BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
私達は初めて直接戦うマスターリーチの強さは圧倒的だった。こちらにはクイーン先輩、ヘカトちゃん、オメガちゃんとB.O.W.が三人もいるのに、それらをまるで寄せ付けていない。私とビリーにいたっては片手間で対処されている。勝ち目がない、一度逃げなければ。
「ビリー、ここは任せるわ!」
「お、おい!?それはいいがどこにいく!?」
ビリーに拘束を解いてもらって擬態マーカスの相手を任せ、私はロープウェーの起動に急ぐ。床に置いておいたフックショットを手に取り、天井の隙間にフックショットを使ってB1機械室に入り確認すると、やはりコイルが抜けている。回収しておいた入力調整コイルと出力調整コイルをセットすると、電源が付いて照明が点灯、ロープウェーの扉のロックが解除される。先輩を追い詰めようとしたところに眩しい光を受けて怯むマスターリーチ。
「今です!先輩、みんな!ロープウェーに!」
戻りながら呼びかけた私の声に、ビリーが、オメガちゃん(と多分エヴリンさん)が、ヘカトちゃんが、先輩が奮起。それぞれが相手していたヒルの怪物を突き飛ばし、壁に押し付けるとヘカトちゃんが両腕を振り回し、三体纏めて溶かして倒してしまった。強い。
「よくも我が同胞たちを…!」
マスターリーチ本体は先輩に蹴り飛ばされてよろめきながらも、右腕を槍状に伸ばして攻撃。それを、ヘカトちゃんの伸ばしたムカデの腕が間に入って弾き飛ばした。
「助かった、ヘカト!」
そこにクイーン先輩が右手から糸を伸ばしてマスターリーチの頭にくっ付け、引っ張って飛び膝蹴りを叩き込んでよろめかせるとそのままパンチ、パンチ、パンチ。恨み辛みを込められた拳が次々と顔面に叩き込まれて後退させていく。
『オメガちゃん、マスターリーチの脚を狙って!』
「了承!」
そこにオメガちゃんが目にも留まらぬ速度で動き、マスターリーチの脚を切断して崩れ落ちさせ、そこをビリーが顔面を蹴り飛ばし、吹き飛んだマスターリーチの胴体にクイーン先輩が伸ばした糸がくっ付いて吹き飛ぶのを阻止すると、吹き飛んだ勢いはそのままに遠心力を伴ってその場で回転し始めた。
「うおおおおりゃああああああっ!」
「ぐあああああっ!?」
グルングルンと振り回し、壁に叩きつけて先輩は両手に力を溜めてありったけの糸を放射。蜘蛛の巣の様にマスターリーチを壁に磔にし、繭の如く拘束してしまった。しかしすぐに粘液を固めたであろう刃が伸びて、繭を斬り裂いていく。
「無駄だ、この程度の拘束などすぐに抜け出してやる…」
「今だ、全員ロープウェーに乗り込め!」
「わかりました!…これは?」
先輩の指示に、真っ先にロープウェーに乗り込んだ私が見つけたのは力尽きたのであろう死体と、その手に握られた大口径の大型拳銃。…マグナムだ。…一発だけ使われた形跡があることから、恐らく拳銃自殺…いいや、それよりも!
