BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
ライトを点けて地下の通路を当てもなく歩く。ここは私が監禁されていた鉄の牢獄みたいな場所とは違うみたいだ。全体的に近未来で、触れたら高圧電流が流れる壁が迷路の様に続いている。落ちてきた穴を伝って上に登ろうと私が最初に触ったからよかったけど、ジルが触れていたらと思うと恐ろしい。焦げて裂傷ができた右腕がまだ再生しきってないもん。
「本当に大丈夫なの?アリサ」
「大丈夫大丈夫、慣れてるから!10年ぶりだけど!」
電流を喰らうのは本当に久しぶりだ。クイーンたちに助けられるまでは日常茶飯事だった。どこまで再生できるのか、どうやったら死ぬのかと言う耐久実験。電気椅子に縛り付けられて10万ボルトの電流を流されるわ、焼き鏝を押し付けられるわ、レンチで殴られるわ、酷い時は布を被せられて水を浴びせられて窒息しかけたこともあった。今思えばただの拷問だなこれ。すごく痛いけどジルの前で情けない姿は見せられない。
「慣れてるのもどうかと思うわ……本当にどうしようもない酷い連中なのねアンブレラは。何のための通路なのよ」
「…多分、アイツ用だ」
リサ・トレヴァーを名乗った、かつての…というより異形の時の私とよく似た風貌、されど邪悪でしかない容貌の化け物。ギリシャ神話の怪物、メデューサと呼んでも差し支えない見た目をしていた。私をマガイモノと呼んでいるから自分が本物のつもりなんだろうが……マガイモノと呼ばれると、急激に言いようもない不安に襲われた。あの言葉を言われると何よりも先に否定の感情が出て、他に何も考えられなくなる。クリスたちがいたから助かったけど、あのまま捕まっていたらどうなっていたことか…。
「アイツって……リサ・トレヴァー?あ、ごめんなさい、でも呼び名がないと不便だから…」
「…とりあえずそれでいいや。アイツが私と同じなら、痛みには弱いはずなんだ。刺す、斬るとかの傷ならすぐ治るんだけど、打撲とか火傷とかじんわりと来るダメージはすぐ再生できないんだ。だから、これはアイツを閉じ込めて逃がさないための仕掛けなんだと思う」
「…この、床の隠しスイッチもそのためのものね」
そう言いながら、もう何度目かになる床にうっすら見える隠しスイッチを押して、前後の通路が音を立てて変形するのを眺める。まっすぐの通路が、あっという間にL字の通路になった。
「多分、法則性はある。あいつはそれを見破って、出口から出てきたはずなんだ」
「でもそれを見破っている時間はないわね。配電盤でも見つけられれば電気を止めてさっきの穴から出られると思うのだけど……」
「あ、無線でクリスたちに連絡してみる?地上にある可能性もあるし」
「それはいい考えね。じゃあさっそく…クリス、クリス!聞こえる!?」
《「ジルか!?」》
ジルの無線機から聞こえてきたのは、切羽詰まったクリスの声。同時に聞こえる破砕音。何かと戦っているらしい。まさか!?
「どうしたの!?まさか、リサ・トレヴァー!?」
《「いや、ヨーン・エキドナを名乗る蛇女に襲われている!この洋館はこんな怪物の巣窟なのか!?クソッ!ジョセフが毒にやられた!レベッカもいないし、血清がいる!奴の追跡から逃れながら、血清を探しているところだ!そっちは大丈夫なのか!?」》
「ジョセフが!?そんな、そっちこそ大丈夫なの!?」
「こっちもちょっと脱出に手間取っていて、配電盤を見つけてほしかったけどこっちはこっちでなんとかするわ!そっちはジョセフに集中して!」
《「わかった!落ち着いたら連絡する!死ぬなよ!」》
あっちも相当ヤバいらしい。ヨーン・エキドナって何?欠伸する蝮の女…?エキドナってあれだよね、ケルベロスとか生んだギリシャ神話の女神。…あの三つ首犬とかそいつが生んだってこと???
