BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。アイザックス主任渾身の傑作。楽しんでいただけたら幸いです。


file0:27【ハンターΩ(オメガ)

 ハンター。T-ウイルスを媒介にして人間をベースに主に爬虫類の他の生物の遺伝子を融合させて生まれた、確実に標的を“狩る”ことから「狩人」と名付けられた傑作B.O.W.だ。

 鋭い爪による高い攻撃性、銃弾すら数発耐えられる角質化した皮膚と強靭な筋肉による防御力、脚部のバネによって2mを越す跳躍による敏捷性、仲間と連携する協調性、簡単な命令ならば理解し遂行できる知能を併せ持ち、低コストでのクローニングによる量産も容易なためアンブレラが開発した生物兵器の中では最初の成功例と評価されているが、致命的な弱点があった。現場で状況を確認、判断する司令塔が存在しないのである。

 

 そこで数々のB.O.W.の開発を担当したアークレイ研究所の主任研究員サミュエル・アイザックスは考えた。T-ウイルスは欠点として知能の低下が存在するが、それは大脳新皮質の壊死に起因する知性・記憶の欠落が原因だ。ならばと主任であるが故に使用を許されているRTの腕から摘出したRT-ウイルスを用いてハンターを作ることにした。貴重なものだが時間が経てば再生して増量するが故の暴挙である。他の研究員も道徳や倫理が欠如しているため止めるものは誰もいなかった。

 

 ハンターと作成方法は同じ。ただ用いるウイルスが違うだけ。スティンガーの遺骸にRT-ウイルスを組み合わせて培養して生まれたセルケト。RT-ウイルスの急速再生細胞で既存のケルベロスやエリミネーターを改造して生まれたサーベラスやエリミネート・スクナ。逆にRT-ウイルスで変異したムカデにT-ウイルスを組み込んで生まれた百卒長(センチュリオン・)ヘカトンケイル。それらと違って、純粋にRT-ウイルスのみを利用する。未知の領域への求道にアイザックスは気持ち悪い笑みを浮かべていたという。

 

 

 そうして生まれたのは、ハンターの特徴を持つ人間の少女の姿をしたハンターの上位個体だった。見た目は局部や手足の先のみ緑の鱗に包まれた、鋭い爪を生やしたハンターと同じ右手を持つ黄色い爬虫類の様な瞳と短く切り揃えた緑がかった髪を有する、かつてのRTと瓜二つの容姿を持つ少女。

 

 手足は隠密には向いていないが敵を油断させるには最適だ。見た目こそ華奢ではあるが実態は筋肉の塊であり、凝縮された筋力は100mを6.2秒で走り抜く脚力。至近距離の銃弾すら弾く、生身にも見える堅牢な皮膚。鋼鉄をも容易く斬り裂く右手の鋭い爪。鉄骨すらひしゃげさせる驚異的な握力を有する左手の指。そして冷静に状況を判断できる劣化していない頭脳を有する。特殊な音域の声を出して周囲のハンターに命令を下せるというおまけつきだ。

 

 通常のハンターと異なり、人間から噴き出す血を好む嗜虐的な性格が偶に疵だが、かつてセルケトに見られた反抗的な「心」は持ち合わせておらず、また年齢も幼年期に設定しているため、悪いことを悪い事とも思わずどんな命令を何も考えずに素直に実行すると言う利便性も持ち合わせている。

 

 過去現在未来においてもこれ以上の性能のハンターは生み出せないとアイザックスは確信、最強のハンターと言う意味で「ハンターΩ」と名付けられ、ハンター部隊を従えてアンブレラの障害となる人間を次々と排除してきた。しかしどんな命令だろうと疑問を持たず素直に実行する特性が災いし、アークレイ研究所を乗っ取られた際にマスターリーチに命令されてわずかに生き延びた研究員を惨殺したそれは、マスターリーチの手駒における切札の一つだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「が、は……」

 

 

 胸から上を綺麗に切り裂かれ、宙を舞う私の視点。一瞬でこの狭い通路を駆け抜けてきたであろう、リサの遺伝子を用いたと思われる少女と、恐らくこの部屋の檻を操作する割れたガラス張りの部屋に立つ人間態のマスターリーチが見えて。罠にはめられたと気付くには遅すぎた。

 

 

「クイーン先輩!?この…!」

 

「H2、右に避けてそのまま迂回。H5はその場で屈んで、3秒後に跳躍」

 

 

 崩れ落ちた私を庇うように、ビリーと共にハンドガンを乱射しハンターに対抗するレベッカ。しかし少女の命令でハンターは的確に回避、背後に迂回してきたハンターの攻撃を、ビリーが咄嗟にショットガンで受け止める。

 

 

《「踊れ踊れ人間どもよ。我が父以外の人間がどうなろうと構わん。ハンターΩ、縊り殺せ」》

 

「…血が、出ない…?了解」

 

 

 転がる私を見下ろして首をかしげていたハンターΩと呼ばれた少女だったが、命令を聞いて目を光らせながら頷くと壁を蹴って天井まで舞い上がると両足で天井に着地して、驚異的な握力で天井に左手の指をめり込ませるとググググッと踏み込む。アレはやばい!

