きに耳を傾ける。
「…あれは去年の今頃だった。俺がいた部隊は内戦の火消し役として、アフリカの奥地に潜入していた。いわゆる「始末屋」だ。密林の中のゲリラのアジト。その位置を特定し殲滅することが任務だった。だがアジトへの道のりは、あまりにも遠かった」
…アフリカ。私を生み出した始祖のウイルス「太陽の階段」が発見された国。何の因果だこれは。
「ある者たちは熱病に犯され助けを求めながら死んでいった。ある者たちは逆に襲撃され、敵に有無も言わさずに殺された。部隊はいつのまにかたった四人にまで減っていた。俺達は何とか目的地の座標に辿り着いた。…だが、そこはただの集落だった」
「どういうこと?」
「…そうか、目障りに思った連中に偽の情報を掴まされたのか」
「そうだ。でたらめな情報に、まんまと踊らされてたってわけだ。だからって、さんざん犠牲を出しといて手ぶらで帰還するわけにはいかなかった。隊長は俺達に罪もない村人を襲わせた…!」
・・・どんな地獄だそれは。仲間は死に絶え、目的も果たせず、ただの虐殺を命令される。この世に顕現した地獄と言っても差支えない。ふと、マスターリーチの言っていた目的を思い出した。
「ビリーは、無抵抗の人を…撃ったの?」
「どっちだっていい、過ぎた話だ。…明らかに錯乱していた隊長や仲間を俺は止めた。だが俺は隊長に返り討ちにされ……意識を失いかけたその間際、虐殺される村人を見た」
「それじゃ23人を殺害したってのは……」
「数までは数えてないが、村人のことだろうな。止めれなかった俺も同罪だ…」
『それは…そうかもしれないけど』
思わず押し黙る。……だが、それは。口を開こうとした私より先に声を出したのは、レベッカだった。
「私、そうは思わない。ビリー、誰も殺してないんでしょ?護送車のMPだって化け物に襲われて……貴方だけ生き延びた。そうなんでしょ?」
「どっちにしたって、俺には二つの道しかない。軍に出頭して処刑されるか……逃げられるだけ逃げ続けるか。それだけだ。…だが、マスターリーチだったか?奴も放っておけない。世界を焼き尽くされたら逃げるものも逃げられないからな」
レベッカにそう嘯くビリーに、キュッと心臓を鷲掴みに握りしめられる感覚を感じた。この感覚を表す言葉を、私はまだ知らない。
動物の石像に、正しい順番【鹿→狼→馬→虎→蛇→大鷲】に火をつけると言う仕掛けを解いて、新たな通路が開いたのでそこを進んで寄宿舎にやってきた私達。何があったのか知らないがボロボロのそこで、暖炉の中から「忠誠」と書かれたレリーフを手に取る。……またか我が父よ。
もう一つ寄宿舎があったがめぼしいものはエヴリンがすでに読んだという文書ぐらいしかなかったので、作業現場跡へのドアの手前にあるドアを通ってB3訓練施設までやってきた私達。檻を無理やり捻じ曲げながら奥に進むと、スイッチがあったので押してみる。
『あ、クイーンの馬鹿……』
「先輩!?なんで押したんですか!?」
「え、いや先に進むためのスイッチと思って…」
《「バトルシミュレーション開始。バトルシミュレーション開始。ドアをロックします」》
「こいつは……やらかしたな女王様」
「「キシャー!」」
奇声を上げながら、部屋の奥から現れたのは前傾気味の姿勢も相まって全体像はゴリラなどの類人猿を思わせる、しかし全身は緑色の鱗に包まれて四肢に鋭いカギ爪を備えた怪物二体。なんだ、こいつらは…!?エリミネーターの亜種かなにかか!?
『まさか、ハンター……未来でも代表的なB.O.W.だよ!一瞬で接近して勢いのまま獲物の首を爪で切り裂き絶命させる首刈り攻撃に気を付けて!』
「気を付けてと言われてもな…!」
咄嗟に粘液で壁を作って一匹のハンターの突撃を阻み、背後から襲ってきた奴はビリーとレベッカのハンドガンを受けて怯む。なんとか、ビリーとレベッカだけでも逃がさないと…!
ジャキン、ジャキン
「目標発見。殺す」
『クイーン!?』
爪が擦れる音を聞いた次の瞬間、私の視界は宙を舞っていた。グルングルンと回る視界で見えたのは、別たれた胸から下の私の身体と、それを行ったであろう緑の鱗に包まれ鋭い爪を生やした右手を持つ黄色い爬虫類の様な目を持つ少女。その姿にヘカトンケイルと同じくリサの面影を見て。ああ、またお前かアイザック。
「くそっ…」
別たれた胸から上の私は、コンクリートの地面に力なく倒れ伏すしかなかった。
原作もここらへんで新エネミーラッシュだから必然的にボス級も連続する。また主任がやらかしました。ハンターって元々人間が主体な上に、RTウイルスが本領発揮するのは「脱皮」などで身体を作りかえる特性を持つ蟲の一部や爬虫類だから一番相性よかったりする。
こんな展開ですが明日投稿する予定の次回は特別編となります。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。