BIOHAZARD VILLAGE【EvelineRemnants】   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。ここで3編のサブタイトルを思い出してみよう。

いろんな決着。楽しんでいただけたら幸いです。


file3:26【追跡者、再始動】

 ダニエル・ファブロンは裏社会では名の知れた片付け屋である。依頼された仕事は間違いなく完璧に片付ける。そのためなら準備は怠らないし金も惜しまない。お得意様であるアンブレラが用済みとなれば即座に切り捨てることがあるということをよく理解していたダニエルは、サミュエル・アイザックスに雇い主を乗り換える際に自らが調教したハンターπ軍団やネプチューン・ルスカの他に、自らが試用したアンブレラの新兵器をいくつかかっぱらってきていた。

 

 

「こいつはマインスロアー。アンブレラの開発した兵器の試作機だ。即席地雷を作る、というシンプルな効果だ。即効性はないがなかなか使える。完成したらグレネードランチャー用の弾丸になるらしい。まあお前らが知ったことではないが?」

 

「ぐっ……」

 

「くそっ……」

 

 

 マインスロアーを担ぎなおし、ダニエルが構えたのはS&W M29の改造銃「アンブレラ マグナムリボルバー」。卓越した技術で早撃ちを繰り出し、咄嗟に転がって回避するジルとカルロス。

 

 

「俺はダニエルを!」

 

「私はアリサを助けるわ!」

 

 

 ダニエルが薬莢を排出して弾丸を入れ替える隙を突いてカルロスはダニエルに突進して掴みかかる。ジルはアリサをホットダガーでめった刺しにしているハンターπに向けてグレネードランチャーを向け、発射。炸裂弾がハンターπに炸裂して吹き飛ばし、アリサはぐったりと倒れ込みジルに受け止められる。

 

 

「大丈夫!?アリサ!」

 

「だいじょばない……」

 

「冗談言える元気はあるみたいね!」

 

 

 そして転がったホットダガーを右手で拾い、左手にアリサを抱えたまま声もなく再度襲いかかってきたハンターπの爪を受け止めるジル。ホットダガーの熱でじりじりと焦げているというのに、フードが外れて現れた黒髪をショートヘアに纏めていてハイライトのない黒い瞳のリサともいうべき顔は無表情のまま歪みもしない。ゾクッとジルの背筋に冷たいものが走る感覚と共に、ハンターπは横蹴り。アリサもろとも蹴り飛ばされ、ベンチを粉々に破壊し転がるジル。

 

 

「ジル!」

 

「よそ見はいけないな?カルロス・オリヴェイラ」

 

「があっ!?」

 

 

 それに気を取られたカルロスにサブミッションで関節を極められていたダニエルは閃光手榴弾を落とし、閃光に目を焼かれ解放してしまうカルロス。すぐさまアンブレラ マグナムリボルバーを引き抜いて三連射。弾丸が防弾チョッキに衝撃を与え、苦悶に顔を歪ませるカルロスにダニエルはスタンロッドで刺突。電流が襲い掛かりカルロスは倒れ伏す。

 

 

「先ずは一人……四肢をぶった切ってもいい。回収しろハンターπ」

 

「(コクッ)」

 

 

 くるくる回転させたリボルバーを腰にしまったダニエルの言葉に無表情で頷き、転がったホットダガーを手に取りアリサに歩み寄るハンターπ。アリサは背骨を一部引き抜かれた激痛で動けず、ジルは頭を打って立つことができず、カルロスは打撲に感電で満身創痍。万事休すと思われた、その時。ハンターπの振り上げたホットダガーを握られた左手に何かが巻き付いて動きを止めた。

 

 

「!」

 

「おいおい、今度はなんだ?」

 

 

 訝しみ、振り向くダニエルとハンターπ。その先には、ラクーンシティの光に照らされた大柄な人影があった。それは跳躍し、ダニエルとハンターπの間に着地。ハンターπからホットダガーを右手から伸びた触手で奪い取ると、左拳をその腹部に叩き込んだ。

 

 

「スタァアアアズ!」

 

「!?!?!?!?」

 

「ぐっ!?オイオイ、冗談きついぜ」

 

 

