BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。1編早々急展開。今回のキークリーチャー登場。楽しんでいただけたら幸いです。


file1:2【隊長との決別】

「ハァ………外が騒がしいわね……イラつくわ……」

 

 

 ジャララ、ジャラララ……と鎖を引き摺る音が暗闇の中に聞こえる。遠くから聞こえてくる銃声に、何かに隠された視線を向けるそれは、醜悪な異形の姿をしていた。蛸の触手の様に蠢く漆黒の長髪をたなびかせ、その上から人の顔の皮が複数で作られたマスクで右目以外鼻まで覆い隠し、露出した口元は犬歯が異常に発達して牙の様に伸びて口からはみ出ている。露出した右目は淀んでいてギョロギョロと忙しなく動き回って不気味だ。身に纏った汚れきった病衣から伸びた裸足の四肢は痩せ細り特に両腕が異常に伸びており、ゴリラのナックルウォーキングの様な動きで地下道を移動していた。

 

 

「アイザックスの馬鹿が戻ってきたのかしら……だとしたら捻り潰すけど。……ああ、来たのね」

 

 

 その異形の怪物は、地上を見上げて露出した口元で牙を剥き嘲笑を浮かべた。

 

 

 

―――――――マガイモノ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブラッドを除くアルファチーム全員が館に辿り着き、手分けして探索することになった。クリスとジョセフ、ジルとバリー、ウェスカーと私だ。……なんで?

 

 

「私とアリサはここを調べて確保しておく。四人は左右をそれぞれ調べてくれ」

 

「「「「了解」」」」

 

「油断するなよ」

 

 

 ジルとバリーは左の部屋に、クリスとジョセフは西の部屋に警戒しながら入って行く。私はおずおずとウェスカーに尋ねる。このタイミングで二人きりにされるのは嫌な予感しかしないんだけど…。

 

 

「あ、あの…ウェスカー…隊長?私も行った方が…」

 

「もしあのサーベラスとケルベロスが入って来たら応戦しないといけない。お前の強さが必要だからな、アリサ。頼りにしているぞ」

 

「サーベラス?ケルベロス…?あの、犬の化け物の名前ですか?」

 

 

 思わず首をかしげる。…そこで、なんで名前を知っているのか聞くべきだったと気付くのは遅すぎた。

 

 

「ああそうだ。特に三つ首のサーベラスはお前と同じ細胞を持ったお仲間だとも。なあ、アリサ・オータムス…いや、こう呼ぼうか。リサ・トレヴァー」

 

「っ…!?」

 

 

 その名前を呼ばれて血の気が引き、続けざまに言われた言葉を理解して頭に血が上るのを感じた。…私と同じ細胞を持った、お仲間…?お前は、お前たち(アンブレラ)はまだ……まだ、私を利用して……!

 

 

「ウェスカァアアアアアッ!」

 

「ビンゴか。回りくどく確証を得るよりも、さっさと問い詰めるべきだったな…!」

 

 

 渾身の力で殴りかかったのを、受け流されて床に転がされる。それでも床を踏みしめて無理やり体勢を整えて跳躍、飛び回し蹴りを叩き込むも足を掴まれて床に叩きつけられる。

 

 

「がはっ…!?」

 

「馬鹿力の事は知っている。脅威的な再生能力のこともな。だがお前はB.O.W.のクイーンとは違い、10年R.P.D.に所属していようがただの元一般人の女だ。格闘技術のイロハもない、そして痛みへの耐性もない。対処法はいくらでもある」

 

 

 痛みに悶える。悔しいがウェスカーの言う通りだ。切断とか貫かれるなどは慣れているが、打撲ダメージに対しては私は耐性が無い。拳も力任せに振りかざすことしかできない。

 

 

「…私が、リサ・トレヴァーだとわかっていたの…!?」

 

「確証はなかったがな。お前たちがR.P.D.に所属した時期と奴の逃げ出した時期が重なっていた。人並み外れた身体能力に怪力。それから極端に老化が遅い…いや、違うな?何かしらの手段で老化したように擬態していたのか。器用なものだ」

 

「…サーベラスに、私の細胞があるってのは……」

 

「刺客として差し向けた巨大蠍、スティンガーに腕を斬られたのを覚えているか?黄道特急に残されていてな、サミュエル・アイザックスと言う男の手で数多のB.O.W.を作る材料にされたんだ。サーベラスはその一体だ」

 

「…お前たちは、どこまで…!」

 

 

 許せない。悪びれずに言うこの男も、アイザックスとかいう奴も、アンブレラも許せない…!立ち上がり、拳を振るう。しかしウェスカーは足を揃えて膝で軽くしゃがみ、踏み出して私の足を引っ掛けて下方向に向かって背中で体当たりしてきた。衝撃が内部に伝わり、なにかがひしゃげた感覚と激痛と共に血を吐きよろめく。

 

 

「…がはっ」

 

「ただ馬鹿力の女に負ける程、弱いつもりはないぞ」

 

「このお!」

 

 

