BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は新たなリサ・シリーズが登場。楽しんでいただけたら幸いです。
エンリコ隊長たちと別れて、犬の化け物どもに追われ迷い込んだ洋館を探索する俺ことラクーンシティ警察署R.P.D.の特殊部隊S.T.A.R.S.のブラボーチームのバックアップマンを務めるリチャード・エイケンは、相棒のケネスと逸れて隠し通路らしき場所に落ちて巨大な水槽の真上の様な大部屋に迷い込んでいた。
「こんな洋館になんでこんな水槽が…?屋敷の主の趣味か?」
そんなことをぼやきながら水槽上の通路を歩き、出口を探す。まさかないとは言わないよな?するとチャプチャプという波音が聞こえて振り向くと、そこには異様な女がいた。サメの頭部の様なパーカー?を頭から被って口の部分からアリサとよく似た顔を見せる半裸で青白い肌の女性で、上半身のみを水槽から出してこちらをじっと見つめている。よく見ればパーカーだけで水着も身に付けてないことに気付いて、慌てて視線を逸らす。
「なんだ…驚かせるな。ここの住人か?」
「うん、ここは私の水槽だよ。私はグラ」
「すまない、俺は洋館に迷い込んだ者だ。すぐ出て行くから出口を教えてくれないか?」
「…おにーさん、逃げないんだ?」
「え?ああ、犬の化け物たちからは逃げてきたぞ。あれはなんなんだ、何か知っているかい?」
「他の奴は知らないけど、おにーさんが怖いもの知らずだね!」
そう言って下半身も自ら出して、俺は目を丸くする。目を惹くのは臀部から生えた、イルカの尾ヒレの様なものがついた太い尻尾だ。生きている様にぴちぴちと震えている。そして、脚の指の間に生えた水かきと、背中から突き出た鰭は人間じゃないことを表していて、よく見れば両手の指の間にも水かきが、パーカーと思っていたサメの頭部から覗く首筋には鰓が付いていて、大きく開いた口には鋭く生え揃った牙が。それはまさしく、サメが人間になったかのような……
「私はグラトニー。ネプチューン・グラトニーのグラだよ!シャーッ!」
「っ…ぐあああっ!?」
牙の様に指を曲げた両手を顔の横に置いて可愛らしく威嚇した瞬間、水槽に飛び込んだネプチューン・グラトニーを名乗った怪物に、後退して逃げようとした俺の指が食いちぎられる。高速で水中から飛び出してきたネプチューン・グラトニーの牙で食いちぎられたことに気付いたのは一瞬あとだった。
「久々の獲物だ!せいぜい足掻いて楽しませてよね!」
その言葉に俺は恐怖し、食いちぎられた右手を庇いながらその場を逃げ出した。
洋館に向かっていた私達は、入り口付近にサーベラス数体が率いたケルベロスの群れを発見。私、エヴリン、ヘカト、オメガのB.O.W.組だけなら正面突破できるだろうが、普通の人間であるレベッカが危ないので、迂回して侵入を試みることにした。
「エンリコの奴め、こんな危険なところなら言っといてくれ…」
「多分隊長もこんなことになっているとは思ってなかったと思いますよ…」
『オメガちゃん、犬が出てきたら全部首を狩っちゃえ!』
「了承。ヘカト、しっかり掴まって」
「うん!オメガ!」
視界の端で、ムカデ腕を交差させたヘカトがしがみ付いたオメガが、飛びかかってきたケルベロスを斬首しながらヘカトを気遣う様子が目に入る。仲がいいのはいいことだが、ヘカトを気遣う瞬間と言う明らかな隙ができてしまっているな。気付いてないようだしカバーしてやらねば。
「ちい!サーベラスが量産型とは、な!」
右腕の先端の同胞たちを蠢かせ、三つ又の刃に変形させて飛びかかってきたサーベラスの三つの頭全てを貫いて投げ飛ばす。ケルベロスの血を流しすぎたせいか、嗅覚が鋭敏な犬どもが集まってきている。このままじゃ埒が明かない。そんななか洋館の裏手に、ログハウスの様な建物を見つける。
「あの建物に飛び込むぞ!エヴリン!」
『なに!?今忙しいんだけど!』
