BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
傷だらけで下水道を歩くエイダは、通信機で今回のボスたちに報告していた。
《「なんだと!?シェリーがアネットに攫われた!?」》
《「本当か、エイダ」》
「ええ。カラスの化け物からシェリー・バーキンを助けてあなたたちの使いだと名乗ったら逃げられたわ。なにやらかしたのかしら?」
《「シェリーが私から逃げるはずがないだろう!馬鹿言うな!」》
《「アネット・バーキンに攫われたとはどういうことだ?」》
「文字通りよ。私から逃げたと思ったら化け物になったアネット・バーキンが現れてね。シェリーを抱えて下水道に逃げていったわ。今それを追いかけているところ。彼女にそっくりな不細工な怪物も跋扈しているからこっちに逃げたのは間違いないんじゃないかしら」
サブマシンガンでG成体を撃って迎撃しながら、突き進むエイダ。通信機の向こうでウィリアム・バーキンが焦っているのがわかった。
《「まずいぞ!G生物にはギルタブリルから判明した繁殖本能がある!遺伝子的に近い実の娘であるシェリーに胚を植え付けようとしている可能性が高い!そうなれば……エイダ!今すぐNESTに向かえ!G-ウイルスのワクチンを確保するんだ!」》
「無茶を言ってくれるわね……」
《「私はウィリアムを無事に送り届けなければならない。エイダ、シェリー・バーキンは任せ……おい、なんのつもりだウィリアム!待て!」》
無茶ぶりに辟易していると、通信機の向こうでウェスカーの慌てた声が聞こえた。
《「じっとなんかしていられるか!シェリーは私の娘だぞ!娘を置いて逃げる父親がどこにいる!」》
《「お前!ウィリアム!お前の頭脳にどれだけの価値があると思っている!」》
「……本当にめんどくさい男どもね」
エイダ、渾身の本音であった。
スイィーと、巨大なリヒトに乗って下水道を進むクイーンと寝ているヘカトちゃんの上をふわふわ浮かぶ。傷が深くて疲弊しているヘカトちゃんを下水に浸からせるわけにはいかないから助かるね!
「マザー、もう少しで俺がいたところにつくよ」
『えらいえらい、リヒトはいい子だねえ』
「だーかーらー!わからない鮫ね!」
「そっちこそ!頑固な蛇なのだ!」
報告してくるリヒトの顔に近づいて、触れないけどよしよしと顔を撫でてあげると気持ちよさそうに目を細める。可愛いなああ。赤ん坊の頃のローズを思い出すぐらい破顔しているのが自分でもわかった。……このまま現実逃避させてくれないかな。
「お姉ちゃんは私よ!」
「……おい、エヴリン」
「ヨナは黙ってるのだ!私がお姉ちゃんなのだ!」
『………なにかな、クイーン』
「どうしてこうなった?」
『これしか勝つ方法なかったんだからしょうがなくない?』
振り返る。そこには、リヒトのあとを泳いでついてきながらいがみ合い、頬を引っ張り合っている一見微笑ましい喧嘩をしている。そうなのだ。どうしてもヨーン・エキドナとネプチューン・グラトニーを菌根世界で倒せなかったため、超絶久々に、というかベイカー家以来の、お前は家族だ*1を使った結果、ジャック現象*2が起きてしまったのである。
「ヘカトが起きる。なんとかしろ」
『はーい。ヨナちゃん、グラちゃん。ちょっといい?』
長ったらしいのでヨナちゃんと名付けたヨーン・エキドナと、グラちゃんと名付けたネプチューン・グラトニーの間にふわふわと寄って話しかける。するとまるで従順な犬みたいに尻尾を振って期待の目を向けてくる二名。我ながら強すぎるなこの洗脳。菌根が頭の中にあって自我があって、なおかつ私に敵意を向ける相手にしか効かないんだけど。残留思念になって弱体化している私がこれを使えた理由は簡単だ。憎悪を反転させて好意に変えたのである。その結果、私に懐いた蛇鮫コンビが爆誕したわけだ。私が成長したからか親や姉妹じゃなくて私がお母さんってことになってるけど。リヒトみたいに純粋に私を好いているわけじゃないからすっごい罪悪感を感じる。
「なにかしら、エヴリン」
「何でも言ってくれなのだ!」
『……えーと、命令。関係なく本心を言ってね。私の家族になったわけだけど、二人はいいの……かな?』
