BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はギルタブリルとの決着です。楽しんでいただけたら幸いです。
「私の子を産め!セルケト!」
「だからそれは断るって言ってるでしょ!ギルタブリル!」
拳の様に閉じた右手の鋏と、ギルタブリルの親指と人差し指が鋏になっている右拳が激突する。そのまま右足の鋏による回し蹴りに移行、奴の堅い甲殻に覆われた腕を挟み込んで引っ張り、飛び膝蹴りを顔面に叩き込んで蹴り飛ばす。
「今だ、ジョセフ!」
「おうよ!リチャード、合わせろ!」
壁まで吹き飛ばされたギルタブリルの胸部の目に、ジョセフとリチャードがショットガンで集中砲火。体液の飛沫が飛び散り、瞑目しているのでダメージが入っているようだ。私よりも強力だけど、明らかな弱点ができているのは同情するわ。
「邪魔をするな…!」
胸部の単眼を閉じて立ち上がり、後頭部から伸びる尻尾を手に取り、伸ばして鎖鎌の様に振り回してジョセフとリチャードを薙ぎ払うギルタブリル。尻尾の先端が渦を巻いて床に引っかき傷を作り上げ火花を散らし、そのまま大きく振り回して私たちをまとめて薙ぎ払った。
「なめないでよね!」
吹き飛ばされた勢いのまま、私も柱に向けて尻尾を伸ばして柱に突き刺し、吹き飛ばされた遠心力でぐるりと迂回し一回転した反動を利用して空中からショルダータックルを叩き込むと、ギルタブリルは頭部の甲殻が割れて中身が見えながらも組み付いて受け止めてきた。半分割れた中には、私と同じ顔が見えた。やっぱり、私のクローンみたいね…!
「くそっ…!こいつ、強いな!」
「そんなことはわかっている!攻撃を集中させろ!セルケトを援護するんだ!」
ジョセフとリチャードのショットガンを装甲で受け止め涼しい様子のギルタブリルと組み合って、奴の後頭部から伸びる尻尾と私の腰から伸びる尻尾を打ち付け合う。駄目だ、力負けして押されている。このギルタブリルは私の完全上位互換だ。T-ウイルスやRT-ウイルス、菌根だけじゃない。別の何かの力が働いている。
「隙だらけだぞ、セルケト…!」
「っ!?」
すると左側、私にとっては甲殻がない弱点の方から嫌な気配。見れば、奴の後頭部から長く伸びた尻尾が大きく迂回して迫ってきていた。さっきまでは気づかなかったが、横目で真正面から見据えて気づく。見えたのは、細い穴。これは尻尾なんかじゃない、管だ。しかもそう言うことに使う……あの全身装甲でどう致すつもりなのかと思っていたが、さっきからずっと狙っていたのか。迫るそれに、なす術がない。万事休すか……
「させるかあ!」
すると走ってきたジョセフがそれにしがみつき、受け止める。それに気を取られたギルタブリルにリチャードが駆け寄って背後からギルタブリルに飛びつき、左手でしがみつきながらショットガンを右手で握って銃口を胸部に突きつけて乱射。咄嗟に目を閉じたギルタブリルに大きな隙が生まれた。
「ジョセフ!?リチャード!?なにを…!」
「お前になんかあったらクリスに申し訳が立たないからなあ!」
「今だセルケト!でかいのを叩き込め!」
「っ!ええ、わかったわ!」
リチャードの言葉に頷いて尻尾を右足に巻き付けて武装。大きく体勢を沈み込んでから跳躍し、一回転。ジョセフを尻尾を振るって吹き飛ばし、リチャードを投げ飛ばして拘束から逃れてこちらを胸部の目でまっすぐ見つめてきたギルタブリルに、右足の鋏を突き出して強烈な蹴りを胸部の目に叩き込む。
「ぐっ、おおおあああああっ!?」
眼球を私の右足で貫かれたギルタブリルは無理矢理私を引き抜いて押し倒すと絶叫、大穴が開いた胸部の目から体液をまき散らしながら手足を振り回しながら後退し、膝をつきながらも私に向けて力なく手を伸ばす。
「し、死ぬ前に、私の子を……」
「本能なのか何だか知らないけど……哀れね。断らせてもらうわ」
「セルケトぉおおおお……」
そのまま崩れ落ち、断末魔で私の名を呼びながら床に倒れ伏すギリタブリルに、私は背を向けて振り返る。そこには、笑みを浮かべてサムズアップを向けるジョセフとリチャードがいて。
「やったな!さすがだ!」
「本当に強いな。俺たちS.T.A.R.S.に入らないか?」
「笑えない冗談ね。私みたいな化け物を入れるなんて、無理に決まってるでしょう。クリス達を追うわよ」
そう返しながら、追いかけようとしたときに。地下に続く扉から、それは出てきた。長い金髪をオールバックにして、サングラスと白衣を身に着けた女性だった。その存在を認知した途端、憎悪が湧き上がる。
「っ!お前たちは……」
「え、誰だ…?リチャード、知り合いか?」
「いいや?だがアリサや隊長に似てるような…?」
「……たとえ姿かたち、声が変わっても私にはわかるわ。私を産んでくれてありがとう、アルバート・ウェスカー!死んでくれるかしら…!」
「「なっ…!?」」
私の標的、アルバート・ウェスカーに私は尻尾の先端を勢いよく伸ばして不敵に笑う。絶対に逃がさない。
外に出してもらって、現実のデスマスクの怪物の姿のリサと共に騒音の聞こえる方に向かうと、研究室のような部屋でとんでもないことが起きていた。
『えっ、何事?なんでクイーンとアリサ、オメガちゃんとヘカトちゃんがクリスとレベッカを襲ってるの?』
「…マガイモノ、いや。アリサに何をした…!」
困惑する私をよそに、嬉々としてクリスを狙うアリサにショックを受けた様子のリサが、一番奥で多分プロトじゃないタイラント二体を侍らせた角の少女に吠える。
「RT型第一号。RT-01“Empress”とよくわからない子供。刮目せよ。お前も支配する」
すると静かにそう告げると少女の角がバチバチと帯電し、電磁波を発生させてその範囲はこちらにまで及んだ。やられた……!?
