BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は新クリーチャー登場。楽しんでいただけたら幸いです。
蔓延るゾンビを殲滅しながら警察署を通り、急ぐ男女二人組がいた。男の手にしたノートパソコンには、モールデッド・クイーンがタイラント・マスキュラー相手に大暴れする光景が映っている。
「……とんでもないな。これが菌根の…いや、お前の言うエヴリンとやらの力か」
「ああ。アイアンズの掌握していた監視カメラのデータを手に入れたおかげで見られたが、とんでもない力だ。…本当に惜しいな。あの時交渉に成功していればと思わざるを得ない」
ウィリアム・バーキンとアルテ・W・ミューラーことアルバート・ウェスカーである。シェリーに逃げられた二人はエイダと連絡後、シェリーを迎えに行くと頑なに譲らないウィリアムにウェスカーが折れて、来た道を引き返してNESTに向かっているのであった。そんなウィリアムとウェスカーの興味を引くのは、ウェスカーにだけ見えるエヴリンの存在。片や興味深い研究対象として、片や強力な兵器になりうる存在として。
「ウイルスに感染していないと知覚すらできない少女か……何者だ?」
「正確なところはわからんが、恐らく菌根の化身だ。T-ウイルスの開発段階、始祖ウイルスを内包したヒルたちにジェームス・マーカスが菌根を餌として食わせたという記録がある。菌根はいまだにメカニズムが解明されていない未知の存在だ。奴の様な存在がいても不思議ではない。クイーンやアリサと共に存在し、妙に人間らしいのが不可解だがな」
「化身、ね。気に喰わんな、科学で解明できない存在など」
「菌根は精神に深く関わっているのだろう。菌根を鍵とした集団催眠と言われた方がまだ納得するな」
「しかしこの変異は興味深い。クイーン・サマーズの正体は例のヒルだろう?どうしてここまでの戦闘力が出せる?」
「見る限り菌根が鉄をも砕く硬度と変幻自在な柔軟性を有しているようだな。それを筋繊維の代わりにしてあそこまでのパワーを引き出していると見える。それとお前にはわからないだろうが、恐らくクイーンとエヴリンの自我が混濁している。とんでもない凶暴性だ。あれは兵器にすれば化けるぞ。フハハハハハッ!」
美しい顔に似合わず邪悪に笑いながらゾンビの頭をネリチャギで粉砕するウェスカーにドン引きしながら、ウィリアムはモールデッド・クイーンと激戦を繰り広げるタイラント・マスキュラーを拡大して難しい顔になる。
「しかしこのタイラントと思われる生物兵器は何者だ…?私はこんなもの、知らないぞ」
「アイザックスが開発したか……もしくはタイラントの強化研究をしているセルゲイ・ウラジミールの差し金だな。後者だとしたら目的はお前とG-ウイルスだろう、ウィリアム」
「それは困るな。守ってくれよ、アルバート」
「女に働かせるな。……冗談だ。「うわっ」って顔をするな、普通に傷つく」
そんなことを言いながら、下水道に直通で続く通路を開けて先を急ぐ二人であった。
「……なんだ、ここは?」
「こんな空間を地下に……?」
「ここがアンブレラの所有するラクーンシティ地下研究所「NEST」よ」
目に症状が表れたシェリーを連れて、エイダやクレアと共に下水道最深部にあったケーブルカーに乗ってやってきたそこに広がっていたのはSF映画に出てくるような近未来な施設。でかすぎる……こんな巨大な空間を地下に建造するアンブレラの技術力は目を見張るものがある。作っているモノがまともであればの話だが。
「クレア、クイーンたちを待ちながらシェリーを看ていてくれ。俺はエイダと一緒にワクチンを取ってくる」
「わかった、シェリーは任せて。気を付けて、レオン」
「急ぎましょう、レオン」
クレアとシェリーを守衛室に残し、エイダと共に外に出る。これまで道中で頼りになったクイーン、エヴリン、オメガ、ヘカト、プサイはいない。クレアを俺達と合流させたプサイとオメガはもとより、巨大な爬虫類の特徴を持つ女から俺達を逃がしてくれたクイーンたちはいまだに戦っているはずだ。シェリーを助け、脱出手段を探らなければ。
「この、職員用のリストタグがあればある程度は行けるはずよ」
「それをどこで?」
「ちょっとした伝手でね。"A secret makes a woman woman." 女は秘密を着飾って美しくなるのよ」
そう言いながらリストタグを使い進むエイダについていくと、いきなり足を止めるエイダに首を傾げる。
「なんだ?どうしたエイ……ダ?」
その部屋の入り口で止まったエイダの肩越しに部屋の中を見て、絶句する。巨大な植物がガラス張りの向こうの温室らしき部屋を埋め尽くし、その周りを人型の植物が徘徊していたのだ。
「なんだ、あれは?」
「ドライアド43“ベルセポネ”とその種子を寄生させた人間が変貌した眷属の“イビー”……詳しいことは知らないけど、危険なのは確かね」
「植物なら、火炎放射器がある。これで……」
「あいつらこんなのがいること黙っていたわね…」とごちるエイダに、背中に背負っていたそれを見せる。オメガと探索中に見つけたものだ。まさか役立つとは思わなかったが。
「あら、頼もしいわね。護衛は任せるわ、騎士様?」
「任されましたよお姫様」
次の瞬間、ガラスにへばりつく大量のイビー。まるで麻薬中毒者の様にガンガンとガラスを打ち付け、罅が入っていく。嘘だろ……!?
