BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。過去一適当タイトル。楽しんでいただけたら幸いです。


file0:33【エンドロールが終わるまで】

 ロープウェイが設営された地下道の最下層、地下水脈。その下流に、クイーンたちとの激闘を経て岩盤に押し潰されて落下したマスターリーチの死骸から、十数匹の変異ヒルが抜けだしていた。

 

 

「ぐう…群体でなければ死んでいた……」

 

 

 なんとか若かりし頃のマーカスの姿形を取るのは、統率個体マスターリーチ。手をぐーぱーと開閉し、調子を確かめると、肉体を構成している数が明らかに減少していることに気付いた。

 

 

「…四分の一にまで減ってしまったか。全ての変異ヒルを集結させたのは悪手だったな」

 

 

 想定外だったのはただの人間二人の頑張りだ。特にレベッカ・チェンバース。戦闘力が貧弱で取るに足らないと思っていた女の作った明確な隙を突かれて己が同胞の大半を失い逆転された。手数はマスターリーチ最大の武器であり弱点でもある。数が多ければ多いほど強大になる力は、比例して減れば減るほど減少する。

 

 

「…せめて私の肉体になるゾンビでもいれば残りの同胞を変形に回せるんだがな……」

 

 

 死んだ同胞たちには目もくれず歩を進めるマスターリーチ。仲間の安否を重んじるクイーンと異なる性質。傲慢で不遜で悪辣な「王」の在り方だった。そして王は出会う。暴君たるその精神にふさわしい、空っぽの肉体を。

 

 

「これは…!……フフフッ、ハハハハハッ!どうやら天は私を見放さなかった様だ!元統率個体よ、いやクイーン・サマーズよ!お前は私が殺す!そして私が必ず果たして見せるぞ!アンブレラに復讐を…地獄の炎をこの世全てに!」

 

 

 マスターリーチの目の前には、破棄されたのが流れ着いたのだろう、腐敗した巨人が横たわっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エンリコ!」

 

「隊長!」

 

「クイーン!レベッカ!無事だったか!…お前は!」

 

 

 ロープウェーが辿り着いたアンブレラの所有物らしき工場で、脱出するべく私とレベッカとビリー、エヴリンとオメガとヘカトの二手に分かれて探索していた私達。B4研究所前通路まで歩いたところで、奥からエンリコがやってきて。会うなりビリーに銃を向けてきたので咄嗟にゴクとマゴクを構える。

 

 

「…何のつもりだクイーン。そいつはビリー・コーエンだぞ」

 

「ああ。知ってる。だが今は仲間だ。銃を下ろせエンリコ。私は撃ちたくない」

 

「それでは脅しにならないぞクイーン」

 

「クイーン先輩!隊長!やめてください、ビリーは…その、無実じゃないかもしれないけど……」

 

「もういいよ、お二人さん。これ以上俺を庇ったらアンタらの立場が無い」

 

 

 しどろもどろに弁護するレベッカに、ビリーは笑って手で制してエンリコの持つハンドガンの銃口の前に立つ。

 

 

「年貢の納め時って奴だな。自分の立場をすっかり忘れていたよ」

 

「殺人鬼がなにを…!」

 

「待てエンリコ、お前は何もわかってない!」

 

「待ってください隊長!ビリーはここに来るまで何度も私達を助けて・・・」

 

 

 レベッカが止めようとするが、エンリコは止まらなかった。咄嗟に、銃口の前に手を突き出し、同時に銃声が響く。弾丸は、ビリーには当たらなかった。私が、粘液を纏った手で弾丸を受け止めたのだ。

 

 

「…クイーン、お前……は……」

 

「……私はエドワードの命を奪った奴と同じ、バケモノだ。殺すなら私じゃないか?」

 

 

 信じられない様にこちらを呆然と見やるエンリコに肩をすくめて見せる。咄嗟に手が出てしまったが悔いはない。遅かれ早かればれたんだ。ビリー(仲間)を守るためにばれたなら本望じゃないか。銃弾程度なら死なないが、改めて撃たれたら精神的に死ぬだろうな。こうなったらそれでもいいか。

 

 

「先輩…!」

 

「クイーン、大丈夫か!?」

 

「この程度問題ない」

 

 

 心配して駆け寄ってくるレベッカとビリー。信頼ないな、これぐらい大丈夫だって。エンリコには正体がばれてしまったが、これしかなかった。すると呆然としていたエンリコが、銃を下ろす。その表情は、面倒見のよさそうな笑顔。いつものエンリコだった。

