BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
【主任研究員の手記
数日前、何者かの手により発生したT-ウイルスの漏洩事故。避難する前に私は漏洩したT-ウイルスのサンプルを手に入れて検査した。そしてあることがわかった。このT-ウイルスは何らかの苗床にて濃縮され強化されていたのだ。具体的に言えば感染率が上がり、抗体がなければ噛まれれば100パーセントで感染、ゾンビ化してしまうだろう。何者か知らないがやるものだ。これは、T-ウイルスを受け入れられる母体がないと成り立たない数式だ。
この強化T-ウイルスの影響をもろに受けているのが、洋館や研究所にいた植物や虫たちだ。特にドライアド42と呼ばれている植物や黒く染まった体毛からブラックタイガーと呼ばれている蜘蛛が代表的な例だろうか。その中でも興味深いのが、寄宿舎に蜂の巣を作って繁殖していた蜜蜂の群れだ。
ちょうど監視カメラの画角に入っていたのを視認して以降、録画していたのだがひときわ特殊な変異を遂げたのを確認した。なんと、女王蜂が蜂の巣と一体化。独立して移動し獲物を見つけて自分から兵隊蜂を仕向けて捕食を始めたのだ。蜜蝋を用いる蜂の巣は有機物だ、故に融合できたのだろう。名づけるとすればワスプ・キャリアーだろうか。これはT-ウイルスの隠された力か。素晴らしい、RT-ウイルスとは厳密には別物、故に合わせてみるのも面白いかもしれない。研究が必要だ。NESTに移ったらまずそこに着手しよう。そうだな……ウィリアム博士のG-ウイルスの研究から始めるか。彼は私を信頼している。研究に着手させてもらえるだろう。そうと決まれば避難の用意を進めなければ。
May 22,1998
サミュエル・アイザックス】
合流してきたオメガちゃんとヘカトちゃんからジョセフのことを伝えられた私は、大水槽を抜け出して水浸しの地下を進んでいた。
「水を抜くの、リチャードに任せたけど大丈夫かな……いや、私はジョセフの治療をしないと!オメガちゃんとヘカトちゃんに任せたから大丈夫のはず…!」
あの二人の強さは身をもって知っている。今は仲間だが最初は敵として激戦を繰り広げた二人だ。あのネプチューン・グラトニーが相手でもなんとかなるはずだ。
「っ…!?」
水浸しエリアを抜けて地上に繋がるであろう梯子を見つけて駆け寄ろうとした時だった。何かが蠢く影が見えて、曲がり角に隠れて様子を窺う。そこにいたのは、2メートル程の巨大な女性の影だった。
「…なんなの?」
人影ではない、文字通りの影が歩いている。人影がそのまま独立して歩いているようなそれは、よくよく見れば影に見えるほど密集した虫の大群だった。あれは蜂だろうか。よく見れば、中心部に蜂の巣が浮かんでおり、胴体が蜂の巣と一体化した一際巨大な蜂が滞空していた。なんだあれは。人型になったヘカトちゃんを最初に見たときにも恐怖を抱いたが、それ以上の恐怖が私を支配する。口元を押さえて気配を悟られないように息を潜める、とそこに。
「うあぁあああっ」
「(うそでしょ…!?)」
水中にいたのか、水浸しの通路から這い出てくる白衣のゾンビに、血の気が引く。前門の空飛ぶ蜂の巣と蜂の群れ、後門のゾンビ。逃げ場がない…!?
「――――」
すると羽音を響かせながら蜂の群れが飛来。思わず息を呑んだ私をすり抜けて、人型の陣形を形作って腕を振るうようにしてゾンビに攻撃。ゾンビは人間だと思ったのか組み付く攻撃を仕掛けるも、その瞬間蜂の群れはばらけてゾンビにまとわりつき、次の瞬間ゾンビは貪り食われて骨だけとなり転がった。そんな、一瞬で…!?
「っ…!」
先手必勝。ずっと背負ったままだった、アンブレラ幹部養成所で手に入れたグレネードランチャーを手に取り装填していた硫酸弾を射出。硫酸を浴びた蜂の群れは奇声を上げて撤退。巣の中に引っ込んでいく。
「次はあなたよ!」
続けざまに焼夷弾を装填し、発射。炸裂し、炎上する蜂の巣と悶え苦しむ(多分)女王蜂。すると次々と蜂の巣から蜂が飛び出して火に飛び込み、自ら燃えて引火させて離れ燃え尽きることで鎮火させた。
「――――!」
そのまま、怒っているのか声にならない奇声を上げて再び大量の蜂を放出する女王蜂。そのまま胴体の蜂の巣を中心に、己を頭部として四肢を作り上げるとまっすぐ飛んできて腕を振るい、咄嗟にグレネードランチャーで受け止めるも吹き飛ばされる。そこに蜂が殺到。咄嗟に装填した榴弾を炸裂させることで吹き飛ばすも第二陣が続けて襲い掛かってくるのを、サムライエッジで応戦。何とか散らすことに成功する。
「ジョセフが待ってるの…こんなところで、終われない!」
「――――!」
グレネードランチャーに榴弾を装填。発射しながら突撃する。奴の繰り出した蜂の群れの腕を吹き飛ばし、そのまま蜂の巣の胴体に肉薄。ナイフを取り出し、突き刺して大きく抉る。
「これなら…どう!」
そのまま前転して、放出された蜂の群れを回避。振り返りざまに火をつけた火炎瓶を投げ込み、サムライエッジを構える。
「ご愁傷様!」
「!?!?!?」
火炎瓶が途中で破裂して爆裂。蜂の巣の大半を吹き飛ばし、蜂たちをまとめて焼き焦がさせる。崩れ落ちる女王蜂はまだぴくぴくと動いていたが、頭部を弾丸で破裂させて私は一息ついた。
「…はあ。クイーン先輩やビリーにおんぶにだっこだったけど、私だってS.T.A.R.S.なんだから!なめないで!」
完全に沈黙したのを確認した私は先を急ぐのだった。
同時刻。NEST培養実験室にて、二人の白衣の人物が培養液の入った巨大なカプセルの前に立っていた。ウィリアム・バーキンとサミュエル・アイザックスその人である。
「準備ができましたバーキン博士」
「アイザックス。君の発想力には驚かされるばかりだ」
「いえ。G-ウイルスの苗床として器用していたのであれば、必然的に適合すると考えただけですよ。ここまでうまくいくとは」
「早速実戦データを得るとしよう。ちょうど、アークレイ研究所にウェスカーが誘導したS.T.A.R.S.がいるはずだ。あそこをはびこっているB.O.W.ともども排除させよう。我々の手に取り戻す、その足掛かりになるぞこいつは」
「それはいい。あそこにはどうしても回収したい秘匿プロジェクトの産物も眠っています。持ち出せなかったのは悔やむしかなかった」
「君の秘匿プロジェクトか、それは素晴らしいものなんだろうな」
その巨大なカプセルの中には、全身漆黒の甲殻を思わせる装甲に包まれ肌が露出していない騎士の様な存在が胴体に存在する巨大な単眼をギョロギョロ動かしてバーキンとアイザックスを見つめていた。
実はマスターリーチが強化させていたT-ウイルスで強化されたワスプ、ワスプ・キャリア―。相手が悪かったけど普通にやべー奴です。
そして実は「元祖傑作ここにあり」から再登場、バーキンとアイザックスの才能が悪魔合体、ギルタブリル。その実態や如何に。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。