BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回から最終局面に入ります。G生物って喋ると絶対やばいよねって。楽しんでいただけたら幸いです。
最後の力でクリスを助け、沈んでいく水中で目を開ける。気泡が漏れて水面へと上がっていくのが照明で煌めいて見えた。ああ、体が重い。水が纏わりついて気力を奪い沈ませていく。…あの男を助けて終わりか。私の人生はこんなもんか、と考えてから苦笑する。…人じゃないのに人生とは笑わせる。
「…助けられた貸しぐらいは返せたかしら」
一回沈んだ、というか沈められた過去があるから数分は耐えれるが…その前に私はあの鮫の餌食だろうし、そんな数分で倒せるわけがない。あいつはヨーン・エキドナと同等…いやホームの水場ならそれ以上の脅威だろう。クリスもウェスカーの元部下だけあって実力は高いが、さすがに……。
「…え?」
とかそんなことを考えてたら、水が引いて私は水浸しの床に倒れていた。咳き込んで水を吐き出し、何が起きたのか確認すべく周りを見渡すと、私と同じ顔をしたムカデとトカゲを連れてクリスが駆け付けた。
「無事か、セルケト!」
「……同じ顔はアリサとエキドナで十分なんだけど?」
「いやそれはアリサのセリフだと思うぞ」
何とも言えない顔のクリスのお腹を小突く。…あのサメを倒したのか。また、借りができてしまったわね。
フォレストの止血を行いつつ皆を待っていると、程なくしてレベッカがやってきて治療を施し、続けて戻ってきたアリサから食料を受け取り食べさせる。
「よくこんなに見つけてきたな。よくやったアリサ。…アリサ?」
「…え?な、なに?クイーン」
「心ここにあらずだがどうした?」
「…エヴリンはどうしたのかなって」
「さあな。まだジルを探し回っているんだろう。あいつなら大丈夫だ、帰ってくるのを待とう」
「…そっか」
帰ってきてからアリサの様子がおかしいことが気になったが、レベッカが遭遇したネプチューン・グラトニーとかいうサメや動く蜂の巣などの話を聞きながらジョセフの回復を待っていると。
「戻ったよー」
「ただいま。クイーン」
「おかえり、二人とも」
そこに、ヘカトを背負ったオメガを先頭にしてクリス、リチャードと続けて入ってきた。レベッカが先に戻ってきたのは聞いていたが、よかった無事だったか。
「レベッカから聞いていると思ったが、リチャードと合流できたぞ。それと…こいつもだ」
「…まさかあなたと味方同士になるなんてね」
「…本当にな」
気まずそうに入ってきたのは、五年前に戦った以来となるセルケト。殺されかかったのは事実だが、レベッカとアリサから話は聞いている。目的が同じ方向を向いていることも。
「まずは行方を晦ませたウェスカーか。バーキンの時も一枚噛ませろ。もうマーカスのことはどうでもいいが、仮にも親を殺した相手だからな」
「私にとっては親殺しなのだけどね。手伝ってくれるなら歓迎するわ」
「俺達は一応警察だと忘れてないかクイーン?」
「生憎とだがなクリス、私は人じゃないから法律の埒外だ。アリサは微妙なラインだが」
「? お前もアリサも人だろ。何を言っている」
「ぐぬっ…」
苦言を呈してきたクリスに言い負かしてやったと不敵に笑っていたら真顔で返してきて、返事に困る。こいつのことだ、私が蛭だということを見越して言ってるんだろう。それは……人間だと思われているなら、悪い気はしないな。
「…やあ、クイーン」
「その指どうした、リチャード」
欠けた左手の指をひらひらさせながらバツの悪そうな顔を浮かべるリチャードを睨みつける。同じチームブラボーの仲間だ。こいつがそう簡単にやられる男じゃないのは分かっている。つまりは。
「ああ。油断してばっくり行かれた」
「ばっくり行かれたじゃないぞこの馬鹿。私と違って失ったものは治らないんだぞ」
「あいたっ」
こんな場所で油断した馬鹿にデコピンしてやる。これに懲りたら二度と油断するな馬鹿。私もお前たち全員を守れるわけじゃないんだぞ。
「…ところでジョセフの無事は確認できたが、ジルとバリーはどうした?」
この場にいる私、アリサ、レベッカ、ジョセフ、リチャード、オメガ、ヘカト、セルケトを見渡してクリスがそう尋ねてきた。思わず押し黙る。レベッカも、リチャードも、視線を向けてきた。私はクリスの目をまっすぐ見れなかった。
