BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。構想よりだいぶシリアスになりました。バイオはもとよりこういう話だと思ってます。楽しんでいただけたら幸いです。


file2:6【センチュリオン・G・ヘカトンケイル】

『助けて!クイーン!』

 

 

 ゾンビやリッカーを駆逐しながらS.T.A.R.S.オフィスに辿り着き順調に探索を進めていた私たちのもとに、エヴリンが泣きながらやってきた。涙で顔がぐちゃぐちゃだ。

 

 

『えっぐ、ひぐっ、私、わたしっ……クイーンからオメガちゃんたちのことを頼まれたのに……っ、少し目を離したらぁ…!』

 

「落ち着け、落ち着くんだエヴリン」

 

 

 泣きじゃくっていて話の要点がはっきりしないが、オメガたちに何かあったのは間違いない。早く戻りたいところだが人間のレオンとクレアを連れてゾンビの巣窟を抜けるのは困難だ。

 

 

「プサイ」

 

「承知したでござる!」

 

 

 プサイに目配せし、察してくれたプサイが一足先に駆け抜けていく。プサイは本当に察しがよくて助かる。レオンとクレアが一体何事かと驚いている。そうか、エヴリンの声が聞こえないんだったな。

 

 

「エヴリンが来た。オメガたちに何かあったらしい」

 

「エヴリンって言うと菌根とやらが体内にある人間にしか見えないっていう…?」

 

「なにがあったの?」

 

「エヴリン、説明しろ」

 

『ひぐっ…どうせ私はいつも節穴なんだ……』

 

「おい、いい加減にしろ」

 

『ひゃあい!?』

 

 

 いつまでも落ち込んでいるエヴリンに腕を突っ込んで無理矢理正気に戻す。とりあえず移動を始めた私たちについてきながら、泣き止んだエヴリンが説明を始めた。

 

 

『マービンの容体が悪くなったから寝かせて様子を見てたんだけど、いつの間にかエントランスの吹き抜け東側二階に誰かがいて……』

 

「誰かってのは?」

 

『わからない……確かめる余裕もなかったから……それで、何かを撃ち込まれたヘカトちゃんが蹲って苦しみ始めたと思ったら脱皮して、……元の姿に戻っちゃって…でも様子がおかしいの!』

 

「なんだって?」

 

 

 エヴリンの言う元の姿とは、アンブレラ幹部養成所にて最初に相対した、ムカデの姿から脱皮した成人女性の形態のことだろう。脱皮するたびに縮んでいたはずだが、二ヶ月間エネルギーを溜め込んだことで脱皮して大きくなれるようになったのだろうか。

 

 

「様子がおかしいってどういう意味だ?」

 

『それが、大ダメージを受けたわけでもないのに脱皮を繰り返して際限なくでかくなっていって……お腹に新しく眼が現れて、オメガに襲い掛かり始めたの!私、もうどうしたらいいか……』

 

「ヘカトが巨大化し続けているだって…?」

 

 

 プサイが向かっていった、S.T.A.R.S.オフィス側からかけられていた鍵が斬撃で破壊された扉を通って図書室を抜けた先がエントランスに繋がっている。扉を開けた瞬間視界に入ったのは、巨大なムカデの突進だった。

 

 

「イダイ、イダイイィイイイイッ!!」

 

「っ、避けろ!」

 

 

 瞬間、フラッシュバックしたのは鋼鉄をも溶かしていた猛毒の棘。脱皮した時に刺々しい殺意が取れたかのようにすっかり消えてなくなっていたそれが見えて、咄嗟にレオンとクレアを突き飛ばす。背中を掠る激痛。どうやら棘が背中に掠ったらしい。

 

 

「クイーン!?」

 

「大丈夫!?」

 

「ぐっ……粘液、保護…!」

 

 

 粘液を背中に集中させることで毒の浸食を防ぎ、治癒を全開で回して再生させる。くそっ、いったい何が起きている!?