 あまりに特徴的すぎる咆哮と共に、ハンターπは初めてその無表情を驚愕に歪めながら腹部に大穴を開けて殴り飛ばされ勢いよく川に沈んでいき、ダニエルも触手で首を絞められ失神、マインスロアーとスタンロッド、アンブレラ マグナムリボルバーを奪い取り腰のベルトに取り付けていく。

 

 

「スタァアズ!」

 

「吠えるなうるさい!」

 

「スタァアズ……」

 

『よかった!アリサ!ジル!カルロス!生きてた!』

 

「エヴリンにリサ!?それに……」

 

 

 それは咆哮を上げていたが、背中にいるリサから怒鳴られてシュンとなり、その影からひょこっとエヴリンが顔を出し、アリサが痛みも忘れて思わず目を見開く。それは、右にある心臓がむき出しになってる胴体に大穴が開いた黒いコートを身に着けていた。消火栓からかっぱらってきたのか消火用のホースでリサを背中に括りつけているそれは、散々苦戦した強敵のはずだった。

 

 

「……ネメシス?」

 

『安心して!今は味方だよ!』

 

「スタァアアアズ!」

 

「うるさい!」

 

 

 困惑するアリサ。手を広げて顔を輝かせるエヴリン。表情が乏しい顔で嬉しそうに咆哮を上げるネメシス。怒鳴るリサ。どうしてこうなったかというと、数分前に遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偽・領域展開(imaginary domain expansion)なんちゃってむりょーくーしょ(fake Infinity Void)!』

 

 

 漫画の技を再現した、周囲の菌根感染者の意識を菌根世界に送り込んで、一時的に肉体から意識を奪うエヴリンの奥の手中の奥の手。デメリットとして相手がどんなに多かろうと取り込んでしまい、さらに菌根世界での戦闘力を得るとはいえエヴリンは一人で戦うことを強いられる。ベルセポネ相手の際は前者の理由で一時窮地に追いやられ、タイラント・アシュラに用いた場合は逆にボコボコにされて敗北に追いやられた、諸刃の剣。

 

 

「……きっさま……なにをした!」

 

「……へえ、複数体の場合はこうなるんだ」

 

 

 ドミトレスク城の屋根の上に複数の声が重なったおどろおどろしい声ではない、甲高い声が響き渡り、エヴリンは笑みを浮かべる。モリグナ・ネメシスは群体の怪物だ。モリグナの本体、モリグナを形成しているカラスたち、そして止まり木という名の肉体にされているネメシス。それらが一体になったもの。それがなんちゃってむりょーくーしょに巻き込まれるとどうなるかというと、明確な自我を持つモリグナの本体と、ネメシスだけが菌根世界のここに顕現していた。

 

 

「自我を持たないカラスたちはこの世界に入れない……勉強になったよモリグナ」

 

「くそっ……起きろ!このデクノボー!戦え!」

 

 

 サイズそのままのカラスのハーピーみたいな姿のモリグナ本体は、バサバサと羽ばたいてバルコニーに転がっているネメシスに近寄るとげしげし蹴りつける。この期に及んで自分で戦う気がないらしい。本体となってしまったこの最初のモリグナは、群れて強気になるひどく憶病な性格だった。

 

 

「すたぁず……」

 

「戦う気はないってさ!」

 

 

 しかしネメシスは弱弱しく吠えるだけで動こうとしなかった。モリグナに乗っ取られていたためひどく衰弱している様だった。タタタタタッ!と斜めの屋根を駆け抜け、小柄な体を衝撃波の反動で跳躍して、衝撃波を纏ったパンチを叩き込むエヴリン。

 

 

「ギャギャア!こうなればぁあああ!」

 

 

 モリグナ本体はギリギリ身を捩って回避し、意を決して翼を羽ばたかせ、高速で空を移動して猛禽類の様な脚でエヴリンを貫こうと試みる。しかしエヴリンはわざと屋根の上を滑走することで回避。屋根の縁に掴まるとその身から衝撃波を放出。モリグナ本体は衝撃波を受けて体勢が崩れ、さらなる衝撃波を受けてグルグルグルと回転して落ちていく。

 

 

「一人だと弱いね…私と同じだ」

 

「弱い?弱いだと!こんな強大な力を持つお前に、私の何がわかる…!」

 

 

 激高し、屋根に両足を付けて跳躍、高速で体当たりを叩き込み空中に押し出してきたモリグナ本体の頭部を、両手で鷲掴みにするエヴリン。彼女の脳内には、接続したモリグナの記憶がすべて流れていた。群れを己が手足として利用し、ネメシスやリサを巣として寄生し、生き汚く邪悪の限りを尽くした悪魔の記憶が。

