BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
爪の一撃を硬化した腕で防いで弾き飛ばしたところに、ゴクとマゴクを構えた私と、レオンとクレアの一斉射撃が叩き込まれる。しかし弾丸を筋肉で受け止めてものともせず、壁に引っ付いて飛び掛かってくるのをなんとか粘液硬化した腕でいなす。素早いし堅い、厄介な。
「フシャア!」
『猫みたいだけど可愛くないね!』
奇声を上げながら、その長い舌を槍の様に鋭く伸ばして私の粘液硬化した腕を貫いてくる筋肉だるま。エヴリンが言うにはリッカーだったか。文字通り舐めた名前だが、それも納得なほどの舌の威力だ。私の粘液硬化を貫いてくるとは。
「だが…それは隙だらけだぞ!」
『クイーンそれ隙と言わないと思う』
右腕を貫いた舌を左手で掴み、引っ張ってリッカーの脳がむき出しになっている頭部を蹴り飛ばす。私の右腕を貫いた舌は刃ではない、私の右腕がストッパーになった上で掴むことで、引き抜けないリッカーは私から離れることができずサンドバッグの様に何度も蹴りを顔面に受けて怯んでいく。
「どうした、そんなもんか!」
『下手に耐久力高いって残酷だね……』
「す、すごい…」
「クイーン!後ろだ!」
「なに?」
レオンの言葉に振り返ると、背後から廊下を駆け抜けて飛び掛かってくるリッカーが三体もいて、咄嗟に舌を握ったまま体を捻って拘束しているリッカーを振り回し、チェーンアレイか何かのごとく叩きつけて追加のリッカーたちを吹き飛ばし、そのまま最初のリッカーを床に踏みつけにして力む。
『追加注文入りまーす!?』
「レオン、クレア!トラウマを作りたくなければそっぽを向いてろ!」
『え』
私の言葉にレオンとクレアがそっぽを向いたのを確認してから、足裏に刃を形作って首に押し込み、力の限り舌を引っ張って、頭部を背骨、つまりは脊髄ごと引きずり出すことで最初のリッカーを沈黙させる。まあグロいが今は手段を選んでる場合じゃない。妙にしぶといこいつが悪い。
『ギャー!?』
「おいエヴリン、索敵甘いぞ!」
『それはごめんだけどどっかの序章みたいな殺し方しないでくれるかな!?トラウマになるよ!?あとこんな速い奴索敵しろという方が無理!』
「それもそうだな!」
右腕に貫いたままだった舌を引き抜き、舌にくっついている背骨を振り回して懲りずに飛び掛かってきた二匹目のリッカーに叩きつけて殴り飛ばし、三匹目の顎にアッパー。四匹目には前蹴りを突き刺して蹴り飛ばす。ああ、イラついているのがわかる。この感覚は二ヶ月ぶりだ。レオンとクレアが、戦いの音に釣られて寄ってきたゾンビを対処しているのを見ながら、穴の開いた右腕をぶらぶら揺らし、拳を握って自然体に構える。
「お前らに同僚を殺されたかと思うと、腸が煮えくり返る。お前らを生み出したウイルスが私から生まれていると考えると、吐き気がする。アンブレラには殺意しか湧かないが、私自身にも苛立ちを感じている。私は今、最高に機嫌が悪い。手加減はできないぞ、覚悟しろ!」
「「「キシャアアアッ!」」」
リッカーたちが一声吠えるとともに最高速度。一瞬で音を飛び越える速度まで加速したリッカーの爪の斬撃が、私の腸を、右肩を、左足を引き裂いて抉り取りながら背後に着地、そのまま一匹は天井に、残り二匹は左右の壁に張り付いて舌を槍の様に突き出してきた。しかし私は気にも介さず、腸を抉り取られ右腕と左足がちぎれかけ、心臓、肺に当たる部位と左目を貫かれる。痛いは痛いが、我慢できないダメージではない。同胞たちが削られたのは痛いが、何のための二ヶ月だと思っている。
「生憎と、私は私も含めた同胞たちの命を使ってアンブレラをぶっ潰すと決めている…!」
この二ヶ月で雌雄同体なのを利用して繁殖して数は増やした。同胞たちが死ぬのは極力避けるが、割り切る覚悟だ。私はこの戦い方しか知らない、同胞たちと死力を尽くして全力を出し続けるという方法しか知らないんだ。命を燃やせ。同胞たちの死を無駄にするな。全身に穴が開いて、それでも血も流れない身体を形作る同胞たちを全力で駆動させながら跳躍、左の拳を振りぬく。
ドゴォン!!
