BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は1編ラスボス登場。楽しんでいただけたら幸いです。
突如アンブレラのヘリコプターから襲来したかと思えば、圧倒的な力で俺達を蹴散らしてセルケトを組み伏せたギルタブリルを名乗る蠍の怪人は、とんでもないことを言い出した。
「私の子を産め、セルケト…!」
「断固お断りよ!?なにがどうなってそうなるの!?」
「我が体に流れる血がそう叫んでいる…!」
憤怒の表情を浮かべて尻尾で薙ぎ払うセルケト。それをバック転で回避したギルタブリルは二階の通路の手すりに後頭部から伸びた蠍の尾を巻きつけて宙に舞い上がり、掌を向けて装甲に空いている穴からまるでショットガンの様に針の束を飛ばしてくる。それをヘカトがムカデ腕を盾に受け止め、俺が撃ち、オメガが舞い上がって爪による斬撃を叩き込むも、どちらも両腕の親指と人差し指を形成している鋏で弾いて横蹴りを叩き込んで蹴り飛ばしたギルタブリルは尾を離して着地。
「はああ!」
「邪魔だ!」
胸部の単眼をギョロギョロさせて俺達を確認するギルタブリルに、一斉に攻撃する俺達。アリサの殴り掛かりを真っ向から受け止めて弾き飛ばし、クイーンの粘液糸を容易く鋏で切断し、レベッカのグレネードランチャーを蹴り上げて爆発させ、リチャードとジョセフのショットガンを腕を交差させて防ぎ、ヘカトのムカデ腕をチョップで地面に叩きつけ、セルケトの指先から放った針と俺の放った弾丸を叩き落とすと、後頭部の尾を握って伸ばし俺達を薙ぎ払ってきた。あの胸部の単眼による動体視力と、とんでもなく堅く多彩な能力の肉体による対処、強敵だ。
「お前は私のモノだ!」
そのまま尾を握ってぐるぐると回転させ、遠心力と勢いをつけるとセルケトの腹部に投げつけんとするギルタブリル。あれはなんか、やばい!
「おっと、女性の腹にそんなもんぶちこむんじゃねえぜ!」
「同感だ…!」
と、床に転がっていたジョセフが愛用のモスバーグM590散弾銃を構えて尾を弾き飛ばして防御。さらにリチャードが突進して近づくと愛用のベネリM3を乱射。咄嗟に胸部の目を守るように腕を交差して防御し動きが止まったギルタブリルに、硫酸弾が炸裂。レベッカだ。
「セルケトになにしようとしたの…!」
「グオオアアアアッ!?」
弾けた硫酸が胸部の目に入ったのか悶えるギルタブリル。せっかく全身装甲なのに弱点が丸見えなのはいかがかものか。逆に言えばそこしか付け入る隙がないということなのだが。今も苦しみながら尾を振り回して近付けさせないギルタブリルにどうしたものかと手を
「ここは俺らに任せて先に行け。クリス、クイーン、アリサ、レベッカ、オメガ、ヘカト」
「ジルが危ないはずだ、早く見つけ出してくれ」
「だが…」
「お前ら、傷は…」
「心配するな、クリス、クイーン。もう油断しねえよ」
「むしろこれぐらいさせてくれ。俺達もS.T.A.R.S.だ。これぐらい相手できないでどうする」
「奴の狙いは私の様だから囮に位なってやるわ。何ならこんなふざけたやつ殺してやる」
そう言うジョセフ、リチャード、セルケトに、俺たちは視線を交わして、頷く。確かに今はジルが危ない。こいつに戦力と時間を割くのは悪手か。
「わかった、先に行く!必ず追いつけよ、三人ともだ!」
そう言い残して、俺たちはアリサの案内で地下に突入する。無事でいろよ、三人とも!
