BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
「くそっ!」
ダウンしたオメガとヘカトの傍で俺を真っ赤に染まった眼で見て舌なめずりしたネプチューン・グラトニー。尻尾をびたんと叩きつけて跳ね上がり、水中に飛び込んで背びれを水面に出して高速で泳いで迫ってきたので、レベッカとリチャードのいるであろう制御室から離れるように鉄の足場を駆け抜ける。
「ゴボボッ!ゴボッ、ゴボボボッ!」
「喋るなら水上で言え!?」
水中で喋ったからか気泡を上げながら、鉄の足場を体当たりでひしゃげさせ、水中に引きずり込んでいくネプチューン・グラトニーから逃げて、全速力で鉄の足場を駆け抜ける。気が抜けるやりとりやめろ!?
「ぶへっ、水が口に入ったのだ。ぺっぺっ!よくもやったな!」
「俺は何もしてないぞ!?」
「うるさいのだ!」
水上に顔を出してうがーっと両腕を上げて怒ったかと思えばもごもごと口を動かして、ペッ!となにかを吐き出してきた。それは手すりを粉砕して突き刺さる。見れば、それは鋭く白い牙だった。
「歯だと!?」
「生きのいい獲物はまず弱らせる!これ常識なのだ!くーらーえー!」
そのまま尻尾による張力で水面に跳ね上がり、ププププッ!と尖らせた口から抜けた牙を乱射して遠距離攻撃してくるネプチューン・グラトニーから、全速力で走って回避していく。俺の走った鉄の足場に次々と鋭利な牙が突き刺さっていく。あいつ、弾切れの概念がないのか!?
「鮫の歯は生え変わる性質があるのだ!一つの歯が抜けると待機していた次の歯がすぐに出てくる、私も例外じゃない!一生のうちに2万本くらいの歯が生え変わるらしいけどそれはどうでもいいのだ!」
「2万本だと!?」
そんな数を出されたらさすがに避けきれないぞ!?するとネプチューン・グラトニーが大きく息を吸い込んで溜めて、勢いよく発射して飛距離を伸ばしてきた。三連射されたそれを、咄嗟に手にしたグレネードランチャーを盾に弾き返す。しまっ、足を止めてしまった…。
「隙ありなのだ!」
「ぐああっ!?」
そこに今度はショットガンの様にまとめて散弾で飛ばしてきた牙が二本、俺の右足に突き刺さって血が噴き出る。それを見て楽しそうにキャッキャッと手を叩いて喜ぶネプチューン・グラトニー。…そうか。お前こそ、隙だらけだ!
「喰らえ!」
「おっと」
足を庇いながら構えたハンドガンでネプチューン・グラトニーの頭部を狙い、弾丸を乱射する。しかしネプチューン・グラトニーは撃ってから回避余裕だとばかりに涼しい顔で回避。口元に手をやってにやにや笑う。
「馬鹿なのだ?水がある限り、私は無敵なのだ」
「…馬鹿はお前だ。俺は囮だよ」
「a」
背後から伸びてきたそれを、首をかしげて回避するネプチューン・グラトニー。それはヘカトの再生させた右のムカデ腕だった。それを見るなり三日月のような邪悪な笑みを浮かべたネプチューン・グラトニーは意気揚々と齧り付く。
「みぎゃあ!?…っ、オメガ!今だよ!」
「はがっ!?」
「了承…!」
すると噛まれた傍から傷口を再生させて歯を自らの腕に固定したヘカトのまっすぐ伸びた右腕の上を、オメガが乗って水上を駆け抜けて右腕を左肩の向こうまで伸ばして振りかぶる。
「抜けた! a」
「殺す…!」
今の歯を全部抜いて再び生え揃えさせてヘカトの腕から離れて顔を上げたネプチューン・グラトニーの顔面に、オメガが見るからに渾身の力で振り抜いた右腕の甲が炸裂。牙が砕け散り、鼻の骨が折れたのか鼻血を吹き出しながら吹き飛ぶネプチューン・グラトニーは、水に落ちるオメガを見やると怒りのままに飛び掛かろうとする。
「させるか!」
そこ目がけて榴弾を装填したグレネードランチャーを発射。爆発から慌てて逃げるネプチューン・グラトニー。なんとかオメガから気を逸らせたな。
「お前!よくも騙したな!」
こめかみに青筋が浮かぶほど目に見えてブチキレて泳ぐ勢いで水面下まで沈み込み、浮上する反動を利用してロケットの様にこちらに突撃してくるネプチューン・グラトニー。だがその動きは、すでに見ている!ナイフを取り出し、両手で上段に構えて迎え撃つ。
「うおおおおおっ!」
「ぎっ、アアアアアっ!?」
そのまま肩口にナイフを入れて胴体まで、飛んできた勢いに合わせてざっくりと切り裂いていく。肩口から胴体まで大きく裂かれたネプチューン・グラトニーは絶叫。血飛沫を上げながら水中に落ちていく。…浅かったか、両断できなかった。
「があっ、血!私から、血?あ、a、アアアアッ!」
自らの胴体から流れる赤い血を見て激しく動揺し、目が瞳孔だけでなく白目まで完全に真っ赤に染まり、口から蒸気を放出し涎を垂れ流しながらこちらを見やるネプチューン・グラトニー。完全に理性が飛んでいた。
「ウガアァアアアアアッ!」
理性の欠片も感じない咆哮を上げながら、俺が逃げようとした先の鉄の足場を食い千切り、バリボリと噛み砕いてしまい逃げ場を失ってしまう。くそっ、理性を感じないのに妙に理性的だな…!
