BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回は何時もより千字長いです。楽しんでいただけたら幸いです。


file0:30【ヘカトちゃんとオメガちゃん】

 ヘカトンケイルが命令と言うかお願いして、ハンターΩが斬り裂き続けること五分。私だけならこの二人を誘導して後から合流できると思ったので、私が見張っている間にクイーンとレベッカとビリーが周囲の探索を進めてもらっているのだが、正直飽きてきた。ローズとゼウの関係みたいだ。ゼウが面白くない冗談言ってローズに消されかける漫才面白かったなあ(現実逃避)

 

 

『いい加減に止まりなさい!そこに正座!』

 

「はいぃ!」

 

「了承」

 

 

 大きく声を吸って怒鳴り散らすと、キャッキャッと子どもの様に喜んでいた巨人と、従順に命令を遂行しながらも性格なのか楽しんでいた最強の狩人が慌てて正座する。体格差面白いな。スタイルもボンキュッボンとぺったんこで対照的だ。なのに顔はどっちもリサと同じなのがちょっと笑えてくる。しかし咄嗟に言った日本の言葉だけど正座通じるのか。

 

 

『ハンターΩとヘカトンケイル……長ったらしいな、今から貴方達はオメガちゃんとヘカトちゃん!いいね!?』

 

「了承。私、オメガちゃん」

 

「我、ヘカトちゃん?」

 

『そう。ヘカトちゃん』

 

 

 あっさり受け入れるオメガちゃんと、疑問符を浮かべるヘカトちゃん。ヘカテーって女神がいた気がするしいい感じの愛称なんじゃなかろうか。あ、そうだ。名前の変更もあっさり受け入れるなら……対策しておいた方がいいよね。

 

 

『オメガちゃん。これは命令!これ以降、オメガちゃんと呼ばれない限り命令を聞かないこと!』

 

「了承」

 

 

 私の命令に、頷くオメガちゃん。これでマスターリーチが操ろうにもオメガちゃんと呼ばれない限りオメガちゃんは言うことを聞かない筈だ。つまり永遠に優先される命令を前もって言っておけばいいわけだよね。

 

 

『で、落ち着いた?』

 

()。落ち着いた」

 

「ねえ、もっと痛いのくれない?これどちらかというと痺れ…」

 

『あと五分追加ね』

 

「ええ~!…でも、この感じいいかも……」

 

『ええ……』

 

 

 慣れない正座をするうちに脚が痺れてきたらしい両者。オメガちゃんはプルプル震えてこそいるが涼しい顔で、ヘカトちゃんは分かりやすく表情に出して馬鹿なこと言い出したので追加。ドMな発言に思わずドン引く。痛い方が我慢できるってことなんだろうけどただのドMでしかないんだよなあ。

 

 

『さて、と…落ち着いたところで三人を追いたいんだけど……』

 

 

 クイーンとビリーとレベッカの三人がブレーカーを起動させて降りて行ったエレベーターに視線を向ける。オメガちゃんは小柄だからいいけど、ヘカトちゃんがなあ。すごく……大きいです。

 

 

『うーん、やっぱり入れないよな…5メートルぐらいあるもん……あれ?ちょっと縮んだ?』

 

 

 ちゃんと見てみれば、一回り縮んで全長4メートルぐらいになっていた。でかいのは変わらないから気付くのに遅れた。するとヘカトちゃんは正座したまま首を傾げ、合点が言ったというようにポンッとムカデ腕の先端の腹部で手(?)を打った。

 

 

「ん?ああ、我の前の肉体、瀕死だったから脱皮したの。すごくすごく痛かったけど、死にたくない!って考えてたらいつの間にか外に出ていたの」

 

『そういや最初はただ巨大なムカデだったっけ』

 

 

 私が情報を探ってる間に一回クイーンたちが倒して、そこから出てきたんだっけ。たしか、巨大なムカデの姿は外装に過ぎなくて、外側がやられたら、内部で幾度も変容を繰り返して進化し続けているものが出てくる…それがあの時戦った5メートル大のヘカトちゃん。それがやられて、私達が離れた後にさらに脱皮して縮んだということか。なら……。

