BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
寄宿舎地下、大水槽。その中を優雅に目をつぶりながら背泳ぎで遊泳し、血を流した手をかばいながら必死に逃げる獲物を追いかける、捕食者がいた。
「くそっ…出口はどこだ…!」
「ほんとーに嬉しいよ!なんか最近、人が誰も来なくてね!」
それは無理矢理もぎ取ったかのような巨大サメの頭部をパーカーの様に被り口の部分から顔を出したアリサと酷似した半裸の少女だがしかし、異様に青白い肌、青っぽい銀髪のショートヘアー、臀部から生えたイルカの尾ひれの様な太い尻尾、両手と脚の指の間に生えた水かき、背中から突き出た背鰭、首筋に付いた鰓、口からは鋭く生え揃った牙が人間ではないことを表している。名はネプチューン・グラトニー。暴食の海神の名を付けられたB.O.W.であった。追いかけられているのはS.T.A.R.S.ブラボーチームのバックアップマン、リチャード・エイケンだ。
「それでねそれでね!やっぱりさ、活きのいい獲物じゃないとつまらなくてね!最近は迷い込んだだけでギャーギャー叫んで命乞いするだけの奴しかいなくて、退屈してたんだ!お願いだから簡単に死なないでよね!」
そう言いながら、反転。水かきを駆使して高速で泳ぐと足場に体当たりを浴びせ、大きく揺らしてリチャードの足を取って怯ませるネプチューン・グラトニー。
「うわあ!?」
「それそれ~落ちちゃうぞー!」
ぐるりと水中で回転して尻尾をスイングさせて叩きつけて、頭突き。それを何度か繰り返すネプチューン・グラトニー。何度も何度も夢中になって足場を大きく揺らし、落ちてきたところを喰らおうと大口を開けて水中から顔を出すネプチューン・グラトニー。
「a」
そこで、リチャードの姿がいつの間にかなくなっていることに気づいてポカーンと大口を間抜けっぽく開けて呆けるネプチューン・グラトニーは、水中で腕と足を組んで逆さまになりながら考えた。普段は脳筋なのだが久々の獲物なのでめちゃくちゃ考えた。
「あーあ、逃がしちゃったなあ、どうしよっかなあ……追いかけよ!」
足場は一本道だ、逃げたとしたらこの先の部屋だろうと結論付けて、足場の縁に右手をかけるネプチューン・グラトニーは「よいしょっ」と掛け声をあげて、片手の力のみで水上に上がり足場に飛び乗った。
「血の匂いは覚えたよ。おかあさんならともかく、私は陸上だろうがどこまでも追い詰めてやる。楽しいな楽しいなア!」
「ネプチューン・グラトニー」
意気揚々とリチャードを追いかけようとしたネプチューン・グラトニーの背後から声がかけられる。振り返れば、己と同じ顔をした長い金髪をオールバックにしてサングラスをかけた女がいた。どうやら奥の通路からやってきたらしい。
「わっ!もしかして私の生き別れの姉さん!?」
「なんでそうなる。姉妹はお前が親ともども皆殺しにしたのだろう。取引だ、耳を貸せ」
「取引?何だか知らないけど……まずあなたはだあれ?」
「私か?そうだな……あーる、てぃー…アルテ。アルテ・
悪意の胎動は止まらない。その、同時刻。
「バリー?どこに行ったの?」
私、アリサ、エヴリン、ジョセフ、オメガ、ヘカトでゾンビを倒しながら進んでいると、途中で廊下を歩き回っていたバリーと遭遇した。
「あれ、バリー?ジルは一緒じゃないの?」
「アリサ、ジョセフ!それにクイーンに……なんだ、その子供たちは。アリサの妹か?」
「ぐふっ」
アリサが精神ダメージで吐血した。結構キてるらしい。
「そんな感じだ。それで、ジルは?」
「いや、それが…逸れちまってな。探しているところだ。見なかったか?」
「私たちは何も。…エヴリン、頼めるか?」
『かしこまり!』
そういって飛んでいくエヴリンを見送る。あいつの壁抜けは便利だからな。
「クイーンがいるってことは…エンリコ達も?」
「いや、エンリコは先に来ているはずだがどこにいるかまでは…レベッカは別行動だ。エドワードは死んだ」
「…そうか。いや、悪いな。言いにくいことを…」
「守れなかった私の責任だ。それよりジルの居場所に心当たりはないのか?」
「もしかしたら奥かもしれないな。行ってみよう」
バリーの先導で寄宿舎を進む私たち。途中で拾ったメモによれば、ある存在のために増築したらしい。めんどうなことだ。
「…来る」
「オメガちゃん?」
すると、最後尾を歩いていたオメガがなにかに気づいて振り向いた。ヘカトが不思議そうな顔をしている。同時に、私の全身のヒルがぞわっと一斉に怖気づく。なにか、来る?
「隙ありでござる」
「クイーン,危ない!」
「っ!?」
瞬間、私を押しのけたアリサの背中が何者かに斬撃を浴びせられて噴水の様に出血する。下手人は、すぐに天井裏に引っ込んでしまったものの、ジョセフがショットガンで銃撃。
「ござっ!?」
「そこか!」
怯んだ声が聞こえたので、粘液糸を天井に伸ばして引っ張り天板を引っこ抜くと、それは頭から落ちてきて床にびたんと叩きつけられ、そこにオメガがサッカーボールキックを叩き込んで壁まで蹴り飛ばした。
「おのれ…小癪な」
「…またその顔か」
そこにいたのは、青っぽい体色のオメガと瓜二つの少女だった。違いといえば色と、青いマフラーを頸に巻いて口元を隠していることだろうか。
「ござっ?オメガ殿!オメガ殿でござるか!?」
「…プサイ」
プサイと呼ばれた少女が満面の笑みを浮かべる。アリサがやられてなければ油断していたが…なんだこいつ。
ござるでござるよ。
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