「くそっ…!?」
「乗って!」
すると伸ばした右のムカデ腕でオメガを回収していたヘカトが、左のムカデ腕を勢いよくこちらに向けて伸ばしてきて、俺は咄嗟にその先端のムカデの節足に掴まり、次の瞬間水面下から飛び出してきたネプチューン・グラトニーの体当たりを喰らって大きく揺れ、その衝撃をもろに受けて尻餅をついたヘカトの右腕に掴まり、まるでジェットコースターのごとく振り回される。それを容赦なく追いすがってくるネプチューン・グラトニーのそれは血に飢えた鮫そのものだ。
「うおおおおおっ!?」
「ヘカト!」
するとヘカトの右腕のムカデの節足を掴んだオメガが引っ張って軌道が変わり、ネプチューン・グラトニーの牙から逃れる俺の足。するとゴゴゴゴッ!と音が響き渡る。見れば、水かさが下がってきているようだった。やったか、レベッカ、リチャード!
「ウガアァアアアアッ!」
「喰らえ…!」
ヘカトの腕に振り回された俺は、空中で手放して身をひねり、反転。下を向いて両手で構えたハンドガンを連射してネプチューン・グラトニーの体に銃弾を叩き込みながら急降下。撃たれた傷を再生させながら噛みつこうとしてきたところに銃を左手に持って右腕を振りかぶり、その頭頂部に拳を叩き込んでネプチューン・グラトニーを水面下まで殴り飛ばす。
「うぐっ!?…a?」
すると着水して水面下で旋回してスピードを上げようとしていたネプチューン・グラトニーが、床のパイプに手をぶつけてひっくり返り、すっかり水が引いたそこにひっくり返り俺も着地。同時にヘカトとオメガも降りてくる。水がなくなったことに通常に戻った目を白黒させているネプチューン・グラトニー。ひっくり返った衝撃からか正気に戻ったらしい。
「水があれば無敵…だったか?水がないならどうだ?」
「っ…水の外でも歩ける鮫をなめるなあ!」
口から牙を乱射しながら突撃してくるネプチューン・グラトニーの攻撃を、ヘカトがムカデ腕を壁の様に重ねて防御。それを乗り越えてオメガが宙返りして蹴りを叩き込み、ヘカトがムカデ腕の壁を解いたところにハンドガンを構えて乱射しながら俺も突撃。銃弾を受けて怯み、オメガの爪の斬撃を浴びてふらふらしているところに、手にしたそれを押し付ける。
「チェックメイトだ」
「a。ウアァアアアアアアッ!?」
出力最大にしたそれ…スタンガンが激しく放電。感電し、黒焦げとなって口から黒煙を吐きながら水浸しの床に倒れ伏すネプチューン・グラトニー。その顔は見れば見るほどアリサと同じで、罪悪感が襲うも直ぐに振り払う。
「…鮫殺しも楽じゃないな」
空中からハンドガン連射→拳の流れは、ヴェンデッタのラスボス戦でのレオンの神業が元ネタ。レオンの方は踵落としでしたが、レオンと言えば足技でクリスと言えば拳ですよね。
ヨーン・エキドナと同じ大ボスポジで強敵だったネプチューン・グラトニー。ヘカトちゃんとオメガちゃんがいなければ詰んでたと言っても過言じゃない。
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