BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はモリグナVSヘカトちゃん達。楽しんでいただけたら幸いです。
私の新たな傑作について記録しておこうと思う。名をモリグナ。ケルト神話に出てくるカラスの女神である三姉妹が由来だ。変異したカラスの群体であるこのB.O.W.の名にふさわしい名前と言えるだろう。
例の洋館事件が起きてからNESTに缶詰めになっていたこの二ヶ月の間、RT-ウイルスの新たな可能性を求めて片っ端から試した。道端のカラスの餌に混ぜたり、下水道で見つけた破棄されたらしいワニに投与したり、実験体のゾンビに戯れに投与してみたり。その結果生まれた数少ない成功作の一つがモリグナだ。
カラスの群れにRT-ウイルスを混ぜた餌を接種させる実験を行っていた際に、RTの遺伝子の特徴である「肉体の結合」が起きて融合し、群体の生命体となったのがモリグナだ。三メートル以上の巨体のRTとよく似た顔の女性の形をとっているが本体というものが存在せず、すべてのカラスが同じ自我を共有しているのか完全に統率された動きを取る。一糸乱れぬ動きから繰り出される制圧攻撃は実験体のゾンビを瞬く間にミンチに変えてしまう圧倒的な威力を誇る。
RT-ウイルスが脱皮で肉体を変容させる爬虫類と相性がいいのは周知の事実だとは思う。故に鳥類とは相性が悪いのだが、瞬間的に肉体を分解し融合することで人型を取るという変異を見せた。これは素晴らしい発見だ。爬虫類やT-ウイルスを介した肉体以外でもRT-ウイルスに適応するとは大誤算だ。これだからこのRT-ウイルスの研究はやめられない!
特筆すべき特徴は構成しているカラスすべてがゾンビみたいな状態だということだろうか。非常に食欲旺盛で身体能力も高く、再生力が高いために痛みにも鈍く、仲間が倒された程度では怯みもしない。さらに他のカラスに啄ばむことでウイルスを感染させ仲間にすることができる。兵器としては完成されすぎている。これにイブリースを合わせたらとんでもないことになったんだろうな、と思うとイブリースを失ったことはあまりに残念でならない。
例のRT計画も無事進行しているが、そろそろNESTにいるのも潮時だ。このままだとバーキン博士に巻き込まれて一緒にアンブレラに始末されるのも時間の問題だ、例のメールをさっさと送るべきだろう。ただこのままでは私もアンブレラに使いつぶされて一緒に破滅されそうだからアンブレラの影響が及ばない国に逃亡したい。そうだ、あの国がいい。私の研究に感銘を受けた協力者もいる。あの国に新たに研究所を作ってそこに当分隠れながら研究を続けるとしよう。
1998年9月 サミュエル・アイザックス
「我、再誕!オメガに手は出させないわ…!」
「…手出しさせない?おかしなことを言う……」
『え、喋れたの?』
復活した大人ヘカトちゃんの言葉に、反応したのはモリグナと呼ばれていたB.O.W.だった。黒衣を纏った三メートルの女巨人の姿に戻って滞空するそれは、まるで複数がエコーし合っているみたいな不思議な声で眉をひそめて続ける。
「貴様らは悉く私の餌だ。手出しさせない?戯言だ」
「戯言かどうか、試してみるかしら!」
ムカデ腕を振り回し、空中のモリグナを狙うヘカトちゃん。しかしモリグナは直撃する寸前でカラスの大群に分かれてエントランスホールの上空を編隊を組んで飛びまわり、旋回。ヘカトちゃんは腕を縮め、呆然としているオメガちゃんを守るように身構える。
「ヘカト…ヘカト、なのか…?」
「正真正銘、我よ!エヴリンが引き出して、子供の私と一体化させてくれたの!」
そうなのだ。私はヘカトちゃんの決意を聞くなりその精神世界に飛び込み、菌根の世界に接続。菌根の中から私たちを見守っていた大人ヘカトちゃんの記憶を見つけ出すと、子供ヘカトちゃんからその記憶を呼び起こさせて、さらに菌根で働きかけて脱皮させ急成長させたのだ。そのせいで力を使い切ったけど、これしか方法なかったからしょうがないよね…。
『私当分動けないから、後よろしくぅ…』
「エヴリン、私の中に入って回復してろ!」
『ひゃい~』
クイーンが手を広げて受け入れ態勢になってくれたのを見て、これ幸いと入り込む。回復に専念するけど、モリグナの弱点を探るためにもちゃんと観察してなくちゃ…。
「いくらでも足掻け、物言わぬ肉の塊になりたくなければなあ!」
「とにかく撃ち落とすぞ!」
「喰らえ!」
「数撃てば…!」