「先輩、乗ってください!」
ビリー、ヘカトちゃん、オメガちゃんと次々にロープウェーに乗り込む中で、愛用のサムライエッジであるゴクとマゴクで既に繭から出てきて、配下の残骸を取りこんで四本腕になり自由自在に伸ばして追い詰めるマスターリーチを牽制していた先輩に呼びかけるとちらっと視線を向けて頷いた。…発進しろってこと?ためらっていると、先輩から激励が聞こえた。
「行け、レベッカ!」
「フハハハハハッ!自己犠牲のつもりか?お前を死なせた後に追いかけて全員殺してやるから安心しろ元統率個体!」
「…私は元統率個体じゃない、クイーン・サマーズ…レベッカの先輩だ!」
「それがお前のプライドか、ならばそれからへし折ってくれよう!」
私達に向けて伸ばされたマスターリーチの腕を、粘液糸を伸ばして食い止める先輩。そのまま四本腕による連撃が叩き込まれ、クイーン先輩はそれらを見切って回避していくも、脚を掴まれて持ち上げられ、何度も何度も床に叩きつけられ壁に投げつけられる。
「なにくそ!」
すると、両足の裏から粘液を出したのかなんと壁に直立した先輩は両腕から糸を伸ばしてマスターリーチの腕を縛り上げ、引っ張って壁に叩きつけようとするもマスターリーチも四本腕のうち二本で壁を掴んで直立。残り二本の腕を伸ばして振り回し、先輩に叩きつけるマスターリーチ。先輩も粘液硬化した腕でそれを弾いている。
『スパイダーマン2みたい!』
「助けに行きましょう!」
「了承」
「待て、オメガとヘカト。…レベッカ、いけ。クイーンなら大丈夫、戻ってくるさ」
「…わかったわ」
助けに行こうとするヘカトちゃんとオメガちゃんの首根っこを掴みながらそう言ったビリーに頷き、ロープウェーを発進させる。すると動き出したロープウェーの壁に目掛けて糸を飛ばし、飛来する先輩。しかしマスターリーチも逃がさないと言わんばかりに四本腕で高速で壁を掴んで追いかけてくる。
「応戦するんだ!」
『オメガちゃんとヘカトちゃんは待機!なんか飛んできたら二人を守って!』
「了承」
蜘蛛みたいに張り付いてロープウェーの上に登った先輩の声に、私とビリーは扉を開けて銃を構える。マグナムは……反動がデカすぎて私じゃ狙える気がしないからしまってある。ヘカトちゃんとオメガちゃんはエヴリンさんに言い含められているのか大人しく見守っていた。
「逃がさんぞ!」
触手状の四本腕の付け根を背中に回して、新たに両腕を生やしたマスターリーチの手から、ヒルが溢れだすと一匹一匹がジャパンのニンジャが使う手裏剣状に変形、投げつけて攻撃してくるのを、先輩がゴクとマゴクで、私とビリーがハンドガンで撃ち落とそうとするも、撃ち損ねて飛んできたのがオメガちゃんの爪が弾き、ヘカトちゃんの私達を守る様に伸ばされたムカデ腕が受け止める。防御の方は気にしないでよさそうだ。
「ならばロープウェーごと落ちろおおお!」
すると移動に使う二本の触手とは別に残りの触手二つの先端を鉤爪状にすると岩盤をくり抜いて巨岩を触手二本で手に取り、手裏剣と一緒に投げつけてくるマスターリーチ。ロープウェーの上から先輩が糸を伸ばして括りつけた岩を投げ返せば、直撃を受けたマスターリーチは巨岩を粉砕しながらも今度は触手一本ずつに岩を握ると投げつけてくる。さすがの先輩も二つ同時は…
『ヘカトちゃん、あれを砕いたら多分痛いよ!』
「私の!」
するとヘカトちゃんがムカデ腕を伸ばして、先輩が対処した岩とは別のもう一個の岩にぶつけて破壊してくれた。なんかのた打ち回ってるけど大丈夫?
『やっぱり打撃系は愛にはならないんだね…ごめんねヘカトちゃん』
「おいどうするクイーン!このままじゃキリが無いぞ!」
「いや…!ここで決める!」
すると先輩はマスターリーチの移動先の岩盤の天井に次々と糸を伸ばしていく。粘液でロープウェーの天井に足を固定しているようでギリギリと音が聞こえる。そして。
「なん…だとおおおおお!?」
マスターリーチが触手を伸ばした先で天井の岩盤が糸とそれに繋がったロープウェーのパワーで引っ張られて崩れ落ち、マスターリーチは崩落に巻き込まれて、奈落の底に落ちて行った。…やったのだろうか。
「……ふぃー。あれが奴の本体だった。そうでもないとあそこまで細かい変形はできない。倒したんだ、な……」
『おつかれ、クイーン』
上の先輩も、私も、ビリーも、ヘカトちゃんとオメガちゃんも、疲れが出てきてその場にへたり込む。そんな私達を連れて、ロープウェーはひた走るのだった。
蜘蛛男なクイーンと蛸博士なマスターリーチ。
今更ですが今章のオリジナルキャラ(もしくは半オリジナルキャラ)はMCUを参考にしていて
クイーン・サマーズ→スパイダーマン(大いなる力には大いなる責任が伴う糸使い)
アリサ・オータムス→キャプテン・アメリカ(不老の超人戦士)
セルケト→ウィンター・ソルジャー(硬質な腕を持つ殺し屋)
ヘカトちゃん→グルート(伸びる腕がメイン武器の転生能力もち)
オメガちゃん→ブラックパンサー(攻防すぐれた、部下を使役することで真価を発揮する素早い戦士)
となってたりします。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。