BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
file2:0【懲戒処分】
私たちはブラッドの操縦するヘリコプターでR.P.D.に帰還するなり、事前に後から来るであろうオメガちゃんたちを受け入れられるように動くつもりで、それぞれ大なり小なり怪我している治療しているみんなを代表してジルと共にブライアン・アイアンズ署長にことのあらましを報告していた。
黒幕はアンブレラだということ。アルバート・ウェスカーが裏切っていたこと。凶悪なB.O.W.の数々。その一部と共闘して切り抜けたこと。私とクイーンの正体だけは伏せて報告した。
「ではマリーニ、サリバン、スパイヤー、デューイ、ドゥリーは死亡を確認。ウェスカーは行方不明。サマーズはその温厚なB.O.W.とやらを連れてラクーンシティに向かっていると?」
「温厚かどうかは語弊がありますけど……はい」
クイーンはオメガちゃんやヘカトちゃんに殺されかけたらしいし、私もセルケトやプサイちゃんには殺されかけたし、考えないようにしていたけどリサはフォレストを殺した張本人でもある。…でも、誰にだってやり直せる権利はあるはずだ。だから、みんなが何も憂いことなく過ごせるように……私みたいにエヴリンが姿を変えてくれればそれも叶うはずだ。あれ結構疲れるみたいだからエヴリン死にかけそうだけど。
「そうか、そうか……サマーズが…」
「署長?」
そこで私は違和感を抱く。裏切り者のウェスカーではなく、クイーンに関心を向けている理由がわからなかった。思い出すのは、やたら署長を毛嫌いしていたクイーンとエヴリンのこと。下卑た視線がどうの言ってたけど私は意味が分かっていなかったが、子供だと思われるのが嫌でわかったふりをしていた。それともう一つ、今思い出したことがある。
―――――『うん、駐車場でバーキンとアイアンズ署長が会っていてなんか密約交わしていたの見たよ。研究所はそこからさらに先、迷宮みたいな下水道を通った先だから行くのはおすすめできないかな』
―――――「…ふーん。つまりアイアンズはアンブレラ側か」
今更になって思い出した、数年前のエヴリンとクイーンの会話。忘れていた、この男はアンブレラと繋がっている…!止める間もなく、アイアンズは署内に繋がるスピーカーのスイッチを入れていた。
「えっへん。あーあー、全館に通達。先日発生した洋館事件の主犯を、生き残った隊員たちの証言と状況証拠から、逃亡したと思われるS.T.A.R.S.隊員のクイーン・サマーズと断定。凶悪犯として指名手配に処する。いいな?これは命令だ」
「なっ!?」
「なにを……」
マイク越しに署内全てに伝達されたその言葉に、絶句するジルと不信感丸出しで拳を握る私。入り口に控えている警護の警官たちはざわついている。署長は…いや、アイアンズはスイッチを切るとこちらに向き直り、素知らぬ顔で首を傾げる。
「何を言う?ウェスカーは品行方正な男だ。奴に限って裏切るなどありえんよ。それよりも、調べれば調べるほど君含めて経歴に不審なところがあり、生物兵器……いや、実行犯の一味か?を連れて姿を消したサマーズを疑うのは当然だろう。現にまだ戻らんではないか」
「それ、は……」
それを言われると、ぐうの音も出なかった。調べられていた。おそらくは私たちを怪しんでいたウェスカーに依頼されたのだろう。経歴に不審なところがあるのは当たり前だ、エヴリンが役所の人間を洗脳してでっち上げた偽の経歴だからだ。警察学校にいたことなんてないし、卒業記録を調べられたらアウトだ。
「君とサマーズは数多くの功績があるから目を瞑りたいがね、こんな大事件を起こされると庇えるものでもない」
「でも、ウェスカーは本当に裏切って……」
「それこそ証拠がない、サマーズが口封じのために殺害した可能性すらある。それにアンブレラが黒幕だという証拠もないのだろう?君たちの証言だけで調べるわけにもいかないのだよ。わかるかね?」
