BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はウェスカー不在のセルケトの話。楽しんでいただけたら幸いです。
来た道を引き返し、廊下を歩く。相変わらず立ちはだかるゾンビは、出てきた瞬間右の腕と足を振るい、尻尾を自在に動かす蠍女に首を刎ねられ倒れて行く。…恩人(?)を蠍女と呼ぶのもなんか嫌だな。
「案内するのはいいが……お前、名前は?」
「試作B.O.W.type-y139スティンガー改。…コードネームはセルケト。そう呼びなさい」
その口から紡がれたのは、まるで商品名の様な単語の羅列。さらには試作という言葉にB.O.W.という略語、呼び名を短絡するコードネーム。…それは空軍にいた時に慣れ親しんだ、戦闘機などの兵器のそれだった。
「…B.O.W.?」
「
やはり兵器か。それも生体兵器……アンブレラといえばラクーンシティを中心に活動している世界的な製薬会社の名前だが……そのアンブレラがそんなものを?
「何も知らないのね、あなた。本当にあの二人の後輩でアルバート・ウェスカーの部下なのかしら」
「あの二人…?」
ウェスカーはわかる。恐らく
「かつて私を返り討ちにしたクイーン・サマーズとアリサ・オータムスよ。あの二人も恐らくB.O.W.よ。知らされてなかったみたいね?」
「あの二人が……」
アリサについては、納得がいった。ヨーン・エキドナやセルケトの顔がアリサと瓜二つな理由なのだろう。だがクイーンもとは……いや、あの二人は尊敬できる先輩だ。例えB.O.W.だったとしてもそれは変わらない筈だ。
「二人に……復讐したいのか?」
「前はそうだったけど、今は私を生み出しておいて裏切った二人を殺したい。アルバート・ウェスカーとウィリアム・バーキン。奴らを殺せるなら私は何でもするわ。殺す前に理由ぐらいは聞いてやるけどね」
そう語るセルケトの目は真剣で。本気でウェスカーを憎んでいることが見て取れた。
「この部屋だ。…!?」
「…これはどういうことかしら」
そんな話をしながらエントランスホールへの扉を潜り、ウェスカーの死体が倒れていた箇所を見て絶句する。とんでもない量の流血の跡はあれど、ウェスカーの身体は忽然と姿を消していた。背後のセルケトの声に怒りを感じ、振り向いた瞬間鋏が首を狙って振るわれ、咄嗟に手首を掴んで受け止める。
「ま、待て!確かにウェスカーはここで殺されたんだ!」
「嘘おっしゃい!死体なんてどこにもないじゃない!騙したわね!」
騙されたのだと激怒するセルケト。その怒り様は異様だった、まるで騙されることそのものに怒っているかのような……左手で胸倉を掴まれ尻尾が振るわれるも、なんとか蹴り飛ばして弾く。実質腕が三本あるようなものだ、厄介だな。だが、ヨーン・エキドナと違い話は通じる。なんとか説得を…!
「恐らく誰かが死体を持ち去ったか…そうでなければゾンビ化して動き出したんだ!」
「ゾンビが扉を開けるなんて器用なことできる筈ないでしょ!扉は何処も開いてなかったじゃない!」
「ごもっともだが俺も混乱しているんだ!そこの大穴から落ちたのかもしれない!」
「穴ですって…!?」
アリサとジルが落ちた穴を指差すとセルケトも振り向く。すると、ひょこっとジルが顔を出してぎょっと目を見開いた。すぐに状況を把握したのかサムライエッジを構えて引き金を引くジル。
「クリス!?クリスから離れなさい!」
「ちっ!」
サムライエッジから側頭部目掛けて放たれた弾丸を鋏を盾にして弾き、俺を手放して跳躍して追撃を逃れるセルケト。
「アリサ!お願い!」
「おっけー!」
すると下にいるらしいアリサに呼びかけたジルが勢いよく飛び上がって床に着地。よろめきながらもサムライエッジを連射するジル。吹き抜けの二階通路の手すりに、器用にも右足の鋏を広げてひっかけ逆さまとなったセルケトは鋏と尻尾を振り回して弾丸を弾き、左手を向けて指先から針の様なものを飛ばして反撃。ジルは側転でそれを回避し、反撃する。
「ただの人間にしては、やるじゃない…!」
「そっちもバケモノにしてはやるわね…!」
