BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は新たなリサシリーズ登場。楽しんでいただけたら幸いです。
~とある研究員の記録~
モリグナに引き続き、数少ない成功例の傑作について記録しておこうと思う。被検体は下水道に捨てられていたペットだったと思われるワニ。RT-ウイルスの特性上相性のいい爬虫類であり、やはりというか適合した。アルバート・ウェスカーと言う成功例こそあるがあれは異例中の異例であり、普通に人間に使うと「アナーキア」と仮称した肉塊になってしまうのが実に口惜しい。ウェスカーの遺伝子が羨ましい限りだ。この時点でも兵器としては及第点だが、私の理想とする「RT計画」の遂行のためにはやはりこの問題点を改善しないといけない。要研究だ。
脱線したので話を戻すとしよう。最初は小型だったが、脱皮を繰り返しながら化学廃棄物や汚染物質を貪欲に食らい続け、恐竜のような圧倒的巨体へと異常成長を遂げた。最終的に下水道の大きな通路すら埋め尽くす10メートルにまで巨大化し、レントゲンで確認したところ、ヨーン・エキドナと同じ変異を確認した。RT-ウイルスに含まれたリサ・トレヴァーの遺伝子から、これまでの被験体と同じく彼女の形態をとろうとしているようだ。やはり強力な遺伝子情報だ。
故に私はステュクスの名を与えようと思う。ギリシャ神話に登場するテテュスの娘の1人である女神の一柱、あるいは冥界を流れる5つの大河の内で生者と死者の領域を峻別する川の名称だ。ウイルスの実験体が数多く廃棄されていたり潜んでいたり(例:ハンターγ)する、生者と死者の蠢く、下水道の食物連鎖で頂点に君臨する捕食者にぴったりな名前だろう。…ワニ関連の神話が少ないため名前を考えるのに難儀したのは内緒だ。アリゲーター・ステュクス。なかなかいい名前ではないだろうか。
巨体でありながら異常に俊敏であり、見た目にたがわず食欲旺盛でとりあえず目の前の物体には何にでも噛み付いてしまう貪欲さと凶暴さを有していて、その巨大な顎で噛み付かれるとひとたまりもない。驚異的な頑強さを有する皮膚も強みの一つだ。あれは銃弾すら通さない。だが人型になればこの特性はなくなってしまうだろうことは容易に想像がつく。どう適応するか実に見ものだが、モリグナと同じくここに置いていくしかないのが実に口惜しい。
1998年9月 サミュエル・アイザックス
再生許容量を超えたのかドロドロと腐り果てていくアイアンズだった肉塊を見下ろし、私達は月を仰ぎ笑い声を上げる。
「『アハハハハハッ!」最期まで汚い奴だったなあ!次の獲物を探しに行くぞォ!』」
「待ちなさい」
「『ギャアアアアッ!?』」
しかし大きすぎる隙を突かれて焼夷弾を撃ち込まれ、炎上。燃え転がりながらエヴリンと分離し、ゴロゴロと転がってなんとか鎮火する。
『あちゃちゃちゃちゃっ!?…体ないなったから熱くないや!』
「……この解除方法どうにかしないとな」
「本当にね」
立ち上がり、溜め息を吐きながら振り返れば呆れているクレアとレオン、おっかなびっくりしているオメガとヘカトとプサイがいた。
「クイーンとエヴリン、怖い……」
「私も震えが止まらないわ…」
「鬼でござる悪魔でござる……」
「そこまで言われると傷つくんだが?」
どうやらB.O.W.組はモールデッド・クイーンの凶暴さに本能的に恐怖を抱いてしまったらしい。オメガすらプルプル震えてるから相当だ。するとクレアとレオンがなにか考え込んでいる様子だった。
「それより、アイアンズを倒せたはいいけど……」
「…シェリーは既に取引で引き渡したと言っていた。心当たりはあるか?」
「十中八九シェリーの父親だろうな。ウィリアム・バーキン。…アンブレラの研究者だ」
『セルケトがヨーロッパに行っている時に限って出てくるとか可哀そうだねえ』
そうだな、とエヴリンの言葉に内心頷く。ウェスカーとバーキン絶対殺すマン、いやウーマン?のセルケトからしたら最高の機会だろうに。
「ウィリアムがいるとしたらNESTと呼ばれているラクーンシティ地下にあるアンブレラの研究所だろうか。下水道を通れば行ける、と以前エヴリンが言っていた」