 

 

「お前が、人の身体に寄生する害鳥だってことぐらいはわかるよ」

 

「ギッアアアアアッ!?」

 

 

 ヨナとグラの時は驚異的なタフさに「家族にする」ぐらいしか勝ち方がなかった。だがモリグナはそうではない。そのあまりに厄介だったタフさは失われている。エヴリンは直接両手からサンドイッチにするように衝撃波を叩き込み、モリグナ本体を圧殺した。

 

 

「……ネメシス」

 

 

 そのまま屋根に着地。歩いてネメシスに歩み寄るエヴリン。モリグナと同じく、ネメシスの記憶が見えていた。兵器として生まれ、S.T.A.R.S.を壊滅させるために調整され、寄生体を植え付けられた、自由意思を持たない怪物。それにエヴリンは手を伸ばし……同じく菌根世界にやってきていた背中の寄生生物を、握りつぶした。

 

 

「……すたぁず?」

 

「もうこれで自由だよ。もうアリサたちは襲わないよね?」

 

 

 顔を上げるネメシスに笑顔を浮かべるエヴリン。自分と同じく兵器として生まれたネメシスを手にかけることはできなかったのだ。そうして菌根世界から浮上すると、ちょうどネメシスに巣食っていたモリグナ本体が石灰化して崩れていき、残りのカラスたちが飛び立っていったところだった。

 

 

「……倒したの?」

 

『なんとかね。……ネメシス?』

 

 

 リサの問いかけに応えていると、重い足音が近づいてきて。振り返ると、モリグナ本体が巣食っていた胸部を再生させたネメシスが、エヴリンに跪いていた。

 

 

「スタァアズ……」

 

『え?いや、もう自由なんだからリサに殺される前にどっか行ってよ』

 

「貴方は私を何だと思ってるのよ」

 

『顔の皮マニアのバーサーカー?』

 

「殺すわよ」

 

『冗談だって!…はえ?』

 

「スタァアアアアズ」

 

 

 睨みつけてくるリサに怯えるエヴリンを庇うように間に立つネメシス。それはエヴリンを守ろうとしているようにも見えた。エヴリンはため息を吐く。

 

 

『……私についてくると死ぬかもだよ』

 

「スタァアズ」

 

『それでも、私を助けてくれるの?』

 

「スタァアアアズ」

 

『命令がないと生きられないってのも不便だね。わかった、あなたも家族だ!とりあえずリサを連れて地上に出よう!』

 

「スタァアアアアアアアズ!」

 

「ちょっ、トンネルで反響する!うるさい!」

 

 

 そうして今に至る。エヴリンは打算なく、その人の良さから最強の鬼札を手に入れたのだった。




ネメシス、エヴリンに陥落。

ネメシス(寄生体)、握りつぶされる。

モリグナ本体、菌根世界で衝撃波でサンドイッチにされ完全消滅。

リサ、四肢が潰れてネメシスに担がれる。

アリサ、背骨の一部を抜かれて悶絶。

ジル、ベンチに頭をぶつけて意識朦朧。

カルロス、防弾チョッキ越しにリボルバーを喰らい電撃を浴びダウン。

最後のハンターπ、胴体に大穴を開けられ水没。

ダニエル、首を絞められ気絶。

さすがに内容がこんだけ濃かったのでいつもより1000字多い4000字になりました。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。

一番好きな2編オリジナルB.O.W.は?

  • Gアネット
  • センチュリオン・G・ヘカトンケイル
  • モリグナ
  • モールデッド・クイーン
  • ブギーマン・スケアクロウ
  • ブギーマン・バグベア
  • T-103型タイラント【ハーキュリー】
  • タイラント・リッカー
  • タイラント・マスキュラー
  • アナーキア(変異アイアンズ)
  • アリゲーター・ステュクス(リヒト)
  • ヨーン・エキドナ(ヨナ)
  • ネプチューン・グラトニー(グラ)
  • アナーキア・リッカー
  • モールデッド・ハンター
  • 白面の鎧武者
  • ベルセポネ
  • タイラント・アシュラ
  • モールデッド・ラミア
  • G生物第6形態(アネット)
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