BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はなんだかんだで後回しになってたネプチューン・グラトニーとの本格的なボス戦。楽しんでいただけたら幸いです。
「ジョセフ、しっかりしてジョセフ!」
枯れ果てたドライアド42から解放されたジョセフに駆け寄り抱き起すアリサ。私も続いて近づいて現状確認。息はしている、だけど明らかに目に見えて弱っている。うん?縛られていただけなのに各部位から血が流れているな…?
「この傷跡…ヒルの様に血を吸ったようだな。弱っているのはこれか。輸血か血を作る食事がいるな」
「そうだ、レベッカ!レベッカなら…」
「オメガ…ちゃん、頼む。レベッカを見つけて連れてきてくれ」
「了承」
「いってきまーす!」
ヘカトを担いだオメガが小走りで去っていくのを見届け、私はアリサに向き直った。ここで残るべきは私だ。
「アリサ、お前と再会した娯楽室に行け。あそこなら食料があるかもしれない。なければ洋館まで戻ってキッチンを探せ。私は何とかその間、止血を試みる」
「わかった!頼んだよ、クイーン!」
扉を蹴破って出ていくアリサを見送り、私は周囲を見渡す。ゾンビの気配は…ないな。だが何かが動き回る音が聞こえる。それも複数。オメガたちじゃない。
「……しかし、エヴリン遅いな。なにをしている?…なにかあったのか?」
あいつに限ってなにかあった、はありえない。なにせ何者も触れることすら叶わないのだから。だがここまで遅いということは何かあったということになる。…なにか、エヴリンすら
「クリス、リチャードの応急処置はできたわ!」
「何とか動けるぜ、クリス」
「よし!急ぐぞ!セルケトを救う!」
鉄の足場をカンカン鳴らしながら、先を急ぐ俺たち。制御室はこの先か…!?すると背後からバキグシャメキッと明らかに異様な金属音が連続して聞こえた。振り向くと、そこには水中から顔を出して迫りくるネプチューン・グラトニーがいた。
「怒ったぞぉおおおおっ!」
頭にかぶった鮫の頭部の口から覗く顔を怒りで歪ませ、鉄の足場すら粉々に嚙み砕き鉄の破片を吐き捨てながら迫るネプチューン・グラトニー。咄嗟に取り出したのはスタンガンだが、すぐに考え直してしまいこむ。水中にはセルケトもいる、これを使えば倒せるだろうがセルケトまで巻き込むのはまずい。
「くそっ!」
咄嗟にハンドガンで脳天を狙って引き金を引くも、ネプチューン・グラトニーは被っている鮫の頭部を脱いでその肉を盾にして防御、鉄の足場を噛み砕くのをやめて沈み込む。
「なんだ?」
「何をする気だ…!?」
「B.O.W.が行動を変えたら警戒を!強力な攻撃が来ます!」
どうやらここに来るまでにひと悶着あったらしいレベッカの言葉に、俺とリチャードは顔を見合わせる。同時に、今いる足場の下の水面、ちょうど俺と先を進んでいたリチャード、レベッカの間がゴボゴボと波打ち始めた。
「俺が食い止める!行け、リチャード!レベッカ!」
「私の大事なおかーさんの顔をよくもー!」
二人を先に行かせた瞬間、俺を狙って鉄の足場を噛み砕きながらネプチューン・グラトニーが迫り、咄嗟に飛びのいた俺の目の前を跳んで、こちらを一瞥するとガシャーンと音を立てながら四つん這いで着地した。ビタンビタンと尻尾が手すりに叩きつけられて水飛沫を上げる。
「お前から噛み砕いてやるのだ」
「…やれやれ、ヨーン・エキドナといい、女性にモテて困ったもんだな!」
ハンドガンを三連射。しかし鮫の頭部を脱ぎ捨てて身軽になったネプチューン・グラトニーは目を見開かせて自慢の牙で弾丸を受け止め弾いていくが三連発を受け止めた反動でのけぞる。そこに残った鉄の足場を駆け抜けてショルダータックル。肩をその魚類のくせに豊満な胸に叩き込んで吹き飛ばし、水面に叩きつけるもすぐに沈んだネプチューン・グラトニーはまるで魚雷の様に水中から飛び出して奇襲。咄嗟に背負っていたフォレストのグレネードランチャーを手に取って殴り飛ばすも、また水中に逃げられる。
「フォレスト…、力を貸してくれ。とっておきだ、喰らえ!」
グレネードランチャーに榴弾を装填。ネプチューン・グラトニーの逃げた水面に発射。爆発するも背びれが高速で泳ぎ、水槽内を離れていくのが見えた。速い…!周りを見る、逃げ道は……ネプチューン・グラトニーの噛み砕いた先の通路しかないか…。
「大人しく喰われるのだ!」
「くそっ!」
バキバキと残っている足場すら噛み砕き始めたネプチューン・グラトニーから逃げるために跳躍。噛み砕かれた手すりの端に右手で掴まり、ぶら下がる。まずい、このままじゃ奴に喰われる…!?