そして、辿り着いたのは鉄でできた地下施設。襲い掛かってくるハンターやゾンビの群れを撃退しつつ、先を進むと見覚えのある人物のゾンビが立ちはだかる。
「エンリコ!?」
それはまさしくブラボーチームのリーダー、エンリコ。悲痛な声を上げるレベッカに襲い掛かるエンリコに、咄嗟にヘッドショットを叩き込む。
「…すまない、エンリコ」
「…エンリコ。お前と一緒に行かなかったのは間違いだった」
「クイーン…あれ、なんか持ってるよ?」
悲痛に満ちた表情で力なく床にぶつけるクイーンに寄り添っていたアリサが、何かを見つけてエンリコの手からそれを手に取る。
「動力エリアの鍵…?」
「これを使えば先に進めるか…エンリコ、安らかに眠れ」
その鍵を使い手分けして攻略、辿り着いたのは、いくつものカプセルが安置された研究室らしき場所。その中心に、巨人二体を従えたサングラスの女がいた。
「…来たかクリス、クイーン、アリサ、レベッカ。それにハンターΩとセンチュリオン・ヘカトンケイルかな?新型B.O.W.の投入は想定外だったが……なに、お前たちが来てくれたのなら問題はない」
「お前…誰だ!なぜ俺達を知っている!」
「…ウェスカー、なのか?」
「なに!?」
咄嗟に銃を構えるも、クイーンが信じられないようにこぼした言葉にギョッと驚愕し振り向く。なにがどうしてそうなった!?
「動揺するか、無理もない。私も我がことながらいまだに信じられんが…死に間際に打ったRT-ウイルスに適合してね。そこのアリサと同等の肉体を得た。今の私は、以前の“俺”とは比べ物にならん」
「…また、RT-ウイルス…」
アリサが何かショックを受けているようだが、俺もまたショックを受けている。ウイルスというのは何でもありか!?い、いやそれよりも。
「じ、ジルは無事なのか!?」
「ジルなら無事だ。もう少しで実験するところだったが…運がよかったな。いや、運が悪いか?この二体を相手にしなければならないのだからな」
そう言って椅子から立ち上がり、両手を掲げるウェスカー。すると控えていた二体の巨人が動き出す。
「美しいだろう。究極のB.O.W.「タイラント」だ。エンリコもこの二体がひねりつぶした。次はお前たちの番だ。安心しろ、お前たちの死体は、特にB.O.W.の細胞は私が有効活用してやろう」
「そんな不細工、究極の出来損ないの間違いだろう!」
「…そんなもの、美しくもなんともない!」
「生憎とそいつと似たやつは倒してきたところだ!」
「そうよ、今更負けない!」
「オメガ、我恐い…」
「ヘカトは私が守る」
そう、それぞれ意気込んでいざぶつかる…その瞬間。研究室の壁の一部がバチバチとショートして、壁がスライドして煙が放出される。
「なんだ!?」
「新手か!?」
「こんなもの知らないぞ!?…ここはアイザックスの研究室……まさか」
俺達だけでなく、ウェスカーやタイラントたちさえも狼狽える中で、煙の中からそれは現れた。ぺたぺたと足音を立てながら裸足で現れたのは、年端もいかない少女だった。側頭部から湾曲した電極と思われる太い角を二本生やした白髪で、口元を隠す大きな襟と手元を完全に隠したぶかぶかの袖と至る所に取り付けられたベルトが目立つ漆黒のコートを身に纏ったそれは、ぶかぶかの袖で隠れた右手を掲げる。
「馬鹿な、T-EX01【イブリース】だと…!?」
それを確認するや否や、とんでもない速さで脇目も降らず研究室を飛び出していくウェスカーに驚いていると、イブリースと呼ばれたそれは大きな襟で隠された口を開いた。
「……刮目せよ。私が支配、する」
瞬間、イブリースの角が輝いたかと思えば電源が落ちたロボットの様に目を閉じて項垂れるタイラント二体。そして目を開けたかと思えば、タイラント二体は移動してイブリースを守るように構えた。俺とレベッカ以外も様子がおかしい。
「「「「Yes、MyLord」」」」
「クリス先輩、これは……」
「ああ、まずいぞ……!」
目を虚ろに黒く染めて、憑りつかれたように言葉を発しながら俺たちに振り返る四人に、俺とレベッカは構えるしかなかった。
アイザックスの隠し玉。すべてのB.O.W.を支配するB.O.W.、イブリース降臨。存在を知っていたウェスカーが全力で逃げだすぐらいにやべーやつ。ギルタブリル襲来の衝撃で隠し扉が開いちゃったっていう。モチーフは某総帥です。
エンリコ退場。セルケトジョセフリチャードはギルタブリルの相手に残り、さらにクイーンたち四人まで支配されて窮地に立たされるクリスとレベッカ。戦力増やして万全だと思わせてこれである。
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