「アリサ、なんか信じられないものを目にした猫みたいになってるわよ貴女」
「いやちょっと理解が追い付かなくて…?」
「それにしてもどうしようかしら。配電盤が地下にあるって確証もないし……」
「エヴリンがいたら調べてもらえるんだけどなあ…あ、でも電気は苦手だったっけ」
「壁を擦り抜けられるんだっけ。それは便利ね。…っ!?」
次の瞬間、私達はなにもしてないのに、目の前の通路が動き出した。ゴゴゴゴッと音を立てながらスライドし、出てきたものに絶句する。黒く染まった体毛の、私達二人が壁に触れずにギリギリ通れるぐらいの広さの通路を占領するぐらい大きな巨体の蜘蛛だった。その奥には、通路に張り巡らされた巨大な蜘蛛の巣が、電流が流れてバチバチと光っていた。
「でかい蜘蛛…!?」
「ジルに手は出させない!って、あれ?」
どうやら床のスイッチを偶然起動したらしいそれは、こちらに気付くと跳躍、天井に張り付いて電流蜘蛛の巣の向こう側に移動。口から毒液を吐いて攻撃してきた。咄嗟にサムライエッジを引き抜いて弾丸を放つジル。しかしそれは、電流蜘蛛の巣に当たって高圧電流が流れてバチンと弾かれる。ならばと私がナイフを手に突撃して蜘蛛の巣を斬ろうとするも、口から糸を放出して私の右腕を拘束、引っ張って電流蜘蛛の巣に激突して感電する。
「あばばばばばっ!?」
「アリサ!?」
ジルがナイフを投げつけて糸を切断して解放してくれて背中から倒れる。なんか髪の毛が焦げてる音がする。し、死ぬかと思った……。
「なんてやつ……!」
「もう一回スイッチを起動して移動させるわ!」
「それだ!さすがジル!」
ジルに言われて、這い這いで近づき床のスイッチを殴りつける。するとまた通路がスライドしていき道が変わる。これで一安心、そう思ったが甘かった。
「キシャアアアアッ!」
「っ、嘘!?」
「逃げるわよ、アリサ!」
壁が融解する毒液を撒き散らしながら壁を突き破ってきた巨大蜘蛛。咄嗟に拳を振り抜くも、毒液を撒き散らして防がれ私の右手がドロドロと溶け落ちてしまった。焼けるような形容しがたい痛みが襲いかかってくる。
「にゃああああ!?感じたことない痛みぃいいいい!?」
「いきなり腕千切らないでくれる!?」
このままじゃ全身溶けてしまいそうだったので、右腕を肘下から千切り取って新しい腕を生やして最悪の事態を回避する。そして私は左手で持った溶けて行く自分の右腕と、巨大蜘蛛を見比べて、にやりと笑みを浮かべた。
「これでも喰らえー!」
「キシャァアアアアッ!?」
「うわあ」
ドロドロと溶けて行く私の右腕を顔面に叩きつけると、巨大蜘蛛は悲鳴を上げて後退。壁にお尻がくっ付いて感電、黒い体がさらに黒こげになって崩れ落ちる。毒液とか蜘蛛の糸とかで回避してただけで普通に電気は効くのか。
「倒した…かな?」
「多分…!?アリサ、逃げるわよ!」
「なに、どうした……の!?」
すると巨大蜘蛛の死骸から20センチぐらいの子蜘蛛の群れが大量に出現。私達は慌てて、壁に触れない様に逃げ出すのだった。
「皿の上のごちそうが避けるんじゃないわよ!…今の語彙あってる?」
モグモグとゾンビを丸呑みして口を動かして味わったのか舌なめずりしながらヨーン・エキドナがキレる。奴が飛びかかり、俺達が避けてその先にいるゾンビが丸呑みにされる。さっきからこれの繰り返しだ。途中ジルからの連絡が来たが、それでもかまわず突撃を繰り返してくるのは勘弁してほしい。
「答えなさいよ!餌の分際で!」
「俺達は餌じゃないぞ!」
「アイツ以外の生物は等しく私の餌なのよ!」
そう言って、飛びかかるのはやめて踊るようにして、長い尻尾の下半身を鞭の様に振るってくるヨーン・エキドナ。咄嗟に避けた先の壁が大きく抉られて向こうの部屋が見えた。しめた。
「バリー、俺が囮になる!お前はジョセフを連れて血清を探せ!」
「なに?大丈夫なのか?」
「なんとかする。ジョセフを頼む!おい、こっちだ突進ばかりの低能蛇野郎!」
「お前から、喰う!」
壁の穴から部屋に飛び込みつつ挑発してやるとバリーたちには目もくれず蛇行して追いかけてくるヨーン・エキドナ。やってやる!
地下繋がりで登場、ブラックタイガー。特に強化はされてないけど生息域が変わっているため電流蜘蛛の巣と言う能力を引っ提げて登場です。
そして単独でヨーン・エキドナに挑むクリス。苦戦必至です。
次回、ついにアイツが…?次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。