BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
今回は今までちまちまとばら撒いてきたハンターシリーズのフラグを一気に回収する話。楽しんでいただけたら幸いです。
【研究助手の飼育日誌】
3月4日 水温:18度 pH値:6.8
γ個体を初めて培養槽から出す
動きはやや緩慢で攻撃性は低い
Ω、Ψと比べると型落ちだという声が聞こえるがとんでもない
Haは殲滅力こそ命だ γこそ究極のHaだ
4月18日 水温:20度 pH値:6.8
いくつかのホルモンや薬剤を投与
うちひとつが効果を示し攻撃性が著しく上昇
素早い動きでターゲットを丸呑みにする
人間の大きさ程度なら一口だ
6月30日 水温:22度 pH値:6.2
Dr.Iがかつて生み出したΩ、Ψを始めとした
U本社でのγ研究打ち切りが正式に決定した
破棄直前に特に高い知能指数を示す個体を密かに搬出
かねてから用意していた新ラボに無事移送完了
すべてはγの実用化に心血を注ぐ
Dr.ローガン・カーライルの熱意の賜だ
8月14日 水温:25度 pH値:5.8
下水管を利用した飼育を開始して2週間
猛暑による水質悪化が心配だったが問題ない様子
γは複雑な下水の構造を2日ほどで完璧に理解し
ラクーンシティの地下を自由に散策している
どの個体も博士には非常に慣れているが
制御不能に陥った場合に備え高火力の武器を導入した
中古品らしく精度に不安はあるが保険にはなるだろう
※上記の様に何故かこの下水道に放し飼いにしてからある個体を中心に知能の高さが伺え始めた。何か影響があるのだろうか
8月24日 水温:24度 pH値:5.6
予想外の事態が起きた
苦しんでいたγの個体の一つをレントゲンで検査したら骨格が変容していたのだ
特に悪食な個体だ 恐らくNESTから排出される実験体のウイルスでも取り込んでしまったのだろうか
このままでは管理不足を博士に問い詰められるのも時間の問題だ
他の個体も検査 少しでも変化が見えた個体を 死んだことにして離れた区域に隔離することにした
悪食の個体を含めて三匹に異変を確認
9月1日 水温:23度 pH値:6.1
隔離したうちの二体が正体不明の何かに捕食された
この下水道には怪物が潜んでいるという噂があったが本当だったのか
残された悪食の個体は危険を察知したのか隠れてしまった 好都合だ
下水局の現場主任に賄賂を握らせ確保したこのラボだが
γの増産を行うには少々手狭だ 移転を検討する
9月9日 水温:21度 pH値:6.1
ラボに迷い込んだ清掃作業員1名をγが的確に処理
更に逃がした清掃作業員2名も例の悪食個体がいる区域に逃げ込んでから音沙汰がない
十分に実用に耐えうることを証明した
明日にも報告書をUヨーロッパ支社に送付する 悪食個体も回収しなければ
――――記録はここで終わっている
アナーキア、というB.O.W.を覚えているだろうか。無秩序という意味するアナーキーから取られた名でありRT-ウイルスに適合したなかった生物のなれの果て。健康な部位まで再生しようとして細胞が弾けて肉だるまの様に膨れあがり破裂したところに菌根が周囲の物体をあつめて無理矢理再生していく、ブクブク肥大化し続ける肉塊である。亜種にアナーキア・リッカー、アイアンズ変異体などいるが基本は変わらない。
さて、このアナーキア。再生能力の弱点である炎で焼却処分されてNESTに隣接している下水道に捨てられていたのだが、そこは天下のRT-ウイルス。完全に死滅することなく下水道を漂っていた。アリゲーター・ステュクスの餌になるのがほとんどだったが、全てではなかった。
漂流したそれを、喰らうものがいた。もともと別の場所で開発されていたが研究が打ち止めにされて、やむをえず下水道にて研究が続けられていたハンターの亜種、ハンター
さて思い出してほしいのは、オメガやプサイ……ハンターΩとハンターΨの姉妹は、セルケトの様にリサの細胞とB.O.W.の残骸を組み合わされて作られたわけでも、ヘカトの様にリサの血を大量に浴びて偶発的に生まれたわけでも、ヨナの様に実験と称されてRT-ウイルスを投与されたわけでも、グラの様に母体にRT-ウイルスを人工授精の様に投与されて産まれてきたわけでもない。
RT-ウイルスを用いたハンター……通称「
