BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
俺はレオン・S・ケネディ。ラクーンシティの警察署、R.P.D.に着任する新米警官だ。着任の数日前に突然R.P.D.から自宅待機を命じられていたが、音信不通となったため様子を見にラクーンシティに向かっていたところ、補給に寄ったラクーンシティ近くのガソリンスタンドで異常な様子の人間の……ゾンビともいうべき集団と遭遇。居合わせた女性、クレア・レッドフィールドを連れて車で逃走、ラクーンシティに逃げ込んだが…それが間違いだった。
《「市民の皆さん。大規模な暴動が発生したためラクーンシティ警察署に避難することをお勧めします。食料や医療品を無料で支給します」》
そんな放送が虚しく響き渡る、ところせましとゾンビが蔓延る荒れ果てた街。それが今のラクーンシティだった。
「そんな……噓でしょ、信じられない」
「署に行けば何が起きたかわかるはずだ。君のお兄さんもいるんだろう?もうすぐだ」
「ええ、そうね。でも生き残ってるのが私たちだけだったら?」
「いや、他にもいるさ。デカい街だ、隠れているだけかもしれない。きっといる」
そして、バリケードで通行止めが作られていたので車を止めて歩いて向かおうとしていた時だった。
ガキン!ドガン!グシャアア!
「なんだ?」
硬質なもの同士がぶつかり合う音と、何かの破砕音、肉の潰れる音と共に、バリケードを作っている数多のパトカーの上にそれは躍り出た。それは、血の跡で薄汚れた白衣を着ていた。動きやすそうなラフなシャツに、迷彩パンツとブーツを身に着けている、青みがかった銀髪をポニーテールにした女性だった。
「ちい!しつこいぞ、アネット!」
『驚きのしつこさだね!』
女性は驚いたことに右掌から煌めく糸を伸ばしてパトカーのドアにくっつけ引っ張ってもぎ取ると、自分が来た方向に投げ飛ばす。しかしそれは女性を追いかけてきた文字通りの怪物の握る鉄パイプで弾かれてあらぬ方に吹っ飛ばされる。
「クィイイインン!シェリーを、返せえええぇえっ!」
「私も探していると言っているだろう、そこまで信頼ないか私は!バカネット!」
『そりゃ凶悪犯は信用できないでしょ』
「なに、あれ…?」
クレアが嫌悪感を感じさせる疑問の声を上げる。それももっともだ。それは、異様に肥大化した右腕と、ギョロギョロ動く巨大な単眼が右肩に存在する異形の白衣の女だった。あれは人間なのか…?いや、それよりも……
「クイーン、だって?」
「聞き覚えが?レオン」
「二ヶ月前に起きた洋館事件の主犯として指名手配されている女性警官の名だ。顔写真は黒髪の女性だったから別人だとは思うが……」
「それってもしかしてクリスの同僚の…」
『あれ、クイーン。そこに誰かいるよ』
「そこに誰かいるのか!?だったら今すぐ逃げろ、危ないぞ!」
するとクイーンと呼ばれた女性が糸を伸ばして俺側の扉にくっつけて無理矢理開ける。事故か何かで出られなくなっていると考えたようだ。自分も危機だろうに他人を気遣えるなんて……とんだお人よしだ。
「クイィイイイインン!」
「ええい、いい加減にしろ!エヴリン!」
『ほい来た!カビ補強!』
鉄パイプを振り回してパトカーを殴り飛ばす驚異のパワーを見せる怪物に、クイーンは俺達を庇うように前に立つと右手から溢れさせた粘液をアスファルトに押し付けて広げるようにして壁を形成すると吹っ飛んできたパトカーを受け止めた。そのまま俺たちに近づこうとしていたゾンビを、伸ばした糸で引っ付けて引っ張り転倒させるクイーン。明らかな人間業じゃないが、味方だというのは分かる。
「レオン」
「ああ、彼女の言う通り逃げよう。こっちから出られるか?」
『あ、やばい。クイーン、暴走車来た!運転手ゾンビ化してるっぽい!』
「なんだと!?このくそ忙しい時に……」
クイーンが破壊した俺側のドアから外に出て、クレアの手を握って引こうとしていると、怪物の鉄パイプを糸で受け止めながら焦り始めるクイーン。なにが、と思っていたらクラクションが聞こえ、振り向くと俺たちの来た方向からタンクローリーがふらふらとしながら突っ込んでくる光景が見えた。
「クレア、急げ!あれはやばい!」
「ええ、でも足が引っかかって…」
脚がどこかに引っかかったらしく車から出られないクレアに、最悪の未来が頭によぎる。どうすれば、と考えようとしたとき、フロントガラスに見るからに硬質化した指が突っ込まれ、天井が引っぺがされる。見れば、ボンネットに飛び乗ったクイーンがそこにいた。怪物がどうなったのかと見てみれば、足に糸がくっついて地面に縫い付けてそれを取ろうと足掻いているところだった。
「なにをしている、掴まれ!」
『衝突事故五秒前!』
そう言ってクレアを左腕で引き上げて抱えたクイーンの腰に掴まると同時。タンクローリーが突っ込んできて、同時に頭上に伸ばした右手から糸を飛ばし、俺とクレアを連れて空に舞い上がるクイーン。眼下でタンクローリーが横転して大爆発が起き、怪物やゾンビたちがそれに飲み込まれるのが見えた。
「…ギリギリ間に合ったか」
『ギリギリだったねー』
ビルの屋上に降り立つクイーンは俺達を降ろすと一息吐く。その姿は悪党には見えなかったが、俺にはそれを聞く義務がある。
「貴方は…クイーン・サマーズなのか?」
「……おいエヴリン、アネットにもばれたし姿を変えてた意味がまるでないぞ」
『私の変装は完璧のはずなんだけど』
「貴方がクリスの仲間、S.T.A.R.S.だったクイーン・サマーズなの!?」
何故かクレアにも尋ねられ、狼狽えるクイーン。誰かに話しかけている?バツが悪いのか頬を掻くと、観念したとでもいうような柔らかい笑みを浮かべた。
「ああ、確かに私はクイーン・サマーズ。元S.T.A.R.S.で犯罪者の
「俺は……レオン・S・ケネディ。今日から配属されるR.P.D.の警官だ」
「私はクレア・レッドフィールド。クリスの妹よ。兄さんに会いに来たの」
俺たちが名乗ると、クイーンは合点がいったように頷く。
「そうか、お前がクレアか。残念だったな、クリスならラクーンシティにはいないぞ。今はヨーロッパにいる」
「そんな……」
「それでレオン、だったか。私をどうするんだ?」
「逮捕する、…と言いたいところだがこんな事態だ。何が起きたか、教えてくれ」
「本当に何も知らないで来たんだな。ラクーンシティは滅びた。アンブレラの開発したT-ウイルスのパンデミックが起きたんだ」
「T-ウイルス…?」
「知りたいなら教えてやろう。洋館事件の真実をな」
クイーンから語られる真実。それは、地獄の一夜の始まりを告げる警鐘だった。
イメチェンクイーン。父の形見の白衣を身に纏い、エヴリンの力でほとんど別人に変身してました。そんなクイーンを襲うのはアネットと呼ばれてますが…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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