BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。ファイルに記された一匹目が登場。クリス視点です。楽しんでいただけたら幸いです。


file1:4【ヨーン・エキドナ】

 ……恐ろしい気配が遠退いていったのを赤外線で確認し、通気管から顔を出す。この洋館に君臨する恐怖の象徴、女帝リサ・トレヴァー。地面で隔てた地下にいるだけでも感じる、本能的な恐怖。知性を得て物を考えることができるようになる以前ならいざ知らず。今の私にとっては恐怖の対象でしかない。しかし、見つからなければ怖くない。

 

 キョロキョロと見渡し、新鮮な餌を探す。お腹がすいた、空腹だ。また奴が現れる前に捕食しなければ。人間がいないと言うのは面倒だ。餌を自分で探すしかない。かつて私を飼育していた男は既に喰らったし、文句は言えないわけだが。

 

 変なぬめってるやつに解放されてからは腐った肉ばかり食べてきたが、そろそろ腐ってない肉を食べたい。そんなことを考えながら廊下を這って移動していると、鼻腔を新鮮な血の匂いがくすぐった。人ならざる口が弧を描く。

 

 

―――――――ミィツケェタァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゾンビ犬の群れから避難すべく入ったこの洋館は、とんでもないところだった。映画でしかお目にかけたことがないゾンビがそこらかしこに魍魎跋扈する。そのゾンビに食い殺されたらしいケネスもゾンビと化してしまった。人間の尊厳すら食い殺される地獄の果て、それがこの洋館だ。あの怪物、リサ・トレヴァーだけならまだよかったが、これでは脱出が急務だ。

 剣や鎧を象った鍵やデスマスクなどのアイテムを、先に進みアリサやジル、まだ見ぬブラボーチームの仲間たちと合流すべく、手分け……することなくバリーとジョセフと共に知恵を出し合い集めて行く中で。屋根裏倉庫に差し掛かった時だった。

 

 

「…なんだ?」

 

「どうした?クリス」

 

「…構えろジョセフ。なにかがいるぞ」

 

 

 それの気配を感じてサムライエッジを引き抜いた俺に頷くように、空軍時代からの親友であるバリーがマグナムを引き抜く。弾数が少ないこれを出すときは、バリーが出し惜しみしないときだ。それほどの、得体のしれないなにか。そして、それは俺たちの背後から襲いかかってきた。

 

 

赤頭野郎(クリムゾン・ヘッド)!?」

 

「また、こいつかよ!」

 

 

 背後からバリーに襲いかかってきた、頭を残して一度倒したゾンビが復活した存在であるクリムゾン・ヘッドと呼んでいる赤黒く爪が長く鋭く伸びたゾンビを、ジョセフが手にしたショットガンをぶっぱなして吹き飛ばす。しかし吹き飛ばされただけでびくともしない。ゾンビは頭を完全に破壊するか、灯油をかけて燃やすなりしないと一部の個体がこのクリムゾン・ヘッドになることはわかっている。念入りに処理してきたはずがまだいるとは……いや、俺たち以外にもゾンビを殺してる奴がいると言うことか!?

 

 

「くそっ!…バリー!」

 

「おう!」

 

 

 脚を撃ち、転倒させたところにバリーがマグナムを突きつける。…そこで気付いた。さっき感じた嫌な気配は、こいつじゃない。もっと純粋な、執着の様な……咄嗟に、振り向く。猫に似た縦に長い瞳孔のそれと目が遭った。

 

 

「伏せろ!」

 

「「!」」

 

 

 咄嗟に伏せながら叫んだ俺の言葉に、反射的にしゃがみこんだバリーとジョセフの頭上を、それが弧を描くかの如く飛び越え、その先にいたクリムゾン・ヘッドをまるで欠伸でもするかの様に大きく開けた大口で頭から丸呑みにしてしまう。クリムゾン・ヘッドは手足を振って足掻いていたがそれの腹を突き破ることはなく、力尽きたのかうんともすんとも言わなくなった。それは満足げに唸ると、俺達の足元に落ちた長い身体を蛇行させて蜷局を巻きながらこちらを一瞥する。蛙の様な皮膚を持つ、胴が妙に太い10メートルを超える巨体の蛇だった。

 

 

「巨大な蛇だと…!?」

 

「ゾンビ犬に三つ首犬、メドゥーサ(リサ・トレヴァー)にゾンビの次はでっかい蛇かよ!?」

 

「撃て!」

 

 

 まるで人間の様に首を動かして俺達をジッと観察する巨大蛇に、俺の号令で一斉に弾丸が撃ち込まれる。すると巨大蛇はのた打ち回って痛がり、尻尾を伸ばしてきて薙ぎ払い攻撃。狭い廊下では防ぎきれず、吹き飛ばされた俺はスタングレネードを取り出しながら叫ぶ。

