BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
中庭の貯水池で四角クランクを使い、寄宿舎までやってきた。研究員たちの宿舎らしく、ログハウスのような造りだ。
「寄宿舎まで来たはいいけど……なにをすればいいんだろ?」
「とにかく脱出の術だな。ヘリポートなりの手がかりを探そう」
「どうやら開かない部屋もあるみたい。鍵も必要ね」
ジルが手頃な扉のノブを握ってガチャガチャ捻るが開く気配はない。専用の鍵が必要そうだ。
「ここはそんなに広くなさそうだ、手分けして探索した方がよさそうだな」
「バリー、正気か?なにがいるかもわからないような場所で分かれるのは自殺行為だぞ」
「なにもひとりひとり分かれようって話じゃない。全員で動いたほうがこんな狭いところじゃ動きにくいだろう?ウェスカーが抜けたが代わりにセルケトが入ってちょうど6人いる。2人ずつに分かれて探索するのはどうだ?」
「なるほどな、どう分ける?」
「……私とクリス、アリサとジョセフ、バリーとジルに分かれるのが戦力的にちょうどいいかもね。異論はある?」
バリーの提案に賛同したジョセフの問いかけに、セルケトが組み合わせを述べる。兵器として育てられた頭脳が導きだした答えなら異論はない。
「そうしよっか。行こう、ジョセフ」
「おう、また頼むぜアリサ。頼りにしてる」
「私もだよ、ジョセフ。じゃあ……セルケト、クリスのことは任せたよ」
「任された。こいつなら背中を預けられる」
「バリーも、ジルをよろしくね」
「ああ。気を付けろアリサ」
その言葉に頷き、私たちは分かれてその場をあとにした。このとき、私は仲間の一人の様子がおかしいことに気付いていなかった。
とある一室にて、私は床に散乱した新聞紙を手に取って読んでいた。こういうところに仕掛けのヒントがあったりするからね。
「新聞だ……S.T.A.R.S.について書かれてる記事ばかり残されてる」
「S.T.A.R.S.ファンでも住んでたってことか?」
「そこまではわからないけど……私たちに」
目につくのは隊長であるウェスカーや、S.T.A.R.S.に入る前から活躍してた私とクイーンの写真だ。ウェスカーは写真からでも胡散臭い雰囲気がするのは笑いどころかな。私の写真は…………そうか、私を研究していたここの研究員なら写真の私の顔を見てピンと来ていたかもしれないのか。だからセルケトにも襲撃されたのかも。しまったなあ、目立つのは得策じゃなかった。
「あ、我の顔だー。でも髪の色ちがうー、ふーしぎー」
「そうだね、不思議だね……!?」
「あ、アリサ?ムカデ?」
可愛い舌足らずな声に思わず同調して振り返り、ギョッと目を見開く。なんか、巨大なムカデがアームカバーのようにと言うか一体化したような両腕と、水着のようにムカデの甲殻を身につけた、金髪の幼い私の姿をしたナニカがそこにいた。ジョセフは驚いてショットガンを手に警戒しているが撃つ気になれないようだ。そこに、廊下を駆け抜けてくる緑の影がいた。
「ヘカトから離れろ!」
「っ!ジョセフ、後ろに避けて!」
「うおおおおっ!?」
慌てて後ろに下がって尻餅をついたジョセフの首があったところを通りすぎたのは、鋭い爪。その顔を見て私は叫びたくなった。局部や手足の先のみ緑の鱗に包まれた、鋭い爪を生やした右手を持つ黄色い爬虫類の様な瞳と短く切り揃えた緑がかった髪を有する、やっぱり私と瓜二つの容姿を持つ少女だった。少女は私とジョセフを警戒しながらも後ろのムカデな私に視線を向ける。その視線は柔らかく、優しさを感じた。
「ヘカト、勝手に離れないで。危ない」
「あ、オメガー」
ヘカトと呼ばれたムカデな私がにこやかな笑みを浮かべてとてとてとオメガと呼ばれた爬虫類な私にしがみつき、オメガは鋭い爪を生えた右手を構える。なんだ、これ。なんで、ヨーン・エキドナみたいに私の顔をした怪物がたくさんいるの!?
「ジョセフ、下がってて。私がやる……!」
「い、いや俺もやるぞ!お前だけに戦わせてたまるか!アリサが傷つく姿を見るだけはもういやなんだ!」
「……ふふっ。じゃあ、死なないでよジョセフ!」
「おうよ!」
頼もしいジョセフと肩を並べて、サムライエッジを構える。そんなときだった。
『うわああ!待って、たんま、お待ちなさい、うぇいと!ちょ待てよ、止まれ!お待ちになって、やめて、待ったー!』
「エヴリン!?」
一触即発だった私たちの間に飛び込んできたのはエヴリンだった。オメガも止まり、怪訝な視線を向けている。
『オメガちゃん、この二人は味方!オーケイ?』
「了承」
『アリサ!この二人は味方!見た目完全に敵だけど味方!クイーンと一緒に地獄を生き抜いた仲間!殺さないで!』
「え、えっ。どういうこと?」
「どうしたんだアリサ」
そっか、ジョセフには見えないし聞こえないんだっけ。いやでも思いっきりジョセフを殺しに来てたんだけど……信用はできないよ?
『この子達悪い子じゃないから!ほら、ご挨拶!』
「了承。私、オメガちゃん」
「我、ヘカトちゃん!」
「お、おう……?私、アリサ・オータムスです……?」
「あなたがアリサ?わーい、やった!オメガ!クイーンが見つけたら連れてきて言ってたアリサだよ!」
「うん、掴まってヘカト。クイーンはこっち」
『さすがクイーン、ちゃんと命令してたか。間に合ってよかった~』
「おい、何が起きてるんだ?」
「えっとね……」
そう言って交差させた腕でしがみついたヘカトちゃんを背負い、歩き出すオメガちゃんを追いかけながらジョセフにエヴリンの事情を伝える。クイーンとようやく会えるのか、すごい長かった気がするけどまだ1日ぐらいしか経ってないんだよな……。
オメガちゃんについていくと娯楽室で、ビリヤード台の上の玉を調べているクイーンがそこにいた。
「クイーン!」
「よかった、アリサ。それにジョセフ、合流できたか。レベッカと別行動する必要もなかったな」
再会を喜びあって抱きつく私に、クイーンが笑う。ああ、心地よい。生きててよかった……!
「それよりクイーン、この子達はいったいなんなの?」
「エヴリンから聞いてないのか?お前の遺伝子から生まれた妹みたいなもんだ」
「はえ?」
私はそこではじめてRT―ウイルスの存在を知ることとなった。なにそれ作ったやつ許せないんだけど。いや生まれたこの二人は憎めないけど!けど!それとこれとは話が別だ!夢で見たあのアイザックスとかいうやつがそんなことしてたとは!
「そのアイザックスとかいうやつ絶対殴る」
「そう言うと思ったよ」
苦笑いでお見通しのクイーンに、つくづくこの相棒には勝てないなと、そう思った。
ついに合流です。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。