BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。たびたび感想欄で渇望されていたあの瞬間がついにやってまいりました。今回は孤児院にて。楽しんでいただけたら幸いです。


file2:21【地獄すら生温い末路】

―――――われわれの救いは死である。しかし、この《死》ではない。

 

フランツ・カフカ

 

 

 

 

 

 

 

 

 私からT-ウイルスは生まれた。私さえいなければT-ウイルスは誕生しなかったかもしれない。こんな悲劇は起こらなかったかもしれない。そんな思いで懺悔し、視線を合わせることができず、目を伏せた私の肩に、ポンと手が置かれ顔を上げる。そこには、エマを抱っこして泣き笑いを浮かべたロバート・ケンドがいた。

 

 

「…なんでお前のせいなのかわからないが、お前はエマを救ってくれた。その事実だけで十分だ。ありがとう、クイーン」

 

「ありがとう、クイーン!」

 

『救ったの私ー!』

 

 

 視界の端でエヴリンがうるさいが、ロバートとエマの言葉に涙が出てくる。ああ、ああ。よかった……この二人を救えて、本当に良かった。

 

 

「ロバート、エマを連れてラクーンシティから出るんだ。ここはもうだめだ」

 

「ああ、そうする。クイーンたちは?来るんだよな?」

 

「生憎と、助けたい子がいるんだ。その子を助けたら私達も脱出する。安心しろ」

 

 

 シェリーを置いて逃げるつもりは毛頭ない。だけどロバート達が心配だ。いくらロバートが優秀なガンスミスだとしても、エマを守りながらじゃゾンビの数は脅威だ。せめてもう一人……すると、前に出た男がいた。

 

 

「それなら俺がこの親子をラクーンシティの外まで護衛しよう」

 

「マービン……いいのか?」

 

「ここは俺が適任だろう。……この子も俺と同じなんだろう?何かあった場合は俺の存在が役立つはずだ。シェリーのことは、任せたぞ」

 

 

 そう言うマービンの言い分も確かだ。マービンとエマはエヴリンが何とかしたが、何とかしただけだ。なにが起きるか想像もつかない。同じ境遇のマービンという存在はでかいだろう。マービンの掲げた拳に、拳を合わせる。

 

 

「ああ、任された」

 

「これでお別れのつもりはないぞ。必ず生きて再会するんだ。いいな?」

 

「ああ、約束だ」

 

「レオン、この意外と抜けている先輩のことは任せたぞ」

 

「任されました、マービン警部補」

 

 

 レオンが敬礼するのに合わせて、敬礼するとマービンも敬礼を返し、ロバートとエマを連れて裏口から去っていった。

 

 

「行こう。シェリーを連れてラクーンシティを出るんだ」

 

 

 決意新たな言葉に頷くエヴリン、レオン、クレアを連れて、私達もケンド鉄砲店を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここが、奴の孤児院か」

 

 

 そこは、警察署の本当にすぐ傍にあった。……よく考えなくてもアイアンズが経営している時点で無理矢理にでも調べるべきだったな。いくら奴でも警察官、普通に孤児院を経営していると思っていたが希望的観測でしかなかった。子供たちがブギーマンにされていたとは……。

 

 

「これは……」

 

「全部ブギーマンか…?」

 

 

 子供たちの憩いの場だったであろう孤児院の庭には、ひょろっとしていてろくに食事を与えられてないと見れるつぎはぎの大男または大女がせめぎ合っていて。十を超えるそれがすべてブギーマンであることは目に見えて明らかだった。オメガとプサイの再生能力を知っていて、ぶちのめしてでも手に入れるつもりってことか。くそ野郎め。

 

 

「……こうなったら仕方ない。エヴリン、やるぞ。クレア、あとは任せた」

 

『こんな早く解禁することになるとはなあ』

 

「止めれる自信はないけどやるしかないわね…」

 

「なんのことだ?」

 

「でござる?」

 

 

 深呼吸し、クレアに呼びかけると何も知らないレオンとプサイが首を傾げる。最終手段だがこの数をまともに相手できるわけがない。クレアに後始末は任せ、エヴリンを憑依させる。

 

 

「みんな!一点突破よ!ここはクイーンとエヴリンに任せて突き進んで!」

 

「了承…!」

 

「援護するわ!」

 

 

 クレアの言葉にオメガとヘカトが頷いて道を作ってレオンたちを連れて突き進むのを見ながら、私たちヒルを繋ぎ合わせている菌根が活性化。結合部から溢れ出した菌根が全身を黒く染め上げていき、体が大きくなっていく。

 

 

「『We are family(私達は、家族だ)ィイイイイイイッ!』」

 

 

 咆哮と共にまだギリギリ覆われていなかった顔に手をかざし、仮面の様に菌根で覆って変身を完了させた私たちは真っ黒な顔が開いて現れた口を三日月の様に歪め、舌を出しながら笑みを形作る。ああ、気持ちイイ。この全能感は、心地よい。

 

 

「『遠慮しなくていいぞ!うん、遠慮なくぶちのめそう!』」

 

 

 私たちの変化に驚いているレオンに襲い掛かろうとしていたブギーマンの一体に、菌根の触手を足元に伸ばすことで横に跳躍して飛び蹴りを叩き込み、フェンスまで蹴り飛ばす。それでもレオンたちを優先して襲い掛かろうとするブギーマンの群れを、肘から先を枝分かれさせた両手を伸ばして捕らえ、全員勢いよく地面に叩きつけ、グルングルンと腕をブンブン振り回して周りに叩きつけていく!

 

 

「『アハハハハハッ!楽しい愉しい樂しい!…行ったか?うん、行ったみたい!』」

 

 

 ぶん投げたブギーマンたちがグシャグシャと音を立てながら地面に叩きつけられていくのを尻目に、レオンたちが孤児院内に入ったのを確認する。…もう抑える必要もないな。この高揚感に、身を委ねよう!

