BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。何がとは言わないけど感想で全然気づかれてないようだったんで小刻みにどんどん出していくことにします。かの有名なピアノネタもあるよ。楽しんでいただけたら幸いです。


file1:10【君は天才だ(it's a genius)

 私の名を騙る怪物に返り討ちにされた私は気を失い、夢を見た。

 

 

「音声記録、1987年9月7日。今日も動きが見られない。私の研究が正しければ今日にでも目覚めておかしくないはずだが…」

 

 

――――緑色の液体に浸かり、白衣を着た金髪を撫でつけた様な髪型の男をぼんやりと見つめる。すると目の前の男は信じられない様に目を見開き、手にしていたテープレコーダーを取りこぼした。

 

 

「目覚めたか……やったぞ、RT-0■が遂に完成した…!やはり私の研究は正しかった!非常に強力な非発がん性変異原、2本鎖のRNAウイルス!寄生した細胞自体を異常進化させる始祖ウイルス、またの名をクレイウイルスの応用!素晴らしい成果だあ!」

 

 

 RT、の次の言葉がまるでのノイズが走っているかのように聞こえなかったけど。私をウイルスの実験台にしているのはすぐに理解できて。でも夢うつつの様な状態から抜け出せない。強烈な脱力感に、逆らえなかった。

 

 

「A型株を投与したジェシカ・トレヴァーは融合できずに失敗したが、B型株を投与しそれに見事に適合したリサ・トレヴァー!君は素晴らしい!最高だとも!君は天才だ(it's a genius)!天賦の才としか言いようがない、神に愛された適正だ…!君の遺伝子こそ人類の頂点だよ!」

 

 

 狂ったように歓喜の声を上げる男に、何を言ってるか分からなくて首をかしげると、ごぼぼっと気泡が上がった。すると、部屋の入り口が開いて眼鏡と白衣の研究員が書類を手にやってきた。26歳くらいだろうか、少なくとも目の前の男よりは若く見える。

 

 

「アイザックス博士、少しよろしいですか?」

 

「なんだ、フレデリック・ダウニング。若手研究員の分際で。私は忙しいんだ」

 

 

 アイザックスと呼ばれた男はフレデリック・ダウニングと呼ばれた男を毛嫌いしているのか冷たい態度を取っている。人間嫌いなんだな、と思った。

 

 

「スペンサー卿から電報です。■■■■作成実験の報告を催促されています」

 

「そう言うことは早く言え!すぐにでも報告書を作成するとも!ナサニエル・バードはいるか!」

 

「なんでしょうか、アイザックス博士」

 

 

 偏屈そうな白衣の男が部屋に入ってきて、私を見てギョッとする。成功したとか言ってたから多分私が目覚めたことに驚いているのだろうか。しかしアイザックスは人をフルネームで呼ぶタイプらしい。相容れないなと思った。

 

 

「私の代わりに彼女の経過観察をしろ!何か異常があればすぐにでも報告するんだ、いいな!」

 

「承知しました」

 

 

 かしこまるナサニエル・バードを歯牙にもかけず、一瞥だけして薄暗いこの部屋の扉を開けて去っていくアイザックス。それを見送り、肩をすくめるナサニエル・バード。

 

 

「まったく……あの人にも困ったものだ。普通の感性の持ち主ならこんなものを人に任せるかね」

 

「まあいいじゃないですか。役得でしょう?」

 

 

 そう言われて己の姿を見下ろして、意味を理解する。このフレデリックとかいうエロメガネ、次会ったら殴る。

 

 

 

 

 

 

 

――――でもこれ、夢にしては鮮明な様な……。

 

 

 

 

 

 

「しっかりして、アリサ!」

 

「ハッ!?」

 

 

 聞き覚えのある声に引き寄せられるようにして、意識が浮上する。目の前にはジルの顔があって、横を見ると腰を下ろして右腕の妙にテカる鋏と尻尾を撫でてるセルケトがいた。周りのクリスとバリーとジョセフは目をひん剥いて驚いている。え、あれ…?