 

 

「……お前がやけに年を取らないのはそういう理由か、クイーン。納得したよ」

 

「…は?それだけ、か?私はお前たちを騙していたんだぞ?バケモノなんだぞ?」

 

「だからどうした?お前は俺達の仲間だ。それ以上もそれ以下もあるか。お前が正体を明かしてまで守ったんだ、ビリー・コーエンは…悪い奴じゃないんだろう?」

 

「エンリコ……」

 

 

 その言葉に、ゴクとマゴクを下ろす。涙が出そうになったのをぐっとこらえる。…はは、なんだ……本当にわかっていなかったのは、こっちか…。

 

 

「…すまない、エンリコ。お前を…お前たちを見くびっていた。仲間を信じる、と言いながら本当に信じられてなかった様だ」

 

「この件が終わったらちゃんと話してくれよクイーン。みんなの前で。もし何か言う奴がいたら俺がブッ飛ばしてやる。だから安心しろ、お前は俺達の仲間だ。…それで、ビリー・コーエンの事は信じていいんだな?」

 

「ああ。この件が片付いたらこいつがやってないって証拠を見つけてやるさ。本人がなんて言おうとな」

 

「同感です。私もお供します」

 

「クイーン、レベッカ……」

 

「…わかった、信じよう。ところで他の連中に遭わなかったか?先に来ているはずなんだが……」

 

「いいや。お前とエドワードだけだ」

 

「ビリー、誰か人間に出会った?」

 

「いいや。お前たちだけだ」

 

「そうか。止むを得ん。ここをまっすぐ行けば、アンブレラが研究に使っていた古い洋館につくはずだ。行くぞ、レベッカ、クイーン。ビリー」

 

「…洋館」

 

 

 忘れもしない、リサと出会い、共に脱出したあの洋館か。本命はあっちか?脱出口が向こうに…。いや、だがしかし。

 

 

「待ってくれエンリコ。まだ仲間がいるんだ。そいつらと合流したら追うから先に向かっててくれないか」

 

「私も、クイーン先輩と一緒に行きます!」

 

「俺もだ。放っては置けない」

 

「そうなのか?わかった。だが、くれぐれも気を付けろ」

 

「お前もな、エンリコ。私みたいに銃弾が効かない奴がうじゃうじゃいるぞ」

 

「なに。そんな奴等でも対抗するために作られたのが俺達S.T.A.R.S.だろう」

 

 

 そう笑って、エンリコは銃を手にその場を去って行った。

 

 

「…さて、脱出経路もわかったし、エヴリン達と合流しよう」

 

「はい、先輩」

 

「俺がオメガに渡した無線が役立つはずだ」

 

 

 ビリーの言葉に頷いて無線を起動するレベッカ。ザザッと言うノイズの後に繋がった。

 

 

「聞こえるか、応答しろ!こちらクイーン、脱出口が分かったぞ!」

 

《「こんのおお!オメガちゃん、行くよ!」「了承」『クイーン、なに!?こっち今手が離せないんだけど!?』》

 

 

 聞こえてきたのは、ヘカトの怒鳴り声に頷くオメガ、そして慌てている様子のエヴリンの声。そしてなにかとなにかが激しくぶつかる戦闘音。なんだ、何が起きている!?

 

 

《「ハハハハハッ!この程度か、優秀なB.O.W.諸君!お前たちも我が手駒にしてやろう!」》

 

 

 続けて聞こえてきたのはあの憎たらしい青年の声。マスターリーチ、生きていたのか…!

 

 

「エヴリン!私達もすぐに向かう!今どこだ!?」

 

《「私…ち…が…今い……のは、処理……場……あいつ、とんで……ないの、に……」》

 

 

 そこまで言ってから、グシャアという破砕音。オメガの持つ無線機がとんでもない力で破壊されたらしい。

 

 

「レベッカ、ビリー!…お前たちは聞こえなかっただろうが、処理場だ!」

 

「いいえ、二人の声と戦っている音は聞こえました!すぐに向かいましょう!」

 

「ったく、世話が焼けるな!」

 

 

 脱出間近。映画ならエンドロールが流れ始めたところだろうか。だがまだ終われない、見捨てられるわけがない。何が起きているかはわからないが、待っていろエヴリン、オメガ、ヘカト…!




マスターリーチのモチーフはウルトロンだったりします。本体さえ無事ならいくらでも出てくる、親とは別に勝手に育って破滅を望んでいる、などなど。当たり前に生きてた。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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