BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今日も今日とて偵察役の私は、寄宿舎と洋館の地上を飛び回ってジルの痕跡を探し回っていた。いやイーサンの時からずっとだからもう慣れたけどさ、私のことが見えるゾンビだらけの場所探すの精神的にきつい。
『ジル、何処に行ったのかな……これでクイーンたちが先に見つけてたら、めっちゃ萎えるんだけど…』
一階と二階は探しつくしたな、多分。…あと探してないのどこかなあ。
『……地下かなあ』
うんうん逆さまになってあぐらをかいて腕を組む最近気に入っている体勢で考え込んで、勢いよく地面に飛び込んで後悔した。
「!?」
『ギャアアアアアアアアッ!?』
目の前にいきなり、松明の明かりに照らされた複数の人間の顔が組み合わさった異様な顔が出てきて絶叫。相手も驚いて腕を振り回し、その拍子に顔(?)がとれて暗闇の中で照らされ、私はあまりの恐怖に絶句した。
「オマエ、ミタナ?」
ギョロギョロ動く巨大な右目に押されるようにして左目は潰れ、長い黒髪が蛸の触手の様に蠢き、口元からはみ出ている鋭い八重歯を生やした、ゴブリンか日本に伝わる鬼を思わせる醜悪な姿で私を指さして低い女の声で言ってきた言葉に、私は踵を返した。
『ごめんなさーい!?ギャー!?』
逃げた先にはボロボロの人形が飾られた祭壇があって、マーガレットの祭壇を思い出してさらに絶叫。てんやわんやでパニックになる私。
『なにあの怪物!?……ってあれ、冷静になったら見たことあるような……そうだ、最初に出会った時のアリサ……リサに似てるんだ。もしかしてあれがもう一人のリサ?』
ひとしきり騒いだら冷静になって、思い出した。違うところもあるけど、私がクイーンを介して擬態させて定着させた今の顔の前の顔にそっくりだった。でもなんでだ?
『うん?日記…?』
冷静になって周りを探してみたら、祭壇にバラバラになった日記だったと思われる紙が散乱していた。もしかしてここ、あいつのねぐら?ならヒントがあるかも。なになに…?
『【Nov.14.1967】…1967年ってあれか、リサが監禁された年だ。【無理矢理された注射で頭がボーっとする。お母さんに会えない。どこかに連れていかれた】……あれ?リサの日記?でもなんだろ、この違和感。【二人で脱出しようって約束したのに私だけおいていくなんて…。なんで?なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで】ひえっ』
恐すぎて思わず引いた。このあとずっとこのページの最後まで書き連ねている。怖い。えっと、次の紙は…これかな?
「【Nov.15.1967。お母さんみつけた!隠れておびえていた。もう大丈夫だよ、怖い奴らはお仕置きしたからね。今日の食事は、お母さんと一緒!うれしかった】…まただ、変な違和感。なんだろう、致命的に噛み合わないような……【違う、偽者だった。外は一緒だけど中が違う。お母さんを取り返さなくっちゃ!お母さんに返してあげなくちゃ!お母さんの顔をお母さんに戻してあげなくちゃ!】うーんなんでだろ、健気なのに恐く見えるなあ!」
これアリサの日記じゃないな。あの子はこんなに猟奇的じゃないもの。これで何年も一緒に過ごしたのに上手く隠していたとかだったら人間不信になる自信がある。
『あ、下に続いてる。【お母さんの顔は簡単に取り返せた。お母さんの顔を取っていたおばさんの悲鳴がうるさかったけど、お母さんの顔をとったやつの悲鳴なんか気にしない。お母さんは私のもの。誰にも取られないように私にくっつけておこう。お母さんに会った時、顔が無いとかわいそうだもの】怖い怖い怖い怖い怖い!なんでそうなった?』
もしかしてさっきの複数つながったように見えた顔、このくっつけた他人の顔だった…?なにそれ恐い。
【Nov.17.19■7。石の箱の中■■お母さん■匂いここ■お母さんがホント?石の箱、かたくてイタイ。手のジャラジャラが邪魔をする、邪魔!力を入れたから簡単にちぎれた。なんだ、こんなに脆かったんだ。でもお母さん、いなかった。もう会えないの?あいつら嘘をついたんだ。嘘つき嘘つき嘘つき!】おや?』
なんか字や文体がぐちゃぐちゃだったのがいきなり整って知能が上がったように感じる。なんだこれ。
『【お父さんを一つくっつけたわ。お母さんは二つくっつけたの。中身はやっぱり赤くてヌルヌルしていて骨と肉が見えて気持ち悪い。本当のお母さんはまだ、見つからない。いらつく、イラつく。アイザックスの馬鹿はいつになってもお母さんを返してくれない。そればかりか―――――――】え?』
その先を読んで、絶句した。え、そんな。まさか。ありえるのか、そんなこと。嘘だ、ありえない。確かめるべく、先を読み進める。
『【JN.28.1988。アイザックスが声だけで伝えてきた。マガイモノが逃げたらしい。これから実験の頻度を上げると言ってたけどどうでもいい。お父さんはどこにいったのか分からない。また、お母さんを今日見つけた。お母さんをくっつけたらお母さんは動かなくなってしまった。これも違う。それも違う。このお母さんは悲鳴を上げていた。なぜ?私は一緒に居たかっただけなのよ、お母さんどこ?会いたい、会いたいよ。…マガイモノが連れて逃げたのかしら?許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない】…どうしよう、このことをみんなに伝えないと…!」
「あなたの声、聴いたことがあるわ?10年前に聞いた、変わらない声。そう、マガイモノが逃げ出した日のことよ」
『…え?』
読むことに集中して、それが後ろまで迫っていたことに気づかなかった私は、そいつに首を掴まれてしまった。嘘っ、私に触れて……違う、菌根を介して私に干渉してるんだ…!まずい、意識が…取り込まれる、もしそうなったらどうなるかわからない。まずいまずいまずいまずい!
「お前、私の日記を勝手に読んだわね。記憶を読み取ろうと思っただけなんだけど、これが効くのかしら?変な奴」
『がああっ!?あなた、は……誰!誰なの!?』
「…おかしなことを聞くわね?私は、リサ・トレヴァー。ジョージ・トレヴァーとジェシカ・トレヴァーの娘。それ以外の誰でもないわ」
『うわああああああああっ!?』
「…エヴリン?」
振り返る。あいつの声が聞こえた気がしたんだが……気のせいか?そう思いながらも、振るわれた触腕を粘液硬化した腕で弾く。目の前には、枝分かれした下半身でジョセフを捕らえた、白衣を着た緑肌の女怪がいた。
「クイーン!よそ見している暇はないよ!」
「わかっている!ジョセフを返せ!植物女!」
「失礼しちゃうわ。さっき名乗ったじゃない。私は観測場所ポイント42の樹木の精霊。ドライアド42よ」
「お前のどこが樹木だ!」
アリサのツッコミに頷く。この白衣を着た女の姿をした植物と出くわしたのは、数分前に遡る。
某名探偵「あれれー?なんかおかしいぞー?」
プラント42ならぬドライアド42も登場。珍しくアリサ顔じゃないよ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。