BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
エヴリンが目を背けてきた「事実」と向き合う話。楽しんでいただけたら幸いです。
爆発が、全てを飲み込み焼却していく。クイーンも、レオンも、グラも、クレアも、オメガちゃんも、リヒトも、ヘカトちゃんも、ヨナも、プサイちゃんも。全部が全部、燃えていく。唯一燃えない私はそれを、見届けるしかなかった。列車に乗って逃れたアネットたちを追う気にもなれなかった。
奴の“胎”は凶悪だった。クイーンが分離したヒルでさえ母体にして、不完全とはいえグラを殺害した力を持つG成体が生まれたのだ。合流してきたリヒト達がそれを喰らえばどうなるかは目に見えていた。
母体に寄生し、養分を奪い取って5分かかるかどうかという急速的な成長を遂げ、それぞれの特徴を持つ子供のG生物の誕生。それが、オメガちゃん、リヒト、ヘカトちゃん、ヨナ、プサイちゃんの五人に行使された。体力根こそぎ奪い取られたデバフ状態でアネットと戦い、さらに新手。クレアがウィリアムの相手をしていたこともあって、致命的すぎた。
唯一無事だったクレアもウィリアムに手古摺ってたところをアネットにやられ、全滅した。ウェスカーとエイダがどうなったかは知らないが、アネットたちが車両に乗って去った後に、NESTは爆発して燃えていった。
アレを放っておいたら、世界は大変なことになるとは理解している。アリサなりに伝えて何とか倒すべきなんだろうけど、私は完全に心が折れた。理解してしまったからだ。こうなってしまったのは、私のせいだと。
『あぁああ、あぁあああああああぁぁああぁあああぁああああああ』
ヘカトちゃんを死の運命から救うためにちょっと戻っただけでも、本来現れなかったモリグナが出現した。それ以降も、なにかボタンをかけ間違えれば死んでいてもおかしくなかった強敵の連続の出現。極めつけはGと完全に適合し最強最悪の怪物になったアネット。
本来なら私やクイーンたちは関わらなかったものの、本来の歴史でも発生していたラクーンシティでのバイオハザード。本当ならば、恐らくだけどレオンとクレアがシェリーを助けて共に脱出する……そんな感じなのだろう。
でもレオンとクレアは一切敵わず、手も足も出ずにアネットに殺された。つまり、本来戦う敵じゃなかったということだ。いやアネットだとしてももう少し弱いはずだ。ではどうしてこうなったのか?理由なんて、一つしか思いつかない。
『……私が過去を変えたからだ……』
私が過去を変えたから、小さな歪みが生じてそれはいつの間にか膨れ上がった。バタフライエフェクトと言うんだっけ。気象学者のエドワード・ローレンツが1972年に行った講演のタイトルに由来する、カオス理論における些細な事象がどこかで大きな影響を与えているという意味合いの言葉。これを蝶の大したことのない羽ばたきが地球のどこかで竜巻を起こしているという喩えを用いて表現した為、バタフライ効果と名付けられたそれは、SFものにおいては微々たる事象の集合により、大きな歴史が作られていたのだから、少しでも歴史が変わると歴史の大きな流れが変わってしまうのではないか?という考え方だ。
『私がいなければ、みんな死なずに済んだ……!』
少なくともクイーンたちは元の時間軸でも存在していたはずだ。もしかしたらもっと平穏に過ごしたかもしれないし、もっとひどい目に遭ってたかもしれない。そうでなくとも、アネットが……奴の言うところの“G6”が生まれたのは私の責任だ。奴は言っていた。何度も殺されたおかげで進化し続けたと。どう考えても、モールデッド・ハンターになったことで行ったあのオーバーキルが原因だ。私はG-ウイルスの能力を考えることを放棄して、殺し続ければ勝てると過去の体験から過信して、そして……奴を殺しきれずに、あそこまで進化させてしまった。
『私の、せいだ……』
「エヴリン、どの……」
『プサイちゃん!?生きて、……っ!』
声が聞こえて、燃え盛る中振り向く。そこには腹部が大きく抉れ、顔の右半分が爆発の直撃を受けたのか焼けただれているのに壁にもたれかかり、愛想笑いを浮かべているプサイちゃんがいた。
「ははは……子を身籠ったばかりかその子供に致命の傷を負わされるとは、参ったでござるな……」
『無理しないで!その傷、治すから……』
「ははは。無理でござる。再生能力もとことん奪われた。気力で立っているだけの我が身のことぐらいわかるでござるよ。げふっ」
『そんな、こと……』
吐血するプサイちゃんに反論しようとするが、その口から吐かれた血の色は赤ではなく黒色であるのを見て、察してしまう。今のプサイちゃんは死体を使ったモールデッドみたいなものだ。ベイカー邸以降のイーサンみたいに、菌根の力で無理矢理生きているだけに過ぎない。そして、モールデッドは灼熱の炎の中ではそう長く持たない。もう、死ぬしかなかった。
『ごめん……ごめんなさい……わたしの、せいで……』
「エヴリン殿は何も悪くないでござる。静止されたのに策もなく飛び込んだ拙者たちの不徳故」
『違う、違うの。私のせいであの怪物は生まれたの……!』
「……奴はあの時、オメガ殿と二人でエヴリン殿と合体して戦った怪物のなれの果てでござるな。なら、奴を生んだのは拙者も同罪でござるよ」
『違うの、そうじゃなくて……私がそもそもこの時代に来なければ、こんなことには……』
責めてほしいのに、優しく責任を背負おうとするプサイちゃんに、私は泣き崩れる。優しくしないで。貴女の大事な妹を、家族分を、殺したのは私なのに……。
「……モールデッド・ハンターになった時にエヴリン殿の事情というか記憶は共有した故、なんとなく察したでござる。ござるが……それでもやはり、エヴリン殿がこの時代に来ない方がよかったなどと、あるわけがござらぬよ」
『…なんで?』
笑顔を崩さずに告げられた言葉に、純粋な疑問が口から出る。