 

 

『ヘカトちゃん、今すぐ脱皮できる?』

 

「オメガちゃんに沢山愛してもらったから多分できるわ!」

 

『…なら、お願いできる?』

 

「わかったわ!」

 

 

 痛みを愛として受け入れているヘカトちゃんが立ち上がって、身体が白くなっていくのを複雑な思いを胸に見守る。「痛い」を愛と感じるのは深層心理に刻まれたトラウマによる防衛本能だろう。調教記録は見た。リサの血を浴びて再生し続ける巨大ムカデを前に、研究員が選び、アンブレラ幹部候補が実行したのはひたすら「痛み」を与える調教。痛みを記憶に刻み込んで自分たちに従わないと痛い目に遭わせるぞという、あまりにも非人道的な調教だ。

 

 ヘカトちゃんの一番の不幸は心を持ってしまったことだろう。心を得てしまったヘカトちゃんは、幼いながらも人間と変わらない心を持っていた。恐らくリサの遺伝子が一般常識も共に植え付けてしまったのだろう。そんな純粋な心に刻まれたのは、リサが両親から当たり前に享受していた「愛」ではなく、恐怖を恐怖で縛ろうと言う「痛み」だった。耐えきれなかった心が痛みを愛だと誤認したのも無理もない事だろうと思う。だって、私も「家族」を自分に都合のいいものにしか考えなかったもの。

 

 

「我、再び、た・ん・じょ・う!」

 

『時間差コンティニューとかできそう』

 

 

 意気揚々と叫びながら完全に白く染まった巨大な体を破る様にして萌え袖ぐらいに縮んだムカデの腕を掲げて現れたのは、4メートル大から2.5メートルほどにまで縮んだヘカトちゃん。うーん、デカいのは変わらないけどこれならギリギリエレベーターに入るかな?すると黙ってジッと私を見つめているオメガちゃんに気付く。

 

 

『放っといてごめんね、オメガちゃん。行こうか』

 

「了承」

 

『ところでオメガちゃん。自分で自分に命令とかできないの?』

 

「否定。私は、命令に従うのみ。私から私に命令はできない。…何を命令すればいいかもわからない」

 

 

 これまで「了承」「是」「否定」と機械的な一言でしか返事してなかったオメガちゃんが初めて饒舌になった。恐らくこれが本音か。でもそれは、考えることの放棄なんだよなあ。そのままだと取り返しのつかないことになる。

 

 

『さっきはあんなこと言ったけどさ……オメガちゃんは、好きにしていいんだよ?』

 

「了……承?」

 

『これから学んで行けばいいよ。二人とも水着同然の恰好だし、ラクーンシティでおしゃれを楽しんだりしてみよう。…そのために、オメガちゃん。力を貸してくれないかな?』

 

「了承」

 

 

 頷き、私についてくるオメガちゃんと、それにとてとてとムカデ腕を引き摺りながらついてくるヘカトちゃんをエレベーターに乗せ、オメガちゃんに操作してもらって地下二階に下りる。…さあ、クイーンたちに合流しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クイーン!』

 

「エヴリン。ようやく来たか。それに、ハンターΩとヘカトンケイルか」

 

 

 開けられた形跡の残された順路を進み、地下のプラットホームらしき場所に出た私とオメガちゃんとヘカトちゃんはクイーン、ビリー、レベッカと合流する。電車を前に私達を待っていたらしい。

 

 

『違うよ。オメガちゃんとヘカトちゃん』

 

「私、オメガちゃん」

 

「我、ヘカトちゃん!」

 

「お、おう?呼びやすくていいな」

 

「可愛いですね」

 

「ヘカトの方は縮んだか?」

 

 

 私の促しに手を上げて自己紹介するオメガちゃんとヘカトちゃんに三人は思い思いの反応。分かるよレベッカ、可愛いよね。

 

 

「お前は信頼を勝ち取ったらしいな。私は、我が父への信頼を失いそうだ…」

 