「…ジルは行方不明。バリーは逃げた。残念ながらそれしか知らない。アリサが言うには、ジルがいなくなったのはクリスとセルケト。お前たちと離れた後の出来事だ。バリーはおそらく裏切った。あいつには守るものが、私たちより優先するものがあるからな」
「…家族か」
親は死んでいるが妹がいるクリスには察しがついたのだろう。神妙な面持ちで下を向く。空気が重い。いつもバカやって空気を和らげてくれるアイツがいないから、なんだろうな。あいつの軽口にだいぶ救われていたらしい。
「とりあえずジルを探すぞ。バリーも見つけて一発ぶん殴る。しゃきっとしろお前たち」
「…そうだな。ジョセフ、リチャード。レベッカ。アリサ。いけるか?」
「…ああ、何とか回復してきたぜ。ジルを早く見つけてやろう」
「どこにいるかわからないエンリコもな」
「ケネス達を失ったのは悲しいけど…立ち止まってられないわ」
「大丈夫。ありがとうクリス、答えは見つかった」
私の叱咤に頷いたクリスの言葉に、立ち上がるジョセフ、傷口を巻いた包帯を引くリチャード、グレネードランチャーを手に笑みを決意に満ちた表情を浮かべるレベッカ、吹っ切れた表情のアリサ。セルケト、オメガ、ヘカトも頷く。
「…と、意気込んでみたはいいが、誰か手掛かりを見つけたか?」
「多分だけど、…まだ全部調べてない洋館の地下になにかあるかも。私とジルが迷い込んで配電盤を見つけただけだったから」
「そこぐらいしかないか……なら戻るか」
アリサの言葉に、寄宿舎を出てぞろぞろと中庭を通る私たち。そこで、上空からヘリの音が聞こえてきたので視線を向ける。逃げたというブラッドか!?しかし視界にとらえたのは、闇夜に浮かぶ赤と白の傘のエンブレム。そのエンブレムを、この数年憎悪とともに何度も見てきた。
「「「アンブレラ…!」」」
私とアリサ、セルケトの声が重なる。アンブレラのエンブレムが描かれたコンテナが吊り下げたヘリコプターが上空を飛んでいた。何をする気だ…?と観察していたら、コンテナを切り落として落下させ、そのまま飛び去って行ってしまった。
「何か落としたわ…!」
「洋館に落ちたぞ!」
コンテナが落ちた先に急ぐ。この先はエントランスホールか?なんだ?何を落とした?
《G生物試作一号【セルケトⅡ】ギルタブリル、覚醒サセマス》
セルケトⅡ、ギルタブリル、だと?私たちがエントランスホールに駆け付けると、機械音声とともにコンテナの隙間からプシューと煙が放出され、ガコンガコンと音を立てて展開して、コンテナもパーツが崩れ落ちる。中に直立していたのは、異形の怪人。胸部の巨大な単眼がギョロギョロと動いてこちらを認識する。
「目標は全B.O.W.の鎮圧及びS.T.A.R.S.の排除。ミッション・スタート」
胴体に巨大な単眼がある、全身サソリを模した漆黒の甲殻を思わせる、親指と人差し指が鋏になっている装甲に包まれ肌が露出していない騎士かコミックのヒーローを思わせるそれは、頭部の目にあたる隙間を紫色に輝かせて、背中からずるんと蠍の尾を伸ばして展開、顔の横に先端を浮かばせて手に取り、グルングルンと回転させる。その姿は、半分だけ甲殻を纏ったセルケトの完全体ともいえる姿で。
「…なかなかふざけたものを送ってくるじゃない。意趣返しのつもり…?」
「押さえろセルケト、冷静になれ」
ブチギレて今にも飛び出しそうなセルケトを押さえていると、セルケトに視線を向けた瞬間固まるギルタブリル。
「……目標上書き。第一目標、セルケト。やらせろ」
「は?」
次の瞬間、一瞬で肉薄すると私たちを文字通り蹴散らして、尻尾を投げ縄か鎖鎌の様に投げつけてセルケトの足を拘束、引っ張って組み敷くギルタブリルの言葉に呆けるセルケト。固まる私たち。理解できてないのか首をかしげるオメガとヘカト。…アイザックスかバーキンかは知らんが、作ったやつ頭逝ってるのか?
G生物になった完全体セルケトなギルタブリル。言ってることがめちゃくちゃですがG生物の思考なんてこんなもん。これには天才二人も想定外。見た目は完全に仮面ライダー系の特撮に出そうなイメージ。
アリサもひとまずクリスの言葉で回復しましたがまだまだ危うい。エヴリンはよ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。