知能が低下するというT-ウイルスの欠点や、司令塔の不在。これらを解決するために、元々人間の遺伝子にT-ウイルスと爬虫類の遺伝子を掛け合わせてクローニングすることで生み出すハンターを、RT-ウイルスを用いて誕生させた個体。ハンターと作成方法は同じ。ただ用いるウイルスが違うだけ。純粋にRT-ウイルスのみを利用したそれは、彼女らが最初からRT-ウイルスを固有の遺伝子として有することを指している。ハンターの特徴を持つリサ、ともいうべき容姿なのはそのためだ。
ここで話は戻るのだが、さて。RT-ウイルスを身体の一部として最初から生み出されたオメガとプサイと、T-ウイルスで生み出されたハンターγ。この差は歴然だ。最初から適応していたのと、あとから適応したのでは天と地ほどの差がある。結果どうなったかというと………
『……着ぐるみ?』
「しつ、れい、なぁー」
真珠色のフ●フルみたいな、二足歩行でオタマジャクシに似た尻尾が伸びた、巨大な口だけが上半身の大半を埋めているグロテスクなゆるキャラの様な何かの口からひょこっとリサによく似た顔を出した真珠色の短い髪を持つ子供に、エヴリンは思わずツッコむと気が抜けるゆるりとした声を放つ。
「だあれー?」
『私はエヴリンだけど……あなたこそ、だれ?』
「わたし、はんたーがんまー。だでぃ……じゃなかった、どくたーのこどもー」
『はんたー?………ハンター!?』
正確にはでっかい口の中に、舌の代わりに胸から上の上半身が生えた様な、中途半端に来た着ぐるみみたいな恰好のハンターγを名乗った少女に、いろんな意味で困惑するエヴリン。御世辞にもハンターと同一種には見えないからしょうがない。別の世界線だとカエルに似ているだけでまだ面影はあったのだが、どうしてこんな狩猟ゲームに出てきそうな見た目になってしまったのだろうか。あとなんでその口からリサをちっこくした上半身が生えているのか。もうわけがわからないよ。
『じゃ、じゃあガンマちゃん……でいい?』
「がんまちゃん、がんまちゃん……がちゃんがちゃんー!」
『がちゃんがちゃーん……?喜んでくれてるのかな?』
口の中でキャッキャと喜んで手を叩くガンマちゃんに本気で困惑するエヴリン。今そんな場合じゃないのだが、もうなんかいろいろすっ飛んでしまった。リヒトを探してたのにどうしてこうなった。そしてよくこんな無邪気な子が生きてたな?と不思議に思っていると、すぐ理由が分かった。下水の中から浮かび上がって現れたゾンビが背後から襲い掛かってきたのだが、その鈍重な見た目とは裏腹に素早い身のこなしで振り返ると大口で食らいつき、ボキッグシャア!という音と共にゾンビは丸呑みにされていったのだ。
『ええ……』
「おいしかったー」
そして振り返ると、その真珠色の外皮と、口の中の少女がにぱーと笑いながら返り血にまみれていた。どうやらガワで丸呑みにした後、口内の人型の剛力でバラバラにして飲み込んだらしい。納得した。リヒトと並ぶ下水道の覇者である。若干シュールだが。
『ってそれどころじゃなかった!リサを助けないと!……でもリヒトがどこにいるかわからないし、どうしよう……』
完全に時間を無駄にしたエヴリンは空中で体育座りして足の間に顔をうずめてくるくる回る。それを見て面白そうにキャッキャと笑っているガンマちゃんに、ジーッと視線を向けたエヴリンはダメもとで聞いてみることにした。
『ねえ。助けたい人がいるの。でも私は触ることができない、助けてくれたり……しないよね?』
「エヴリン、おや?」
『あ、さっきのは違くてね?』
「おや、かぞく!かぞくはだいじにしろって、どくたーいってた!わたしたすける!かぞくこまってるなら、たすける!」
『いい子過ぎない?』
教育どうなってるんだとエヴリンは戦慄したが好都合だった。どうやら下水道にも詳しいようなので、モリグナの後を追ってもらい……そして、現在に至る。
地味に登場、RTを用いたハンターシリーズの総称「
ガンマちゃんについては、この小説はクリーチャー擬人化小説じゃなくてバイオハザードなんやでって。小説的に描写がめちゃくちゃめんどくさいタイプの子ですね。外側と内側を表現するのが難しすぎる。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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