BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は下水道での戦い、そして出会い。楽しんでいただけたら幸いです。
空中で取っ組み合い、地上に落下したモリグナ・ネメシスとモールデッド・エンプレス。それを追いかけたアリサとニコライが見たのは、道路のど真ん中に空いた大穴だった。
「落ちた…!?ここは……」
「下水道だな。たしか駅に繋がってたはずだ」
「よく知ってるね?」
「もしもの時の避難経路にするつもりだったからな」
「卑怯もの」
「誉め言葉だ」
瞬間、地響きが起きて足をとられるアリサとニコライ。下で大暴れしてるらしい。次々と道路がボコボコと波打ち、それが移動していく。
「この先は…!?」
「…駅だ。カルロス達がいる…!」
「そんな、今すぐ避難させないと…聞こえる!?ジル…!」
その頃下水道では、上のことなど知ったことかと言わんばかりの大暴れが行われていた。
「くたばれえ、スタァアアアズ!!!」
「『ケヒヒッ!アハハハハハッ!』」
下水道内の狭い通路を飛行し、飛び蹴りを叩きこむモリグナ・ネメシス。全身から生えた棘を伸び縮みさせて壁に突き刺して引っ付きながら天井を移動し、長い腕で殴りつけるモールデッド・エンプレス。互いに吹き飛ばされ、追いつき、殴り蹴りを繰り返す。
「スタァアアアズ!!生埋めになれ!」
「『ゆーびきーりげんまーん!うそつーいたらはーりせんぼん、の~ますッ!ゆーびきったァ!』」
翼を天井に突き刺し、引き裂いて瓦解させながら自分は飛んで退避するモリグナ・ネメシスに、モールデッド・エンプレスは上機嫌に拙い日本語で笑いながら全身から棘ならぬさらに鋭くした針を伸ばして、瓦礫をすべて針の先端に突き刺して受け止める。その姿はまさにハリセンボン。そのままアルマジロの様に丸まって回転、某鞭が似合う考古学教授の映画の如く一方通行で転がってくる岩の様に突撃。慌てて低空飛行して逃げるモリグナ・ネメシス。
「『ケヒ、ケヒヒヒ!アハハハハハッ!』」
「こんの……っ、スタァアアアズ!!!」
笑いながら迫る瓦礫の塊に、逃げきれないと悟ったモリグナ・ネメシスは着地して猛禽類の様な脚で掴んで地面に固定し、翼になってる両腕をさらに広げて巨大な掌の様にすると受け止める。その場で留まりながら高速回転する瓦礫の塊と化したモールデッド・エンプレスは、突然瓦礫を突き刺していた針を引っ込めると瓦礫が雪崩となってモリグナ・ネメシスにのしかかり、生き埋めになった瓦礫の山に勢いよく前蹴り。
「『ケヒハハハハハハッ!お前なんか相手している暇はないんだよぉ!』」
瓦礫の山から蹴り飛ばされたモリグナ・ネメシスはグルングルンと転がり下水道を転がっていき、モールデッド・エンプレスはそれに追いついて顔面を鷲掴みにするとその場で縦に一回転、頭からモリグナ・ネメシスを下水の中に叩き込んだ。
「ぐおおおおっ、スタァアアアズ!!!」
たまらず、カラスの群れを分離させてただでさえ狭く暗い下水道を埋め尽くすモリグナ・ネメシス。一部だけ残して猛禽類の足と羽毛に包まれた頭部と胸部以外はただのネメシスとなったモリグナ・ネメシスはカラスの群れに紛れて突撃して右ストレート。しかし、カラスの群れに動じずすべて全身から伸ばした棘で追い払っていたモールデッド・エンプレスはその接近に気付いており、カウンターでパンチを顔面に叩き込んで殴り飛ばした。
「す、スタァアズ……」
「『ケヒヒッ。……ハア。手間、かけさせないでよね』」
ひっくり返ったモリグナ・ネメシスに笑っていたかと思えば深いため息をついたモールデッド・エンプレスが跳躍して馬乗りになり、両手の拳を連続で叩き込んでいく。まるで八つ当たりの様な、リンチにも見える。しかしモリグナ・ネメシスの本体は頭部ではなく胴体にいる。モリグナ・ネメシスは再度カラスの群れを呼び戻して、
「『なっ……!?』」
「このままお前も取り込んでやるぞ、スタァアアアズ!!!」
予想外の反撃に流石に狼狽えるモールデッド・エンプレス。棘を伸ばして突き刺すことでまた散らそうと試みるが、死なばもろともと言わんばかりに死んでもなおくらいついてくるカラスたちになすすべがなかった。
「エヴ、リン……!」
ならばとモールデッド・エンプレスが……リサがとった手段は、自らの胸に手を突き刺して、物理的に自分の中にいるエヴリンを引っこ抜いて融合を解くことだった。エヴリンに触れることができるリサならではの荒業だった。
『待って、リサ…!?』
引っこ抜かれた勢いのままにくるくる縦に回転しながら天井を突き抜けて地上に出てしまうエヴリンは手を伸ばすが、届かない。慌てて地面に飛び込み、下水道に戻るエヴリン。しかし移動したのか、モリグナ・ネメシスも、リサの姿もどこにもなかった。
『どうしよう、どうしよう…!』
頭を抱え、焦るエヴリン。また、自分が安易に合体を選んだせいで強敵が生まれて、仲間を失ってしまうという恐怖に苛まれる。何のために戻ってきたのか、今度はやり直せるのか、そんな考えに苛まれるが、突然自分の頭に勢いよく拳を振り下ろした。
『っ……落ち着け!リサを救うにはどうすればいい!?考えろ、考えろ考えろ………ここは下水道、なら……いるはず!リヒト……!』
そして自分を殴って痛みで冷静になったエヴリンが選んだのは、下水道に潜むリヒト……アリゲーター・ステュクスを一足早く仲間に引き入れること。しかし迷路みたいな下水道だ。壁をすり抜けることができるエヴリンでも、探し出すのは困難。もう行き当たりばったりででたらめに下水道を浮遊して移動する。
『っ、見つけた!』
すると下水道内を移動する巨大な影を見つけ、その前方に飛び出すエヴリン。
『いろいろすっ飛ばすけど、私が親になってあげ……る?』
そしてその影の主を見て、エヴリンは首を傾げる。二本足。牙の生え揃ったでっかい口。尻尾。ぬめぬめ。特徴はアリゲーター・ステュクスと一致している。はて。リヒトはこんな薄い白っぽいピンク色だっただろうか。こんな丸いフォルムだっただろうか。そもそも目はどこかな?
