BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はVS四大ボス。楽しんでいただけたら幸いです。
{殺せ!ハンターΩ、そいつらを殺せ!}
「了承。H23、35、右へ。59、64は左」
頭にヒルを乗せ礼拝堂の天井近くに滞空したクソデカ蝙蝠の口から超音波を利用したのかマスターリーチの声が響き渡り、ハンターΩが頷いてハンターたちに指示を送る。同時にレベッカとビリーが手にしたハンドガンを発砲、私とエヴリンが同時に飛び出す。
「我に愛をちょうだい!」
「行くぞ!」
『スゥ、ワアアアッ!!』
私はヘカトンケイルの伸ばしてきたムカデ腕を粘液硬化した右足の蹴りで弾き、エリミネート・スクナの目の前まで移動したエヴリンが大声を叩きつける。しかしエリミネート・スクナは驚異的な筋力で四本の腕を駆使し天井まで逃れて、腕一本で捕まった天井から残り三つの腕で瓦礫をもぎ取ると次々と投擲。さらにその投擲された瓦礫を足場にして三次元的跳躍でピンボールの様に移動して次々と斬撃を浴びせんとしてくるハンターΩ。銃撃が効かないからレベッカとビリーの攻撃が意味を成してないのか…!
「くそっ!」
ならばと、両手を交差して粘液糸を飛ばし、一本に繋げてピンと張って迎撃。ピンと張られた粘液糸にまっすぐぶつかったハンターΩはぐいんと首が引っ掛かって一回転、ドシャッと地面に叩きつけられて呻く。さすがに効いたらしい。しかしハンターΩに追撃しようとしたところにエリミネート・スクナが着地。右の二本腕によるパンチを繰り出してきた。
『残念、ハズレ!』
「ウキャッ!?」
「隙ありだ!」
それに対して私はエヴリンと目配せして、上に向けて粘液糸を伸ばして逃れて代わりにエヴリンが身代わりで受け止め擦り抜けて一回転して混乱したところにビリーの銃弾が次々と炸裂。血を噴き出して後退するエリミネート・スクナ。そこにクソデカ蝙蝠が翼を羽ばたかせて私目掛けて突進してきたが、地上からレベッカが狙い撃ったグレネードランチャーの焼夷弾を受けて炎上した。
{ぐああああああっ!?}
「無事ですか、先輩!」
「気を付けろ!ドンドン来るぞ!」
「殺す…!」
「私に痛みをちょうだい…!」
首への衝撃から復活したハンターΩの右腕の爪と、ヘカトンケイルの毒棘付きムカデの腕が襲いかかる。すると不思議なことが起こった。
「了承…!」
「きゃあ!?」
「え?」
「なんだ…?」
ハンターΩに斬り裂かれるところだったレベッカと、ムカデ腕の直撃をもらうところだったビリーの呆けた声が響く。なんとハンターΩがギリギリで標的をヘカトンケイルに変え、ムカデ腕をアッパーカットで斬り裂いて弾き上げたのだ。
「痛みを与える…!」
「ああ、これが愛なのね…!」
{お、おいなにをしている…?}
そのまま執拗にヘカトンケイルに攻撃を加えるハンターΩと、斬撃を受けてすぐに再生しながら喜ぶヘカトンケイルに、炎から逃れたクソデカ蝙蝠とエリミネート・スクナ…を操っているマスターリーチも困惑。ハンターたちは標的を変えたハンターΩに戸惑っているのか右往左往していたので、私とレベッカ、ビリーで同時攻撃して三体仕留めた。残り一体だ。…だがしかし。
「……一体全体なにがどうなってる?」
「…需要と供給?」
「理解に苦しむぜ……」
『楽しそうだけどね』
{ハンターΩ。言うことを聞け。そこの三人を殺せ!}
「了承。H64は背後に回れ」
いち早く正気に戻ったマスターリーチの命令を受けて再び私達に攻撃を仕掛けるハンターΩとそれに合わせるエリミネート・スクナとクソデカ蝙蝠に、慌てて応戦する。なんなんだいったい!?
