BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】 作:放仮ごdz
楽しんでいただけたら幸いです。
列 B
車 地
の 点
残 ―――――――――― 線路 ―――――――――――――――
骸 A
地
点 C
地
点
「……さすがに、列車に轢きつぶされたらどうしようもないわね」
『……』
C地点の線路では、四肢が潰れて大の字に転がっている血に濡れた白いワンピースを着た女性と、空中で体育座りしている黒髪黒服の少女がいた。女性は力なく虚空を見つめ、少女は頭を抱えて足の間に顔をうずめている。
B地点。列車が脱線した線路と反対車線の線路に、奇妙なものが転がっていた。異様に膨らんだ真珠色の眼鼻がない口だけのゆるキャラみたいなものだった。もぞもぞと動くそれは、苦しそうに悶えるとんべっと口に含んでいたそれを吐き出した。
「ぐううっ……生きてる、のか…?」
そしてA地点。線路の上でニコライ・ジノビエフは目を覚ます。なぜか自分は死んでいなかったことにまず疑問が出る。片腕を失い、血も大部分を失い、受け身を取ることすらままならなかったはず。脱線に巻き込まれたのになぜ生きて、と自分の身体を確認しようとして、目の前に誰かが立っていることに気付いた。
「あはぁ。めぇさめたぁ?」
「グレイブディガー…!?」
そこにいたのは、グレイブディガー・ハスタ。慌てて身構えるニコライだったが、黄色いレインコートを身に纏いフードに隠れ影になっている顔から視線を感じるが、殺意は感じない。それどころか、親しみさえ……
「まじった。なかまぁ」
「仲間…?俺が…?何の冗談だ…!?」
笑って流そうとするニコライだったが、グレイブディガー・ハスタの指さした個所を見て絶句する。それは、ニコライの右足だった。ズボンに覆われてなお分かるほど、複数の並んだ穴が開き少ない血が流れている。見るからに軽傷、だがどこで負ったのかを思い出して血の気が引いた。
―――――「ばぁ」
―――――「うわっ!?」
―――――「がぁぶがぶぅー」
―――――「ぐおおおおっ!?」
あの時、リサの援護をしていた時に、地中から不意打ちしてきたグレイブディガー・ハスタに足を掴まれ、噛みつかれた。まさか、まさかと脳に鳴り響く警鐘を無視して、カルロスが巻いてくれた包帯を剥がしていくニコライ。そこには、綺麗に斬り裂かれてまっすぐな断面があるはずだった。しかし、既に傷口が肉で埋められて再生を始めていて。自分が、よりにもよって適合しなければ生き地獄を見るRT-ウイルスに感染してしまったと確信してしまった。
「けらけらけら。なおして、あげる」
「い、いやだ。俺はお前の仲間じゃない……人間だ、人間なんだ…!」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
「けらけらけら」
心底怯えて腰が抜け、四つん這い……片腕がないので三つん這いで逃げ出すニコライを、地下ゆえ反響する笑い声と共に歩いて追いかけるグレイブディガー・ハスタ。掌を上に向けて人差し指を向ける独特の構えをすると、壁を突き破ってリサ達を襲った時と比べると格段に細くて小さいグレイブディガーが姿を現し、ニコライの失われた右腕に飛び込み噛みついてしまう。
「な、なんだ!?」
痛みを感じず首を傾げるニコライの視界で、噛みついたグレイブディガーが圧縮されるようにして縮んで変形していき、新たな右腕になったことに驚愕する。指を動かしてみる、グーパーと握って開く。自在に動く。右腕が帰ってきたことに笑うニコライ。ただただ、嬉しかったがすぐに損得勘定が顔を出す。
「…こいつはいい。リサと同じ不死身の肉体……こいつがあれば、俺は大儲けできる。そうだ、ハスタといったか?お前と組めば命の保証と大金が……」
「たりない?もっと、もっと、もっと!」
「え…?」
するとハスタの声に呼応するように次々と壁を突き破って姿を現す未成熟のグレイブディガーたち。そのすべてが自分を向いていることに、困惑のあとに何が起きるのか理解してしまって恐怖するニコライ。踵を返し走って逃げようとして転び、今度こそ四つん這いで逃げようとするニコライに、無情にも掌を上に向けて人差し指を向ける独特の構えがニコライに向けられた。
「なかま、なかま!みんないっしょ、いっしょだ!」
