BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
「うーん、これからどうしよ」
「どうするとは?」
半身を湖に浸からせながら泣きじゃくるアリゲーター・ステュクスを背伸びしてなでなでしながら、考える。うーん頭に届かない。ちっちゃな体が恨めしい。じゃなくて。アリゲーター・ステュクス、声変わった?凄味がなくなったという。素直な子供みたいで今の方が好きだよ。ってそうでもなくて。すぐ脱線する私の脳内どうにかならんかね。
「いや、あなたの名前とかどう連れて行こうか、とかね」
「俺は、アリゲーター・ステュクス……」
「うん、長いしセンスないし、なによりアイザックスの付けた名前で呼ばれるのも嫌でしょ?親らしく私が新しく名付けてあげる」
「俺の、名前……!」
ステュクスってなんだ。確かギリシャ神話の冥界の川かなんかだろう。縁起が悪いんじゃクソボケネーミングセンスめ。……かといって私にセンスがあるかと問われたらうーん、なんだよなあ。
「ワクワク…」
ああもう、そんな期待した目で見ないで!ワクワクを声に出して言うなんて可愛いな!もう!私の子可愛い!……考えろ私、無い知恵絞っていい名前を考えるんだ!少なくともマイナスなイメージがある名前はダメ!この子にはキラキラ輝いた人生を生きてほしい!……キラキラ?
「…よし。あなたはリヒト!ドイツ語で「光」って意味だよ!」
「リヒト……俺は、リヒト…ありがとう、マザー!」
「……えーと、マザーはやめてくれない?いやな奴を思い出すから……」
男の子っぽくも女の子でもいけそうな名前でいいな、と自画自賛していると嫌な思い出しかない呼びかたで呼ばれて苦笑いを浮かべる。いやあ、あのクソ親と一緒にされるのは嫌だ…。
「マザーはマザーなんだろ?やっぱり、マザーじゃないのか?そうか……」
「ってのは嘘嘘!私マザー!マザー・エヴリン!」
するとリヒトが泣きそうな顔になったので慌てて肯定する。私はあなたのお母さんだよ!だから泣かないで!
「マザーはいいとして、本当にどうしよ……連れて行こうにもリヒト、でかすぎるんだよね…」
「食べ過ぎてごめんなさい…」
「いや、よく育っている証拠だからそれはいいんだけど。ヘカトちゃんみたいに脱皮できればいいんだけどねえ。そんな自由には無理でしょ?」
「多分…?」
「ってそうか。自分の身体でもわからないこともあるよね」
あの耐久力から見て、再生能力や耐久力には特化してるけど脱皮で転生とかはできないと見た。ってことは……うーん、あんまり借りを作りたくないんだけど……。
「ゼウー。ちょっと来てー」
「あいよー。って、気安く呼んでるんじゃないわよ!」
手をメガホンの様な形にして呼びかけると、三メートルを超えた背丈にシンプルな黒いドレスを身に纏っていて、長い純白の髪と深紅のツリ目の私やクイーンとよく似た女、ゼウがひょこっと水面から顔を出した。乗っかってくれるなんてノリのいいラスボスだなあ。
「それで、どうしたのよ?恥知らずにも帰る気になった?」
「ううん。それより頼みがあるんだけど。この子はリヒト。私の子供」
「は?」
湖面に立って口をあんぐりと開けた呆けた顔で私とリヒトを見比べる黒き神。気持ちはわかるけど嘘偽りじゃないのだ。
「…随分でっかな子供を産んだものね。お相手は?まさかクリス?それともこの見た目からワニとでもまぐあったの?」
「冗談でもやめて!?養子だよ、養子!私がお義母さんになってこの子に愛をあげるの!」
「マザー。このマザーにそっくりなやつ、なに?」
「ぷっ。マザー・エヴリン?あの親にしてこの子ありね」
「やーめーろー!?」