『ただでかいだけだと思うなよ…!我がしもべよ!』
そう叫んだクソデカ蝙蝠の超音波と共に、どこからともなく通常より一回りデカいサイズの蝙蝠の群れが現れて殺到。噛み付いてくるのをレベッカとビリーを庇いながら粘液硬化で受け止め薙ぎ払う。そこにハンターΩの斬撃が襲いかかり、脇腹を斬り裂かれてしまう。
「があっ!?」
「先輩!?」
「くそっ、離れろ…がああっ!?」
「ビリー!…きゃっ!?」
{天から落ちよ!}
蝙蝠どもを銃とナイフで追い払おうとするレベッカとビリーだったが、ビリーがエリミネート・スクナの右腕二本の拳を受けて殴り飛ばされてしまう。レベッカもクソデカ蝙蝠に掴まれて持ち上げられ、高所から落とされて叩きつけられてダウン。エヴリンも最後のハンターを誘導するのに必死で助力は見込めない。不味い…、このままじゃ全滅だ。
「…むう」
すると面白くないと言う顔をしたのは、放置されて呆けていたヘカトンケイルだ。両腕のムカデ腕を地団太の様に何度も地面に打ち付け、毒で地面が融解する。それを余所に私にとどめを刺さんとするハンターΩ。
「我にもやってよ!」
「了承」
その言葉にハンターΩが振り返って突進、ヘカトンケイルに再び斬撃を浴びせて、腹部を切り裂かれたヘカトンケイルは「あう」と跪くが、それでもかまわず攻撃を続けるハンターΩ。これに困惑したのはクソデカ蝙蝠を操っているマスターリーチだ。
{またか!?全ての命令に従順な兵器じゃないのか!?}
『全ての命令に従順…?そっか!じゃあ…ハンターΩ!そこの猿倒して!』
「了承」
にやりと笑ったエヴリンの言葉に頷いたハンターΩが、ビリーの頭を掴んで持ち上げていたエリミネート・スクナに一閃。スパンっと小気味いい音が鳴り、後頭部で二つ接合された頭部が吹き飛んで宙を舞う。首から上を失ったエリミネート・スクナの四本腕の肉体は虚しく空を切ってビリーを手放し、崩れ落ちた。それを見て動揺したクソデカ蝙蝠に粘液糸を飛ばし、地面に引きずり下ろす。
「我にももっと痛みをちょうだい!」
「了承」
『ハンターも倒して!』
「了承」
「我から!」
「りょう、しょ……」
『ハンター!』
「わーれーかーらー!」
「ギイ!?」
{うわああああああっ!?}
グシャアッ!と、癇癪を起こしたヘカトンケイルのムカデ腕にクソデカ蝙蝠とハンターが押し潰されて赤いしみとなる。毒で溶けて無惨なことになってる。…敵ながら、哀れな。
「りょ…しょ……う」
「おーきーてー!」
ハンターΩはショートを起こしたのか目を回して引っくり返り、ヘカトンケイルはそれをムカデ腕で抱えてゆさゆさと揺さぶってる。…もうこいつらに私達を襲うつもりはなさそうだな。再生するわ、堅過ぎるわでこちらもとどめを刺せないから放っておこう。それよりもレベッカとビリーだ。
「レベッカ、ビリー、無事か?」
「はい…なんとか」
「死ぬかと思った……」
「よかった。…それで、どういうことなんだ?エヴリン」
そう尋ねると、ハンターΩとヘカトンケイルのやりとりを微笑ましそうに見守っていたエヴリンは悪戯が成功したかの様な顔で笑った。
『んー?簡単だよ。ハンターΩ、多分だけど命令を全部聞いちゃうんじゃないかな。だからヒルを頭に乗せられ無くてもマスターリーチの言うことに従ってたんだと思う』
「…そういうことか」
なんでも命令を聞くハンターΩと、命令口調で自分に攻撃しろと叫び続けるヘカトンケイル。攻撃特化と防御特化。ある意味相性は最高だ。それにマスターリーチは気付いていなかったんだな。
『それでなんだけど、ハンターΩ使えないかな?私が耳元で命令し続けたらうまくいけば戦力になるかも?』
「……それは名案だと思うがヘカトンケイルはどうする?放してくれないぞあれ」
『連れてくしかないんじゃないかな?たまにハンターΩで斬り裂きまくれば満足するだろうし』
「ええ……」
『見た目はあれだけど素直ないい子たちだよ?』
………爆弾抱えて歩くようなものじゃないか。なあおい、目を逸らすなエヴリン。
ドM巨人と命令なんでも肯定ガール、需要と供給が成立してたのだ。
圧倒的有利だったマスターリーチの敗因は利用できると思ってヘカトンケイルを自由にさせていたこと。
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