「ぐ、う……」
アンブレラと繋がっているのは分かっているのに。私がそのことを把握していると知られたらアウトだ。ただでさえ経歴を調べられて経歴詐称の罪に問われてたら詰みの状態になるまであるのだ。クイーンの指名手配を、飲み込むしかないのか……。
「なに、安心したまえ。捕縛してもすぐには司法に突き出したりはしないとも。私自ら取り調べして、手取り足取り……もとい、根掘り葉掘り問い質して罪を軽くできるように尽力しようじゃないか」
「そういう、ことなら……」
「アリサ……」
真面目な顔でそう言うアイアンズに、私は納得しようとした。ジルに気を遣われながら、悪趣味な様々な動物の剥製が飾られている署長室を後にしようとして、聞こえた。私の、常人よりも優れている聴覚が、聞き取ってしまった。
「フフフ…一生かけても返せない借りを作ってやるとも。これであの女も私のものだ…ああ、楽しみだ。あの体を好きにできると思うとな」
そう、小さく呟いていたのを聞いた瞬間、私の堪忍袋の緒は切れた。鬼の形相で振り返り、驚愕するアイアンズの机の前まで一瞬で踏み込み、強く握りしめた拳を振りかぶる。完全に頭を潰して殺すつもりで、私は拳を振るっていた。
「殺したらダメよ!」
「!」
「ぶべばっ!?」
しかしジルの声に踏みとどまり、我に返って少し力が抜けた状態で振りぬいた拳がアイアンズの顔面に突き刺さり、机をひっくり返しアイアンズを奥の壁まで殴り飛ばす。潰れたカエルの如く情けない悲鳴を上げ、鼻は折れ頬は大きく腫れ、片目に青痣を作ったアイアンズはそのまま気絶した。
「と、取り押さえろお!」
「ぐっ!?」
我に返った警護の警官たちに四人がかりで取り押さえられ、関節を極められて身動きが取れずに倒れ伏した状態でなお暴れるも、ジルも拘束されたことで大人しくするしかなくなった。
その後、私は懲戒処分と自宅謹慎を命じられた。ジルは厳重注意で済むそうだ。アイアンズは全治一ヶ月の大怪我だとか。ざまあみろ。私の大事な家族に手を出そうとするやつは許さないんだから。
『…大丈夫?アリサ』
もちろんというべきかシェリーのベビーシッターも解約され、誰もいない私たちの家で宅配の冷めたピザを一人寂しく食べていると、ひょこっとエヴリンが顔を出した。
「エヴ…」
『しっ、盗聴されているかもだから黙ってて。もちろんクイーンに電話するのも駄目だよ。この時代は簡単に盗聴できるんだから』
無言で頷く。考えてみれば当然だ。クイーンが真っ先に連絡するのは私なんだから監視されていてもおかしくない。
『とりあえずこっちの状況を説明するね。クイーンは顔を変えてラクーンシティに潜伏している。仲間もみんな、私が姿を変えて一緒にいるよ。指名手配されたことも把握している。だから、私たちがアンブレラの内情を調べるから、アリサはアイアンズたちの気を引いてくれないかな』
その言葉に、クイーンの無事を知って安堵しながらも無言で頷く。するとエヴリンは満足げに笑った。
『これからは私が連絡係するからよろしくね!じゃ、また!』
そう言って壁を抜けて去っていくエヴリン。……大丈夫、クイーンなら大丈夫。また会える、はずだから……私は、私のできることを頑張ろう。
その決意もむなしく、二ヶ月後。私たちが守ってきたことなど無駄だとでも見せつけるが如く、ラクーンシティは地獄と化してしまう。私はアンブレラ調査をしたために自宅謹慎を命じられてていたジルと共に“追跡者”に追われることでその現実を直視することになるのだが……それはまた、別の話。
クイーンを篭絡しようとしたド腐れ署長、設定でも明かされてた通りアリサにぶん殴られて全治一ヶ月の大怪我。この時死んでいれば幾分かましだったかも(黒笑)
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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