BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はVS魔王イブリース。楽しんでいただけたら幸いです。
魔王イブリース。T-EX01イブリースの真の姿。コンセプトである「支配」能力に特化するため普段力をセーブしている封印である拘束ベルトが大ダメージを受けてリミッター解放、支配能力を失った代わりに再生能力や戦闘能力を取り戻した形態。たとえ第一形態の時に致命傷を負ったとしても、この形態に移行するのと同時に再生し再起動する。第一形態の時は無力に等しかった身体能力が向上しており、小さな体に凝縮された筋肉は驚異的な膂力を発揮する。
支配能力を使用するために用いていた電極角は変異時に抜け落ちて、新たに生物的な角が生成。この角は袖の拘束ベルトが外れたことで解放された、親指、人差し指、中指のものが肥大化した巨大な爪と同じ伸縮自在かつ鉄筋コンクリート程度なら両断する鋭利さと頑丈な特性を有しており、小さな体躯によるリーチの短さを気にすることなくすべてを両断する。
第一形態では必要最低限しか喋らない無口で大人しかったが、本来の気質はタイラントだけあって凶暴な暴れん坊であり、封印が解かれることで饒舌になり一人称も「私」から「我輩」に変化したプライドの高い自信家に変貌する。己の支配に抗うすべてが気に喰わず抹殺せんとするまさに暴君そのもの。自らに従わない者すべてを薙ぎ払う魔王であり、敵対者を冷酷に葬る無慈悲な悪魔。開発者のアイザックスでさえ想定外の怪物、それが魔王イブリースである。
「王に逆らった愚か者どもよ、刮目しろ!」
イブリースの長く伸びた爪が擦り合わされ、火花が散って振り下ろされ叩きつけられるのを、クイーンだった変異ヒルを抱えて飛び退いて回避する。そのまま横に振りまわされたかと思えば縮み、凄まじい速さで伸ばして刺突を繰り出し、オメガちゃんの爪が上に斬り払うも、続けざまに放たれたもう片方の腕の爪が腹部に深々と突き刺さり、壁に串刺しにされるオメガちゃん。
「ぐう…!?」
「オメガ殿!おのれ…拙者の部下たちのみならず妹まで…許せぬ!」
「我輩の心の臓を裂いた賊に許されぬ道理はないわあ!」
怒ったプサイちゃんが突撃するも、爪を縮めた右腕が振るわれるのと同時に爪が伸び、咄嗟に受け止めたプサイちゃんを弾き飛ばし、天井に叩きつけて右手の爪を縮ませ、落ちてきたところに腕をかざすイブリース。オメガちゃんみたいに串刺しにするつもりだ。
「させ、るかあ!」
そこに跳躍したリサがイブリース本体目がけて鎖を巻いた拳を振り下ろし、一撃。頭から血を流して爪を縮ませ、オメガちゃんを開放しふら付くイブリース。そこに槍のようにとがったリサの髪の毛が殺到する。
「甘いわ!」
するとイブリースの頭の角がまっすぐ頭上に伸びて壁に突き刺さり、伸縮する勢いを利用してイブリースはその場から離脱。さらに左手から伸ばした爪でリサの左肩を貫きながら、右手から爪を伸ばして床に突き刺し、リサから爪を離し右手の爪が縮む勢いで高速で移動する。なんて機動力…その先には、私が降ろしてしまった無防備なセルケトが……まずい!?
「続けて一人…っ!?」
『スゥウウ……ワアアアアアッ!!』
しかしセルケトとイブリースの間に移動したエヴリンが大声を放ち、B.O.W.なばかりか高性能なために耳がいいのか顔をしかめて撃墜、頭から落ちるイブリース。
「ヘカトちゃん、クイーンもお願いできる?」
「うん、任せて!」
ただでさえリチャードとジョセフを抱えているヘカトちゃんに負担を強いるのは嫌だが、背に腹は代えられない。ムカデ腕をさらに伸ばして変異ヒルたちを一人残らず抱えたヘカトちゃんの頭を撫でて、向き直る。視線の先には、左肩の傷を再生させて調子を確かめているリサが。私の視線に気づいて、頷く。
「「行くぞ!」」
二人同時に駆け出すと、それに気づいたのは天井に伸ばした角を突き刺して宙ぶらりんとなる形で起き上がったイブリースが腕を交差、爪を伸ばして洋館を大きく両断する勢いで振り回していく。
「きゃあ!?」
「危ないヘカト…!」
「オメガ殿の妹分は拙者の妹分でもあるでござる!」
それはヘカトちゃんにも襲い掛かって悲鳴が上がるが、傷を負いながらも立ち上がったオメガちゃんとプサイちゃんの姉妹がヘカトちゃんの前に立ちはだかってそれぞれの爪で上に弾き飛ばし、防御。それを確認しながら、私とリサは突撃していく。
「「うおおおおおっ!」」
「なにっ!?」
とんでもない範囲で振り回される爪が襲い掛かるも、私は最低限に頭は守りながら斬られるのは無視して突き進む。リサは髪の毛を操って爪の乱舞を弾きながら突撃。私は四肢を切り飛ばされた瞬間新たに生やしてバランスを崩しながらも突き進む。驚愕に眼を見開くイブリース。それぞれの個体へのダメージがダイレクトに伝わって範囲攻撃が致命的なクイーンと違って、切断系なら私は滅法強いぞお!