『壁抜けても相当時間かかったけどね』
「なんだって?下水は公共のものだ。どうやったらこんな場所を使える?」
「ここは企業国家アメリカだ。ラクーンシティはアンブレラの支配下なんだよ。残念なことにな」
「そこに行きましょう。シェリーを放ってはおけない」
「そこにいけばアンブレラの悪事の証拠も掴めるかもしれない。FBIのエイダに渡すことができたら、アンブレラを潰すというクイーンたちの目的にも近づくはずだ」
「…できればクレアとレオンはラクーンシティから脱出させたいところだがどうせ言っても来るんだろ?」
そう尋ねるとノータイムで頷く二人にため息を吐く。まったく、若者というやつは……
『クイーンも言うて19歳ぐらいでしょ』
「そういうお前は実年齢51歳ぐらいだったか?」
『言ったな!たしかに2004年ぐらいの生まれで2037年から1980年に飛んできてそれから18年過ごしてるけど!……ふんだ!ミランダよりはまだまだ若いんだからね!』
「お前の言動から年相応さを感じないんだが……」
「「?」」
エヴリンと馬鹿なことを言い合ってたら見えないクレアとレオンが首を傾げる。しまった、気を付けないとな。
「こっちの話だ。下水道の入り口は確か、ケンドの鉄砲店の横が近道のはずだ」
私が先導して案内する。しかしヘカトの腕がなかなか回復しない。ごっそり持って行かれたからさすがに十数分でも無理らしい。いや、エヴリンが無理やり体に大人の記憶を宿らせたせいで能力が落ちているのか?
「ヘカト、大丈夫か?」
「この痛みもまた愛よ…」
「大人ヘカト殿よくわからんでござるな」
B.O.W.トリオのコントみたいな会話を聞きながら、最近地響きが原因の地盤沈下を修復していた工事現場の足場を通り、下水道のパイプの前に辿りつく。ゴクとマゴクの調子を確かめ、弾倉を確認する。…まだ大丈夫そうだな。すると、パイプの中から悍ましい咆哮が聞こえてきた。
グオォオオオオオオオオオオオオオッッッ!!
「…何がいるっていうの…?」
「俺が先に行く。女性に危険を冒せられない」
「レディーファーストと言うだろう。ケネディ巡査殿。ここは先輩の私に譲れ。もっとも、もう警官でもなんでもないがな。プサイ、殿は頼んだ」
「任されたでござるよ!」
レオンが先に入ろうとしたので手で制し、中に入っていく。狭いな。ヘカトでギリギリか。襲われたらひとたまりもないな。そう思った瞬間、地響き。揺れたことでヘカトが頭をぶつける。
「愛を感じないわ……」
「あなたの基準がわからないわ…」
「なんだよ、今のは地震か?」
「さっきの大穴も地響きでできたものだ。何かがいるぞ、気を付けろ」
『じゃあ見てくるねー』
そそくさと壁を抜けていくエヴリン。しかしすぐ戻ってきて、何事か聞こうとすると慌てた顔でシーッと指を立てる。
『やばいやばいやばいやばい!都市伝説だけで十分なのがいるよお!』
「誰だあああああッッッ!!」
するとエヴリンの慌てた声に反応して響き渡る大声。女の声だが、まるで咆哮の様だ。そして曲がり角の向こう、広々とした通路をズシンズシンと足音を立てながら歩いてそれは現れた。
「人間はぶち殺す……!俺をこんな姿にしやがったアイツも殺す…!」
それは、途轍もなくでかかった。前傾姿勢で下水道を歩く7メートルを超える巨体の女。全身のところどころを覆った黒緑色のとげとげとしたフォルムの鱗。鋭い爪が生え揃った黒緑の鱗に包まれた両手で壁を引っ搔き、腰から伸びた鱗に覆われた尻尾が揺れて壁を粉砕、口には鋭く細かい牙が生え揃っている、やはりというかアリサによく似た顔は殺意に満ち満ちていて、爬虫類特有の瞳孔を持つ赤色の瞳がギョロリと動いてこちらを睨むと壁を引き裂いて道を無理矢理拡げる。……こいつは、ヤバイ。
数えてみたら50歳ぐらいだったエヴリン。年相応にしてほしいですね。
殺意の塊な俺っ娘アリゲーター・ステュクス。珍しく今の姿に嫌悪感丸出しです。理由は次回にて。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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