「や、やめろ!来るな!もういい、もういいんだ!うわああああああああっ!?」
背中に、肩に、右腕に、左手に、後頭部に、腰に、左足に、右足首に、後頭部に、胸に、首に、顔に。追いかけ、先回りし、思わず立ち上がったニコライに次々と噛みついて食い破り吸い込まれるようにして、次々と取り留めなく壁から飛び出してくる、ラクーンシティ中に潜んでいた未成熟のグレイブディガーすべてが取り込まれていく。
「すごい!すごい!みんな、はいった!ぜんいん、いっしょ!」
「うぐぐぐっ……!?」
なのに一切姿が変わることなく、体内で蠢くものに必死に耐えながら、よたよたと外を目指して歩いていくニコライ。しかし耐え切れず、アナーキアの様にブクブクと膨れ上がっていき、全身から未成熟のグレイブディガーが飛び出して纏わりつかれる触手の塊のような姿になり果ててしまう。
「けらけらけら。たのしい、たのしい」
変わり果てた姿に変貌し、グレイブディガー達が地面を掘り進んで降下していくニコライだったものを嘲笑うグレイブディガー・ハスタ。まさに悪魔の様な笑みだったがしかし、グレイブディガーに纏わりつかれたニコライだったものが両手を伸ばし、伸びたグレイブディガーにグレイブディガー・ハスタも纏わりつかれてしまう。
「まさか。やだ、やだ、やだ!やめて、やめて!?」
グレイブディガー・ハスタは焦りから暴れてフードが取れ、紅い瞳に黒い髪の素顔をぐちゃぐちゃに涙で歪ませながら、降下し続けるニコライだったものに引きずり込まれていき、そして誰もいなくなった。
―――――――ラクーンシティの地下にて、物言わぬ繭は胎動する。
スペンサー記念病院。その研究室にて、白衣の男が注射器を手に震えていた。傍らには機械仕掛けの鐵の装甲を身に着けたずんぐりとした人型、ハンター・アーマードを侍らせている。
「わ、私は生きるぞ!死んでたまるか!」
焦点を失った目で注射器を見つめ、それ……ハンター・アーマードが回収してきたアリサの血と肉片から作った血清を自らの心臓に突き刺す男、その名はナサニエル・バード。T-ウイルスに感染し、ワクチンでギリギリ人としての人格を保っていた男を照らす照明が壁に映し出す影が膨れ上がっていく。
「グオオオッ、オオオオオオオオッ!?」
雄叫びを上げるその存在は、ハンター・アーマードをその強固な鎧ごと踏み潰してミンチにすると貪り食らう。肥大化する肉体の重さに四つん這いとなり、皮膚を突き破った全身がドス黒く変色した赤黒い筋肉に覆われ、両手両足には鋭く太い爪が、肥大化した天才たる脳に視界を潰され、口が裂けて縦に裂けている舌が顔を出す。それは、リッカーに酷似していた。
取り込んだ血清が心臓を介して全身に伝搬し、ゾンビに噛まれて感染していたT-ウイルスに「適応」し、投与していたワクチンに「適応」し、ハンター・アーマードという栄養を摂取し「適応」した。
本来適合していない肉体を、大量のワクチンを用いていたことで、人型ではない異形の姿で適応してしまった存在。
―――――その名を、ブラインドストーカー。
実はハスタに噛まれてたニコライ、脱落。光堕ちしかけたとしても、こいつがゾンビを誘導したせいでU.B.C.S.が壊滅したという罪は消えないのだ。利用しようとしたものと同じものになり果てるという罰を受けてもらいました。
同時にハスタも脱落してグレイブディガーの繭が完成。そしてスペンサー記念病院ではブラインドストーカーなる怪物まで誕生していて……?ハンター・アーマードは犠牲となったのだ……。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
一番好きな2編オリジナルB.O.W.は?
-
Gアネット
-
センチュリオン・G・ヘカトンケイル
-
モリグナ
-
モールデッド・クイーン
-
ブギーマン・スケアクロウ
-
ブギーマン・バグベア
-
T-103型タイラント【ハーキュリー】
-
タイラント・リッカー
-
タイラント・マスキュラー
-
アナーキア(変異アイアンズ)
-
アリゲーター・ステュクス(リヒト)
-
ヨーン・エキドナ(ヨナ)
-
ネプチューン・グラトニー(グラ)
-
アナーキア・リッカー
-
モールデッド・ハンター
-
白面の鎧武者
-
ベルセポネ
-
タイラント・アシュラ
-
モールデッド・ラミア
-
G生物第6形態(アネット)