 

 

「えっ、セルケトなんで…?腕ちぎられてたよね?」

 

「そうだよな…?やっぱり腕が治っているのおかしいよな…?」

 

「頭を潰されたとか心臓を破壊されたとかではない限り、この程度なら再生できる。お前の遺伝子で作られたんだぞ私は。お前にできることができないわけないだろう」

 

「あ、そっか」

 

 

 そう言われてそう言えばスティンガーに腕を切断された時に普通に再生できたなと思い出す。そうだった、私頑丈だった。でも殴る蹴るはどうしようもないんだよね…。そうしみじみする。

 

 

「クリス、礼を言う。お前のおかげで目的を遂げることなく死ぬことを回避できた。感謝する」

 

「いや、俺達こそ…お前に助けられた。あの時見捨てることもできただろう」

 

「共犯者らしいからな。アリサなら庇わなかったがお前たちは脆いから守るべきだと判断した。余計なお世話だったか?」

 

「いや、いや……ありがとう。なあバリー、これでも信用できないか?」

 

「…いや。俺が悪かった。こいつはどうやらいい奴らしいな」

 

 

 クリスの言葉に、そう笑い返すバリー。ジルとジョセフも安心した様だ。……確執がとれたならよかったけど。

 

 

「私はともかくとはなんだ」

 

「お前は例え四肢をもがれても死なないだろう」

 

「そうかもだけど!」

 

「少なくともそこの奴程度の傷では死なないバケモノだ。私とお前はな」

 

 

 そう尻尾で背後を示されて振り返り、私が横に寝かせたフォレストの遺体を目にして、心臓が締め付けられるような感覚が支配する。そうだ、あいつにフォレストは殺されて……私は結局、仇を取れなかったんだ。呆然としていると、クリスが歩み寄って目をつぶる。

 

 

「…フォレスト。来るのが遅くなってすまん。だが仇はとるぞ」

 

「ええ、必ず…!」

 

「約束するぜ…」

 

 

 クリスに続くジルとバリーに、何も言えないでいるとジョセフが私の肩を叩いて、優しい顔で告げた。

 

 

「フォレストの仇、とろうな。今度はみんなでだ」

 

「…うんっ」

 

 

 こぼれそうだった涙をぬぐい、きっと前を向く。進もう、フォレスト以外…クイーン、エンリコ、エドワード、リチャードにも会わなきゃ…!

 

 

 先程の夢から目を逸らし、私は前に進む。…重大な思い違いをしていることに、私はうすうす感づいていながらも気付こうとはしなかった。考えようとも思わなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1Fのグランドピアノが置かれたバーにて、奥の棚を調べたら「月光」の楽譜を発見。一部が抜けていたので、2F小食堂で入手しておいた楽譜の中間ページを組み合わせて完成させ、なんだかわからなかったけど弾いてみることになった。

 

 

「私、ピアノやってみたい!」

 

「それはいいけど…アリサ、楽譜読めるの?」

 

「え、読むの?…これを?英語じゃないし読めないよ?」

 

「フッ」

 

 

 意気揚々とやる気を出してみるも、ジルに問いかけられ一度楽譜を見てから読めるはずもない記号の羅列に首をかしげていると、セルケトに鼻で笑われた。見ればクリスとバリーとジョセフも笑いをこらえている。

 

 

「なにがおかしいの!」

 

「楽譜はな、譜面を読んで演奏するんだよ。貸してみろ、手本を見せてやる」

 

 

 そう言って左手で楽譜を手に取りピアノにセットして椅子に座るセルケト。そのまま鍵盤を流れる様に弾き鳴らして、思いっきり音が外れて固まる。見れば、右手の鋏で演奏しようとして盛大に失敗したらしい。そりゃ、うん。五本指で演奏されることを想定されてるだろうから鋏じゃ無理だよね…。

 

 

「セルケト、顔真っ赤だよ?」

 

「っ~~~~!譜面も読めないお子様が馬鹿にするなあ!」

 

「お子様じゃないもん!ピアノ習ったの何年前だと思ってるの!20年前だぞ!」

 

 

 顔を真っ赤にして両手を上げて威嚇するセルケトに、私もガーッと両手を上げて威嚇することで返す。

 

 

「アリサ、何歳なんだ?」

 

「クリス、女性に年齢を聞くのはアウトだぞ」

 

「そうだぜクリス。俺は何歳だろうと構わないがな!」

 

「…はあ。私が()くわ」

 

 

 その後、ジルが普通に演奏して仕掛けが解かれて、私とセルケトは何とも言えない顔で見つめ合い、溜め息をついたのだった。……普通の人じゃないってこと、痛感するなあ。




フレデリック・ダウニング。ナサニエル・バード。この二人の名前でピンときた人はバイオシリーズに結構詳しい人だと思います。どっちもフルネームを覚えている人は少ないんじゃないかな。

11年前の出来事だけど本性現したサミュエル・アイザックス。その人物像は「マシになったマーカス」といった感じです。年齢はこの時点で30前後。この夢の意味とは…?

アリサと同じで即再生できるセルケト。何度も生死の境をさまよった結果。なおピアノの知識はあっても弾くことは叶わなかった模様。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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