BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
ベビーを倒し、ヒューズをつけて昇降機に乗り込んだ俺達。そこに、もう聞き慣れたあの不気味な声が聞こえてきて。
ダ ー ダ ー ダ ー ダ ~ !
『ギャー!?また来たー!?』
「不死身なのかアイツは…!?」
ガシャ―ン!と、昇降機の閉まった鉄格子に激突してくるベビー。血肉の欠片になっていたはずが再生してきたらしい。もしくは別個体か。どっちにしろ、しかし凄まじい衝撃だったのに鉄格子は何故か歪まず、昇降機は何事もなく上がって行った。ふぅ…危なかった。昇降機から降りると、どこからか聞こえてくる甲高い笑い声。あいつだ。同時に一瞬暗転する。これが起きる度に何か嫌なことが起きる。恐らくは予兆か。
『アヒャハハハハハハッ!』
『この声は…クソガキ人形!』
「とうとうお出ましか?」
リビングと思われる部屋まで戻ってみると、そこには大量の人形が置かれていて。近づくと、傍らにアンジーと名乗った人形を置いた黒子の様な黒づくめの格好をした女が瞬間移動したかのように姿を現した。
『マダオみたいな超能力者かな?』
「なんにしてもだ。…お前は、ミアなのか?」
「貴方はもう既に狂っているみたいだから予定よりも強くしたのに…なんで、あれを退けられたの…?」
そう言ったドナと思われる女の声はミアとは別人で。思わず胸を撫で下ろす。だがだとしたら、ここに来るまでに見たミアは一体なんだったんだ?
「生憎だったな。俺には頼りになる亡霊が付いてるんだ」
『亡霊とは失礼なー』
「亡霊…?幽霊がついているとでも……ううん、それなら納得できる。でもいかないで…行かせないわ…だって、ここで死んだ方が貴方の為だもの」
『アヒャハハハハ!』
手を翳してアンジーを浮かばせ、手に取るドナ。するとアンジーは口を開いて癪に障る甲高い声を上げ、俺の足元にいた不気味な人形たちも浮かび上がり動き出し、刃物を手に俺とエヴリンに襲いかかってきたので手で払う。中には蜘蛛みたいな人形もいて、引っ付いてきたので叩き潰す。エヴリンもパンチやキックで殴って蹴って吹き飛ばすが、全然減らない。クソッ!
『まだ生きてるなんてスゴイねえ』
「くそっ、なんだ!?やめろ!」
『えい!この!私も触れるけど、全然減らないよ!』
『でも早く私を見つけないと、お友達にぶっ殺されちゃうからね!それにお前、強すぎるから特別な友達を用意したんだよォ。ドナが一生懸命考えて作ったんだから、楽しんでくれると嬉しいなァ!』
なんとか人形を追い払うと、いつのまにかドナの姿が消えていて。アンジーが浮かびがって俺とエヴリンの眼前まで迫ると、屋根が吹き飛んだ。
『ウゥゥゥゥ……ドッカーン!お友達のご来場ォ~デス!』
「なっ…そんなのありか!?」
『でっかーい!?説明不要!』
現れたのは、家を見下ろすほどに巨大なアンジー人形。ガタガタと小刻みに揺れるその姿は操演人形の様だが、こんなにデカい人形がいてたまるか。さらに、巨大アンジー人形の傍らから空から飛来する黒衣の何か。西洋の死神の様なそれは大きな鎌を持ち、フードを被ったそれは俺達に迫ると周りを旋廻。俺達を覗きこんできて醜悪なその顔を見せると、そこにいたのはベビーの顔だった。見ればなんか足も逆についてた。またお前か!?
パ パ ァ゛ ァ゛ !
『だから、怖いんだってその顔!?』
「いい加減にしやがれクソガキめ!」
『ゴリアテアンジー人形ちゃんと可愛い可愛い死神ベイビーちゃんだよォ。チクタク…死にたくなければ命懸けで探しな!アタシを見つけてごらん!』
そう言ってどこかに飛び去るアンジー。人形たちの笑い声が響く中、拳を構えるゴリアテアンジー人形と、鎌を構えて突撃してくる死神ベイビー。俺は咄嗟にエヴリンと共に飛び退いて、拳と鎌から逃れる。
「エヴリン!多分あいつら、ベビーと同じだ」
『私の攻撃は通じるってことね!食らえ!』
ぷ ぎ ゃ あ あ ! ?
死神ベイビーを衝撃波で空彼方に吹き飛ばし、同時にゴリアテアンジー人形の拳も弾き返すエヴリン。今ほど頼もしいと思ったことはないぞ!
『なんでか知らないけど、私の攻撃が当たることを呪ってよね!私があのでかいのを引き受けるから、イーサンはクソガキ人形を探して!』
「わかった、頼むぞエヴリン!」
『あんまりなりたくないけど奥の手だあああああ!』
するとエヴリンの姿がドミトレスク戦の時と同じく黒い液体の様になって溶けて黒いカビ溜まりを形成。顔が形成されると首が伸びる様にして異形の怪物が空に飛びだし、ゴリアテアンジー人形に体当たり。この状態でも俺から離れられないのか、カビだまりが俺についてくるのはシュール極まりないがまあいい。問題は…
パ パ ァ゛ ァ゛ !
「お前もしつこいな!」
パワーアップしたベビー…死神ベイビーとやらがすぐ戻ってきて、俺に何度も襲いかかってくる点だ。それを避けながらアンジーが消えて行った方へ捜しに行くのは至難の業だ。せめて武器があればな!