 奥の手。背中からネメシスの触手を複数出して攻撃するも、取り出したナイフを巧みに動かすウェスカーに全て斬り払われ、そのまま放たれた刺突を右手で受け止める。血が噴き出るが、力んでナイフの刃を固定してもぎとる様に力任せに刃を折る。

 

 

「バケモノめ。並のB.O.W.を軽く上回っているじゃあないか。素晴らしい」

 

「私をバケモノにした連中に褒められても嬉しくないよ!」

 

 

 そのままパンチ、パンチ。触手、蹴り。猛ラッシュを叩き込むも、全て軽々と避けていくウェスカー。触手を伸ばして追いかけるも、勢いが落ちたところを纏めて鷲掴みにされ、引っ張られて引き寄せられ、膝蹴りを顔面に叩き込まれて吹き飛ばされ柱に背中から叩きつけられる。

 

 

「ぐうっ……ここに来たのは偶然?それともアンブレラの命令で私をここに戻すために…?」

 

「それは違うな。ここに来たのは、アンブレラのライバル企業への手土産を得るためだ」

 

「…アンブレラ、じゃないの…?」

 

 

 その言い分じゃまるで、ウェスカーがアンブレラから脱しようとしているようじゃ……。

 

 

「アンブレラはもう終わりだ。負け戦に付き合うつもりはない。手土産としてT-ウィルスや、それによって生み出されたB.O.W.とS.T.A.R.S.を戦わせた実戦データ、…そしてお前の身柄を持っていこうと思ってな?知っているか。お前の髪の毛一本、爪先まで億は超える価値がある。実験で死なれては困る。痛めつけてから拘束し、連れて行かせてもらうぞ」

 

「どこまで、私を利用すれば気が済むの…っ!?」

 

 

 倒れたまま触手を伸ばしてウェスカーに距離を取らせるも、取り出したサムライエッジで背中を撃たれて呻く。そのままマガジンの弾丸全てを撃ち込まれ、激痛で身動きが取れないところに次のマガジンを装填しながら歩み寄ってくるウェスカー。

 

 

「とことん利用してやるさ。お前は最高の素材だ。T-ウイルスやお前から生み出されたRT-ウイルス、G-ウイルスの他にもウイルスは数多に存在する……これからも無限に等しく新しく作られていくだろう。そのたびにお前に打ち込み、新たなウイルスを作りだす。……本当なら用済みなんだがこちらも想定外が起きてお前が必要となった。悪く思うな。部下としてお前は好ましかった」

 

「…生意気な後輩だね」

 

 

 髪を掴まれて持ち上げられ、サングラスの下の瞳と目が合ったので睨み付ける。瞬間、発砲音と共に傍の床に着弾。見れば、ジルとバリーが戻ってきて銃を構えていた。

 

 

「ケネスが食い殺されたことを伝えに来たら……なにをしているの、ウェスカー!」

 

「弁明の内容によっちゃただじゃおかないぞ…!」

 

「…なに。この背中の触手が見えないか?アリサもバケモノだった、だから対処していただけだ。何の問題がある?」

 

「…アリサが人外だろうが仲間だ。いくら隊長でも、いきなり処罰はなくないか」

 

 

 そう言ったのはジルたちの反対側から出てきたクリス。傍にはジョセフもいて、明らかに怒っている様だった。

 

 

「み、みんなあ……」

 

 

 目が潤む。涙が出て来そうなのを堪えて、ウェスカーを睨みつけるとウェスカーは髪を引っ張ったまま私を立たせて拳銃を頭部に突き付けた。

 

 

「動くな。殺すのは容易いがお前たちにはまだ役目がある。こいつはバケモノだが脳を撃ち抜いてどうなるかは俺にもわからんぞ」

 

「ウェスカァアアアアッ!」

 

「楽しかったよクリス、S.T.A.R.S.諸君。アリサは連れて行かせてもらう。せいぜいいいデータを提供してくれ」

 

 

 そう言いながら銃を向けられジリジリと迫られつつ階段奥の扉をリモコンを取り出して開くウェスカーが勝ち誇る。しかし捕まった私には見えていた。現れた階段の奥からジャラジャラと鎖の音を鳴らしながら現れた異形の怪物の存在に。

 

 

「がはっ……!?」

 

「ああ、やっと殺せた。おかえりなさいウェスカー。待ちわびたわ」

 

 

 長い腕に胸部を貫かれ、私を手放して持ち上げられるウェスカー。そのサングラスの下の目が驚愕に見開かれる。壁に投げ捨てられ、血がべっとりと壁に塗りつけられて倒れ伏すウェスカー。そして人の顔の皮で作られたマスクから露出した右目が私を睨み付け、喜悦に歪んだ。

 

 

「私の名はリサ・トレヴァー。帰ってくるのを待っていたわ、マガイモノ」




タイトルは二重の意味。登場、リサ・トレヴァーを名乗る原作リサに酷似したクリーチャー。その正体は…?

早速裏切り、早速実力を見せつけ、早速殺されたウェスカー。なにしてんでしょうねこの黒幕。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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