BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
「先輩…見た目どうにかなりませんか」
「なんか複雑な気分だ…」
「すまん、この形をずっと維持してきたから触手とかにしか変形できないんだ」
『デップーみたい…』
あのあと、一時的に粘液で繋げただけの身体はまたポロリと別たれてしまったので、とりあえず私の上半身(胸から上)を腕を持ち手の様にして鞄の如くレベッカに、下半身(胸から下)をビリーに俵持ちしてもらって安全なホールまで戻る私達。エヴリン、デッドプール扱いはさすがに傷付くぞ。
「…よし、なんとかくっついたな」
『便利な身体だよね』
「お前の身体には負けるさ」
私の身体を合わせて粘液でくっつけ、レベッカに赤緑ハーブを調合してもらい治癒力を強めてからエヴリンに中に入ってもらって菌根の神経を繋げて、復活する。…よし、ちゃんと動くな。私じゃなかったら即死だったぞ。
「…さて、どうする?」
『それだよねえ』
それを腕を組みながら壁に寄りかかって見ていたビリーが口を開き、エヴリンもふわふわと逆さまになりながら苦笑い。
「…マスターリーチ、エリミネート・スクナ、そしてハンターΩのことだな……ゾンビやらでかい蟲やら普通のエリミネーターやハンターは問題ない、がこいつらは別格だ」
「ええ、それがこのアンブレラ幹部養成所のどこかに潜んで私達を狙っている……」
『今までみたいに呑気に探索と言う訳にはいかないよねえ』
「あのクソデカムカデ女みたいなのが他にもいないとも限らない。武器も戦力も足りない。奴らを放置して脱出するのも手だぞ」
「いや、マスターリーチだけは止めないといけない。奴を野放しにしたら世界は火の海だ」
「そんなこと…ありえるんですか?」
「ああ、できる。…奴は私とは違う進化を遂げた。エヴリンの力を断片的ながら使いこなしている」
「エヴリンの力…?」
『お恥ずかしながら…』
えへへ、と私にしか見えてないと言うのに頭を撫でて照れるエヴリン。お前の力のおかげで私はクイーン・サマーズになれたが、敵になったら最悪にも程があるぞ。
「エヴリン……正確には私達に与えられた菌根の力は「置換」だ。感染した生物の体組織を菌に置換、精神を支配下に置くことができる。私はそれに適応して、ヒルの肉体の内部に人間の神経と酷似したものに置換されている。私の思い通りに自在に動かせるという形での支配だがな。それをマスターリーチは短時間で行えるらしい」
「…いろいろ言いたいことはあるが、と言うと?」
「エリミネート・スクナの頭を見たか?奴は自らの一部である同胞を新たな脳としてくっつけて支配している。…恐らく人間が相手だろうと、できるだろう。戦火を起こすことも自由自在だ、そうなれば世界は破滅だ」
菌根の力を得て、奴は破滅の手段を手に入れた。なんなら奴が手中に収めたB.O.W.を世界に解き放つだけで終わりなのに、人間も操れる力を手に入れたんだ。
「エヴリン、どうすればいい?」
『……ひとつだけ方法はあるよ?』
「それはなんだ?」
『カミサマ頼り』
「はあ?」
バカなことを言い出したエヴリンが言うには、菌根には数々の記憶を取りこんできたことにより生まれた
『いやあ、マスターリーチが人類を滅ぼす前に起きないかなあって。あとは全部任せよ?』
「………よし、エヴリンの馬鹿は放っておくぞ」
『ひでえ』
「なに言ったんだ?」
「気にするな。状況に絶望している馬鹿の言っている戯言だ。偵察でもしてこいエヴリン」
『はーい』
エヴリン本人も冗談のつもりだったのだろう、半笑いになりながらふよふよと壁を通り抜けて行った。黒き神とか作り話にしてはよくできていたな。
「それで先輩、マスターリーチは今どこに……?」
「ハンターΩのいた訓練施設の恐らく観測室にいたのを見たが……出る時に見たら既にいなかった。神出鬼没だ、だが奴も私達を逃がしたくない筈だ。特に私の事は殺したくて殺したくてたまらないはずだ」
「それはなぜだ?」
「私は許せない裏切り者らしいからな。殺さないと気が済まないらしい、回収したアイツの一部だった同胞たちによるとな」
アイツが私にとてつもない怒りを感じていることは確かだ。執拗に刺客を送りつけて殺そうとしてくることから間違いないだろう。私を殺せなくてイラついていることも、ハンターΩが私を真っ二つにして勝ち誇ってレベッカとビリーを殺させようとしていたことから私が死んだとも思ってたはずだ。……うん?不味くないか?
「脱出を急ぐぞ、アイツに準備させる時間を与えたらダメだ」
「どうしたんですか?」
「ハンターΩでも私を殺せなかった奴がなにをすると思う?――――――全戦力投入だ」
エリミネート・スクナとハンターΩの出現を境に、養成所内に溢れだすエリミネーターとハンターたち。そのいずれも頭にヒルを乗っけていた。なりふり構ってられないらしい。それらを撃退しながら、脱出のためのアイテムを集めていく私達。……そしてもうひとつ気がかりがあった。飼育プールを通りがかった時、ヘカトンケイルの死体が消えているのを確認した。私の嫌な予感が正しければ……ヘカトンケイルは生きている。
そして三つのレリーフを集め、3階天文台に到達。仕掛けを作動させて外に出た物の、脱出できないことを確認した私達は礼拝堂に辿り着き、糸を利用して上から入った私達のもとに、それは現れた。
「でかい蝙蝠…!?」
「頭にヒルが!」
「また奴の刺客か!?」
現れたのは、巨大な蝙蝠。飛来したそれに粘液糸を繋げて、遠心力のまま床に叩きつける。…弱い、人工のB.O.W.じゃないのか?
「クイーン、危ない!」
「っ!?」
そこに、伸びてきたそれがビリーが突き飛ばした私のいた場所にぶつかってドロドロと融解させる。見覚えがある、ムカデの腕。見れば、ヘカトンケイルが入り口からこちらを覗いているのが見えた。
「その蝙蝠さんばかりずるいずるい!我にも愛をちょうだい…!」
「やっぱり生きていたか…!?」
そこに飛んできた瓦礫を粘液硬化した腕で咄嗟に殴り壊す。天井に、エリミネート・スクナが掴まってそこにいた。頭には相変わらずヒルがくっ付いているからアイツだ。
『いつもいつも私の警戒を擦り抜けてくるのやめてくれないかな私がガバいみたいじゃん!クソデカ蝙蝠については音もなく飛来してたから無理だったからね!』
「言ってる暇があったら警戒しろ!まだ来るぞ…!」
言ってる傍から扉を蹴破って、五つの影が現れる。爪を鳴らす音が印象的だった。
「うそ…!?」
「……確かに総力戦で来るとは聞いたが、こいつまでとは聞いてないぞ」
「…今度こそ殺す」
ハンターΩにハンター四体がそこにいて。クソデカ蝙蝠、ヘカトンケイル、エリミネート・スクナにハンターΩ達。……完全に四方を囲まれた、逃げ場もない。私とエヴリン、レベッカとビリーは背中合わせになって構える。この先に行かれたくないってことだろう。上等だ、やってやる。
8時だよ!全員集合!(やけくそ)
ちなみにやっぱり生きてたヘカトちゃんだけは偶然来ただけでマスターリーチ関係ないです。オメガちゃんはスクナが無理やり引き剥がして助けられました。
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