「いい加減にしろ!」
パ パ ァ゛ ァ゛ ! ?
驚かす為か目の前まで近づいてきたのでグーパンチ。その無駄に大きい顔の左目に一撃もらった死神ベイビーは悲鳴を上げて姿を消し、俺は人形たちが笑い続ける中を二階に突き進むと、奥の部屋で横たわっているアンジーを見つけた。顔を掴もうとすると笑いながら噛み付かれ、浮かんで眼前に迫ったので左手で掴むとじたばたして暴れ出す。
「この…」
『ローズさえ産まれなきゃこんなことにはならなかったのにね!』
「うるさい、化け物め!」
暴れるのを左手で押さえながら、地下の探索の途中で手に入れてベビーへの反撃にも使ったあのハサミを取り出し、アンジーの顔面にぶっ刺すとどういうわけが血が噴き出て悲鳴を上げるアンジー。笑いながら飛び去って逃げたので、慌てて追いかける。ただの人形じゃないのか?
部屋を出ると、頭上から叩き落とされてくるエヴリン(暴走形態)。どうやらゴリアテアンジー人形は結構強いらしい。
『このお…私と違って手足があるのずるい…あ、イーサン、私見た!そこの奥の部屋!』
「助かる!」
パ パ ァ゛ ァ゛ !
エヴリンに教えられた部屋に入ると、普通にアンジー人形が横たわっていて。同時に、再び姿を現した死神ベイビーが襲ってきたので咄嗟にアンジーを掴み、その顔面目掛けて投げつける
『ぴぎゃあ!?』
「ありがとな、助かったよ。こいつは礼だ!」
死神ベイビーは消え去り、間髪入れずに床に横たわったアンジーにハサミを突き刺すとやはり血を噴き出して悲鳴を上げる。
『な、なんでここが…』
「言っただろ、俺は1人じゃない」
『ローズにもこんなことすんのか!?ふざけんな!お人形ちゃんたち!』
「がっ!?くそっ!」
アンジーが指示を出すと襲いかかってくる人形たち。刃物を手にした奴らに体中を突き刺されるが、ドミトレスクに腹を刺された時ほど痛くはない。俺は父親だ。これぐらい、娘のために耐えて見せないでどうする!力づくで薙ぎ払い、左手でアンジーの首根っこを掴んでハサミを構える。
「逃がすかあ!」
『お前なんか、ここから出られるわけない!アハハハハ!』
「そうかよ、ならお前も道連れだ!」
顔面が開き、そこから気持ち悪い何かを露出させるアンジー。こいつは…菌糸か?そのままハサミを眉間に突き刺してやると今まで以上の血を噴き出した。
『テメエふざけんな!可愛いお人形ちゃんに何しやがんだよ!ゴリアテアンジー人形ちゃんも死神ベイビーちゃんも壊しやがって!どんな手品使いやがった!』
「なに?」
『お待たせ、イーサン』
背後を見ると、頭部を半分にされたゴリアテアンジー人形が横たわり、俺を背後から襲いかかろうとしていたのか死神ベイビーとやらも暴走形態のエヴリンに喰われて咀嚼されていて。若干呆れながらアンジーに向き直る。
「悪いが、こいつでかくれんぼは終わりだ」
『アァアアアアアアア!?………』
そしてハサミを再度突き刺すと悲鳴を上げ、視界がホワイトアウト。我に返ると、俺がアンジーを突き刺した場所には、綺麗な顔の右半分が何か菌糸の様な物に浸食された黒服の女性…恐らくドナが倒れており、石灰化して崩れ落ちていった。残ったのは、傍らに置かれた無傷のアンジー人形だけで、見れば壊された天井も元通りになり、背中にはスナイパーライフルが、腰にはハンドガンとサムライエッジが。…恐らくだが鞄も地下にいけばありそうだな。
「終わったのか…?こいつの仕業だったのか。今まで見ていたのは、幻覚か?」
『そうか、だから私も触れたし認識できたんだ…ということは最初のミアも幻覚?』
「幻影が幻覚に騙されるのか…」
『今回は役に立ったからいいじゃん!私がいなかったら危なかったでしょ?』
「それはそうだな」
すると玄関の横にフラスクが置かれた台も現れ、もううんともすんとも言わなくなったアンジーを拾い上げてフラスクも手に取る。
「よし…とにかく、鞄を回収してここから出よう」
『あ、私離れられるようになった。地下が大丈夫か見てくるね』
「ああ、頼む」
エヴリンが地下に行くのを見届け、ドナの亡骸の欠片の中から胎児が刻まれた鍵を見つけたので、四翼の鍵とパーツを合わせてみると新たな鍵ができあがった。四翼の胎児の鍵…といったところか。これが何を意味するのか、わからない。ふと、胸ポケットに戻ってきていた家族写真を取りだして眺める。
「ミア…お前は一体、何を隠しているんだ…?」
そして何気なく裏を見て見ると、そこには女の筆跡でこう書かれていた。
【ローズをずっと守ってあげてね。イーサン】
「言われなくても…な」
ゴリアテアンジー人形の元ネタは言わずもがな東方のアリス・マーガトロイド。死神ベイビーは冒頭の絵本「Village_of_Shadows」のドナを彷彿とさせる死神から。イーサンが狂人だという報告と、ベビーを倒された事実から用意した最強の幻影たち、と言う設定。なおどっちもエヴリンに叩きのめされた模様。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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