BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回で0編は完結となります。長らくお付き合いいただきありがとうございました。最後まで楽しんでいただけたら幸いです。


file0:Fin【夜明けの裁決】

 自爆すると言うアナウンスに、リフトで脱出を試みていた私達。そんな中、リーチタイラントに変貌して追いかけてきたマスターリーチに捕らえられ、私は単騎で決戦することになった。

 

 

「もう理性も失くしたか…!」

 

「あれこれ考えて追い詰められたのだ!暴力!暴力こそ全てを解決する!そうだろう、クイーンッ!」

 

 

 そんなことを叫びながら対峙するリーチタイラントに、引き抜いたゴクとマゴクを乱射する。しかし弾丸はいくら当たっても粘液を噴き出すだけで効果は見られず、突進を糸を天井に伸ばして舞い上がることで回避する。アレは当たったらヤバい。そしてプロトタイラントのリミッターが解除させたせいか再生能力が高くて有効打が無い。どうする?

 

 

「そんなところに逃げても無駄だあ!」

 

「ちい!」

 

 

 両腕の先端に纏った粘液で壁を融解させて抉り、その巨体で壁を駆け上りこっちまでやってくるリーチタイラント。射程距離まで来ると口から溶解液を放射してきたので、粘液糸を次々と伸ばして離れようとするも、粘液糸に溶解液が直撃してちぎれ、床に落下して強打、ゴロゴロと転がり呻く。不味い、動かなければ…!

 

 

「捻り潰してくれるわア!」

 

「くっ……!」

 

 

 天井を伝って頭上までやってくると落下して巨大質量を叩きつけてくるリーチタイラントから、咄嗟に壁に糸を伸ばし、引き摺りながらも移動して回避。そのまま突進して来ようとしたので、近くのフォークリフトに糸を飛ばして変形した腕で引っ張り横から激突させて吹き飛ばす。

 

 

「ぐああああッ!?」

 

「これでも、喰らえ!」

 

 

 壁に叩きつけられたリーチタイラントが怯んでいる間に、再度天井に糸を伸ばして空中に舞い上がり、天井に足をくっつけて吊り下がるとフォークリフトに向けて両手から糸を飛ばして引っ付け、変形した腕の怪力で持ち上げて、勢いよくリーチタイラントに叩きつけるとフォークリフトが粉々に砕け散り、破片が転がる。

 

 

「逃がさんぞオオオオオッ!!」

 

「っ!?」

 

 

 すると仰向けの背中というか胸部から突き出た肋骨が変化した複数の触手を伸ばしてきて、糸を飛ばして高い天井を跳び回って回避を試みるも、移動先に溶解液を放射されて動きが止まったところに全身に巻き付かれてしまい、肉に食い込んだ触手から分泌する粘液が体内に流れ込み溶かしていく。

 

 

「ぐあああああああっ!?」

 

「悶え苦しめ!我が父を裏切った報いを受けろォオオオオッ!…!?」

 

『スゥウウ……』

 

 

 すると、勝ち誇っていたリーチタイラントの声が止まる。見れば、その目の前の床から顔を出したエヴリンが大きく息を吸い込んでいるところだった。にやりと笑い、メガホンの形にした手を突きつけて、それは解き放たれる。

 

 

ワアアアアアッ!!

 

「ギャアアアアアアアッ!?」

 

 

 至近距離から迫真の大声を聞かされたリーチタイラントは身体を波打たせて絶叫し、私を捕らえたままノシノシと後退。そこに、散弾が放たれ肋骨触手を粉砕して私を解放、私は床に叩きつけられ大ダメージに呻く。

 

 

「クイーンから離れろ、バケモノ!」

 

「先輩!酷い傷……」

 

 

 そこに駆けつけたのは、ショットガンを構えてリーチタイラントに追撃するビリーと、救急キットを取り出したレベッカだ。その後ろにヘカトの死骸を背負ったオメガもいるところから、リフトが追い付いたらしい。レベッカの治療を受けながら、散弾を何発も受けながら平然としながらビリーを追いかけているリーチタイラントを見やる。その時、天窓の隙間が煌めいたのが視界の端に見えた。朝日か、外はもう既に朝らしい。今なら菌根のおかげで大丈夫だが昔だったら危なかったな………待てよ?

 

 

「ぎぎ、ギギギギギッ……死ね!死ね!死ねえ!クイーンッ!」

 

「先輩!」

 

「『クイーン!』」

 

 

 ビリーを右腕で薙ぎ倒し、私に標的を定めながら鉄を容易に溶かす粘液を撒き散らしながら突進してくるリーチタイラント。レベッカとビリー、エヴリンが私のピンチに叫ぶ。対して私の頭脳は澄み切っていた。パズルが繋がる。見逃していたものの答えが分かった。そうか、この化け物を倒すたった一つの方法は…!

 

 

「これ、だああああ!」

 

 

 両手を掲げて交差し粘液糸を天井に伸ばしてくっつけ、両腕を肥大化させて異形のものに変形させ、交差を戻して粘液糸をクロスして力の限り引っ張る。ミシミシと軋む音と共に天井が破砕し、青空が見えて煌めく日光が降り注ぎ私たちとリーチタイラントを照らした。

 

 

「な、なんだ!?ぐ、グオオオオオアァアアアアアアアアアアッ!?」

 

「…我々は皮膚が透明で紫外線をもろに受ける。私は長年をかけて菌根の力で克服したが、そいつの身体にはお前の細胞が侵食している、お前はそうじゃないだろう。」

 

 

 

 恐らくだが、こいつは日光を浴びたことがこれまでないのだろう。マーカスを安置した森の中なら日光が届くのも稀だろうし、地下の研究所に潜んで機会を窺っていたならなおさらだ。私達の弱点を、こいつは知らなかった。あの時得意げに語ったプロフィールで、日光について何も触れていなかったのが引っ掛かってたんだ。