 

 

「こいつは手が存在しない、いったん部屋に逃げ込むぞ!」

 

 

 スタングレネードを床に叩きつけて閃光と弾けるような爆音で怯ませ、俺達は屋根裏倉庫に飛び込み扉を閉める。あの巨体で体当たりされようがそう簡単に蝶番は破壊できないだろう。一息つける、はずだった。

 

 

「ぐああああああっ!?」

 

「ジョセフ!?」

 

 

 ジョセフの悲鳴に振り返ると、そこにはさっきまで外にいたはずの巨大蛇が、天井の通気口から顔を出してジョセフの腕に牙を突き立てていた。閃光にやられたはずの瞳まっすぐこちらを見てまばたきしていた。まさか、目を閉じて閃光を防ぐ程度の知能があるのか…!?しかも隙が大きい丸呑みにするのではなく、その苦しみ様から恐らく毒に侵されているジョセフから狙い、こちらを嘲笑っているかの様に嘲笑を浮かべている。

 

 

「仲間をよくも!」

 

 

 怒りに燃えたバリーがマグナム弾を叩き込む。通気口から胴体の半分を出していただけの巨大蛇は器用に身体をくねらせて回避するという芸当を見せるが、そこに俺が飛び込んでダガーナイフで胴体を突き刺し無理やり頭部の位置を固定する。

 

 

「バリー!」

 

「喰らえ!」

 

 

 そこにバリーが突進して来て顎に銃口を突きつけると接射。脳幹を撃ち抜かれた巨大蛇はのたうち、その巨体を通気口から力なくだらんと崩れ落として蜷局を撒く様に床に落ちる。俺とバリーは慌ててジョセフに駆け寄った。

 

 

「大丈夫か、ジョセフ!しっかりしろ!」

 

「はあ、はあ……苦しい……」

 

「血清がいるぞ、クリス。あんな蛇がいるんだ、どこかにあるはずだ!」

 

「医務室か薬品倉庫を探そう!」

 

 

 奥にあったデスマスクを手に取りながらジョセフに肩を貸し、バリーの先導で屋根裏倉庫を後にしようとする俺達。その後ろで、べチャッと粘つく音が聞こえて、背後を見ていたバリーが絶句したのを見て、思わず振り返り……俺も絶句した。

 

 

 巨大蛇の口から、蛙の様な皮膚の人と同じ形をした右手が、牙を取っ手の様にして、飛び出していたのだ。驚いている間に左手も飛び出てきて、上顎を持ち上げ、牙を取っ手に引き延ばす様に下顎を押して口を広げながら、それが這い出てくる。それはまるで脱皮の様だったが、あまりに異質だった。

 

 

「よいしょ、よいしょ……」

 

 

 シュウシュウと蛇の鳴き声を上げながら、女の声と共に巨大蛇の口から顔を出したのは、湿り気のある巨大蛇と同じ斑模様の髪の毛と蛇の瞳と牙を持つ、何故かアリサとよく似た顔の女。そのまま鱗に覆われた人の上半身、そして少なくとも8メートルはある長い蛇の下半身を引き摺り出して、抜け殻となった大蛇を蜷局を撒いた下半身で押し潰しながら、それは伸びをする。

 

 

「いい気持ち…!アア、喋れる!知能がありながら発声器官の無い事のもどかしさと言ったら!ヨーン・エキドナ…だったかしら?まあなんでもいいわ!逃がさない、新鮮な餌共!」

 

 

 人の言葉で喋ったヨーン・エキドナと名乗った蛇女が長い舌を出して威嚇する。バリーが構えたマグナムが、拘束で蛇行し近づいてきたヨーン・エキドナの右手にぶんどられ、とんでもない怪力で握りつぶされ投げ捨てられる。

 

 

「こんな危ないものはポイよ。痛かったんだから!」

 

「クソッ、逃げるぞバリー!」

 

 

 尊敬する先輩とよく似ているので躊躇したが、ジョセフが危険なため意を決してその顔を殴りつけ、バリーに呼びかけ外に出て扉を閉める。しかしすぐに扉を開けて、素早い動きでヨーン・エキドナは迫ってきたかと思えば、咄嗟に屈んだ俺達を飛び越えて前に立ちはだかろうとしていたゾンビを、その小さな口を大きく開けて丸呑みにしてしまう。くそっ、なんなんだここは!?




ヨーンにRT-ウイルスを打ちこんだことで生まれ、大ダメージから再生したことで完全に変態したヨーン・エキドナ降臨。さすがに元ネタみたいに母体能力はないですがとんでも可動域の大口と、怪力、赤外線による探知能力を持ってます。リサ・トレヴァーが苦手らしい。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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