BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回はさらなる惨劇。楽しんでいただけたら幸いです。
今回、というかラクーンシティ事件において蠢く悪意は複数存在する。まずは、自社に関する不祥事の証拠隠滅と共にB.O.W.の実践データを得る一石二鳥を狙いU.S.S.やハンター部隊を送り込んだアンブレラ。
二つ目は、そのアンブレラに従いながらも制御が難しいB.O.W.を作るだけ作って一人だけ離脱し、得たデータで再起を図ろうと目論むサミュエル・アイザックス。
三つ目は、アンブレラを裏切りH.C.F.に逃げ延びようとしているアルバート・ウェスカーことアルテ・W・ミューラーとウィリアム・バーキン、エイダの一派。
四つ目はタイラントの面目躍如を目的としタイラント・ハーキュリーを送り込んだセルゲイ・ウラジミール。
五つ目はG生物に変貌し自らの種の繁殖を第一としているアネット・バーキン。
六つ目はモリグナやヨーン・エキドナ、ネプチューン・グラトニーにアリゲーター・ステュクスなど、解き放たれ自らの本能のままに虐殺するアイザックス製B.O.W.
七つ目はアイザックス関係なく、漏出したT-ウイルスを始めとしたウイルスの影響で怪物になったゾンビやリッカーを始めとした野良B.O.W.たち。
そして八つ目。アリサとジルを強襲した追跡者、ネメシス。一つ目であるアンブレラと、四つ目のセルゲイが手配した存在ではあるが、原作とは一つ違うところが存在する。彼のプロトタイプであるプロトネメシスことセルケト、寄生生物ネメシスを通じてその記憶も継承している。ウェスカーとウィリアムに切り捨てられる前だから彼らへの悪感情こそ存在しないものの、一つだけ、厄介な記憶まで継承された。それは敗北の記憶。アリサという、自分たちより前に寄生生物ネメシスを埋め込まれた存在に敗北した屈辱の記憶。それはろくな記憶を持たない彼にとって、S.T.A.R.S.を抹殺するというミッションよりも、優先された。
「なんでこっちに来たの?クイーンは?」
『えっと……なんかアリサのピンチを感じ取って?』
頭から血を流しながら瓦礫を押しのけ立ち上がるアリサの問いかけに、そっぽを向きながら答える。そうだわ、そうだったわ。この時間の私って、クイーンのサポートをするって言ってアリサとその援護によこしたリサと別れてたんだった。
「そっか。ありがと、エヴリン。でも下がってて……アイツの狙いは私とジルだ」
「スタァズ」
重量感のある足音と共に、瓦礫が押しのけられる。そこにいたのは、顔に巻いていた黒い包帯が破けて下のグロテスクな顔が見えてしまっているタイラントによく似たフォルムの怪物。しかしこちらの方はセルケトを思わせるしっかりとした戦闘服に見えるコートを装着している。
『もしかして、セルケトの後継機…?』
「…ああ、なるほど。道理でなんか覚えがあるわけだ。じゃあネメシスとで呼ぶかな。確か、私やセルケトに使われてた寄生体がそんな名前だったよね」
『セルケトがたしかプロトネメシスと呼ばれてたんだってね…』
鉄製なのか靴底が瓦礫を踏み潰して、地を踏みしめるグググッと身構えるネメシス。外を逃げていく人々は怪物であるネメシスの存在に怯えながらも、アリサの事を知っているためかためらっている姿もあった。それを見て動揺するのは、優しいアリサだ。アリサは、どこか達観している私やクイーンと異なり、他人でも犠牲を出すことを忌避する。
「だめ、逃げて!」
「スタァズ!」
アリサの明らかな隙を見て、巨人が動き出す。ドスンドスンドスンドスン!重量感あふれる足音と共に、真っすぐ走って突進してくるネメシス。アリサは咄嗟に傍に転がった消火器を手に取り、両手で端っこを持ってフルスイング。ゴイン!という音と共に、側頭部に消火器が炸裂し殴り飛ばされるネメシス。しかしそれでも、頭を軽く振るって立ち上がる。
「ゴアアアッ……スタァズ!」
『ターミネーターかなってぐらい効かないな!?』
「顔を隠してたのは弱点とかじゃなかったのか……でも!」