「守りは私に任せて!」
「ヘカトを信じる!」
「で、ござる!」
旋回しながら次々とカラスを射出してくるモリグナに、ゴクとマゴクを構えるクイーンと、ハンドガンを構えたレオンとクレアが一斉掃射。時折飛び掛かってくるカラスをヘカトちゃんがムカデ腕を伸ばして受け止め、オメガちゃんとプサイちゃんがカウンターで切り裂いていくが、全然数が減らない。纏めて倒さないとだめだ。
「まとめてって……ならこういうのはどうだ!」
粘液糸を次々と天井や壁に向けて発射するクイーン。それは蜘蛛の巣を形成してネットの役割を果たして次々と飛び込んできたカラスたちを絡めとり拘束していく。
「よし…!このまままとめて…!」
「否、ダメでござる!」
ガッツポーズをとるクイーンだったが、プサイちゃんの指摘通り駄目だった。他のカラスたちが啄ばんで糸をちぎり、仲間たちを次々と開放してしまったのだ。数が武器で統率力もあるってマスターリーチの時も思ったけど本当に厄介だな。
「くそっ、手榴弾でも投げるか!?」
「閃光手榴弾なら…!」
「あ、それはちょっまっ……」
「ギャアアアアアアアッ!?」
レオンが取り出した閃光手榴弾を放り投げると、眩い閃光と共に悲鳴を上げて怯んで次々と落ちてくるカラスたち。めっちゃ効いている!?閃光が弱点!?ってあれ、なんかクイーンがめっちゃふら付いてる。
「あば、あばばばばばっ……」
「クイーン、大丈夫か!?」
「馬鹿、私も群体なんだぞ………ぐへえ」
ぼとぼととクイーンの身体が複数のヒルに分かれて崩れ落ち、私は排出される。クイーンが目を覆っても他のヒルが光をもろに見てしまったのと、爆音を至近距離で受けたせいだろう。こりゃだめだ。
「だけど、今がチャンスだ!」
「了承!」
「ござござござござあ!」
レオンの言葉に、オメガちゃんとプサイちゃんが飛び出して体勢を低くしながら次々とカラスたちを斬り裂いていく。さらにヘカトちゃんも腕を振り回し、飛び立とうとするカラスたちを纏めて薙ぎ払う。
「おのれえ…!」
何とかヘカトちゃんの薙ぎ払いも回避して集ったモリグナが、二メートルほどのサイズにまで縮んで人型に戻る。あ、縮んでる。結構効いてるみたい。
「細切れにしてミンチにしてやる!」
するとモリグナはその場でばらけて渦を巻き、漆黒の竜巻の様になりながら迫る。アレに巻き込まれたらまずいことはさすがにわかる。
「レオン、閃光手榴弾を!」
「さっきのが最後だ!」
「そんな!?」
クレアがレオンに催促するも、頼みの綱の閃光手榴弾ももうないらしい。どうすれば…!?すると、前に出たのはヘカトちゃんだった。
「あなたが喰らうのが速いか、私が再生するのが速いか…勝負しましょう?」
『ギガドリルブレイク!?』
瞬間、ヘカトちゃんはムカデ腕で螺旋を描いて二つのドリルの様にすると、それを伸ばして漆黒の竜巻と化したモリグナと激突。体液と砕けた甲殻が飛び散るが、啄ばまられるたびに再生しているのか拮抗、火花を散らす。
「互角だと…!?」
「オメガ!」
「了承!」
そしてヘカトちゃんはオメガちゃんに呼びかけて、オメガちゃんは跳躍。斬撃を叩き込んでモリグナの竜巻を一瞬止め、その瞬間ヘカトちゃんのムカデドリルが貫いて血肉をまき散らし、モリグナを形成していたカラスたちは飛び去って行った。
「…というわけで、改めて。ただいま、オメガ!」
「うん…おかえり、ヘカト」
両腕を広げて笑顔のヘカトちゃんに、オメガちゃんが抱き着く。うんうん、頑張ってよかった。……クイーン大丈夫かこれ?
時にはドMが最大の武器になることもある。
不穏なアイザックス。まだまだ何かしら作ってるようですが、その行き着く先は…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなオリジナルB.O.W.は?
-
アサルト・モールデッド
-
マザータイラント
-
ゼウ・ヌーグル
-
クイーン・サマーズ
-
アリサ・オータムス
-
センチュリオン・ヘカトンケイル(大人)
-
ハンターΩ
-
セルケト/プロトネメシス
-
マスターリーチ/リーチタイラント
-
サーベラス
-
エリミネート・スクナ
-
センチュリオン・ヘカトンケイル(子供)
-
ハンターΨ
-
ヨーン・エキドナ
-
ネプチューン・グラトニー
-
ドライアド42
-
ワスプ・キャリアー
-
ギルタブリル/セルケトⅡ
-
イブリース/T-EX01/魔王イブリース
-
モリグナ