BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
ラクーンシティ下水処理場地上。カラスが街の明かりに照らされる夜空を飛び交うそこを、少女は走っていた。
「はあ、はあ、はあ……」
ウェスカーとウィリアムが潜んでいた孤児院近くのセーフハウスから抜け出した少女、シェリー・バーキンは恐怖と焦燥に襲われながら、ひたすら走っていた。人間でありながら心が怪物な父とその相方から逃げるためでもあるが、なによりも生きたい、その一心から走っていた。その原因は夜空にいた。
カア!
カア!
カァー!
ガァー!
ギァー!
グエーッ!
けたたましく鳴り響く悪魔の鳴き声。地上の光を受けて夜空を飛んでいるカラスの一体がシェリーに気付き、甲高い鳴き声を響かせて仲間を呼び寄せる。それは空を埋め尽くすとんでもない数の群れで、カラスの群れは空中で渦を巻いて吸い込まれるように集束していくと、人型を形作りバサアッ!と黒衣を翻して滑空する。三メートル以上の巨体で、黒い羽毛のローブを身に着けているような死神を彷彿させる黒づくめの女の姿をした怪物。警察署にてエヴリンたちと対決し、敗北しその場を飛び去って行ったモリグナだった。
「どうした?近寄ってきたのはお前の方だろう小娘。大人しく私の餌となれ!」
「アリサと思ったの!全然違った!私が馬鹿だった!」
先刻、逃げ出した先の路地裏で、他のカラスを捕食して感染させてやられた分を補充していたところに、アリサとそっくりな顔から勘違いしたシェリーが話しかけたのが運の尽きだった。すぐに違うと気付いたものの目を付けられてしまった。
「アリサ?知らんな…!私はモリグナ!…というらしいぞ!」
自らを作り出した男から与えられた名を得意げに名乗りながら、首から下の右半身をカラスの群れに戻して高速で突撃させるモリグナ。シェリーは羽ばたく音を聞いて視線だけ動かし、真っすぐ飛び込んできたカラスの
「活きがいいな!貪り甲斐がありそうだ!」
今頃ミンチになっているであろうシェリーの奮闘に、感心し右半身を元に戻すと、黒衣を巨大な翼に変化させ加速するモリグナ。
「…クイーンとアリサとの遊びが、役に立った…!」
対してシェリーはある種の達成感を感じていた。遊びを知らないクイーンとアリサ、エヴリンの三人がシェリーの世話をしていた時に思い付いてやることにした、数々の遊び。触れたら終わり、だから当たらなければ勝ちという逆張りな鬼ごっこ。鬼の動向を確認しながら身を隠しつつ移動していいため終わりが見えない、かくれんぼ。一挙手一投足を確認してどんなに小さな動きでも見逃さないようにする、だるまさんがころんだ。大人げなく全速力でダッシュし全力で蹴り飛ばす缶蹴り。などなど。エヴリンが過去(未来)の体験から考案し、大人げないクイーンとアリサを相手にするため妙に殺伐としている遊びの数々が、無意識ながらシェリーの動体視力と筋肉を鍛えていた。
「ちょこまかと……だがこれで終わりだ」
しかし無力な子供であることに変わりはない。加速した勢いのままにカラスの群れに分離したモリグナに先回りされ、真っすぐな一本道で二体の人型を形成したモリグナ二人に前後を囲まれてしまい急ブレーキし、周りを見渡すシェリー。子供の身ならば小さな穴さえあれば、と視線を巡らせるがそれらしい逃げ場はなかった。
「やだ、助けてクイーン、アリサ…!」
「「助けを乞え、嬌声を上げろ。甲高い悲鳴を聞きながら貪るお前の味はさぞかし甘美だろう」」
自我を同一させているため揃って同じセリフを吐くモリグナがぺろりと舌なめずりする。頭にあるのは食事と繁殖、それのみの本能で動くモリグナに命乞いは通用しない、しかし、大きな声を上げたことで希望は繋がった。
ズダダダダダダッ!!