 

 

「エヴリン!」

 

『うん!私が気を引いてくる!』

 

 

 上の壁を抜けていくエヴリン。すぐにズズズズッ…!と蠢く音が聞こえ、エヴリンの『今のうちだよ!』という声が聞こえて扉を開けて、眼下を見る。そこには、とんでもない光景が広がっていた。

 

 

『ヘカトちゃん!しっかりして!』

 

「ヘカト!」

 

「正気に戻るでござる!」

 

「痛い、痛いよぉおおおおっ!」

 

 

 中央の長椅子に寝かされたマービンの傍に膝をついて両腕を広げているのは、頭が二階の吹き抜けまで突き抜けるぐらいの巨体と化したヘカトだった。棘を生やし凶悪となったムカデ腕を両腕とも縦横無尽に伸ばして逃げ続けるエヴリン、オメガ、プサイを追いかけるそのおへそ辺りには、アネットの肩にあったものと同じ単眼が陣取り、ギョロギョロと動かしてオメガに視線を向けている。目を赤く光らせ口から蒸気を吐きながら悲鳴を上げる姿からはまるで正気を感じなかった。

 

 

「ヘカト…なのか!?」

 

「いったい何が……」

 

「とにかく、止めないと!でもどうすれば……」

 

 

 銃を構え銃口を右往左往しながら迷うレオンとクレア。問答無用で撃たないのは優しくて私は好きだが、この地獄では生き残れないぞ。

 

 

「…ヘカトは倒せば脱皮して復活する。今は倒すしかない!」

 

「そんな!?他に方法はないのか!?」

 

「覚えておけ二人とも。私たちには、戦うか死ぬしか選択肢は存在しない!知り合いだろうと襲ってくるなら銃を向けろ!じゃないと、マービンの二の舞だ!」

 

「「!」」

 

 

 ゴクとマゴクを引き抜き、乱射する。バスバスバス!と弾かれる音が響くが、注意を引き寄せることはできた。ゴクとマゴクをしまうと吹き抜けから飛び出して粘液糸を飛ばしてエントランスの上空に躍り出て、口から猛毒の液体の弾丸を飛ばしてくるムカデ腕の弾幕を搔い潜る。

 

 

「この程度で私を捕らえられると思わないことだ…!?」

 

「なにするのよぉおおおっ!」

 

「ヘカト…!」

 

「何でござるか!?」

 

『ドック・オク!?』

 

 

 すると背中突き破って新たにムカデが新たに二体現れ、ムカデ腕と共に私、オメガ、プサイ、エヴリンを同時に襲い始めた。さらに脱皮か!?こうなると逃げの一手しかない。あの猛毒はエヴリンでも喰らわないとはいえすり抜けるだけでダメージありそうだ。ここで頼りになるのは、狙われていないレオンとクレアだ。

 

 

「レオン!クレア!胴体の目を狙え!アネットも目への攻撃は効いていた!」

 

「わかった!」

 

「恨まないでね…!」

 

 

 レオンとクレアが手にしたハンドガンを連射、胴体の単眼を狙い撃つ。予想だにしていなかったであろうダメージを受けて怯むヘカトは赤い目に涙を溜めながら立ち上がる。

 

 

「…いだいよばがぁあああああっ!」

 

「ござあああっ!?」

 

「ヘカト…落ち着け、怖くないから!」

 

『レオンとクレアがやばい、クイーン!』

 

「させるか!」

 

 

 ブンブンブンブン!とムカデ腕と背中のムカデを振り回し、回転させて渦巻きを作るヘカト。全方位目がけてムカデから猛毒ブレスが発射され、レオンとクレアにも降りかかりそうなところを間に割り込んで、粘液の層を厚くして受け止める。

 

 

「ぐうううっ!?」

 

「クイーン!」

 

「私のことはいい、ヘカトを…倒せ!」

 

「っ……なら!」

 

「レオン!?」

 

 

 竜巻の如くムカデたちを回転させるヘカトに向かって、レオンは意を決して走り出す。動き出したレオンを見て反応、振り回すのをやめてブレス攻撃を集中させるヘカトに、私たちも動く。

 

 

「少しでも怯ませる…!」

 

「オメガ、プサイ!棘を斬れ!」

 

「了承…!ヘカト、今助けるから!」

 

「切り捨てソーリーでござる!

