BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は元凶の部屋に…?楽しんでいただけたら幸いです。
バリーとはぐれたジルを探し、襲撃してきたハンターΨと戦闘して撃破した私たち。私ことアリサ、クイーン、ジョセフ、バリー、オメガちゃん、ヘカトちゃんがメンバーだ。エヴリンはまだ帰ってこない。バリーが逸れたという部屋に行ってみても、その隣の部屋を探しても、一向にジルの手掛かりは見つからず、片っ端から部屋の扉を蹴り開けて調べていく中で、私たちは明らかに今までと違う部屋に出た。
「…うん?空気が変わった…」
「…我が父…マーカスでもここまでではなかったぞ…」
「頭が痛くなるぜ…」
「明らかに研究者の部屋だな」
天井までついた巨大な本棚に、大量の書類が詰め込まれ、部屋中に計算式と思われる数式が隙間なく記され埋め尽くされている。明らかに、居住スペースだった今までの部屋とは違った。すると、ヘカトちゃんをおんぶしたオメガちゃんがじーっと壁の計算式を見つめて、何かに気づいたのか目を見開かせた。
「…あの計算式、私とプサイのことが書いてある」
「…なるほど、ΩにΨとあるな。そういえばオメガはハンターの司令塔だから知能も高いんだったか」
「じゃあ、オメガとプサイを生み出した人間が書いたってこと?」
「それはつまり……サミュエル・アイザックスの部屋ってことか」
クイーンの口から紡がれた名前は、サミュエル・アイザックス。名前と所業しか知らないけど、私にとっては不倶戴天の敵。私の顔を持つB.O.W.…言わば私の妹たちを作ってきた、許されざるくそ野郎だ。
「…これはアリサのことか?」
そう言ってジョセフが指さした先に書いてあったのは、「RT」と強調して書かれた壁。
「気色悪い…これ全部私の妹たちってこと…?」
「…そういうことみたいだな。そのコードネームらしい。見慣れない名前もいくつかあるが…これから相対すると考えたほうがよさそうだ」
「大家族だなアリサ!」
「ぶっ飛ばすよ?」
「今のはお前が悪いぞジョセフ」
空気を読まないジョセフをひと睨みして黙らせていると、クイーンが棚の書類を手に取ってぱらぱらとめくる。オメガは興味が失せたのかヘカトを持ち上げて遊んでいる。
「……どうやらプライベートにまで仕事を持ち込むタイプらしいな。計算式やアイデアなんかが詰め込まれている。狂気を感じる量だ。これには如何にお前の遺伝子が素晴らしいかが記されているぞ。お前が列車に残した右腕から採取したものらしい。強力な再生能力が裏目に出たな」
「もうやめてクイーン…そのアイザックスはどこに逃げたの?」
「こんなありさまだ。十中八九逃げたんだろうな。…うん?」
すると、何か目についたのか眉を顰めるクイーン。覗いてみると、たしかに目を引く内容が記されてあった。
「…B.O.W.完全制御計画…?なにこれ」
「トップシークレット扱いの代物らしいな、あちこち塗りつぶされて閲覧不可能になっている。だが内容を見るに、RT-01……お前たちの遭遇したもう一人のリサ・トレヴァーをはじめとした問題児を文字通り完全に制御するための計画らしい。始祖ウイルスを起源としたウイルスを用いたB.O.W.の脳内物質に働きかける特殊な電磁波を開発してたらしい、が開発は困難だったようだ」
「そんなものができてたらゾンビたちも制御できるだろうし完成はしなかったんだろうね」
「そうだな。不幸中の幸いだ。もしこんなものができていたら私やお前も例外ではないだろう。頓挫したことを喜ぶしかないな」
「おい、クイーン、アリサ!バリーが外から物音を聞いたらしい!ジルがいるんじゃないか!?」
するとジョセフが興奮した様子で駆け寄ってきた。私とクイーンは顔を見合わせ、クイーンが書類を棚に戻して頷く。
「ああ、行こう。早くジルを見つけてクリスたちやレベッカと合流しなければ」
「しかし広いねえ、ここ…見取り図とかないのかな」
そんなことをぼやきながら私たちはアイザックスの部屋を出て行った。扉を閉めた反動で、棚から一冊の書類の束が落ちて開かれる。そこには、電極の角を付けた少女のようなものと「T-EX01」という文字が描かれた図が記されていたことを、私たちは知らない。
水中から次々と飛び出してくる鮫女の猛攻に、尻尾を自在に操り鋏を振るって迎撃していくセルケトをよそに、俺とレベッカは警戒しながらもリチャードの治療を行っていた。
「ぐっ…すまない、クリス、レベッカ……」
「いいってことさ。無事…とは言えないが生きててよかった。それで、あいつは?」
「ネプチューン・グラトニーを名乗っていた…この大水槽の主らしい。俺は油断して、アレに…」
「見た目は全然当てにならないわリチャード。それよりクリス、セルケトさんは…強いの?」
「ああ、とびっきりな。あいつなら大丈夫だ」
言ってる傍から太い尻尾に己の尻尾を巻きつかせてネプチューン・グラトニーを一本釣り、引き寄せて右足の鋏による渾身の回し蹴りを叩き込むセルケト。水面に勢いよく叩きつけられたネプチューン・グラトニーはそのまま沈んでいく。
「クリス、移動するわよ。ここじゃ分が悪い、あなたたちまで守る余裕がない」
「そんなに強いのか?」
「攻撃が効いていない、まるで痛覚がないみたい。それに奴は鮫、水中は独壇場よ。せめて水を抜かないと勝負にならない」
「なら、この大水槽の水を抜くぞ。どこかに制御室があるはずだ」
途中で手に入れた見取り図を取り出し、構造を確かめる。このまま進めば制御室らしき場所に出るな。
「っ、クリス!」
「シャアアアアッ!」
次の瞬間、きりもみ回転しながらネプチューン・グラトニーが俺めがけて突撃してきて、とっさにレベッカとリチャードを突き飛ばす。しかし次の瞬間には、俺も突き飛ばされて通路を転がっていた。
「悪いけど、あと任せたわ」
同時に、ネプチューン・グラトニーの大きな口が俺を突き飛ばして隙だらけのセルケトの右肩に食らいつき、そのまま水槽に押し出して水中に引きずり込んでしまった。
「セルケト!」
「そんな…」
「嘘だろ…」
慌てて水槽を覗き込むと、水中から水かきのついた手が飛び出してきて俺の首を掴もうとしてきて。
「お前も食うのだ!」
「っ…!?」
「a?」
寸前のところで止まる。見れば、ネプチューン・グラトニーの足にセルケトの尻尾が巻き付いていた。
「aaaaaa!?」
断末魔とともに水槽に引きずり戻されるネプチューン・グラトニーに、俺はセルケトが繋げてくれたんだと確信して、立ち上がる。
「行くぞ!一刻でも早く水を抜いてセルケトを助ける!」
「ええ!リチャードは私に任せて!」
「面目ない…」
俺たちは制御室に急いで歩を進めるのだった。
なんかいろいろ明かされました。さすがに最大限のネタバレになるところは潰しましたが。
セルケトは強いからどうしてもこんな役回りになってしまいます。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。