「キシャア……ッ」
「な、なんだ!?」
「新手!?」
右の壁にいたリッカーに全力を込めた左拳を叩き込み、振り返ったレオンとクレアの視線の先で壁にクレーターができて頭部が弾けて口だけ残ったリッカーが壁から剥がれ落ちてぴくぴくと痙攣、息絶える。
「エヴリン、入れ。再生させろ」
『ら、ラジャー』
若干怯えているエヴリンに命じて体の中に入れ、菌根の力で欠けた部分も再生させる。そして再生した左目でぎろりと睨みつけると、見えてもないだろうにリッカー二体はたじろいだ。
「聞こえないか?私はここだぞ?ほら、かかってこい」
「「キシャーッ!」」
そう挑発すると、奇声を上げて壁を跳躍して居場所を悟られないようにしながら一体が、真正面から床を駆け抜けてもう一体が迫るのに対し、私は粘液硬化で両腕を肩まで武装。さらに鋭く尖らせて粘液を刃状にすると天井から飛び掛かってきたリッカーの爪の斬撃を弾き返して肩を使って背後に投げ飛ばし、もう一体のリッカーの床からの飛び掛かりを逆に爪を砕いて迎撃。
「シャーッ!」
「いい判断だが、ダメだ!」
『金獅子かな?』
咄嗟に舌を伸ばして追撃してきた床のリッカーを、硬化した腕で舌を受け止め引っ張って体勢を崩すと、舌を手放して引き抜いたゴクとマゴクを乱射して蜂の巣にすると、粘液を纏った右足で前蹴り。インパクトの瞬間に足裏に纏った粘液で杭を形成し頭部を串刺しにして蹴り飛ばす。
「シャアアッ……」
「キシャアアッ!」
「逃がすか」
仲間の断末魔を聞いたためか、踵を返して逃げ出そうとする最後のリッカーを、粘液糸を足に絡めて引っ張る。じたばたと爪で引っかきながら足掻いて引きずられてきたリッカーの首に粘液糸を巻き付けて無理矢理立たせて拳を脳がむき出しの頭部に叩き込む。
「簡単に死ねると思うなよ。お前らが殺した私の同僚の数だけ殴る。恨むなら最後まで生き残った自分を恨むんだな」
『怖いよクイーン?』
そのまま粘液硬化した右手の拳でラッシュ、ラッシュ。ラッシュ!ボコボコに殴られて、力なく両腕を垂らして力尽きるリッカーを投げ捨てる。振り返れば、固まっているレオンとクレアがいた。
「……驚かせたな、悪かった」
「い、いや……」
「クイーンを怒らせないように気を付けるわ……」
『あ、後ろ……』
「わかっている」
死んだふりをしていたのか後ろから不意打ちで伸ばしてきた舌を左手で受け止め、右手で引き抜いたゴクを乱射して脳を撃ち抜き、今度こそ沈黙させた。
「さっきみたいな不意打ちは通用しないさ」
『終わってみれば完勝だったけど……気は済んだ?』
「さあな。この燻ぶる怒りがどこまで行くのかは知らん。エントランスにオメガたちを迎えに行くぞ」
……もしかしたら同僚の誰かだったのかもしれないが、そうだとしても安らかに眠れ。
エントランスに戻ると、拳銃を構えた一人の警官とオメガ、ヘカト、プサイが睨み合っている光景があった。
「お前らは、何なんだ…!」
「私たちは、敵じゃない」
「オメガぁ……」
「どうしたものでござるかな……」
「マービンか?」
警官としての責務を果たそうとして、しかし敵意を感じないから撃てずにいたのだろう警官に問いかける。その人物は、マービン・ブラナー警部補は振り向いて私を見て訝しむ。
「誰だ…?」
「私だ。と言ってもわからないか、クイーンだよ。お前の同僚だったクイーン・サマーズだ」
「…クイーン、だと?お前、無事だったのか……」
「そういうお前は……無事じゃなさそうだな」
久々に出会った同僚は傷ついていて、息も荒く。最悪の状態だというのが、すぐわかった。また、間に合わなかったのか……。
女王は怒らせると怖いのだ。リッカーが地味に増産されてたりします。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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