 

 

「『ウウ……ハァァ……ヴァァッ!!いい気分だ!嫌な事なんて忘れてしまおう!そうだそうしよう!お前らみんな!奴の犠牲者なんだろう!?』」

 

 

 咆哮を上げると、高所から落ちたぐらいじゃ死なないブギーマンたちはナックルウォークで取り囲みながら、しかし私に恐怖しているのか怖気づいている。やはり薬で弄られていても中身は子供か、気色悪い。吐き気がするぞアイアンズゥ!

 

 

「『来いよ。我々の救いは死である!しかし、この《死》ではない!…らしいぞ?片っ端から癒してやる!』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クイーンとエヴリンにブギーマンたちの相手は任せて、中に突入する私、レオン、オメガちゃん、ヘカトちゃん、プサイちゃんの五人。ポピュラーな子供の遊び場の様なホールだ、だけど悍ましい血の匂いがする。

 

 

「どこなの?アイアンズ!お望み通り、オメガとヘカトを連れてきたわ!」

 

「シェリー!いるのか!?いるなら返事をしろ!」

 

「遅かったな。もうすでに取引は済んだぞ」

 

 

 そこに二階の吹き抜けに現れたのは、ブライアン・アイアンズ本人。傍らにはブギーマン・スケアクロウを連れている。

 

 

「ブギーマンの群れをどうやって突破したのやら…いや、姿が見えないクイーンが相手しているのか?薄情な奴らだ!ゲスめ!恥知らずどもが!」

 

「そんなことより、シェリーは!?」

 

「言っただろう。もう既に取引は終えた。シェリーは引き渡したよ、父親にな」

 

 

 なんだって?と問いかける前に、得意げに銃の様な注射装置と、赤黒い液体の入った容器を取り出して掲げて見せるアイアンズ。あれと引き換えにシェリーを引き渡したって事!?

 

 

「この、嘘つき!約束はどうした!」

 

「私はどっちにしろこのRT-ウイルスさえ手に入れればいいのだよ。取引相手も速い方を選ぶさ。私は気が短い方でね」

 

「シェリーはどこだ!教えろ、アイアンズ!」

 

 

 レオンが銃を向けるが、次の瞬間ブギーマン・スケアクロウが手すりを乗り越えて落下。巨大なつぎはぎの腕を振りまわし、咄嗟に構え飛び掛かろうとしたオメガちゃんとプサイちゃんを薙ぎ払う。ヘカトちゃんがムカデの腕を伸ばして剛腕に巻き付けるも、力が足りず引っ張られて壁に叩きつけられてしまう。私とレオンがハンドガンとショットガンを叩き込むも、ビクともしない。

 

 

「スケアクロウは文字通りの案山子だ。薬の影響で痛覚を感じなくてね。最強の手駒だ。さて、このままお暇させてもらおうと思ったが……気が変わった。あのウェスカーの様な力を私も手に入れたい。アンブレラに引き渡すRT-ウイルスのサンプルなら三匹もいるんだ。これを使っても構わないだろう」

 

 

 そう言って赤黒い液体の入った容器を注射器銃にセットし、興奮した様子で躊躇なく自らの腕に突き刺し、注入するアイアンズ。ゾンビやリッカー、ブギーマンたちがT-ウイルスの怪物で、オメガちゃんたちはRT-ウイルスから生まれた存在……そんな怪物に、アイアンズはなろうというの……!?

 

 

「フフフッ、ハハハハハハハッ!貧弱な人間の身体とはおさらばだ!私は、神の領域へと至る!フフフハハハハハハッ!……グハアッ!?」

 

 

 注射器銃を人間とは思えない握力で握りつぶし、高笑いを上げるアイアンズだったがその表情が苦悶のものへと変わる。ブシュウッ!と音を立てて弾けるアイアンズの全身の皮膚。まるで爆発したかのように破裂した肉体が逆再生でもするかのように元通りになっていき、ブクブクと肉が膨らんでいく。

 

 

「な、なんだ!?何が起きている!?ウェスカーの様な超人になれるんじゃなかったのかぁああアアアアッ!?」

 

 

 見る見るうちにブクブクと肥え太りまるで肉達磨の様になった全身を破裂させ血を噴出させながら、血と一緒に真っ黒な根っこの様なものが伸びて周囲のインテリアや壁、扉や天井を引きちぎって取り込みながら、あまりの重量で底が抜けて落下。ブギーマン・スケアクロウを赤黒く変色した肉で飲み込みながら膨張していくアイアンズ…だったなにか。まずい、このままじゃ私たちも……!?

 

 

「退避!外に逃げるわよ!」

 

「ああ、こいつはやばい!」

 

 

 慌ててオメガちゃんとプサイちゃんを私が、レオンがヘカトちゃんを助け起こして外に出る。最低最悪の怪物が誕生しようとしていた。




 今まで何度も言及してきたように、RT-ウイルスは適合する遺伝子が存在しないと意味がありません。例えばリサの遺伝子、例えば爬虫類、例えばT-ウイルスやG-ウイルス、例えばウェスカーの全適正遺伝子。それがないとどうなるかが今回のこれです。

 RT-ウイルスを普通の人間に使うと健康な部位まで再生しようとして細胞が弾けて肉だるまみたくなり、破裂していきます。そして菌根が周囲の物体をあつめて無理矢理再生、異形の怪物が誕生してしまいます。仮名はアナーキア(無秩序を意味するアナーキーから)。

自分から産まれたウイルスの凶悪っぷりにアリサは泣きそうだけどしょうがないね。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

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  • アサルト・モールデッド
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