「いっただきまーす!」
「させるかあ!」
「ぐえっ!?」
そこに、横から伸びてきた巨大なムカデがぶつかって水面まで吹き飛ばされるネプチューン・グラトニー。振り返れば水槽の隅の出入り口に、アリサの顔を持つ異形がいた。ところどころ緑の鱗に包まれ右手に鋭い爪を生やした、黄色い爬虫類の様な瞳と短く切り揃えた緑がかった髪の女と、両腕が巨大なムカデになっている金髪の少女。思わず身構える。
「新手か!?」
「否。私たちは味方。私、オメガちゃん」
「私はヘカトちゃん!レベッカに言われて助けに来たよ!」
「レベッカの知り合いか!?」
……あいつ、ここに来る前になにがあったんだ…。するとオメガちゃんと名乗った女が両手で脇の下を抱えたヘカトちゃんがムカデ腕を縦横無尽に伸ばして水中に突撃させる。すると背びれを水面に出して様子を窺っていたネプチューン・グラトニーがあからさまに避ける動きを始め、水面から魚雷の様に飛び出して二人を狙うも、ヘカトが伸ばしたムカデ腕で噛みつきを防がれる。
「排除」
「ぐうううっ!?」
そのままヘカトを降ろしたオメガが右手の爪を一閃。胸元を大きく切り裂かれたネプチューン・グラトニーは赤い血を垂れ流す。すると、その眼の色が文字通り変わった。海を思わせる青から、血のような赤へ。
「血!芳しい香り……喰う!」
「え!?きゃあああっ!?」
「ヘカト!?」
すると先ほどは歯が立たなかったムカデ腕を文字通り噛み砕き、ヘカトが悲鳴を上げる。青筋を浮かばせて斬りかかるオメガ。しかし尻尾で薙ぎ払われ、壁に叩きつけられてしまった。
「a。もしゃもしゃ…美味いのだ。もしゃもしゃ」
「やめてー!かじらないでー!」
そのままムカデ腕に
「ヘカトから離れろ」
「ぎゃっ!?」
すると怒りに顔を歪ませたオメガが背後から飛び掛かり、左手で左肩を強く握りしめてめり込ませると、大きく振り上げた右腕を勢いよく振り下ろすもしかし、ネプチューン・グラトニーは首を竦めて口の位置をずらすと嚙み締めた牙で爪を受け止め弾き飛ばし、一回転。
「ぐはっ…」
尻尾を叩きつけてオメガを床に伏せさせた。そのままヘカトの腕をもぎ取りもしゃもしゃ咀嚼しながらこちらを向く。その眼は、獲物を見る目だった。
「…お前も食いごたえありそうなのだ」
「っ…」
生物としての格の違い。捕食者と獲物。本能的な恐怖が、俺を襲った。
鉄の足場すら噛み砕いて迫るジョーズみたいなネプチューン・グラトニー。鮫なので血の匂いを嗅ぐと豹変します。フィジカルお化けなので強い。
レベッカを探してクリス組に合流したオメガとヘカト。ヘカトがおやつにされることに。幾ら食べてもなくならないスルメみたいな扱いです。
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