BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回から最終盤です。楽しんでいただけたら幸いです。
―――――――ああ?何が起きた?
目覚める。
―――――――なぜ動けない?なぜ負けた?
それは、本来の歴史では生まれないはずのものだった。
―――――――瓦礫に押しつぶされている?
それは、既に限界まで力を出し尽くしたはずだった。
―――――――治る先から潰される、限りがない
短期間で何度も致命傷を負い生と死の瀬戸際を何度も味わった。
―――――――大きすぎるこの体が邪魔だ
そのたびに進化し続けるそれは、人の言葉を覚え、自ら考える知性をも獲得しようとしていた。
―――――――エヴリンとかいうあの子供、小さくて身軽そうだった……
際限なく進化し続ける肉体に、明確なイメージの伴った指向性が付与される。
―――――――いらない木偶でしかないこの体はもういらない
膨れ上がりすぎた己が肉体に嫌気がさし、考えることを覚えた怪物は試行する。
―――――――大きくなり過ぎたことで鈍重で当たる部位も多く、攻撃手段も乏しくなったのならば……
この新たな種の宿主であるアネット・バーキンの、たぐいまれない頭脳を利用し、ただ際限なく膨れ上がるだけだった肉体を最適化していく。
―――――――我が身を作り変えよう。小さく、身軽で、強く。究極の生命へと至ろう。
瓦礫の山の下で、その巨体が破裂。大量の肉片と血液だけとなったそれが、ギュンッ!と圧縮されるようにして新たな肉体を作り上げていき、隙間ができた瓦礫の山はガラガラと崩れ落ちて、それは瓦礫を押しのけるようにして立ち上がった。異形の右目がギョロギョロ動き、遥か上を見やるとひと跳躍で自分が落ちてきた階層へと戻ってきた。
「―――――悪くない。……シェリー」
そうして、神の名を与えられし獣は“人”に至る。
「シェリーはこれで安心よ」
G-ウイルスのワクチン“DEVIL”を打ち込んで、シェリーの呼吸が安定したのを確認したエイダのそんな言葉に、私、クイーン、レオン、クレア、オメガちゃん、ヘカトちゃん、プサイちゃん、リヒト、ヨナ、グラの安堵の声が漏れる。擬態させていても数が多すぎてキツキツだったのでB.O.W.組は廊下に出て顔だけ出している。可愛い。でも12人は多いわ、うん。
「よかった……間に合ったか」
『クイーンこそ大丈夫?フラフラだけど』
「同胞たちが何匹か潰れたぐらいだ。問題はない」
私達がタイラント・アシュラにボコボコにされたもののレオンが倒した後、シェリーを連れたクレアたちと合流。目を覚ましたエイダにワクチンを投与してもらって事なきを得たが、私達のダメージは大きい。タイラント特有の爪がなかったから切り傷こそないが打撲に内出血に脳震盪、まあひどい。私も殴られた痣が全身に残ってる。不用意に菌根世界使うのだめだなあ、うん。
《警告。ただいま破壊から復旧したところ、レベル4ウイルスの不正な持ち出しを検出しました。施設封鎖を開始します。施設封鎖完了後、自己破壊コードを実行します》
「な、なに?」
するといきなりアラート音と共に鳴り響いた電子音声に、目を覚ましたシェリーが怯える。これは……マジか。洋館の研究所と一緒か!今回ウェスカーはいないぞ!……多分!
「何が起こっているの……?」
「おそらく、G-ウイルスの漏洩を防ぐために自爆装置が作動したみたいね。潮時よ」
「何を言って…?」
エイダの言葉にレオンが首を傾げた瞬間だった。扉の外のリヒト達が何かに反応した途端、高速で移動してきた黒い人影が次々と六人を殴りつけ、文字通り蹴散らしてしまう。身構えるクイーンとレオンとクレア。しかしエイダは、まだ意識が朦朧としているシェリーを立ち上がらせると、ハンドガンの銃口をレオンに向ける。……そういうことだよねえ。
「エイダ?何の冗談だ」
「シェリーを離しなさい…!」
「悪いわねレオン。これが仕事なの。随分待ったわよウェスカー、バーキン博士」
その言葉と共に中に入ってきたのは、金髪をオールバックに纏め黒いサングラスと黒い戦闘服を身に着けた女性というか元男。アルバート・ウェスカーと、金髪の白衣の男、ウィリアム・バーキン。警察署以来だ。リヒト達を蹴散らしたのはウェスカーか、此奴なら確かにできるかも……。
「よくやったエイダ。期待以上の働きだ」
「おお、シェリー!心配させて……無事で本当によかった」
「パパ……」
「やはりエイダ、お前は此奴らの部下だったか……」
レオンを人質にされたようなものであるクイーンが忌々しそうに吐き捨てるとエイダは不敵な笑みを浮かべてシェリーを連れてウェスカーとバーキン側に移動する。
「アイアンズから取引で保護したはずだったがアクシデントでG生物に襲われてしまってな。ベルセポネのいるここに戻るのも悪手だったからお前たちを利用させてもらった」
「なるほどな……合点がいったよウェスカー。相変らずの卑怯者め」
「お前こそ卑怯者だろうクイーン!貴様、私を信頼させて我々に復讐するべくシェリーを攫うつもりだったな!この悪人め!」
怒り狂うウィリアムをウェスカーが手で制する。頸を少しだけずらして背後に視線を向けているようなので、リヒト達が回復してこないか気が気でないのだろう。
「完全な不意打ちだったからどうにかできたが、B.O.W.がクイーン含めて七体もいるのは厄介だ。いつの間にヨーン・エキドナとネプチューン・グラトニーも手駒にして……お前はそう言う能力の持ち主なのか?エヴリン」
『シェリーを返してくれるならその質問に答えてあげてもいいよ?』
「それはできない相談だな。怒れる父親というのは御せないものらしい」
「クイーン、クレア……!私、パパよりも二人の方が……」
「行くぞシェリー!こんなところからさっさとおさらばするんだ!」