小馬鹿にしてくるゼウに、頭を掻きむしる。わかってたけど!こいつに言われると腹立つ!するとリヒトが怒った顔になる。あ、悪い予感……
「マザーを馬鹿にするやつ、許さない…!」
「ダメ、リヒト!そいつに手を出しちゃダメ!」
「あら。力量差もわからないなんて、さすが馬鹿の子供ね」
大口を開けて噛みつこうとしたリヒトを、手をかざして衝撃波で固めて、なんてことない顔で空中に持ち上げるゼウ。リヒトは困惑した顔でなすすべなく浮かび上がり、ゼウは右手を剣の形状に変える。思わず、衝撃波を右手に纏って飛び出していた。
「それはダメ!」
「っ!?」
衝撃波パンチがゼウの頬に突き刺さり、殴り飛ばす。さすがに私から攻撃されると思ってなかったのかゼウは殴り飛ばされ、リヒトは解放されて湖に落下する。
「マザー、強い……」
「大丈夫、リヒト?……冗談にしても限度があるよね?ゼウ」
「ちょっと傷つけて屈服させようとしただけなのにひどいじゃない」
瞬間移動で目の前に現れたゼウが頬を押さえながらごちる。ゼウの冗談は何も面白くないんだよ。
「それで?私に何をしてほしいわけ?」
「リヒトを連れていきたい。何か方法はない?」
「あのね。私は菌根世界じゃ無敵の黒き神だけど、できることには限度があるの。そもそも現実に干渉はできないって言ったわよね?」
「あ」
そういや前に会った時そんなこと言ってた気がする。ええ、じゃあどうしよう……。
「……ラクーンシティが爆破されるのは覚えてるんだよね。そんなところの下水道に残せられない……」
「今ラクーンシティにいるのね。…下水道なんでしょ?先にラクーンシティの外に出てもらえば?地上より楽じゃない?」
「いやでもそれだとこの子、いきなり一人に戻っちゃうし……」
「マザー?」
大丈夫。そんな泣きそうな顔で見なくても、見捨てたりしないよ。そんな意を込めて頭を撫でる。するとそれを見ていたゼウが、溜め息をついた。
「……その子、現実でもそのサイズなのよね?」
「うん。なんか、色々食べてたらこうなったみたい」
「T-ウイルスの生物の巨大化作用かしら。ならそうねえ……菌根の擬態使えば?」
「あ」
「忘れてたのね…」
忘れてた。そういやそれがあったわ。ありがとうミランダ。くたばれミランダ。フォーエバーミランダ。貴方の能力だけは有用だった。
「リヒト、なんとかなりそうかも!戻ろう、現実に!」
「でも、マザーの仲間を俺、ボコボコにした…」
「大丈夫大丈夫、クイーンはそんな器小さくないって」
「…あー、そういえば」
「じゃあねゼウ!ありがとう!」
なんかゼウが言ってたけど菌根世界からログアウトする。これ上手くやれば私も戦闘できそうだけど要改善だなあ。
「……人の話を聞きなさいよ。ローズの元に尋ね人がきた、なんてどうでもいいかもしれないけど」
『ただいま!』
ひょこっとリヒトの身体からスポンッと飛び出すと、クイーンがおっかなびっくり驚いていた。
「ただいまってお前……そいつに喰われたと思ったらアリゲーター・ステュクスが身動ぎすらしなくなって三分ほど……なにをした?」
『説得だよ。それからこの子の名前はアリゲーター・ステュクスじゃなくてリヒト!私の子供になったから、そういうことでよろしく!』
「は?」
「俺はリヒト、マザーの子供だ」
「は?」
えっへんと胸を張るリヒトに呆けるクイーン。いやー、これ言うの反応が面白くて楽しいね。
マザー・エヴリン爆誕。アリゲーター・ステュクスの名前はリヒトに決まりました。
次回、脱出を目指すエヴリンたちの前に現れたのは……?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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