『なんで。なんで、なんで?なんで!なんで!?』
「拙者たちが巡り合えたのはエヴリン殿がいたからでござる。少なくとも、拙者たち姉妹が殺しから足を洗えたのはエヴリン殿がいたからでござる。その事実は覆らぬよ」
『でも、でも……私がいなかったら、少なくとも生きてはいられた……』
「否。それはあえりぬでござるな」
『え……?』
「拙者たちはどう転んでもB.O.W.…すなわち人類の敵でござる。受け入れてもらえたのも、クイーン殿やアリサ殿という前例があったから。二人を導いたエヴリン殿がいなければ……まあ、拙者たちはクリス殿たちと戦って、倒されていたでござろうな。そもそも人間とB.O.W.が手を取り合ってアンブレラに挑むという事自体、エヴリン殿のいた歴史ではありえなかった出来事でござろう。断言するでござる、エヴリン殿がいなければ……拙者たちは、全員ここに来る前に死んでいた」
そう言われて、反論できなくて。すとんと、胸に落ちた。そうだった、みんないい子だから忘れてたけど……私達は、B.O.W.だった……。
『じゃあ、どうすればよかったの?私が来たからみんな死んで、私が来なくてもみんな死んで、どうすれば…!』
「そんなこと聞かれても困るでござる。拙者はもうお供できぬが……燃え尽きる前に、我が身を使って過去に戻る。それしかないでござろうな」
『でも、そんなことしたらまた歴史が歪む!アネットも今回以上に強くなるかもしれない!そんなの、どうしようも……!』
「エヴリン殿の記憶から、拙者の印象に残った漫画の言葉を言わせてもらえば……泣いていい。逃げてもいい。ただ諦めるな、でござる」
炎上していく身体で私を真剣に見つめながら、そんな言葉を送ってくるプサイちゃん。……そんなこと言われたら、諦めることなんて、できないじゃないか……。
『……ははは、もうそれ、呪いじゃん』
「呪いの言葉でござるからな。こうでもしないとエヴリン殿はくじけてしまうよわよわメンタル故仕方ないでござろう。拙者じゃなくてもこう言うと思うでござるよ?それにエヴリン殿は拙者たちの母親なんでござろう?エヴリン殿の父親の如く、どんな困難も乗り越えて幸せの未来を掴み取るでござる」
『イーサンみたいに、できるかなあ……』
「また何時かの明日で……約束でござるよ……母上……」
そう言ってプサイちゃんは力尽き、私は意を決してその身体に飛び込む。やってやる、この無理ゲー……何度コンティニューしてでもクリアする!
まさかのプサイちゃんの発破がけ。この子だけ精神が異様に強いので根性で生きてました。呪いの言葉でエヴリンを縛って過去に送り届ける。これが彼女の侍道。
前回は端折ったけどだいぶ悍ましいG6の脅威。G-ウイルスの一番の脅威ってこれだと思うんだ。忘れちゃならないけどこの世界のG-ウイルス、菌根も混じってるのでB.O.W.はみんな血縁なんですよねえ。だからG生物の標的なのだ。肉体的にも精神的にも最強の敵。
敗北し、過去に戻ったエヴリンが発見したのは、正体不明の黒衣の巨人から逃げるアリサとジルの姿だった。家族を取り戻すための、彼女のやり直しが始まる。
BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnantsChronicle】
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近日公開。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな2編オリジナルB.O.W.は?
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Gアネット
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センチュリオン・G・ヘカトンケイル
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モリグナ
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モールデッド・クイーン
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ブギーマン・スケアクロウ
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T-103型タイラント【ハーキュリー】
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タイラント・リッカー
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アリゲーター・ステュクス(リヒト)
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ヨーン・エキドナ(ヨナ)
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ネプチューン・グラトニー(グラ)
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モールデッド・ハンター
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白面の鎧武者
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タイラント・アシュラ
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モールデッド・ラミア
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G生物第6形態(アネット)