『あれ?私、なんともないや』
「ぐうっ……イブリース様……」
『リサ!?イブリース様って何、あいつのこと!?そうか、こうやってみんなを支配したんだな!……ってリサ!しっかりして!ここであなたまでクリス達を狙い始めたからさすがにやばい!』
私には特になんにもなかったが、リサが頭を押さえて呻き始めた。ど、どうしよう!?ってやばい、クイーンがわりかし本気で粘液硬化してクリスを今にも殴ろうとしてるー!?
「エヴリン、お前も来たか。ともにイブリース様に支配され…」
『とりあえず止める!喰らえー、スゥウウ……ワアアアアアッ!!』
「ぐあぁああああああっ!?」
クイーンに突撃して耳元に顔を突っ込み、虎の子である超至近距離鼓膜絶叫を発動。クイーンは目を回してバターンと倒れ伏す。なんか今脳の中おかしかったな!?私、たまにクイーンの頭の中にお邪魔させてもらってるからわかるけど、なんかおかしかった!今のがからくりかな?
「クイーン!?エヴリン、なにするの!?ひどいよ!」
『ええ……なんかいつものノリで私が悪いみたいに非難されてるのなんで…?』
「当たり前。エヴリン、見損なった」
「一緒にイブリース様に支配されよーよ!」
『みんなもしっかりしてよ!?あーもう、取り合えず時間を稼ぐか!喰らえー!スゥウウ……』
「「「!」」」
私が近づこうとすると、何をしようとしているのか気づいたのか顔を青ざめて全力で逃げ出すアリサ、オメガちゃん、ヘカトちゃん。超至近距離鼓膜絶叫は受けたくないらしい。でもこれで三人を抑えることはできる!…問題は、クリスとレベッカを襲い始めた二体もいるタイラントと、あのイブリースとかいうガキんちょ、そしていまにも操られそうになってるリサだ。
「私に支配されろ、エンプレス」
「あああ、私は……わた、しは…!」
『リサ!しっかりして!あなたはエンプレスなんて名前じゃない!リサ・トレヴァーでしょ!』
「…そうだ、私は。リサ・トレヴァーだ!」
「!?」
そう言って頭を振るうとデスマスクから覗くリサの目は正気に戻っていて。ひと跳躍でタイラントに肉薄すると、長い腕を振るってアッパーカット、右ストレートを叩き込んでタイラント二体まとめてその巨体を殴り飛ばしてしまった。
『すっご…』
「え、なに!?」
「リサ・トレヴァーが味方をしただと!?」
「もう一人の私!?イブリース様を守らなきゃ…!」
感嘆する私、目に見えて狼狽えるクリスとレベッカ、そしてイブリースを守ろうと私から逃げるのをやめてリサに殴りかかるアリサと受け止めるリサ。さらにそれだけじゃなかった。
「ヨーン・エキドナ。ネプチューン・グラトニー。お前たちも、来い」
「はーい、イブリース様ぁ!」
「イブリース様の敵は全部喰らうのだ!」
イブリースがぶかぶかの袖の右腕を伸ばして告げるとアリサと同じ顔、というよりリサと同じ顔のヘビが天井のダクトから、入り口からサメが現れて吠え、タイラント二体も起き上がる。えーと、えーと……すぐ私のキャパオーバーになるのやめてくれないかなあ!こうなったら喉が涸れるまで絶叫してやる!喉ないけど!
ギルタブリルの尻尾はそういう器官でした。中身はセルケトとそっくりの女性です。つまり彼女もリサ顔。
そしてイブリース戦にリサ&エヴリン参戦。忘れてならないのは彼女の能力は異様なまでの「適応」。即座に支配電波にあらがうように適応しました。支配と同時に「適応するな」と働きかけられたアリサと違ってこれを任意で行えるのが強み。
そしてこういう乱戦で強みを発揮するエヴリン。触れないスピーカーが飛び回って耳元に近づいて大音量を流すんだからたまったもんじゃないです。クイーンダウン。
そこに参戦、ヨーン・エキドナとネプチューン・グラトニー。感想欄で何人かに見抜かれたけど生きてました。仕返しのためにのこのこやってきて範囲に入っちゃったっていうね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。