 

 

「エヴリン、止めろ!」

 

『スゥ、ワアアアッ!!

 

 

 咄嗟にエヴリンに叫ぶと頷き、ふわりとハンターΩの前まで浮かんで簡略版の大声を放ち、いきなりのことに驚いたハンターΩは咄嗟にエヴリンに当てようと右腕を振るうが空を切り、そのままハンターの一体に背中から激突、押し倒した。

 

 

「ギシャア!?」

 

「斬れないし血も出ない…あれはなに?」

 

 

 ハンターを容赦なく足蹴にして踏みつけて立ち上がりながら、苛立っているのか爪を擦らせて音を鳴らすハンターΩ。そんな隙だらけのところにビリーがショットガンを頭部に向けて撃つも、余裕だと言わんばかりに真正面から受けとめて弾き飛ばすと、右手を振るいながら突進。振るわれた爪を紙一重で回避するビリー。弾丸が通じない!?

 

 

「羽交い締めにして」

 

「っ、なんだ!?」

 

 

 さらに小さく呟くと先程足蹴にされていた個体が立ち上がり、ビリーを背後から羽交い締めにして拘束すると爪を鳴らしながらゆっくりと歩み寄るハンターΩ。ハンターに命令して連携するのが強みか。だがそれはさせない。

 

 

「こういうことはできるぞ…!」

 

 

 右手から粘液糸を飛ばしてビリーを拘束しているハンターの後頭部にくっ付け、それを今レベッカと戦っているもう一匹の個体の後頭部に繋げる。するとレベッカに飛びかかろうとしたハンターに引かれて、ビリーを拘束している体勢から引っ張られ頭から転倒してビリーを解放。手にした火炎弾を床に叩きつけて炎の壁を作り距離を開けた。

 

 

「レベッカ、交換だ!」

 

「わかったわ!」

 

 

 飛びかかろうとして引っ張られ引っくり返ったハンターたちを余所に、ビリーがショットガンを投げ渡すと、レベッカが受け取って代わりに背中に装備していたグレネードランチャーを投げ渡す。そしてビリーは床に落ちていたグレネードランチャーの弾を装填すると構えた。

 

 

「それ以上近づくと火傷するぜ」

 

「っ!? 盾になれ…!」

 

 

 炎を避ける様に天井に移動して一瞬で目の前まで飛び降りてきたハンターΩに、装填された硫酸弾が発射。ジュゥウウ!という肉が焼ける音と共に、ハンターΩの盾となった先程ビリーを拘束していた個体はは大ダメージに呻き、そのまま崩れ落ちて動けなくなった。跳ねた硫酸を浴びてハンターΩもしかめ面だ。

 

 

「思った以上に効いているな。弱点か?」

 

「ビリー、こっちは終わったわ!先輩をくっつけてみるからそっちはお願い!」

 

「任された!」

 

 

 ショットガンでもう一匹のハンターを倒し終えたレベッカが駆け寄ってきて私の断面をくっつけようと試みる。めんぼくない。これ、服も粘液でくっつけておいた方がいいな。

 

 

「喰らいな、嬢ちゃん!」

 

「誰が喰らうものか…!」

 

 

 次々と放たれる硫酸弾を、壁を蹴り天井を蹴り、次々と回避していくハンターΩ。なんて身のこなしだ。ハンターの比じゃないぞ。エヴリンも大声を出して援護しているが慣れて来たのかあんまり効いてない。このままじゃじり貧だ。弾切れしたら終わる…!

 

 

「レベッカ、支えてくれ」

 

「なにを…?いえ、わかりました!」

 

 

 レベッカに支えてもらい、両手を掲げる。激痛にも慣れてきた。奴の動きを止める。両手から粘液を水流状にして放射、天井を粘液で覆って行く。私達を狙おうとしてビリーの硫酸弾を避けたハンターΩの左手と両足が粘液に浸かる。

 

 

「殺す!……があっ!?」

 

 

 そして飛び出そうとして、にょーんと伸びた粘液に引っ張られてビターン!と天井に磔にされてしまった。もがくハンターΩ。これで決まりだ。と思ったが、どうやら弾切れらしい。

 

 

「…硫酸弾がなくなった。どうするクイーン」

 

「取るモノを取ったらおいとまするぞ。奴に銃は効かない。…倒す手段がない」

 

「わかりました」

 

「待てえ…!」

 

 

 じたばたもがくハンターΩだがもがけばもがくほど粘液は絡み付いて行く。私達は奥にあった水のカギを回収し、訓練所を後にした。




攻撃が効かないなら拘束してさっさと逃げるに限る(4の某右腕とか)。

最強のハンター、ハンターΩ。通称オメガちゃん。傑作と称するだけ合って勝つ方法がほとんどないやべーやつ。硫酸弾は当たると効きますが全弾回避されたら意味がない!(空気男の楽曲が如く)

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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