「ぐぬっ!?」
「え!?」
「…なんだお前は?」
突如頭上から掃射された弾丸の雨でシェリーの背後にいたモリグナを構成していたカラスの群れが撃ち抜かれて生き延びたカラスが飛び立ってもう一体のモリグナと一体化。突然の出来事に驚くシェリーの前にいたモリグナが、建物の上に視線を向ける。そこには、ベージュのコートを着た女性がサブマシンガンを構えて立っていた。
「シェリー・バーキンね。逃げなさい!」
「人の獲物を横取りするつもりか、赦さん!」
一瞬でカラスの群れに変わり、空に飛び立ったモリグナに、空っぽになった弾倉をサブマシンガンから抜いて投げ捨て、ポケットから取り出した弾倉を装填して空に弾丸をばら撒く女性の声に、慌てて逃げ出して近くの建物に入って様子を窺うシェリー。
「お前もあの子供も、等しく私の餌に過ぎない!」
「ようやく保護対象を見つけたと思ったらとんでもない怪物と出くわすなんて、運が悪いわね」
そうぼやきながらも、次々と
「キャアアアアッ!?」
「まずはお前からだ!」
次々と扉や窓ガラスを突き破りながら建物の中に集結したカラスが、人型を取ってモリグナに変身。黒衣を翼に変えて狭い室内を飛びまわりながら、裸足の足を大きな猛禽類の様な爪脚に変化させて蹴りつけてシェリーを拘束しようとするモリグナ。そこに、ワイヤー銃のようなものを使ってズタボロの扉を蹴り破りながら女性が着地。
「逃がさないわよ」
「ぐっ、ぬう!?」
手にしたサブマシンガンを掃射し、シェリーに当てずにモリグナだけに当てるという神業を繰り出す女性に、身体を構成しているカラスを殺されすぎてさすがに怯むモリグナ。シェリーを狙うことをやめて、翼を羽ばたかせて入り口に立つ女性まで一瞬で肉薄、猛禽類の様な爪脚を蹴りこみ引き裂かんとするモリグナだったがしかし、女性は銃口にフックがついた大型の銃を取り出すとモリグナの胴体目掛けて引き金を引き、ワイヤーがついたフックを射出。
「プレゼントよ」
「ぐはああああああっ!?」
背後の壁にフックが引っかかったことを確認すると、飛び蹴りの体勢となりワイヤーを縮めて飛び蹴りを叩き込み、モリグナの胴体をぶち抜いて背後に着地する。体の大部分をごっそり失ったモリグナだったカラスが羽ばたいて、窓から飛び去っていった。
「…完全に倒せなかったみたいね。まあいいわ。優先すべきはあなたの安全だもの」
そう言って、カラスの死骸と飛び散った血痕まみれになった部屋で、返り血で服を汚して怯えていたシェリーに、手を差しのべる女性。
「初めまして。エイダ・ウォンよ。貴方のパパの…その友人の知り合いよ。私に守らせてくれるかしら?」
「パパの…?」
父親の、と聞いて明らかに警戒するシェリーに、困った顔を浮かべるエイダ。これは手ごわそうね、と嘆息し、通信機を取り出して連絡を入れる。
「私よ。目標の少女と合流したわ。…え?既に確保済み?目の前にいるけど?…どうやら逃げられたみたいね。連れて行くわ。って、待ちなさい!」
「い、いや……」
エイダが連絡している間にそそくさと移動して建物の外に出るシェリー。エイダも慌てて追いかけるが、次の瞬間シェリーの目の前にカラスが集まってモリグナが再度形成される。近くのカラスを襲って回復してきたのだ。
「二度も餌を
「性懲りもなく…!」
シェリーの胸ぐらを掴んで持ち上げるモリグナに、ハンドガンを向けるエイダだったがしかし、それが撃たれるより前に、モリグナの背後に着地して大きく引き裂いた者がいた。右肩に巨大な眼を見開かせ、下水に濡れた白衣だったものを着ている女性。…G生物と化したアネット・バーキンだった。
「シェリィイイイ!!」
「ママ…!?」
己を助けた者が母親だと知るや否や輝いたシェリーの顔が、次の瞬間には恐怖に歪む。クイーンたちの知らないところで、少女の危機が襲い掛かる。
魔改造シェリーと多分別のナンバリングからやってきたエイダさん。モリグナ、神風をいくらでも出せるから火力だけならイブリースに並ぶかもしれない。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなオリジナルB.O.W.は?
-
アサルト・モールデッド
-
マザータイラント
-
ゼウ・ヌーグル
-
クイーン・サマーズ
-
アリサ・オータムス
-
センチュリオン・ヘカトンケイル(大人)
-
ハンターΩ
-
セルケト/プロトネメシス
-
マスターリーチ/リーチタイラント
-
サーベラス
-
エリミネート・スクナ
-
センチュリオン・ヘカトンケイル(子供)
-
ハンターΨ
-
ヨーン・エキドナ
-
ネプチューン・グラトニー
-
ドライアド42
-
ワスプ・キャリアー
-
ギルタブリル/セルケトⅡ
-
イブリース/T-EX01/魔王イブリース
-
モリグナ