BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は砦脱出~工場まで。楽しんでいただけると幸いです。
エヴリンと共に巨人を倒し、俺の身体の外に出てきたエヴリンがカビを切り離してくれて元の姿に戻った俺は、今の今まで入っていたモールデッド・ギガントとやらを見上げる。見れば見る程本当に最近の映画で劇場まで見に行ったヴェノムとそっくりだった。あと、なんか服の返り血が消えていた。
「…お前、実はアレにだいぶハマったな?」
『あ、バレた?だって私達と似てるんだもん。寄生してるようなものだし。あ、あと返り血は拭っといて上げたよ』
「…俺が死んだらお前も死ぬから、あんなに焦っていたのか?」
『え?え、あ、うん。そうだよ?私も死にたくないからね!』
「…なんか怪しいんだよなあ。そもそもなんで、俺の身体はこんな芸当ができる?」
『だから、私の特異菌に感染しっぱなしなんだって。血清とか打ってないでしょ?』
「つまりジャックみたいなことになってるってことか?」
『まあ、うん。それであってるかな?』
「なんで言い淀むんだ…」
そんな会話をしながら奥に行くと結晶の洞窟があり、欠片や塊を拾い集めて鞄に入れながら先に進む。すると城の地下の様な空間に出て、フラスクと砂嵐状態のテレビが乗った台を見つけた。
「最後のフラスクか」
『どうか今のローズに記憶が残りませんように…体バラバラにされて父親が血塗れでスプラッタやってたなんて知ったら可哀想だよ…』
「それは俺も切実に思う」
『それならやめようよ…』
「…!?」
フラスクを拾い上げると、何かが見えた。引っくり返ったトラック。泣き叫ぶローズ。そして…ローズを抱え上げる、仮面の女。マザー・ミランダ。これは…ローズの記憶か?
「なんだ…?」
『どうしたの?』
「ローズの記憶…だと思う映像が見えた。今のは…?」
とりあえず鞄に大事に入れていると砂嵐だったテレビがチェスのナイトの様な紋章の映像となり、奴の声が聞こえてきた。
≪「なかなかやってくれるじゃねえか。ツッコミどころしかなかったが、見応えあるぜ。映画を見ているような気分だった!いよいよ俺らの仲間入りかァ、イーサン・ウィンターズ!」≫
「やっぱり見ていたんだな。一緒にするな。何時まで隠れている?お前たちを引き摺り出してやる」
≪「おおー、怖い怖い。そうがっつくなって。あともう少しですべてカタがつく。だがその前に一つ聞かせてくれよ、相棒。…お前が化け物になった時に聞こえたあの少女の声の主は一体誰だ?エヴリンと言ってたが…あの、エヴリンか?」≫
そう尋ねてくるハイゼンベルクに、エヴリンの事を知っているのかと少し驚く。ドミトレスクやモローがエヴリンに対して何も反応がないからてっきりこいつも知らないと思っていたんだが。どう説明したものか。俺と俺の血肉を取り込んだ奴にしか見えないって言ったらまた馬鹿にされそうだしな…
「俺はお前の相棒じゃない。あの声の主はエヴリン。お前らが俺を狂人だという原因の、俺の家族だ」
『え、言っちゃうの?』
「ばれてるならこっちの方が手っ取り早いだろ?」
≪「家族。家族、ねえ……俺の目にはお前さん一人しか見えないが、いけないオクスリでもキメて見えちゃいけないもんが見えてるのか?にわかには信じ難いねえ」≫
訝しげな声が聞こえる。いちいち癇に障る奴だな。回復薬ならまあ使ってるが。
「俺は本当のことしか言ってない。信じるも信じないもお前の勝手だ」
≪「おいおい、拗ねるなよ相棒。だが聞いてしまったもんはしょうがない。存在すると認めるしかねえじゃねえか。それに本当にあのエヴリンなら俺の目的を果たせるかもしれねえ。いいぜえ、手を貸してやるよ。だがその代わり…」≫
「なんだ?言えよ」
≪「まず俺のところに来い。瓶はあの商人のいる祭壇にある聖杯に納めろよ。そうすれば場所はすぐに分かる。じゃあな。イーサン」≫