 

『何したいか知らないけど、レオンの邪魔させるか!スゥウウ……ワアアアアアッ!!

 

「…にゃああああああっ!?」

 

 

 クレアが単眼を狙い撃って狙いを逸らさせ、私が粘液糸で顔の両目を塞ぎ、ムカデ腕に乗ったオメガとプサイが走り抜けて毒の棘を片っ端から斬り裂いていき、エヴリンが大声を至近距離から浴びせてヘカトをひっくり返す。

 

 

「耳がぁああああっ!」

 

「今だ!」

 

 

 像を破壊しながら尻餅をつくヘカトに、東側まで回り込んだレオンがナイフを手に飛び降り、ナイフで単眼を刺し抉ってしがみつく。成人男性の全体重が乗って単眼を引き裂くナイフを手にレオンが落下して床に転がり、大ダメージからか四体のムカデをのたうち回らせて背中から倒れ伏すヘカト。

 

 

「痛い……痛いわ……オメガどこ……?」

 

「っ、ヘカト…!私はここだ…」

 

 

 単眼から体液を放出し、ムカデ腕を掲げる目が見えないらしいヘカトに、オメガが反応。声をかけるが、嫌な予感がして。

 

 

「……優しいわね、オメガ」

 

「っ…!?」

 

 

 オメガの方に向けて伸びるムカデ腕。その口の中に見慣れない器官が見えて、やばい、と粘液糸を伸ばすが、間に合わない……!?しかしそれは、間に割り込んだプサイの振り上げた爪に弾かれる。

 

 

「拙者の妹に手出しはさせないでござるよ」

 

「…オメ、ガ……私の、こを……」

 

 

 そしてヘカトは限界を迎えたのか、力尽きる。すぐに脱皮して戻るかと思ったが、様子がおかしい。まるで脱皮する気配がないだと……?

 

 

「ヘカト…?」

 

『………ヘカトちゃんの気配が、消えた』

 

 

 オメガの信じられないとでも言いたげな声と、エヴリンの悲しみに満ちた声が響く。私はただ、立ち尽くすことしかできなかった。




・センチュリオン・G・ヘカトンケイル
何者かにG-ウイルスを打たれて脱皮を繰り返し超巨大な大人の姿に変貌したヘカト。身長はホール二階に頭が出るぐらい。通路を洪水みたいにして腕ムカデを突撃させてくる他、新たに背中からもムカデを二体生やして縦横無尽に攻撃してくる。猛毒も健在どころか強化されて遠距離攻撃が可能に。ギルタブリルと同じでRTとGを同時併用したため脱皮強化こそ可能だが復活が不可能であり、倒したらそのまま力尽きる。
 自我はまともではなく、耐えがたい痛みに常に侵されながら目を赤く光らせ口から蒸気を吐いており、お腹のG特有の目でギョロギョロと敵と標的を探す。血縁関係であり親しいオメガを優先的に狙う。モチーフは四本の伸縮自在の腕、精神が不安定になっているところなど、スパイダーマンのドクター・オクトパス。

というわけでヘカト脱落です。もともと0編で脱落しかけたのを延命させてたので、この先の展開の都合上ここで脱落せざるを得ませんでした。RTとGの組み合わせ、ダメ絶対。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きなオリジナルB.O.W.は?

  • アサルト・モールデッド
  • マザータイラント
  • ゼウ・ヌーグル
  • クイーン・サマーズ
  • アリサ・オータムス
  • センチュリオン・ヘカトンケイル(大人)
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  • セルケト/プロトネメシス
  • マスターリーチ/リーチタイラント
  • サーベラス
  • エリミネート・スクナ
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  • ヨーン・エキドナ
  • ネプチューン・グラトニー
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  • ギルタブリル/セルケトⅡ
  • イブリース/T-EX01/魔王イブリース
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