「なんだ?何がここまで此奴らを駆り立てる…!?」
「口元を押さえなさい。ベルセポネは張り巡らせたツタの先に人間はおろか、ゾンビすら虜にする麻薬並みに中毒性の高い甘い蜜を分泌する花を咲かせ、直接種子入りの蜜を飲ませたり、匂いを嗅がせて獲物を誘引してツタを絡ませて吸血すると聞いたわ。おそらくあの部屋にはそれの匂いが充満している。…見なさい、あれがベルセポネの真の姿よ」
そう言ってエイダの指さした先、部屋の中心の植物の巨大な花の花弁が開いて、そこから包容力のある右目を前髪で隠した金髪の女性の上半身が姿を現した。にっこりと笑みを浮かべて手を招き寄せるように動かすその姿は、事前に聞いていなければ、なるほど確かに誘惑されてしまいそうな美貌だ。胸元まで植物の蔦が根付き、よく見れば肌の色も若干緑色なのが人間ではないことを表している。
「おいで、おいで……幸せになりましょう……?」
そんなことをベルセポネは口にしながらも、大量のイビーが腕を叩きつけ、バキバキとガラスがひび割れていく。見るからにもう限界だ。咄嗟にポーチから布を取り出し口元に巻く。
「エイダ、先に行け。ここは俺が引き受ける」
「死ぬ気かしら」
「俺は警官だ。お前もFBIの捜査官だろう!?シェリーの……子供の命の方が大事だ!行け!行くんだエイダ!」
そう叫んでエイダを奥の部屋に向かわせた瞬間、ガラスが完全に砕け散って雪崩込んでくるイビーの群れと、ねっとりと絡みつくかのような吐き気がするほど甘ったるい密の匂い。俺は咄嗟に火炎放射器を構えて引き金を引き、イビーを焼き尽くしていく。
「おいで、おいで……私と一つになりなさい……」
しかし炎上するイビーを盾にするかの様にベルセポネが伸ばしてきた先端に黄色い花がついた蔦が襲い掛かってきて、俺の口目掛けて突っ込んでくる。無理矢理種子の入った蜜とやらを飲ませるつもりか…!?
「くっ…!」
「キャアアアアアアッ!?」
咄嗟にナイフを振りぬき、花を斬り裂くと花弁が舞い散り、ベルセポネの悲鳴が上がる。痛覚はあるのか。ならやりようはある…!
「我が子達よ、捕らえなさい」
「しまっ…!?」
すると燃えながらも耐えきった複数のイビーが組み付いてきて、四肢を拘束し火炎放射器を手放させる。そして伸びてきて口に飛びこんでくる複数の蔦。まずい、このままじゃ…!?
「ぐっ……あああああああああっ!?」
今回新登場のベルセポネは、いつも支援絵でお世話になっているエレメンタル社-覇亜愛瑠さまのアイデアである、旧名ハニーディスペンサーをもとに考えさせていただきました。ドライアド42のデータを基に作られた植物B.O.W.です。原作におけるプラント43に該当していて、イビーを生み出すところは共通だけど麻薬染みた蜜を使って操るという最悪の敵。作った人(某ザックス)は何考えてるんだろうね。
エヴリンに目を付け始めた最悪コンビ。そして大ピンチのレオン。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなオリジナルB.O.W.は?
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アサルト・モールデッド
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マザータイラント
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ゼウ・ヌーグル
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クイーン・サマーズ
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アリサ・オータムス
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センチュリオン・ヘカトンケイル(大人)
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ハンターΩ
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セルケト/プロトネメシス
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マスターリーチ/リーチタイラント
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サーベラス
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エリミネート・スクナ
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センチュリオン・ヘカトンケイル(子供)
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ハンターΨ
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ヨーン・エキドナ
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ネプチューン・グラトニー
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ドライアド42
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ワスプ・キャリアー
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ギルタブリル/セルケトⅡ
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イブリース/T-EX01/魔王イブリース
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モリグナ