命令で本心を言うようにして、問いかける。最後辺り自信がなくてどもってしまった。するとヨナちゃんとグラちゃんは顔を見合わせ、牙を剥いてにっこりと笑う。
「……んー、嫌って訳じゃないわ。餌以外に大切なものって思えるのはいいことだと思うもの」
「私も、自分で親も姉妹も喰らって天涯孤独だから家族にしてくれるのは嬉しいのだ!」
『……そっか。じゃあ、ヨナちゃんがお姉ちゃんでグラちゃんが妹、リヒトはその弟ね』
「フフーン。私が姉よ!」
「ぐぬぬっ……」
勝ち誇るヨナちゃんと悔しがるグラちゃんに、私も顔が綻ぶ。そんな私達を、横目でジーッと見て「フッ」と優しく笑うクイーン。するとリヒトが振り返った。
「マザー。2人は、俺のお姉ちゃん?」
『そうだよ、リヒト。怖いお姉ちゃんたちだけど仲良くしてね?』
「はーい」
「私達の弟純粋すぎて眩しいわ……」
「同感なのだ……」
『わかる。この子にはもう闇に堕ちてほしくないね』
「親馬鹿すぎるぞお前ら」
クイーンのツッコミが木霊して、私達はスイスイと泳ぐリヒトのあとをついていくのだった。
巨大女クリーチャーの襲撃後、下水道の奥に進んだ私とプサイちゃんはゴミ集積所で倒れているシェリーを発見。そこに入る扉を開けるために主電源室に行くために「遊び心」らしいチェスを模した鍵を探して奔走。何とかかき集め、主電源室に突入し電源を回復した私達。
「シェリーが心配よ、急ぎましょう!」
「うむ、急ぐでござ……危ないクレア殿!」
そして来た道を戻ろうとしたその時、プサイちゃんに手を引かれて引っ張られ、天井を引き裂いて現れた巨大な爪が私の今の今までいた場所に振るわれ、無理矢理天井が引っぺがされて、見覚えのある化け物が現れる。たしか、アネット・バーキン…!
「ふざけないで!あなたの娘が大変だってのに……!」
「アァアアア……シェリィイイイイ、何で逃げるのォオオオオッ!」
するとアネットは変形を始め、右肩から新たな不完全な頭部が出現し、アネットの頭部は胴体左脇へと埋もれてしまった。上半身は白衣が耐えきれずに完全に破れ、巨体が形成され脇腹には新しい不完全が腕が見える。まさに怪物だ。
「……新たな気配?この者、以前の自我が消え去っているでござる!」
「そんな……」
「グオォオオオッ!」
アネットだった怪物は巨大な右腕を振り回し、放たれた斬撃を咄嗟に避ける。壁を引き裂き、火花が引火して炎が燃え広がる。
「せめて開放するでござる!」
プサイちゃんの斬撃を爪で弾き、私の放った新たに手に入れた武器、スパークショットを受けてもまるで怯みもせず突進してくるアネット。炎に巻かれているここじゃ不利だ。逃げないと。
「プサイちゃん、こっち!」
「了解でござる!」
プサイちゃんに言って炎に巻かれてない別の扉を斬り裂いてもらい、そこから主電源室を脱出。鉄の通路を走るとアネットも追いかけてくるが、プサイちゃんが飛び蹴り。胴体に蹴りを叩き込まれてよろめくアネットの巨体の肩に、プサイちゃんが飛び乗った。
「斬り捨てソーリー!」
そしてプサイちゃんの斬撃が首を断ち、通路の下に頭部が落ちていく。やった、と思ったのもつかの間だった。肥大化した左腕がプサイちゃんを捕らえ、斬り捨てたはずの首から新たな頭部が生えてプサイちゃんを睨みつける。
「グオオオオオアアアアアアアッ!!」
元々存在していた両腕がさらに巨大になり、胴体にくっついていた新たな二本の腕が完成。胴体には棘で覆われた複数の目玉のような器官が見え、従来の腕は背面に移動し翼のように展開した四本腕の異形になったアネットは咆哮を上げる。……こいつまさか、倒せば倒すほど進化するっていうの……!?
このウィリアムとかいう男、シェリーへの愛情だけは本物なんですよね……
ヨナとグラ、家族入り。エヴリンのこれは禁じ手なのでさすがに縛りを設けてます。
家族構成
エヴリン:マザー
リヒト:末っ子
ヨナ:長女
グラ:次女
イーサン:祖父。さすがのイーサンも苦笑いしそう。
そしてここで一気に第二形態、第三形態に移行するGアネット。このG生物、ひと味違う。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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