『なにがあったし』

 

 

 そう言って体内から文書を取り出すクイーン。便利だな、と思いながらオメガちゃんに言って開いてもらう。

 

 

『蛭の育成記録…?』

 

 

 それには、こうあった。

 

 

【1978年2月3日

実験体のヒル4匹へ「始祖」を投与開始。生存のための寄生と捕食、そして繁殖。その全てを本能で繰り返すヒルは生物兵器として最適であると考えられたからだ。ヒルたちはしばらく苦しむようにのた打ち回っていたが、間もなく沈静化した。以後は、しばらく目立った変化無し。

 

1978年2月10日

投与開始から7日間。全長が二倍までに肥大化し、変態の兆しが見える。 産卵も無事に終え、最初の倍の数まで一時増えたが、異常な食欲のおかげで共食いを始めてしまった。 急いでエサを調達するが、2体を失ってしまった。

 

1978年3月7日

エサを生きたまま与えることにするが 半数が逆にエサに攻撃され、失われてしまった。しかし、それを学習したヒルたちの攻撃パターンは 次第に単体ベースから群体ベースへと 移行する様子を見せ始めた。これを境に共食いもしなくなった。予想を越えた、素晴らしい進化ぶりだ。

 

1978年4月22日

ヒルたちは捕食の時以外も個体での行動を止め、 常にある程度まとまった集団として行動を取るようになる。 与えるエサにも、驚くほど効率的に攻撃するようになった。

 

1978年4月30日

所員の一人に実験の事を感づかれてしまったようだ。 “エサ”が人間になったら? ヒルたちの反応はどうだろうか?

 

1978年6月3日

今日は素晴らしい記念日となった。彼らが私の姿の擬態を始めたのだ!私を親として認識しているのか・・・。かわいい子供たち。もう誰にも渡しはしない・・・。】

 

『うわあ』

 

 

 うわあ。としか言葉が出てこない。私もこの時代に現れたのは1980年だったけど、その時には既に甘やかしていてなんでもかんでも餌にして与えてたから想像もつかなかったけど…相当アレな人間だマーカスは。これにはクイーンも迷うのもしょうがないと思う。

 

 

「…我が父にとっては子供のようなものだったのかもしれないし、私達もそれを甘んじて受け入れて我が父と慕っていたが……私が自我を持つ以前の扱いはどう考えても実験動物のそれだ。…私はこの愛を信じていいのだろうか。心が痛い……こんなもの、見つけなければよかった」

 

「痛みが愛なのよ!」

 

『少し黙ろうかヘカトちゃん?』

 

 

 …うーん、どうしたものかな。そこに、クイーンの背後の扉を開けてそれが現れた。

 

 

「お前の我が父への愛はその程度だったんだなあ?元統率個体」

 

『オメガちゃん、やれ』

 

「了承」

 

 

 マスターリーチ。その姿を見るなり私はオメガちゃんに命令。頷いたオメガちゃんが一瞬で首をすっ飛ばしたが………宙を舞う首がにやりと笑う。

 

 

「ヒル一匹だけだったインフェクティッドバットやエリミネート・スクナとはわけが違うぞ、我等は群体だ」

 

 

 そして落ちてきた頭部をキャッチ、首に接合してゴキゴキと動かして調子を確かめたマスターリーチが嗤い、左手を腰にやり右手をちょいちょいと動かして挑発する。同時に構える、クイーン、レベッカ、ビリー、オメガちゃん、ヘカトちゃん。勝負だ、マスターリーチ。




脱皮してサイズを縮めるヘカトちゃん。前もって命令して置けば対策できるオメガちゃん。扱いは難しいけど使いこなせば頼もしいです。

そしてすっ飛ばした研究所編。いやここ、行ったり来たりでレベッカとビリーの入れ替わりを最大限活用しないといけないので非常にめんどくさい場所なのです。一応、レベッカとクイーン、ビリーで別れて攻略してました。

そして研究所最後のプラットホームにて出現、マスターリーチ。鉄腕アトムで学んだけど群体って本当に強いのだ。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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