大声を出してサーベラスを怯ませてオメガに始末させているエヴリンに呼びかける。我ながら名案を思いついた。
「オメガへの指示は私が引き継ぐから、お前は先に向かえ。私とレベッカの無事をアリサに伝えろ。あとアリサの顔をしたB.O.W.が二体いるが仲間だから驚くなともな」
『後者は知ってても無理だと思う』
「私もそう思う。行け!」
『はいはい、かしこまり!』
大きく体を捻り、ピューン!と勢いよく木々の間を飛んでいくエヴリン。身体を捻る必要があったか?気分の問題か、そういうやつだった。
「ワウッ!?」
「ワウ!」
「オメガ…ちゃん、今だ!やれ!」
それを見た能無しの犬どもが反応してエヴリンの飛んでいった方向に振り向いた隙を突いて、私の変形する両腕とオメガの爪、レベッカのサムライエッジで一網打尽にする。思った通りいい囮になったな。
「レベッカ、先に行け。私が殿を務める」
「わかりました、先輩!」
そのままレベッカが銃床で窓を壊して鍵を開けて中に入り、ヘカトを背負ったオメガも続く。私も飛び込み、窓を粘液で塞いで一息つくのだった。
ヨーン・エキドナを倒し、一息ついた私はセルケトに肩を貸されながらも小屋まで戻ると、ダメージからクリス、ジル、バリー、ジョセフが回復していたところだった。
「アリサ、セルケト!…奴は倒したのか?」
「うん、なんとか…セルケトのおかげだよ。みんなは無事?」
「打ち付けた箇所が痛むがそれぐらいだ…」
「俺は腰痛になりそうだぜ、ったく…」
腰を押さえながらぼやくバリーにみんな笑う。そんなときだった。クリスの持つ無線機がガガガッ!と音を立てた。着信だ。
「これは…!?」
「クイーンたちかも!ここじゃちゃんと繋がらないみたい、外に出よう」
「ええ、そうしましょう」
無線を繋げるために外に出て、セルケトが尻尾の先端に無線機を引っ掻けて空に掲げると、聞こえてきたのは男の声だった。聞き覚えのある声だ。
《「――――ちら、ブラッド!アルファチーム応答願います!アルファ!おい、誰か生き残っていないのか!?」》
「こちらクリス!聞こえるか、ブラッド!」
吊り下げられた無線機にクリスが叫ぶ。ゾンビやケルベロス達を引き寄せかねないから、早くしないと。
《「繰り返す!こちらブラッド!アルファチーム、応答願う!隊長!クリス!バリー!ジョセフ!ジル!アリサ!誰かいないのか!?」》
「こちらクリス!おい、ブラッド!…くそっ!」
「どうやら聞こえるだけでこちらからは通じないようだな。他の奴等はどうだ?」
セルケトに言われて、おのおので無線機を確認する私達。取り出してわかったけど、うんともすんとも言わなかった。
「…そもそも繋がらないや。見た目に変なところはないから最初から壊れていたっぽい」
「まさか、ウェスカーが細工を?」
「ありえるな。俺達を孤立させるのが狙いか」
「元々俺達を分断させるつもりだったんだろう。俺達が報告に戻るまでの間にアリサを仕留めきれなかったのは想定外だったはずだ」
「ちくしょう!あの金髪グラサン野郎め!」
消えたウェスカーに怒りが募る。くそっ、私だけは分かってた。分かってたはずなのに……まさかクリスたちまで犠牲にしようとするなんて思わなかった。甘すぎた…。
「ごめん、私がしっかり警戒していれば…」
「とりあえず、先に進もう。アンブレラの研究施設ならどこかにヘリポートなりある筈だ」
「なるほど、こんな辺鄙な場所だものね」
「ヘリがないと逆に不便か。狙い目だな」
「そうと決まれば急ごうぜ!」
ジョセフの言葉に頷き、私達は先を急ぐのだった。目指す先、寄宿舎にヨーン・エキドナを越える魔物がいることにはまるで気付いていなかった。
というわけで以前メモで明かしていたネプチューンの強化体というか子供個体の名前はネプチューン・グラトニーでした。正直一番ネーミングに悩んだ。
ついにクイーンたちも到着。合流はできるのか?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。