 

 

 

「ギアアアアアアアッ!?おのれ、おのれ、おのれぇええええエエアアアアアッ!!」

 

「ビリー、これを!決めて!」

 

「ああ、任せろ!おい、バケモノ野郎!」

 

 

 絶叫を上げながら影に逃げようと試みるリーチタイラントに、レベッカが取り出した大口径の拳銃をビリーに投げ渡す。受け取ったビリーは両手で構えると真っ直ぐ狙い、呼びかけに振り向いたリーチタイラントに向けて、引き金を引いた。

 

 

「これでも喰らいやがれ…!」

 

「グ、ギィイイイイイイイイッ!?」

 

 

 放たれた弾丸に胴体を撃ち抜かれ、血と臓物を撒き散らしながら断末魔の声を上げるリーチタイラント。体内の溶解液が溢れて身体を溶かしてバラバラにしながら、リフトの通路に落ちて行く。と同時に爆音。爆発だ。

 

 

「少々揺れるぞ!舌噛むなよ!」

 

『行こう、クイーン!』

 

 

 咄嗟に私は飛ばした糸でレベッカとビリー、オメガとヘカトを縛ると天井の大穴に向けて糸を飛ばし、エヴリンと共に空に舞い上がる、と同時に今の今までいた施設が大爆発。私達は爆風に巻き込まれるも、咄嗟に両腕を変形させて繭の様に全員包み込み、バウンドして転がって行きようやく止まると変形を解いて大の字に倒れる。

 

 

「はあ、はあ……こんなの、二度とごめんだ!」

 

「先輩……私達、やったんですよね…?マスターリーチを、倒した…?」

 

「ああ、やったぞレベッカ!クイーン、オメガ!エヴリン!」

 

『見えてない私まで気にかけてくれてありがとねビリー』

 

「…でも、ヘカトが……」

 

 

 歓喜する私たちだったが、一人だけ黙っていたオメガが、ゆっくりと下ろしたヘカトの死骸を悲しげに見下ろす。……私が間に合っていれば……。

 

 

「すまない、ヘカ……ト!?」

 

 

 するとヘカトの死骸が真っ白に染まり、パキパキと罅が入って何かが脈動する。それは見たことがあった。ヘカトが、人間態になったあの時と同じだった。出てきたのは、巨体だったヘカトに比べると縮みに縮んだ少女だった。水着の様に残った甲殻はそのままだが、メリハリの効いていたスタイルは子供そのもの。ムカデ腕も縮んでアームカバーの様になっていて、痛みばかり求めていた暗い目から一転、純真無垢さを感じさせるキラキラした瞳でこちらを見やる。私達が誰かわかっていないようだった。

 

 

「…われ、たんじょう」

 

「ヘカト!」

 

「わっ、わっ……お姉ちゃん誰?」

 

「誰でもいい、よかった……!」

 

 

 今までの無感情さというかクールっぷりが嘘の様にヘカトに抱き着いて涙を流すオメガの様子に、姉妹の様に思えてほっこりする私たち。エヴリンに至っては大泣きだ。ビリーは手錠を外して地面に転がり、レベッカも体育座りして一息ついている。…マスターリーチについては終わった、だが、まだだ。

 

 

「…見ろ。あれがエンリコの言っていた、古い洋館だ」

 

 

 私達のいる高台から見下ろせる場所に、その洋館はあった。見覚えがある。10年前、リサを助け出したあの場所だ。

 

 

「私とレベッカはいかねばならない。…オメガとヘカトも連れて行くしかないだろう。だがお前は自由だ、どうする?ビリー」

 

『私は!?』

 

 

 答えは分かり切っているボケをするエヴリンは無視だ。ビリーは考え込み、そして笑う。

 

 

「…死んでやる気も無かったが、俺が生きて行くには冤罪を晴らさなきゃならねえ。お前たちに迷惑はかけられない、一人で頑張るとするよ。ひと段落したらラクーンシティに行く、その時はおすすめの店を紹介してくれ」

 

「…ええ。コーエン少尉は報告書には死んだってことにしておく」

 

 

 頷いたビリーが手渡したドッグタグを手に取りながら、レベッカは笑い、敬礼。私とエヴリンもそれに倣う。ヘカトに抱き着いているオメガも、それに気付くと敬礼を行った。ビリーも様になる敬礼をして、私達は敬礼を崩して笑い合う。

 

 

「…死ぬなよ」

 

「お前もな、ビリー」

 

「また会いましょう!」

 

『その時までに私の姿を見せれる方法を探しておくね!』

 

 

 そう言葉を交わし、私とレベッカは洋館に向き直りその場を去っていく。オメガも小さなヘカトを背負い、エヴリンと共に着いてくる。それをビリーは、優しい顔で見送ってくれた。

 

 

「…ありがとう」

 

 

 サムズアップ。そしてビリーも反対方向に歩き出し、朝焼けの中に消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 これは私が、世界を救うヒーローになる物語。そしてここからは、これから本当に始まる地獄を生き抜く私の相棒の物語だ。

 

 

▼file0【女王ヒル編】~完~to be continued?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼file1【リサ・トレヴァー編】NEW!




某ゾンズで表すなら「養殖」だったマスターリーチ。「野生」だったクイーンと異なり、日光が弱点ということすら理解してなかったのが敗因でした。

頭部まで潰されていたものの、小さくなって復活を果たしたヘカト。脳もやられてたので記憶の引き継ぎはできなかったものの、オメガの感情を引き出す結果に。

ビリーとはいったんここでお別れ。そして物語の主役はクイーンの相棒へ。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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