エイダからウィリアムの手元に移動され、逃げ出そうとするシェリーの手を掴んで部屋を出ていくウィリアムと、それに続くウェスカー。おいこら、出ていくついでにリヒトの顎を蹴ったの許さないからな貴様。ダメージがなければ考えなく突っ込んで菌根世界でタイマンするってのに……!
《警告。自己破壊コードが実行されました。中央エレベーターから最下層のプラットホームへと至急避難してください》
「じゃあねレオン。運が良ければまた会いましょう?」
「っ、待て!」
最後までレオンに銃口を向けていたエイダが、ウェスカーたちを追って出ていった瞬間、駆け出す三人。なんとか立ち上がっていたリヒト達も連れて、ウェスカーたちを追いかけるもエレベーターで下に降りて行ってしまう。
「どうしよう、シェリーが…!」
「くそっ、こうなったらここをじかに降りて追いかけるしか…!」
「私に任せて!」
クイーンが粘液糸を伸ばし、吹き抜けになっているところから強引に降りようと試みていたところ、突撃したのは蛇の下半身の擬態を解いたヨナ。素早い動きでエレベーターまでやってくると、強引に扉を少しだけ開いて、その隙間から入り込み降りていくエレベーターの真上に落ちるのを、私も追いかける。後ろ目に、レオンを抱えたクイーンと、クレア、ヘカトちゃん、グラをそれぞれ担いで爪を引っ掻けてスピードを落としながら降りてくるリヒト、オメガちゃん、プサイちゃんの姿が見えた。あっちは大丈夫そうだな。
『ヨナ、頑張れ!』
「シャア!」
エレベーターの天井に落ちたヨナは、牙を突き立てて穴を開けると指を入れて怪力で無理矢理引っぺがそうと試みるがしかし、銃弾の雨がヨナの全身を撃ち抜いて倒れ込んでしまう。ウェスカーとエイダだ。顔を突っ込んで覗き込んだ私を確認するなりウェスカーが銃撃してきて、思わず引っ込む。くそう、当たらないとわかってても怖いものは怖い。
「がはっ……エヴリン!私と合体しなさい!」
『え?いや、でも……それしかないか!』
血反吐を吐きながら私に手を伸ばしたヨナの手を握るようにして飛び込む。クイーン、ハンター姉妹に続いて三度目だ。さすがに暴走しないでほしいけど……。現れるはモールデッドの上半身と、カビで覆われた蛇の下半身を持ち耳元まで裂けた口で三日月を描く異形。尻尾を突き刺して、ウェスカーを引きずり出して頭上にぶん投げる。
「「モールデッド・ラミア!行くぞウェスカァアアッ!!」」
「それがエヴリン、お前の力か……!面白い!」
そして、急降下してきたウェスカーの拳と私達の拳が激突した。
裏切りのエイダ。襲来マッドコンビ。ヨナとエヴリン合体。
そして、人となった神の名を持つ獣。この章のタイトルは嘘でも何でもないのだ。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きなオリジナルB.O.W.は?
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アサルト・モールデッド
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マザータイラント
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ゼウ・ヌーグル
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クイーン・サマーズ
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アリサ・オータムス
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センチュリオン・ヘカトンケイル(大人)
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ハンターΩ
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セルケト/プロトネメシス
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マスターリーチ/リーチタイラント
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サーベラス
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エリミネート・スクナ
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センチュリオン・ヘカトンケイル(子供)
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ハンターΨ
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ヨーン・エキドナ
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ネプチューン・グラトニー
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ドライアド42
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ワスプ・キャリアー
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ギルタブリル/セルケトⅡ
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イブリース/T-EX01/魔王イブリース
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モリグナ