互角の攻防を繰り広げる二人に、俺はどうすればいいかわからなくておろおろするしかない。ジルに加勢すべきだろうが、ウェスカーを恨んでいるらしいセルケトをここで倒すのも得策とは思えん。どうすれば……。するとそこに、気の抜ける掛け声を上げながらアリサが穴から這い上がってきた。
「よいしょ、よいしょ…ふうう、やっと出れた。配電盤を見つけて電気を止めたおかげでここから出られた……え、あれ?セルケト!?」
「アリサ!」
「あれ、なんでここにいるのクリス?ってそれどころじゃないか…!」
アリサは撃ち合うジルとセルケトを見て何が起こっているのか把握したのかアリサ専用カスタムのサムライエッジ、ルヒールを抜くとセルケトの身体を支えている鋏が引っ掛かっている手すりをを狙って狙撃。
「えっ?ぐえっ!?」
支えを失ったセルケトはそのまま頭から床に激突、悲鳴を上げて崩れ落ちた。今の、首が折れる落ち方だったぞ……。
「相変わらず不意打ちに弱いね。セルケト」
「アリサ・オータムス…!」
「知り合いなの?アリサ」
「因縁の相手かな」
頭を押さえながら立ち上がり睨み付けてくるセルケトに、サムライエッジを突きつけながら警戒を緩めないジルの問いかけになんてことでもない様に応えるアリサ。
「生きてたんだ今度は何?私達S.T.A.R.S.の始末でもウェスカーに依頼された?」
「ウェスカーだと?私は奴の
「え、なんで怒るの?」
怒り、尻尾を突撃させるセルケトと、驚きながらもしっかり尻尾を握って受け止め、銃を突きつけるアリサ。その怪力は人でないことを、セルケトが言っていたのが事実だと物語っていた。つまりセルケトの言ってたことは真実、ならば…。俺は、ナイフで尻尾を斬り上げながらセルケトとアリサの間に割って入った。
「クリス!なんのつもり!?」
「待て!こいつは、セルケトはもうアリサたちを殺そうとはしていない!」
「クリスは知らないだろうけどそいつはアンブレラの刺客だよ。殺しておかないと私達が殺される」
「いいや、違う!こいつはウェスカーに裏切られたと言っていた!目的は、何故かここから消えたウェスカーだ!偶然とはいえ俺をヨーン・エキドナからも救ってくれた!」
「クリスを助けた?それにウェスカーが消えたって…うわっ、ほんとだ」
「……どうやらここにウェスカーの死体があったのは本当みたいね」
真っ先に状況を理解したのか臨戦態勢を解くセルケト。騙していないと理解してくれて何よりだ。それを見て、アリサもルヒールの銃口を下ろした。
「…私達を殺さないって根拠は?」
「殺す理由がない。私が殺したいのはウェスカーとバーキンよ」
「あの二人、私達だけじゃ飽きたらずセルケトまで怒らせたのかあ……うん、それなら納得できるかな。…私達…正確には私とクイーンはアンブレラに復讐したい。あなたはウェスカーとバーキンに復讐したい。なら目的は同じだよね?共闘できない?」
そう提案するアリサ。相変わらずの人の好さだ。俺も人のことを言えないが自分を殺そうとした奴にそんなことを言うなんてな。ジルも苦笑いを浮かべている。するとセルケトは鋏を顎に当てた。
「…確かに一人でこの洋館でウェスカーを探すのは骨が折れるわね。乗ったわ。ウェスカーとバーキンを殺すまで協力する。それでいい?」
「うん、むしろ手伝うよ。じゃあ、他にも生きてる人間がいたら私達の仲間だから殺さないでね。…あと、バーキンの娘のシェリーには手を出さないこと」
「あら、運がよかったわね。バーキンを呼び寄せるために人質に取ろうとしていたところだったわ」
「シェリーに手を出したら許さないからね」
バチバチと睨み合いながらも、左手で握手を交わすアリサとセルケト。…本当に大丈夫か?これ。
目的が同じ故の共闘戦線。アリサ顔だからかどうしてもセルケトを敵として見れないクリスくん。まだまだ甘いです。
6編はもとより、2編、3編、ベロニカ編、ダークサイド編、ディジェネレーション編の構想がある程度固まりました。大まかな流れは考えてるけど登場クリーチャーなどは毎日考えているのだ。特に面白くなりそうなのはベロニカ編。ここら辺はスムーズに行けそう。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。