洋館の戦いでものにした菌根操作で右腕を覆い、硬化したアリサは踏み込み、跳躍。ストレートパンチをネメシスに叩き込んで殴り飛ばさんとするも、ネメシスはその動きを読んでいたのかスッと上半身を捻って回避。空ぶって体勢が崩れたアリサの右腕を掴むと捻ってひっくり返し、捻った勢いで回転させながら床に叩きつける。
「があっ!?」
「スタァアズ!」
『スゥウウ……ワアアアアアッ!!』
「スタァズ!?」
そのまま意識が飛んだアリサの頭部目掛けて拳を振りかぶろうとしたので、咄嗟に虎の子である超至近距離鼓膜絶叫で牽制。その間に意識を取り戻したアリサの腹筋で起き上がった頭突きが顔面に炸裂。怯んだネメシスの襟を掴み、足払い。日本の柔道の技、一本背負いが決まった。某迷宮なしの名探偵の眠りの某の得意技のあれだ。
『わお…どこで習ったの?』
「日本人の同僚にちょっと手ほどきをね。よし、ジルのところに戻ろう。エヴリン、案内してくれる?」
『任せて!』
完全にダウンしたネメシスを一瞥したアリサの声に応えて、空に出る。ジルは……いた。ブラッドと…なんかボロボロのリサと一緒だ。擬態は解けてないみたいだけど……。
『北の通りにいたよ!ブラッドとリサもいる!』
「リサ、無事だったんだ!よかった!』
『なにかあったの?』
「ブラッドからの電話で、リサがやられたって言ってたから心配で……」
『なるほど?』
アリサの言葉に納得しながら人ごみの上を浮かんで先導する。しかしすごい人だな、ラクーンシティ中の人間がいっせいに逃げてるんだから当たり前か。うわ、ゾンビの群れも迫ってる。時間の問題かこれ?
「アリサ、大丈夫だったかい?あんなバケモノの相手をして……」
「大丈夫よサリバンさん。今はとにかく逃げて。私達、R.P.D.が必ず守るから」
「ああ、立派になったねえ……」
アリサが顔見知りのサリバン夫人に話しかけられて相手をしている。たしか、クイーンとアリサがラクーンシティに来てからずっと応援してくれている人だったはずだ。市民に応援されるヒーローみたいでいいなあ、とほんわかしていて油断してそれに気づくのが遅れた。
「スタァズ……アリサ・オータムスゥ…!」
『……アリサ!避けて!』
いつの間に意識を取り戻したのか、瓦礫を押しのけながら出てきたネメシスが右腕を振りかぶると、服の下が蠢いて、右腕を振りぬくと同時に手首からアリサのそれを彷彿させる触手が一本伸びて、高速で射出。私が警告した時にはすでに、人々を何人も貫きながら迫っていて。サリバンさんが背中から貫かれた光景に、アリサは気を取られてしまい回避が遅れた。
「がはっ……!?」
『アリサ!?』
「きゃああああああっ!?」
人々ごと触手で串刺しにされたアリサが吐血し、崩れ落ちる。アリサが刺されたぐらいで吐血するなんて、尋常じゃない。なにかされたんだ。そして右腕を振るい、何人もの人々を串刺しにした触手が引き抜かれてネメシスの右腕に収まる。人間だぞ?肉と骨をいくつもぶち抜くなんてどんなパワーだ。
「みんな!逃げて!」
「こっちだ!おい、逃げろみんな!」
騒ぎを聞きつけて、ジルとブラッドが人々を扇動する。その中をかき分けて、憤怒の顔でネメシスに突撃する存在がいた。リサだった。
「よくもアリサを……妹を!」
「スタァズ…!」
擬態を解いて本来の異形の姿をさらけ出した右腕を振るうリサ。ネメシスは左腕でガードすると、触手を出して鞭の様に振るい、あまりのパワーで振るわれたそれをノーガードで受けたリサは大きく出血するもネメシスの胸ぐらを掴み、近場の店に投げつけ追撃する。……私達の知らないところで起きていた、いや恐らく私が過去に戻ったから起きてしまった惨劇に、私は見ていることしかできなかった。
セルケトの記憶を引き継いでアリサに対する敵意満タンなネメシス。タイトルは串刺し公の異名から。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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