「おい、ローズを納めるってどういう…くそっ」
その言葉を最後に通信を切りやがったアイツに、たまらず台を殴りつけると、エヴリンが心配げに覗き込んできた。
『大丈夫?』
「…まあ、な。ローズを一時的にも手放せってどういうことだ…?」
『でも、ローズを戻してくれるって言うなら…』
「行くしかないか」
奥にあったボートに乗って地下水道を進んで奥まで行き、地下をひたすら進むと村に出た。教会の裏あたりか?デュークのいる広場へ向かう。
「生きて再会できるとはこの上なき光栄です」
「ああ、アンタのカスタムしてくれた武器のおかげだ。結構結晶手に入れたから換金して回復薬に在庫あったらありったけくれ。ところで、聖杯ってのはどこにある?」
「毎度ありがとうございます。それならば、その中央にありますよ」
言われて気付いた。本当だ。こんな四つのくぼみがあるあからさまな台座があったのか。ハイゼンベルクに言われた通り、鞄からフラスクをとりだしてはめていく。一個目を入れると、またローズの記憶なのか四貴族に囲まれる光景が見えた。
「なんなんだ…?」
『大丈夫?』
「あ、ああ…」
そのまま三つもはめこんでいくと、ロックが外されて台座が迫り上がり、聖杯が外れた。…この大きいのを持っていけと?
『が、がんばれ!イーサン!』
「…頑張るさ」
すると周りの燭台が次々とひとりでに火が灯り、以前、ドミトレスク城から抜けてきたあの橋の向こうの広場の方角へと火が灯って行った。地図によると祭祀場とある。そういやあの広場の中央にもなんかはめこむのがあったな。これか。
「無駄に重いな…」
『ローズマリーだと思って!』
「ローズはこんなに重くないぞ」
ゆっくりと、聖杯を両手で抱えながら橋を渡り、階段を上って行く。途中で地響きがしたが気にも留めず、時間をかけてようやく辿り着いた祭祀場の中央まで行くと聖杯を傘の様な紋章が描かれたでっぱりにはめこんだ。そしてロックされたかと思うと、すぐそこのでかい川に次々と橋が迫りだしてきて、足場がエレベーターの様に降りて行く。
『どんな仕掛けなの…?』
「考えるのはやめた」
『脳細胞がトップギアだぜ?』
そして下までつくと、さっきの橋に繋がるであろう道があって。ローズのフラスクを取りだそうとしてみるも、すっぽりはまっていてどうすればいいかまるでわからなかった。
≪「ガキなら心配すんなイーサン。それでいいんだ。いいから橋を渡ってとっとと来い!」≫
「ローズに何かあったらただじゃおかないぞ…!」
『ま、まあアレが元に戻すために必要かもしれないし…?』
「儀式かなにかか。俺は魔法は信じないぞ」
言われた通り橋を渡ると、だだっ広い敷地に古びた大きな工場が建てられていた。…立派なもんだな。
≪「おお!イーサン…ウィンターズ!そして俺には見えないがそこにいるであろうエヴリン!ようこそ!」≫
『さすがマダオ。私にも挨拶するなんて紳士だね』
「紳士なのか?あれは」
ハイゼンベルクの声とともに門が開き、中に入り廃材や廃車や戦車や鉄屑が散乱しただだっ広い野原を進んでいく。
≪「まさかドミトレスクだけでなくドナやモローまで殺すとはな。だがアメリカじゃ、そこのエヴリンとやらが原因でもっとヒドい目に遭ったんだろ?」≫
『それはそう』
「お前が認めるのか…」
≪「正直に言おう。お前たちが気に入った。ローズとミランダのことについて話がしたい。中に入ってこい。心配するな、罠なんかじゃねえ」≫
「なんのつもりだ?」
『まあ私がいるから罠だろうがなんだろうが看破して見せるよ!』
「ああ、ほどほどに期待しているよ」
『ひどくね?』
ジリリリリ!と言う音とともに入り口が開き、入って行く。何を考えてるかは知らないが…ローズは絶対元に戻してみせる。
ついにエヴリンの存在を自分から他人に明かしたイーサン。意地でも認知させてやる(決意)
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。