『人違いでした、ごめんね?』
「おや?…だでぃ?」
ぺこりと頭を下げ、踵を返そうとするエヴリンの耳にその声は届いた。振り返る。明かに人語を話すとは思えない、両生類ではあるんだろうが致命的にまでにアリゲーター・ステュクスと異なる何かしかいない。するとその上半身の大半を占める巨大な口ががぱっと開く。その中にあったものを見て、エヴリンは。
―――――――カチリ
運命の歯車がかみ合い、動き出す音が聞こえた気がした。
「…ここ、は……」
微睡みの中で目が覚める。体力が奪われ続けていて喋ることさえままならない。どうやら自分は、真っ黒な何かに覆わているらしい。菌根と同じ暖かさを感じるが、悍ましささえ感じる。これは、洋館で嗅ぎなれてしまった死の匂いだった。するといきなり視界が開け、下水道内の管理室なのかガラスに映る自分が見えて、絶句した。
「スタァアズ!目が覚めたかリサ」
そこにいたのはモリグナ・ネメシスの様だった。だがしかし、姿が変わっている。両手が翼になっている鳥人間の様だったモリグナ・ネメシスと異なり、恐らく自分の四肢が変貌したであろう四枚の翼を生やし、それとは別に四肢を持ち、全身棘だらけで頭部はリサの顔に近いそれに戻り、御伽話の悪魔か死神を思わせるフォルムへと変化していた。
「……モリグナ」
「抵抗しても無駄だリサ、お前は我らが一部となった。意識は残っているようだが身体は既に我々のものだスタァアズ!」
なにかが私の脳に入り込もうとして弾かれているのを感じる。多分だけど、寄生体の方のネメシスだ。しかしこれでは、自我を保ったまま操り人形にされて、この手でアリサを殺すことになってしまう。こんな状態、生殺しだ。そんなの嫌だ。助けてと、洋館ではついぞ諦めた救いを求める。そうだ、そんな私の手を取ってくれたのは………
『モリグナ!リサは返してもらうから!』
「喰えないお前に用はない、それから今の私は女帝モリグナだ、スタァアアアズ!!!」
あの時と同じ、エヴリンが目の前にふよふよ浮かんでいて。エヴリンは不敵に笑んで、手をかざす。
「やっちゃえ……ガンマちゃん!」
「はぁあい!」
無邪気な声が聞こえて振り向くモリグナ。そこには、巨大な口と、その中で両手を広げている真珠色の髪を持つ私と同じ顔の少女がいた。ああ、またかぁ。そんな達観した感情と共に、私もろともモリグナは丸呑みにされたのだった。
リサまで取り込んだモリグナ最強形態、女帝モリグナ。偶然だけどゼウにフォルムがすごい似てます。ゼウを異形の怪人化させたイメージ。
そして新登場、ガンマちゃん。そう、あのB.O.W.です。エヴリンまた誑し込んでるよ……
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな2編オリジナルB.O.W.は?
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Gアネット
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センチュリオン・G・ヘカトンケイル
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モリグナ
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モールデッド・クイーン
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ブギーマン・スケアクロウ
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ブギーマン・バグベア
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T-103型タイラント【ハーキュリー】
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タイラント・リッカー
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タイラント・マスキュラー
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アナーキア(変異アイアンズ)
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アリゲーター・ステュクス(リヒト)
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ヨーン・エキドナ(ヨナ)
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ネプチューン・グラトニー(グラ)
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アナーキア・リッカー
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モールデッド・ハンター
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白面の鎧武者
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ベルセポネ
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タイラント・アシュラ
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モールデッド・ラミア
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G生物第6形態(アネット)