「ウラアアアッ!」
両腕を床に叩きつけ、その反動で跳躍してイブリースが吊り下がっている角の一本を殴りつけて破壊、破片が散乱しバランスを崩してさらに髪の毛を伸ばして足に巻きつけ、着地と同時に引っ張るリサ。イブリースは落ちてなるものかといったん縮めた爪を天井に伸ばし、縮める反動で上に上がろうとする。
「クイーン、借りるよ…!」
ならばと私が構えたのは、クイーンだった変異ヒルをかき集めたときに一緒に拾っておいたクイーンの愛銃であるサムライエッジ、ゴクとマゴク。銃の腕はあまり自信ないけど……適当に狙って乱射ぐらいはできる。
「うおおおおおっ!」
「ぐっ、ぐおっ、ぐああ!?」
次々と全身を撃ち抜かれてその小さな体を跳ねさせ、角と爪の先端が天井から抜けて落下するイブリースの顔面に、リサの渾身の鎖を巻いた拳が叩きつけられ吹き飛ばす。しかしそれでも、イブリースは即座に再生。両腕を振るって爪を伸ばし、吹き飛ばされる勢いで目いっぱい爪を伸ばした後、一気に縮む反動でロケットの様に吹っ飛んできた。
「串刺しの刑だ!」
「「っ!?」」
さらに飛んできた勢いのまま角が伸びて私とリサの胸部を貫き、壁に磔にされる。伸ばした爪で角を叩き切って私たちの磔を維持したまま、角を再生。後ろから襲い掛かろうとしていたオメガちゃんとプサイちゃんも、振り返りざまに伸ばした爪を咄嗟に防いだことで薙ぎ払われる。強すぎるでしょ……!爆発の時間も迫ってるってのに…!
「刮目せよ。お前たちの最期の時だ」
『こんのお!スゥウウ……ワアアアアアッ!!ワアアアアアッ!!ワアアアアアッ!!』
「くどいわ」
エヴリンが連続で大声を出して怯ませようとしているが、エヴリンが自分に干渉できないと気付いたのか歩を進めて怯えるヘカトちゃんに近寄るイブリース。止めたいけど、三メートルはある折れた角で磔にされていて、引き抜くこともできない。どうすれば…!
「選択しろ。我輩に従うか、それともここで死ぬかをな」
「…私は、死なないもん…!」
「そうか、我輩と同じ再生能力の持ち主か。ならば磔にして逃げられなくしたうえで、ゆっくりと四肢の肉を削いでやろう。死にたいと、我輩に服従すると懇願するまでなあ?」
「――――それはいささか趣味が悪すぎるわよ魔王様」
その瞬間だった。完全な不意打ちで放たれた横蹴りでイブリースは蹴り飛ばされて食堂に続く扉を突き破って見えなくなった。その主は、蠍の半身を持つ、私と同じ顔の女だった。
「セルケト…!なんで…?」
『私が馬鹿みたいに叫んでるだけだと思った?セルケトを起こすためだよ…!』
「あまりにうるさい目覚ましね。二度とごめんだわ」
そう言いながら鋏を使い、私とリサを貫いている爪を切断して短くした上で引き抜き解放してくれるセルケト。エヴリン、ナイス!
『爆発する前に早く逃げるよ!ケルベロスに気を付けて!』
そう言うエヴリンに頷き、ジョセフとリチャードを担いでクイーンを抱えたヘカトちゃんを守るように陣形を組みながら洋館を玄関から脱出して森の中を進む私たち。そう時間がたたないうちに爆発音が聞こえ、立ち止まり安堵していた私たちの真横を、三本の爪が地面に突き刺さる。振り返るまでもない、奴だ。
「刮目せよ!エンディングにはまだ早いぞ…!」
「嘘…!?」
爆発をもろに受けたのか炎上しながら爪を縮ませ迫ったイブリースが私たちを飛び越え、行く先に着地する。その姿は、悪魔そのものだった。
視界のすべてを薙ぎ払う圧倒的なリーチ。伸縮自在の爪と角を用いた圧倒的な機動力。洋館を切断する圧倒的なパワー。爆発に巻き込まれても死なない圧倒的な再生能力。そう、君は完璧で究極のB.O.W.!ゼウみたいな反則を除けば今作最強のB.O.W.となります。やはりフィジカル、筋肉はすべてを解決する!
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。